昨日掲載しました拙作「ある少女の面接」を楽しんでいただきましてありがとうございました。
おかげさまで好評を得ることができ、私もうれしく思います。
そんな中、コメントを寄せてくださいました神代☆焔様、それといつもお世話になっているEnne様から、洗脳っぽく思考が変わってしまうのではなく、できるだけ元の性格を残したまま女怪人になったらいいのにという趣旨のお話をいただきました。
Enne様からは、文章としてのアイディアもいただきまして、私自身それも素敵だなぁと思いましたので、蛇足ながらもう一つの結末を書いてみた次第です。
コメントをいただきました神代☆焔様、文章アイディアをいただきましたEnne様、どうもありがとうございました。
お二人のご希望に添えることができたかどうか心もとないものではありますが、楽しんでいただければと思います。
「ある少女の面接:別END」
でも、額から伸びる触角がふるふると震えると、すぐに私は外部のことが手に取るように察知できた。
「わぁ、すごいよぉ。まるで本当に悪の女怪人になったみたいです。これならヒーローショーでたっぷりと子供たちを怖がらせてやれますね」
私は自分の躰と一体化した衣装にすごく満足していた。
自分が自分でなくなったみたい。
まさに私は悪の女怪人になれたんだわぁ。
「うふふふふ・・・新たなるシャドウブラックの怪人ムカデーラの誕生ね」
衣装が気に入ってくるくると回りながら自分の躰を見下ろしていた私を、闇川さんが見上げている。
シャドウブラックの怪人ムカデーラ・・・
これが私の新しい名前。
うれしいよぉ。
あこがれていた悪の女怪人なんだわぁ。
もう最高。
何でもできちゃうよ。
「はい、闇川所長。私はシャドウブラックのムカデーラです。よろしくお願いします」
私はシャドウブラックの一員であるベルトを締め、上司である闇川さんにひざまずく。
うう・・・
なんて気持ちいいの。
これよこれ。
悪の女怪人が組織の幹部にひざまずく。
これこそ悪の組織の醍醐味だわ。
「うふふ・・・顔を上げなさい、ムカデーラ」
闇川さんの言葉に私は顔を上げる。
バイザーで覆われた私の目は何も見てないはずなのに、触角からの情報で私は室内の様子が手に取るように脳裏に浮かぶ。
「もう感じていると思うけど、その衣装はあなたの躰を強化し改造してしまったわ。あなたは“まるで”ではなく本当の女怪人に生まれ変わったの」
ああ・・・やっぱりそうなんだぁ・・・
すごくよくわかります。
私は本当に改造してもらえたんですね。
うれしい。
私はもう喜びで胸がいっぱいになる。
悪の女怪人になれたなんて夢のよう。
生きてきてよかったぁ。
「私は悪の女怪人になれたんですね。ありがとうございます」
「そうよ。これからはヒーローショーを隠れ蓑にして悪事を働いてもらうわ。がんばってね」
「はい。それじゃ早速幼稚園バスジャックとかどうでしょう? 私の躰に付いた歩肢を震わせれば催眠音波を出すことができます。誘拐した幼稚園児を使って悪事を働けば日本は大混乱に・・・」
そこまで言って私は思わず口をつぐむ。
いっけない。
私ってば今日採用されたばかりなのに、こんなこと言っちゃって・・・
生意気なやつって思われちゃったかも・・・
私は恐る恐る闇川さんの顔を見る。
意外なことに闇川さんはちっともいやな顔をしていない。
それどころかすごくうれしそうに私を見てくれていた。
「いいわねぇ。やる気充分じゃない。さすがはシャドウブラックが見込んだ優秀な人材だわ」
ええっ?
優秀な人材って私のこと?
うわぁ・・・うれしいよぉ。
組織に認めていただけるなんて最高だよぉ。
改造してもらえて本当に幸せだよぉ・・・
「す、すみません。勝手に先走ったことを言ってしまって。お赦しください」
私は改めてきちんと謝罪する。
幹部に対して出すぎたマネをしちゃったんだから当然のこと。
「いいのよ。気にすることは無いわムカデーラ。それよりも私はうれしいわ。あなたがノリノリで悪の女怪人として組織のために尽くしてくれるのがね。その調子でがんがんアイディア、いいえ、作戦を具申してちょうだい。あなたは怪人だから組織の中核に位置することになるんだからね」
いつの間にか取り出したムチで手のひらを軽く叩いている闇川さん。
脚を組んで優雅に構える姿はまさに悪の女幹部。
「ありがとうございます。闇川所長もすごく素敵な悪の女幹部です」
「くすっ。この姿のときはシャドウブラックの指揮官ヘルザーラ様と呼んでちょうだい。このビル自体がシャドウブラックの拠点なのよ」
口元に手の甲を当てていたずらっぽく笑う闇川さん。
いいえ、ヘルザーラ様よね。
「わかりましたヘルザーラ様。このムカデーラ、精いっぱいがんばりますので、よろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしくね。あ、学校はもう行く必要はないわ。あんなところで学ぶことは何もないわよ。それと、家族はちゃんと始末してくること。いいわね」
「はい、ヘルザーラ様」
私はシャドウブラックの敬礼をしてヘルザーラ様のご命令に従った。
こうして私の夏休みのバイトが始まったの。
もちろん、夏休みが終わった今もバイトは続けてる。
悪の女怪人をやめるつもりはないし、やめるなんて考えたくもない。
仕事は楽しいし、おかげさまで業務成績も上位なの。
ただ、最近支部の業績がアップしたせいで人手が足りないの。
もう二三人バイトが欲しいのよね。
というわけで黒井企画ではアルバイト募集中です。
あなたなんかどうかしら。
蜂の女怪人ワスピアや蜘蛛の女怪人スパイダーナの衣装あたりがきっと似合うと思うけど・・・
END
(上記文章のほとんどはEnne様のアイディアによるものです。あらためましてEnne様、ありがとうございました)
- 2008/07/11(金) 20:03:13|
- 異形・魔物化系SS
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| コメント:5
自爆っ!!
やはり、こーゆーキャラは怪人として愉快犯的でいいですね(笑)
組織としては、攻撃的な性格の方が御し易いとは思いますが……。
くれぐれも、モグラ獣人のように組織を裏切らないことを祈りつつ、何れ彼女が幹部になったら、妖怪王女以上に趣味で楽しく悪事を働いて欲しいものです(笑)
激烈に楽しい作品をありがとうございますm(__)m
- 2008/07/11(金) 21:25:42 |
- URL |
- 神代☆焔 #-
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正に「私は自分の意思でこの組織に入ったのよ」ですね。
洗脳されてそういう言葉を吐くことはありますが、やはり洗脳無しでの方が重く感じます。
悪堕ちはこうでないといけませんね。
性格がそのままというのもポイントが高いです。
素晴らしい作品でした。
- 2008/07/11(金) 21:49:03 |
- URL |
- metchy #zuCundjc
- [ 編集]
ども、性格が変わらないままっていうのは面白いなー
根は変わらないままの堕ちって以前俺もやったことがあった気がする(グレースかこなたかアマネかなんか…)
- 2008/07/11(金) 21:49:15 |
- URL |
- いじはち #-
- [ 編集]
ちょ、舞方さ~ん
びっくりするじゃありませんかぁ(w
それに、一部を除けば舞方さんの文章ですよぅ・・・
仕方ないわねぇ、舞方さん、明日は、おやすみを上げます、明日はわたしがサイトを乗っ取るんだからねっ!
良いわね!明日はアナザーエンドパート2なんだからねっ(爆)・・・って舞方さんやっちゃっていいかしら?
- 2008/07/12(土) 01:00:03 |
- URL |
- Enne #XtDHfxHE
- [ 編集]
>>神代☆焔様
ムカデーラは組織に所属することに喜びを感じてますから、裏切ったりはしないでしょう。
きっと楽しく悪事をやってくれると思いますよ。
こういう彼女もほしいものです。(笑)
>>metchy様
洗脳されての“自分の意思で”もいいですけど、最初から悪に魅力を感じてというのもいいですよね。
ただ、洗脳されるよりもギャップを感じないのが玉に瑕かな。
家族を始末するときにためらっちゃったりしないといいなぁ。
>>いじはち様
こなた悪堕ちは性格そのままって感じでしたね。
楽しい作品でした。
こちらの作品も楽しんでいただけたようでありがたいです。
>>Enne様
おおー!
ぜひぜひ乗っ取りを。
「Enneの趣味の世界」というところですねー。
- 2008/07/12(土) 19:40:29 |
- URL |
- 舞方雅人 #-
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