先日は「魔法機動ジャスリオン」のヒロインである雷純玲(いかずち すみれ)の苗字“雷”が、日本帝国海軍暁級駆逐艦「雷(いかずち)」からいただいたものだということで、駆逐艦雷をご紹介いたしました。
では、もう一方のヒロインであり、洗脳によってジャスリオンと戦う破目になってしまう、ダークウィッチ・アヤこと巻雲綾(まきぐも あや)の苗字“巻雲”についても書かなくちゃ片手落ちというものでしょう。
綾の苗字巻雲も、雷と同じく気象状況を名称とした日本帝国海軍駆逐艦「巻雲(まきぐも)」よりその名をいただきました。
巻雲は、夕雲(ゆうぐも)級駆逐艦の一隻(二番艦)として昭和17年(1942年)7月に竣工いたしました。
(二代目です:初代はなんと日露戦争で鹵獲されたロシア水雷砲艦ブサドニックを巻雲と改名)
昭和17年といえば、もう太平洋戦争が始まっており、完成した巻雲は完熟訓練もそこそこに新鋭艦として艦隊に配属となりました。
日本帝国海軍には吹雪級以後の特型駆逐艦の総決算とも言うべき優秀な艦隊型駆逐艦陽炎(かげろう)級というのがありました。
この陽炎級駆逐艦をさらに航続距離や速度の改善等の改良を行ったものが、この巻雲を含む夕雲級駆逐艦です。
陽炎級は速力35ノットが計画値でしたが、一部の艦は35ノットに満たなかったため、夕雲級では艦尾形状を改修するなどして全艦が35ノットの速力発揮が可能となりました。
しかし、米軍の対抗艦であるフレッチャー級駆逐艦は37ノットに達する速力が出せるほか、アイオワ級戦艦も30ノットを出せるため速力不足は否めませんでした。
また、主砲も陽炎級が上方55度までしか仰角が取れないのを、75度まで仰角が取れるようにして対空射撃も可能としたのですが、発射速度や射撃管制システムの未熟さによって対空砲としてはきわめて能力が低かったといわれます。
しかし、当時の日本帝国海軍の駆逐艦としては最高級の性能を誇る夕雲級駆逐艦は、激戦に次々と投入されることになりました。
巻雲は完成後すぐにミッドウェー海戦に参加。
南雲機動部隊の護衛艦としてミッドウェーに向かいました。
ですが、皆さんご存知のとおり南雲機動部隊は米軍の航空攻撃により壊滅。
巻雲はあろうことか、空襲を受けて放棄された空母「飛龍」を魚雷で処分するという悲しい任務を行う破目になりました。
巻雲の魚雷は飛龍に命中するも、飛龍は容易に沈まずにしばらく浮いておりましたが、ついに力尽き海底に没します。
つらい初陣を飾った巻雲は、その後も激戦に身を投じます。
昭和17年8月には第二次ソロモン海戦に参加。
このときはさしたることも無く無事帰投します。
そして10月には南太平洋海戦に参加。
ここで巻雲はある任務を受けました。
日本機動部隊の攻撃により漂流していた米軍空母「ホーネット」を撃沈するという任務です。
米軍空母ホーネットは日本軍の攻撃に損傷を受け総員退去のあと漂流しておりました。
米軍に回収される前に撃沈してしまおうというのです。
実際は米軍はホーネットの回収はあきらめて処分するべく駆逐艦を向かわせておりました。
しかし、日本軍のほうが現場に早く到着し、巻雲と秋雲(あきぐも)が魚雷を発射。
ホーネットを撃沈しました。
これによって巻雲は世界の海軍史上唯一の、一隻の駆逐艦が航空母艦に二度の雷撃をして沈めるという快挙を成し遂げた駆逐艦となったのです。
その後巻雲は日本軍のガダルカナル島撤収作戦に参加。
昭和18年2月1日、イザベル島沖海戦で触雷して行動不能となり、味方の魚雷によって処分されました。
二隻の空母を処分した巻雲も、最後は自分自身が処分されてしまったのです。
正直、史上唯一の空母二隻沈めた駆逐艦ということは知りませんで綾の名前に使いました。
こんな生涯を送った駆逐艦だったんですね。
驚きました。
敵味方の空母を沈めたというのが、なんとなく洗脳される巻雲綾にふさわしい気がするのは私だけでしょうか?
それではまた。
- 2008/03/17(月) 20:12:51|
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