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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

久もまた

今日は4月1日でしたので、エイプリルフールネタでもと思ったのですが、たいした面白いネタが思い浮かびませんでした。
それにそんなものよりも、少しでもSSを書いたほうがいいやと思いまして、「帝都奇譚」を少しばかりですがお送りいたします。
お楽しみいただければ幸いです。

24、
まだ信じられない・・・
昨日まで笑いあっていたというのに・・・
昨日まで会話を交わしていたというのに・・・
昨日まで・・・
知らず知らず涙が浮かぶ。
「ん・・・くっ・・・」
布団をかぶり、声を殺して泣く。
人間というのはなんてはかないのだろう。
昨日まで笑いあっていた友人が今日はもういない。
なんてことだろう・・・
姉川久はただ泣くしかできなかった。

『せ・・・ぱい・・・』
えっ?
『あ・・・がわ・・・ぱい・・・』
まさか・・・
そんなまさか・・・
『どう・・・たんですか・・・がわ・・・ぱい』
ぞっとする久。
思わず布団を跳ね除ける。
バカな・・・
そんなバカな・・・
『あけて・・・ませんか・・・あねがわ・・・ぱい』
死んだはず・・・
あなたは死んだはずなのよ・・・
久は耳を押さえて首を振る。
そんなはずない・・・
小夜ちゃんが生きているはずがない・・・
でも・・・
でも・・・
『先輩・・・姉川先輩・・・』
窓の外から声がする。
間違いない。
あの娘の声だわ・・・
生きていたんだ・・・
死んでなかったんだ・・・
死んでいなかったんだわ。
久はゆっくりと起き上がる。
そしてゆっくりと障子を開ける。
窓の外にたたずむ小夜。
月明かりに照らされたせいか、目が赤い。
『こんばんは、姉川先輩』
ああ・・・小夜・・・
小夜の赤い目を見た途端、久は何がなんだかわからなくなる。
『窓を開けてください姉川先輩。一緒に夜を楽しみませんか?』
小夜の言葉にゆっくりとうなずく久。
そして、久は無言で窓を開けるのだった。

「おや、月子さん、まだ起きていたのかね?」
鷹司家の現当主鷹司昭光が、廊下にたたずむ女性の姿を目に止める。
背中で束ねた長い黒髪が月明かりに照らされる姿は、なんとも言えず美しい。
「これは昭光様。今晩は何やら胸騒ぎがいたしまして・・・」
コーヒーカップを片手に窓の外を覗いていた月子がにこやかに振り返る。
「胸騒ぎ? それはまた穏やかじゃないな。特に君のような退魔師からそういう言葉を聞くとはね」
多少表情を曇らせて鷹司の現当主は月子を見る。
長い洋装のロングスカートは躰に張り付くように月子のボディラインを覗かせ、昭光はドキッとした。
「ご心配には及びません。昭光様にも鷹司家のどなた様にも決して悪いことの起きぬよう、私がここにいるのですから」
昭光は気を落ち着かせるようにうなずいた。
「頼みましたよ月子さん。私は先に休ませてもらおう」
「お休みなさいませ、昭光様」
一礼をする月子の脇を昭光は通り過ぎた。
再び月子は窓の外を見上げる。
「今晩あたり・・・来るかしらね・・・」

「ああ・・・なんて美味しいの・・・」
獲物ののど笛を噛みちぎり、飛び散る真っ赤な血しぶきを口で受け止める。
どくどくと流れ込む血を思う存分飲み干していく。
「うふふふふ・・・美味しいですか? 姉川先輩」
セーラー服に身を包んだ真木野小夜が口元に妖しい笑みを浮かべている。
先ほどたっぷりと姉川久の血を飲み干し、代わりに自分の血を垂らしてやったのだ。
思ったとおり久は自分と同様に死の縁から蘇り、こうして家族だった者たちを襲っている。
「ええ・・・美味しいわ。こんな美味しいものは飲んだこと無かったわ・・・」
手当たり次第に食いちぎり、血まみれになりながらその血をのどに流し込んでいく姉川久。
父も母も祖母も関係が無い。
今の久にとってそれらはただの獲物。
“新たな世界に生きる者”となった今、彼女にとっては獲物に過ぎなかったのだ。
「うふふふ・・・先輩もこれで私の仲間。他にもいっぱい仲間を作りましょう。そして・・・私たちの女王様をお迎えしなくては・・・」
口元に手を当ててくすくすと笑う小夜。
赤く輝く瞳にはもはや人間らしさはかけらも残っていなかった。
  1. 2008/04/01(火) 20:18:02|
  2. 帝都奇譚
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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