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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

雪崩

ボトムズSSの八回目です。
どうぞー

8、
舞い上がる地吹雪。
カメラについた雪が視界をさえぎる悪条件。
キャリアを中心にして私たちは進んでいく。
もうすでに鉄道襲撃の現場からはかなり離れたはず。
だというのに、私はいやな気持ちがぬぐえない。
先頭に立つ私とユジンの後方を、両側に大尉とシフォンを従えたキャリアが続く。
最後尾にはラートルがしんがりを務めて後方を警戒する。
風の影響で吹き溜まりになっている辺りを避けながら、私はファッティーを歩ませていた。

私の前に抱え込まれるように座っている水色の髪の少女。
無理やり入り込んだので操作がしづらいのは仕方が無いけど、無言で前を見詰めている。
カメラの映像は私のスコープに映し出されるのだから、彼女は味気ない装甲版を見ているだけ。
「ねえ、あなた名前は?」
私はとりあえず話しかけてみる。
ここからベースまではまだかかる。
黙っているのも大変だろうと思ったのだ。
でも、返事は無い。
考えたら今まで彼女は一言もしゃべってはいないわね。
もしかしたらしゃべることができないのかも。
だとしたら、無口なのも納得できるけど・・・

谷の入り口。
その狭い谷あいを抜けて行かねばならない。
待ち伏せするには絶好の場所だわ。
待ち伏せされていればの話だけど・・・
『アイスブルー、聞こえるか?』
ターロス大尉から通信が入る。
「こちらアルティアです。感度良好」
『谷の偵察をしろ。ユジンも連れて行け。谷の安全が確保でき次第俺たちも続く』
なるほど。
「了解しました。ユジン、行くわよ」
『了解、お手柔らかに』
ユジンのファッティーが右手の親指を上げる。
私は思わず笑みを浮かべた。

ぎゅっぎゅっと雪を踏みしめる音がする。
ファッティーの重量を雪が受け止める音だ。
深い雪を漕いで進むとまでは行かないが、この分では雪崩も怖いわね。
静かに進むに越したことはないか・・・
私は警戒しながら、ユジンとともに谷に踏み入る。
左右を確認しつつ、いつでも応戦できるようにカタパルトランチャーは構えたまま。
それほど距離がある谷あいではないが、抜けるまでにはそこそこ時間がかかる。
時折上を見ては、積もった雪に妙な動きがないかも確かめる。
こんなところで雪崩に襲われてはひとたまりも無いのだ。

『アイスブルー、様子はどうだ?』
「今のところ異常ありません、大尉殿」
私はとりあえずの異常なしを報告する。
『よし、そのまま進むんだ』
「了解」
谷の中ほど辺りまで来たところで先が見えてくる。
吹雪とはいえ、先が開けているのはなんとなくホッとする。
このまま行けば何もなく抜けられそうだわ。

[右に避けて・・・それから、何があっても心配しないで]
「えっ? 何?」
私は一瞬戸惑った。
何かが私に話しかけてきたのだ。
[右に避けて! 急いで!]
私はフットペダルとレバーを操作する。
倒れこむように右側につんのめる私のファッティー。
その脇を掠めるように一発のロケット弾が背後から飛び去っていき、前方に着弾した。
「後ろから? ユジン、避けて!」
私はすばやく後ろを振り返る。
谷の入り口ではカタパルトランチャーをこちらに向けたシフォン機と、斜め上に構えたラートル大尉の機が見えた。
やられた!
あいつらはここで私たちを殺す気だ。
ここなら雪崩に埋まってしまえばわかりっこない。
いやな予感が当たったわ。

『てめえら何しやがるんでぃ!』
「ラートル、逃げて!」
私は通信機に怒鳴りつける。
しんがりにいたラートルがシフォンの発砲をやめさせようとしたのだろうが、シフォンは逆にラートルに向けてランチャーを発射する。
ターロス大尉のカタパルトランチャーは、谷の頂上付近めがけて発射され、いくつもの爆発音を響かせながら雪崩を誘発させていく。
『くっそぉ! やっぱりか!』
ユジンのファッティーが大尉めがけて発砲するが、足元が安定しないのか当たらない。
「ユジン、ラートル、とにかく逃げて!」
私はファッティーの体勢を立て直し、谷の出口に向かって走らせる。
『わ、わかった』
『く、くそったれ! うわぁっ』
ラートルの悲鳴が聞こえる。
だが爆発音は聞こえない。
できれば無事でいて。
こんなことで死んでたまるか!

轟音とともに崩れてくる雪の群れ。
足元に流れてくる雪のせいで走れない。
谷の出口まではまだ遠く、雪崩はもう背後まで迫っている。
間に合わない・・・
ちくしょう・・・
どうして大尉が・・・
上官としては悪くなかったのに・・・
『うわぁぁぁぁぁ』
「ユジン!」
ユジンのファッティーが白い闇に飲み込まれていく。
そして私のファッティーも・・・
雪に巻き込まれていった。
  1. 2008/01/07(月) 19:15:10|
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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