「ブログ妖精ココロちゃん」なるブログペットを見つけたので張っちゃいました。
どうもこういう可愛いもの好きなんだよなぁ。
SSはもう少しお待ちくださいませ。
今日は「豊家滅亡」の15回目です。
小早川秀秋の寝返りによって、大谷隊、宇喜多隊、小西隊、石田隊いずれもが連鎖反応的に崩れ去りました。
関ヶ原の戦場から西軍主力はほぼ逃げ出してしまい、残っていたのは去就を定めかねていた部隊と、すでに東軍へと寝返りを決めた部隊のみでした。
いえ、ただ一隊残っていた部隊がありました。
西軍四隊の石田隊と小西隊に挟まれるような形で布陣していた島津義弘の島津隊です。
島津隊は島津義弘と島津豊久の二人がそれぞれ七百五十ほどの兵力を率いるだけで、双方合わせても千五百ほどの小勢力でした。
九州薩摩は僻遠の地とはいえ、これではいかにも少ないと義弘は思い、常に国許に増援を送ってくれるように手紙を出していたのですが、ついに国許からの増援が送られることはありませんでした。
島津家は紆余曲折ののちに西軍としてこの関ヶ原にやってきておりました。
もともと島津家は東軍として参戦するつもりだったのです。
朝鮮の役の恩賞を島津家に与えるように仕向けたのは家康であり、のちに起こった家中の争い(庄内の乱)を調停してくれたのも家康でした。
残念なことに朝鮮の役とその内乱とのおかげで領内が荒廃しており、また傷病者も多かったことから満足な兵力を出すことはできませんでした。
義弘が率いていた千五百は、義弘自身に自ら付き従おうとする言わば志願者のみの兵力だったのです。
義弘は最初家康の求めに応じて伏見城の増援に赴きました。
しかし、守将鳥居元忠は、伏見城は時間稼ぎの城であり落城は必至、それならば他国の軍勢を入れては混乱の元であり、内応されても困るとして入城を拒みます。
宙に浮いた形の島津勢は、小勢力であるがゆえにどちらかにつかねばなりませんでした。
結局三成の求めに応じて西軍に名を連ねることになったのです。
こうして関ヶ原の戦場に姿を現した島津勢でしたが、この戦場においてはきわめて消極的な戦いしかしませんでした。
自軍の陣に攻撃を仕掛けてくるものに対してのみ応戦をするだけで、積極的に討って出はしなかったのです。
三成からの出撃要請も黙殺し、壊走する小西隊の兵が逃げ場を求めてきても追い払いました。
気が付くと、周囲に西軍諸隊はもはやおらず、東軍がじわじわと攻めかかって来ようとしている状態でした。
寝返った小早川隊を始め、福島隊本多隊などが半包囲の状態で展開し、わずか千五百の島津隊を一飲みにするべく迫ります。
このまま陣を引き払えば、かさにかかった東軍諸隊の追撃を受けて壊滅するのは火を見るよりも明らかでした。
かと言ってこのままとどまっても多勢に無勢で勝ち目はありません。
もちろんただ負けるつもりもありません。
朝鮮の役では二十万の明・朝鮮連合軍をわずか五千の兵力で互角以上の戦いをし、石曼子(しーまんず)と恐れられた島津家です。
全滅覚悟で東軍に相当の損害を与えることも可能でしょう。
しかし、それではただ全滅するだけです。
お家のためには殿を逃がさなくてはなりません。
この半包囲の状況で、どこから殿を逃がすのか。
島津義弘は討ち死にも覚悟したといわれますが、豊久らの説得に逃げ延びることと決します。
そして、その逃げ延びるために採った方策は・・・
敵正面の布陣を突破して囲みを抜けて脱出するという、古今東西の戦史にもその例を見ない「前方撤退」というものでした。
喚声を上げて島津隊が東軍に突入します。
一瞬あっけにとられた東軍諸隊は島津隊に道を開けてしまいます。
気迫に飲まれたということもあるでしょうし、戦況が定まったあとに死に物狂いの兵を相手にして無駄な死傷者を出したくないというのもあったかもしれません。
徳川家康本陣の前面に達した島津隊の前に酒井家次らが立ちはだかると、島津勢は進行方向を変えて家康本陣の前面を横切りました。
島津隊逃すまじと井伊直政、松平忠吉、本多忠勝らが追撃に入ります。
ですが、島津隊は少数が立ちはだかって時間を稼ぎながら、その間に本隊を逃がすという戦法で、追撃側に多数の損害を与えて行きました。
井伊直政も松平忠吉もこの追撃戦でそれぞれ銃弾により負傷し、徳川隊は追撃をし遂げることができませんでした。
島津義弘がようやく追撃を逃れたときには、甥の島津豊久をはじめとして多数の島津兵が討ち死にしておりました。
大坂に帰り着くことができたのは、わずかに十数名だったとも言われます。
それでも、島津家はその勇猛さを天下にとどろかせ、殿を落ち延びさせることに成功したのです。
まさに恐るべき島津といえるかもしれません。
そして、この島津の前方撤退の終結をもって、「関ヶ原の戦い」は終わりを告げました。
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- 2008/01/24(木) 21:02:06|
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