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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ある主婦のパート(1)

え~と、性懲りもなくまた妙なものを書いてしまいました。
内容もまあ、いつものごとくのものでございます。

それでもいいよってお方はどうかこの下をお読みくださいませ。
今日明日で一本の短編を投下いたします。
楽しんでいただければ幸いです。


「ある主婦のパート」

ふう・・・
私は電卓を叩きながらため息をつく。
「今月もぎりぎりだわ・・・」
目の前の家計簿と銀行通帳の預金残高、レシートの山を前にして私はついもう一度ため息をつく。
世知辛い世の中だわ。
何でもかんでも値上げ値上げ。
贅沢品なんて物じゃなく生活必需品がこうして値上げになっているのに、夫の手取りは変わらない。
ううん・・・
雄太(ゆうた)さんは充分がんばってくれているわ。
でも、会社の業績が上がらなければ、いくらがんばってもお給料は上がらないものねぇ・・・
ハア・・・
雄太さんは嫌がるけど、やっぱり私もパートに出ようかしら・・・
専業主婦でただこうしてため息をついているのも芸がないものね。
子供ができたら働けなくなるんだし、今のうちに少しでも貯金できればいいしね。

私は早速何か手ごろなパートはないかとまずは新聞広告やチラシを覗いてみる。
うーん・・・
レジ係や新聞配達・・・ポスティング・・・
どれもパッとしないわね。
あら?
これは何かしら?
“求む人材”ですって?
なになに、このチラシを読んだあなたは選ばれた人材です?
すばらしい世界があなたを待っています。
当組織で能力を発揮し、あなたの世界を変えてみませんか?
高給優遇、詳しくは面接で・・・か・・・
なにこれ?
なんか変なの。
大体仕事の内容も会社名も書いてないじゃない。
でも・・・
どうしよう・・・
なんか気になるわぁ・・・

「ねえ、あなた」
夕食後にくつろいでいる夫に私は話しかける。
「うん、なんだい?」
テレビのほうを見たまま振り向きもしない雄太さん。
もう・・・
ナイターのあるときはいつもこうなんだから。
そんなに野球が好きなのかしらね?
「この間も話したけど、やっぱり私パートにでてみようと思うの。少しでも余裕があれば先々安心だし・・・」
「その話か」
テレビを消してこちらに向き直ってくれる雄太さん。
うれしいな。
こういうところがこの人のいいところなのよね。
「確かに僕の給料が安いせいで君には苦労かけているからなぁ・・・」
「あ、そんなことないのよ。ただ、少しでも貯金ができれば、子供ができたときとかにも安心だと思うの」
「うーん・・・」
腕組みをして渋い表情の雄太さん。
やっぱり私にうちにいて欲しいのかしら。
「とりあえず面接だけでも受けてこようと思うの。気になる求人があったのよ」
「ほう・・・どれだい?」
私は雄太さんに昼間見たチラシを見せる。
「ん? なるほど、ビル清掃か。美乃里(みのり)は綺麗好きだからいいかもな」
えっ?
ビル清掃?
そんなこと書いてあったかしら?
私は雄太さんからチラシを返してもらって再度見る。
変ねぇ・・・
どこにもそんなこと書いてないと思うけど・・・
「まあ、それなら面接に行っておいでよ。受かったらそのときは働けばいい。ホントは家にいて欲しいけどね」
きょとんとしていた私だったが、雄太さんが許可してくれたのには驚いた。
「いいの?」
「ああ、もっとも、この世の中だ。とってくれるとは限らないよ」
「それはそうよねぇ」
確かにそうよね。
私みたいに何のとりえも資格もない主婦じゃ、企業もとってくれないかも。
でも、まあ、面接に行ってみるわ。
私はそう決めて、再びナイターを見始めた雄太さんをあとに食事の後片付けをし始めた。

                      ******

「ここだわ」
翌日私はチラシに記されていた面接場所にやってきていた。
電話連絡をしたら、午後からでもすぐ来て欲しいとのことだったので、とりあえず身支度を整えてやってきたのだ。
面接場所は何てことない雑居ビルである。
いくつもの小さな事務所が入っているようなところであり、どうやらその三階が目的地のようだった。

「ワールドブラック? 聞いた事無い会社よね」
まあ、大規模求人誌じゃなく新聞折込チラシで求人するぐらいだから、小さい会社なんだろうけどね。
私はコンコンとドアをノックする。
『どうぞ』
すぐに中から返事があって、私はノブを回してドアを開けた。

「いやぁ、この地区は応募がほとんどなくてあきらめていたところだったんですよ。あのチラシを読めた人がいてよかった。」
私は応接セットに案内され、スーツを着た中年の男性が私に正面に座るよう手で示す。
チラシを読めた人ってどういうこと?
チラシなんて誰だって読めるじゃない。
私は変なことを言うなぁと思いつつも、言われた通りに腰を下ろす。
「私はワールドブラックの人事を担当しております鎌桐(かまぎり)と申します。さて、早速履歴書を拝見させてください」
「あ、はい」
私は履歴書を取り出し提出した。
うう・・・
緊張するわぁ・・・
「ふむふむ・・・主婦の方でしたか・・・特に目立ったところもなし・・・埋もれていた人材か?」
面接担当の鎌桐さんがうんうんとうなずきながら、私の履歴書に目を通す。
私はどきどきしながらその様子を見ているだけ。
ああ・・・
どきどきするよぉ・・・

「はい、OKです。明日からこられますか?」
えっ?
何の質問も無しなの?
どういうこと?
「えっ? えと、明日からって? 採用・・・なんですか?」
私は恐る恐る訊いてみる。
「はい、採用です。いやぁ、もともとあのチラシを読める方なら無条件なんですよ」
鎌桐さんがニコニコしてそう言った。
「チラシを読めるって・・・チラシぐらい誰でも読めるんじゃないですか?」
「ハッハッハ、いやまぁ、詳しいことは明日お教えしますよ。それよりも勤務条件を確認しますが、基本は当組織の施設での内勤です。時間は九時五時と言うところですが、場合によっては残業もありますし、出張もあることがあります」
「出張も?」
私は驚いた。
パート採用なのに残業はともかく出張もあるなんて・・・
雄太さんになんて言おうかしら・・・
「ハハハハ、ごくまれにと言うことです。奥さんはパート採用ですから、基本は施設での監視役と言うところでしょう」
「監視役?」
なにそれ?
何を監視するというのかしら・・・
「ええ、施設内での監視役と言うか見張り役のようなものです。当組織は実力主義ですから、奥さんのようなパート採用でも成績がよければ正構成員にもすぐなれますし、お給料も気にならなくなりますからがんばってくださいね」
「はい、がんばります」
なんか変なこと言われたような気もしたけど、採用されたからにはがんばろうと思って私はそう返事した。

「ワールドブラック? 清掃会社じゃなかったっけ?」
私は仕事から帰ってきた夫に今日面接に行ってきたことを伝え、採用になったことを報告したのだ。
「違うみたいよ。それでね、早速明日から来て欲しいんだって」
「そうか・・・採用されたんなら仕方ないよな。がんばっておいで」
冷蔵庫からビールを取り出して飲み始める雄太さん。
やっぱりちょっと複雑そう。
「ええ、でも家事はちゃんとやるから心配しないでね。基本五時までだし。あ、でもたまに残業入るかも」
「残業あるのか? いったいどんな仕事なんだ?」
私が用意したちくわにチーズを詰めたものをつまむ雄太さん。
「それがね。なんかの監視役なんだって。詳しくは明日教えてもらうんだけど、いったい何を監視するのかしら」
食事の用意ができた私は、テーブルにそれらを並べていく。
今日は採用が決まったから、一応はちょっとしたお祝いのつもりでお刺身を用意。
まあ、スーパーで特売をしていたってのもあるんだけどね。
「監視役? ああ、多分流れ作業で作られる製品がきちんと作られていくか見ている作業じゃないのか? パートで人募集するったらそんなものだろ」
あ、なるほど。
確かにそれは監視役よね。
うん、それなら私にもできそうだわ。
「お、おいしそうだ」
運ばれてきたお刺身に眼を輝かせている雄太さん。
うふふ・・・
お刺身大好きだもんね。
「でしょ、今日はひらめが結構安かったのよ。だから奮発しちゃった」
「うんうん、うまそうだよ。いただきます」
私は雄太さんにご飯をよそってあげ、おいしそうに食べ始める姿に温かいものを感じていた。

                      ******

翌朝、私は雄太さんを送り出すと、すぐに身支度をして出勤する。
昨日の面接場所にいくと、鎌桐さんが待っていて、組織の施設と言うところに車で連れて行ってもらう。
そこは町外れの山すそにある寂れたような工場で、周囲には林が広がる殺風景な場所だった。
「こちらへ来なさい」
「あ、はい」
私は鎌桐さんに促され、工場の敷地内に入っていく。
あちこち赤錆だらけの工場は、見たところ稼働しているようには見えないけど・・・
今にも崩れそうな建物はガラスもあちこち割れていて、とても人が手入れをしているようには見えない。
本当にここが仕事場なのかしら?
もしかして私だまされている?
何かいやな感じがしたけど、とりあえずついていくと、建物の中に入り込む。

建物の中も荒れ放題といった感じだけど、外見ほどじゃないわ。
今にも崩れそうって感じに見えるけど、中だとそうは感じないわね。
カツコツと足音が響く。
やがて廊下が壁に突き当たったと思うと、そこには驚いたことに髑髏の文様が浮き出ていた。
何なのこれは?
悪趣味だわ。
「カマキリ男だ。新入りをつれてきた。開けろ」
鎌桐さんがいきなり壁に向かって声をかける。
何なの、いったい?
すると、いきなり突き当たりの壁がするすると横にスライドし、下に通じる階段が現れる。
「来い」
「は、はい」
妙に高圧的になった鎌桐さんにそういわれ、私は仕方なくあとについていく。
うーーー
あんまり変なところならやめてやるんだから。

驚いたことに階段を下りると壁が綺麗なコンクリートで作られている通路に出た。
地下はきちんと整備されているみたい。
それにしても地上の建物はほったらかしで、地下で作業しているのかしら?
「ヒーッ!」
「ヒーッ!」
「ええっ?」
私は思わず声を上げてしまう。
だって、廊下の突き当たりに全身を黒いタイツで覆った二人の男性が立ってて、しかもいきなり右手を上げて奇声を発するんだもん。
びっくりしちゃうわよ。
しかもこの人たちったら、顔を赤や黒で塗りたくり、ベレー帽をかぶって腰には髑髏のバックルのベルトを付けている。
何かのコスプレ?
ここはいったいどういう会社なの?

「来い」
彼らの立っていた背後の壁がまたしてもスライドすると、鎌桐さんが私を促す。
左右によけて道を開けた黒タイツの人たちが私を見ている。
うう・・・
変な会社に入っちゃったわ。
どうしよう・・・

「ここが更衣室だ。ロッカーの中には制服が一式入っている。着替えろ」
通路をちょっと行ったところで、私は一つのドアを指し示された。
どうやらここが更衣室らしいけど、ドアに何も書いてないのでよくわからない。
スライド式ドアはボタンで開閉するようになっているらしく、鎌桐さんがドアの脇のスイッチを押すとスライドした。
「すぐに指導の者をよこす。それまでに着替えていろ」
私を突き飛ばすように部屋の中に押し込め、鎌桐さんはドアを閉めてしまう。
何なの?
朝とずいぶん態度が違うわ。
でも、とりあえず着替えなきゃ・・・
私はいくつもあるロッカーの一番手前のものを開けてみる。
別に言われなかったからどれでもいいとは思うんだけど・・・
って、ちょっと待って。
何なのこれ?
ハンガーにかかっているのは黒いハイネックのレオタード?
それにロングブーツに手袋に網タイツ?
これが制服なの?
あわわわ・・・
どうしよう・・・

私がロッカーの前で固まっていると、いきなりスライドドアが開く。
振り返った私の前には、すらっと長身でとても美人の女性が立っていた。
でもその格好は普通じゃない。
黒いハイネックのレオタードを身にまとい、網タイツの上に黒いロングブーツを履いて、手にはひじまでの手袋を嵌めている。
腰には赤いサッシュを巻き、目にはべっとりとアイシャドウを塗り、唇は黒の口紅で黒く染まっているのだ。
しかも手には長いムチまで持っている。
「あ、あの・・・」
私が挨拶したものかどうか迷っていると、彼女は私をにらみつける。
「まだ着替えていないのね? 戸惑うのはわかるけど、さっさと着替えなさい」
「着替えるって・・・これにですか?」
私は恐る恐ると言う感じでロッカーの中を指し示す。
すると彼女はゆっくりとうなずいた。
「そうよ。下着もすべて脱いで着替えなさい」
「どうしても・・・ですか?」
うう・・・恥ずかしい。
このところ運動をサボっているから躰の線も崩れているし、できれば着たくないわ。
「早く着替えなさい! δ(でるた)167号」
いきなり彼女の手にしたムチが床を打ち鳴らす。
「ひっ」
私の反抗心はあっという間に打ち砕かれた。
私はすぐに上着とタイトスカートを脱ぎ、ブラウスも脱いでストッキングも脱ぎ捨てる。
「下着もよ」
「は、はい」
急いで下着も脱ぎ捨てて、私は胸と股間を隠して立ち尽くす。
「続けて」
「は、はい」
私は網タイツに脚を通し、レオタードをハンガーからはずして身につける。
背中のファスナーをどうにか上げると、裸でなくなってホッとした。
「ふう・・・」
体操したりするためにレオタードを着たことはあるけど、こんなに密着する感じはしなかったわ。
これってとても着心地がいいのね。
なんだか好きになりそうだわ。
私はブーツを履いて手袋を嵌める。
最後に腰のところに赤のサッシュを巻くと、私の姿は目の前の女性とほぼ同じになった。
「これでいいですか?」
「そこの椅子に座って」
「あ、はい」
私は指し示された椅子に腰を下ろす。
そういえば彼女の名前も何も聞いてないけど、おそらく彼女が私の指導担当の人なんだわ。

「えっ?」
私が開けたロッカーからコンパクトのようなものを取り出す彼女。
そして彼女はいきなり私の目蓋にアイシャドウを引いていく。
「あ・・・」
「動かないで」
「はい」
私はじっとして彼女が化粧してくれるのを受け入れる。
アイシャドウの次は唇。
真っ黒な口紅を塗られ、私の唇も黒くなる。
「これでいいわ。明日からは自分でメイクするのよ」
「あ、はい・・・」
私は鏡を見せられた。
すごい・・・
私が私じゃないみたい・・・
アイシャドウと口紅がまったくの別人に私をしてくれるんだわ。

「あ、あの・・・今日から・・・」
私はハッと気が付くと、挨拶をしてなかったと思い彼女の方に向き直る。
「これを飲んで」
えっ?
いきなり差し出されたのはどす黒い液体の入ったビン。
「こ、これは?」
「いいから飲みなさい!」
「は、はい」
うう・・・何なのこれは?
こうなりゃ自棄よ。
どうなっても知らないわ。
私は思い切って一気にビンの中身を飲み干した。
ドロッとした苦い液体が喉の奥に流れ込む。
「うえぇぇ、苦い」
「うふふふ・・・そのうち慣れるわ。それにこれからはそれがないと生きられなくなるわ」
笑みを浮かべる彼女。
「ど、どういうことですか?」
「それはブラッキー薬といってね。あなたの躰を強化してくれるの。普通の人間なんか足元にも及ばないくらいにね。その代わり、それを一日一回飲まないと死んでしまうわ」
ええっ?
そ、そんな・・・
「ど、どうしてそんなものを飲ませるんですか?」
「あなたが選ばれたからよ。あなたは我がワールドブラックの女戦闘員δ167号。今日からはワールドブラックの一員よ」
「こんな薬を飲むなんて聞いてないわ。やめます。もう帰ります」
私は立ち上がった。
もういい。
変な薬まで飲まされてやってられないわ。
こんなとこやめてやる。
でも、私の躰は言うことを聞いてくれなかった。
いきなりめまいがして私は床に倒れこむ。
「ど、どうして・・・」
「ブラッキー薬が効いてきたようね。少し眠りなさい。目覚めたら多少は考えが変わるわ」
くすくすと笑っている彼女を見上げた私の意識は、やがて闇に飲み込まれた。
  1. 2008/05/21(水) 20:30:33|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

おお~
これはまたググッと掴みに掛かる始まりですね。
生活感のある家庭から、ふと落とされてしまう闇への落とし穴。

タダのパートでない事はもはや一目瞭然ですが、これからの変貌が楽しみです。
  1. 2008/05/22(木) 00:19:16 |
  2. URL |
  3. g-than #-
  4. [ 編集]

>>g-than様
日常とのギャップを楽しめたらなぁと思って書きました。
こういうのって好きなんですよね~。
  1. 2008/05/22(木) 19:23:36 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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