1940年の西方戦役において、ナチスドイツはオランダ、ベルギー、フランス、ノルウェーをその支配下におさめることに成功しました。
これによって欧州の大西洋岸はほぼドイツの支配下となり、沿岸航空基地の設置によって英国へ向かう船団に対する航空攻撃が行えるようになったのです。
このことは英国にとって非常に厄介な問題をもたらしました。
1939年以来英国商船団の足元を脅かし続けてきたUボートに加え、今度は頭上を飛び交う敵機にも気を配らねばならなくなってしまったのです。
さらに航空機は自らが攻撃するのみならず、近隣のUボートに通信を送り、英国商船団の位置を知らせることでUボートが攻撃をしやすくするという役目も果たすのです。
船団上空を敵機が飛ぶということは、それだけで船団にとっては脅威でした。
この脅威に対抗するすべとしては、船団に航空機の護衛をつけるのが一番です。
しかし、英国の航空機部隊は英国上空を防備するので手一杯であり、とても海上の船団までは手が回りません。
それに航続距離も問題で、いつ来るかわからないドイツの航空機を待ち受けるために船団上空に張り付いているわけにも行きません。
そういった問題を解消できるのは航空母艦を船団に護衛としてつけることでしたが、護衛空母を建造する余裕など当時の英国には望むべくもありませんでした。
商船を作り続けるだけで手一杯で、しかも造った端から沈められているのです。
そこで英国は窮余の策として、何隻かの商船にカタパルトを取り付け、戦闘機を搭載して敵機が来たら強引に射出しようということに決めました。
こうしていくつかの商船が船体にカタパルトを無理やり取り付けられ、そのカタパルトの上に戦闘機としては充分な実力があるもののいささか旧式なハリケーンやフルマーが一機搭載されました。
このカタパルトを搭載した商船はCAMシップ(カタパルト アームド マーチャントシップ)と呼ばれ、戦闘機パイロットとカタパルト操作などの航空関係要員のみが軍人であり、あとの部分はあくまで商船として民間人が運行しておりました。
もちろん船倉には英国が必要とする貨物を積んで航海するのです。
CAMシップは、商船団の一員として船団とともに行動します。
そして、いざドイツ軍機が船団を発見して近づいてくると、カタパルトに搭載された戦闘機にパイロットが飛び乗って射出されるのです。
戦闘機はドイツ軍機と戦闘を行い、敵機を撃退することに専念します。
首尾よく敵機を撃退した戦闘機は、残る燃料が陸上の飛行場まで充分なときはそのまま陸へ向かいます。
しかし、陸地まで充分な燃料がないときは・・・
CAMシップは着艦用の設備などありません。
カタパルトで打ち出したらそれっきりです。
ですので、戦闘機パイロットは覚悟を決めねばなりません。
船団の近くに上手に戦闘機を不時着水させるか、戦闘機を放棄してパラシュートで脱出するのです。
うまく不時着水ができたか、パラシュートで脱出したパイロットは、今度は船団の救助を待たねばなりません。
救助が間に合わず、溺死してしまったパイロットや、不時着水がうまくいかずに亡くなってしまったパイロットも多かったでしょう。
しかし英国としては、たとえ戦闘機を使い捨てても、船団が無事に英国に到着するなら良しとしたのです。
それほど1940年から1941年ごろの英国は厳しい状況だったのです。
この状況が改善するのは、米国が参戦して護衛空母が多数就役した1943年を待たなくてはなりませんでした。
それではまた。
- 2008/02/08(金) 19:56:49|
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わんばんこー。
舞方サマお久しぶりですわ!
良く考えたら折角ほにゃららして頂いた(?)デスダム2の感想コメすらしてねえ(汗)
ジャックは今回も楽しく拝見させて頂きましたわ、イカゲゾー。今回のお話はのらりくらりみちるサマが堕ちた後で意識を取り戻して後、再洗脳という所謂、悪堕ち三段活用(堕ちて戻ってまた堕ちて)的な流れに激しく萌えましたわw イエローは何処の世界でも大喰らいですのねw ジャックも排泄物を自動処理してくれるボンデージタイツが欲しいですわw などなど
あと、ブログ覗いていて最近いつも思うんですけれどブログ妖精がナントカされるとその下の人みたいに堕落しちゃうのかしら? 金髪冥土堕ち?w
さあ、死ぬ気でエイミー様描かないと(どこかの誰かの真似w あのような胡乱な方にわざわざコメントありがとうございましたのw)
- 2008/02/09(土) 02:43:46 |
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- ジャック #-
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>>ジャック様
デスダム2の感想ありがとうございます。
こういう感想はいついただいてもいいので、時期がずれたなんて思わなくていいですよ。
エイミー様はいつでもいいので聞き流していてください。
お暇があればで結構です。
まだまだ寒い時期が続きますが、お体お大事に風邪など召しませぬようご注意を。
- 2008/02/09(土) 19:13:03 |
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