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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

バラ女の初任務

ブログ開設18周年記念SSの第2弾を投下します。

タイトルは「バラ女の初任務」です。
いわゆる女怪人系のいつもの私の作品という感じの作品だと思います。
お楽しみいただければ幸いです。

それではどうぞ。


バラ女の初任務

 「行ってらっしゃい。気を付けるのよ」
 玄関先で息子の賢太(けんた)を見送る梨花(りか)。
 30代後半にはなってしまったが、まだまだ容色は衰えておらず、美しい姿を保っている。
 とはいえ会社員の夫龍次(りゅうじ)と小学生の息子を朝送り出すというのは、まるで戦争のようなもの。
 見た目などにかまっている暇はない。
 だが、それもこれで一段落できる。

 「ふう……」
 朝の激しい戦いは終わったものの、梨花にはまだこれからやることが山積みだ。
 掃除をして洗濯をし、軽くお昼を食べたら夕食の食材を買いに行ったりしなくてはならない。
 それでも夫や子供のためと思えば、そんな家事仕事の大変さも気にならない。
 「さてと……」
 掃除の前に一息入れようとコーヒーの準備をする梨花。

 そこに玄関のチャイムが鳴る。
 何か届けものだろうか?
 もしかして賢太が忘れ物でもしたかしら?
 梨花はそう思いインターホンで確認する。
 するとモニターには宅配便の配達員らしき人物が映り、手荷物を持っていた。
 「はい。なんでしょう?」
 『初瀬(はつせ)龍次様にお荷物です』
 どうやら夫宛ての荷物らしい。
 もう……パパも何か届くなら言っておいてくれればいいのに……
 梨花は荷物を受け取るために玄関に向かった。

 「はーいご苦労様で……す……」
 玄関を開けた梨花はいきなりスプレーのようなものを吹きかけられる。
 えっ?
 急速に意識が遠くなっていく梨花。
 彼女の意識は闇に飲まれていった。

                   ******

 ビクンと躰に電気が走る。
 う……
 ぼんやりと意識が戻ってくる。
 私は?
 ここはいったい?
 『意識覚醒開始』
 『洗脳完了を確認』
 『バラ女、完成いたしました』
 男たちの声が聞こえてくる。
 何を言っているのだろう?
 なんでそんな声が聞こえるのだろう?
 梨花は不思議に思うが、頭がぼんやりとしてはっきりしない。
 私はいったいどうしてしまったのだろう……

 やがて梨花の目に手術で使うような無影灯が見えてくる。
 おかしいわ……
 私は目を開けたつもりはないのに……
 どうしてものが見えるのだろうと梨花は思ったが、それがすぐに彼女の花弁が周囲の情報を教えてくれるからだと気が付く。
 花弁?
 一瞬梨花は違和感を覚えるものの、すぐにそれは消え去っていく。
 ものが見えるのは当たり前だわ。
 梨花はそう思う。

 「ヒュー……ルー……」
 だんだん意識がはっきりしてくる。
 起きなくちゃ……
 起きて……挨拶をしなきゃ……
 梨花は上半身を起こす。
 すると、自分の躰はなにか手術台のようなものに寝せられていたことがわかる。
 そして全身が緑色の全身タイツのような皮膚に覆われ、そこにトゲの付いた植物の蔓のようなものが巻き付いているのがわかる。
 腰には奇妙な模様の付いたベルトが巻かれていて、足はハイヒールのブーツを履いたようになっていた。
 梨花は最初それが自分の躰だとは思わなかったが、起き上がろうと躰を動かすと、その躰が動いたことに気付く。
 え?
 これは……私の躰なの?
 梨花は愕然とする。
 私の躰はいったいどうなってしまったというの?

 だが、躰に感じた強烈な違和感も、まるで吹き払われるように消えていく。
 この躰が今の彼女の躰であり、以前の躰とは比べ物にならない強くてしなやかなすばらしい躰なのだと感じてくる。
 梨花は手術台から足を下ろし、床にしっかりと立ち上がる。
 それだけでこれまで感じたことの無いような力強さを感じてくる。
 すごい……
 なんてすばらしいのかしら……

 「ヒュールー!」
 奇妙な声をあげ、梨花はゆっくりと歩き出す。
 ハイヒール状になったかかとが床を踏み鳴らし、カツカツと小気味よい音を立てる。
 周囲にいるまるでタマゴのような目も鼻も口もない顔の白衣を着た男たちが、まるで彼女を恐れるかのように後ろに下がる。
 梨花はその様子がどこか心地よく、自分が強い存在となったことを感じた。
 ふふ……気持ちいい……
 新しい躰は梨花に強さを感じさせてくれる。
 これまでの躰とは全く違うものなのだ。

 梨花はどこからは甘い香りを感じる。
 いい香り……どこからかしら?
 進みながら香りの出どころを探る梨花。
 全身の蔓や葉、それに広がる花弁が周囲を探り、やがて梨花はその香りが自分から出ていることに気が付く。
 私がこの甘い香りを出していたんだわ……
 なんていい香りだろう……
 これこそ私にふさわしい香りだわ……
 梨花はそう思う。

 「ヒュールー!」
 またしても声が出る。
 だが梨花はそのことを疑問にも思わない。
 やがて梨花は手術室の壁にある紋章の前に歩み寄る。
 毒蛇がドクロに絡みついた紋章だ。
 邪悪な意匠の紋章だが、梨花にはそれがとても素敵に思える。
 この紋章こそ自分の仕えるべき紋章なのだ。
 事実彼女が締めているベルトにも、この紋章が付いている。
 彼女はこの紋章を身に着けていることがとても誇らしかった。

 梨花はすっと紋章の前にひざまずく。
 彼女はそれが当然のことと感じていた。
 偉大なる悪の紋章に敬意を表すのは当然なのだ。
 『完成したようだな、バラ女よ』
 梨花の背筋がぞくっとする。
 重々しい声が紋章から響き、それが彼女の属する組織の首領様の声だと理解したのだ。
 畏怖と威圧を感じながらもどこか喜んで従いたいと感じる声。
 梨花はこの声のために身を捧げたいと感じるのだ。
 そしてバラ女と呼ばれた時、彼女の中で強い変化が生じた。
 初瀬梨花という彼女のこれまでの名前が消え、彼女の名前はバラ女になったのだ。
 首領様の声を聞いたバラ女は、自分の名を呼ばれたことがとても光栄に感じていた。

 「ヒュールー! バラ女……それが私の名前なのですね?」
 バラ女は顔を伏せたまま確認する。
 『そうだ。お前は我がジャドーグの新たなる融合人間バラ女となったのだ』
 偉大なる首領様の声がバラ女に浸み込んでくる。
 「ありがとうございます。私に新たなる名前を与えてくださり、とてもうれしく思います。私はジャドーグの融合人間バラ女。偉大なる首領様に永遠の忠誠を誓います。ヒュールー!」
 バラ女は震えるほどの感動を感じながら忠誠を誓う。
 今までの人生など何の価値も無いものだった。
 私の人生はこの瞬間に始まったのだとバラ女は感じていた。

 『バラ女よ。これよりお前はジャドーグのために働くのだ』
 「はい。このバラ女、全身全霊をかけてジャドーグのために働きます。ヒュールー!」
 バラ女は心からそう思う。
 ジャドーグと首領様のためならなんでもするわという気持ちになるのだ。
 『それでよい。いずれお前には命令を与える。それまで部屋でその躰に慣れておくのだ』
 「はっ、かしこまりました首領様」
 バラ女はさらに頭を下げる。
 やがて紋章から気配が消え、首領が去ったことをバラ女は感じた。

 「ヒュールー!」
 バラ女はゆっくりと立ち上がる。
 思う以上に緊張していたようだ。
 偉大なる首領様……
 そのお声を聴くことができたのはなんと光栄なことだろう。
 彼女は選ばれたのだ。
 ジャドーガの融合人間バラ女として生まれ変わった自分。
 そのことが彼女はとてもうれしい。

 「キーッ! バラ女様」
 背後から声をかけられるバラ女。
 振り向くとそこには、真っ黒な全身タイツを着たような目も鼻も口もない女性が立っていた。
 彼女も腰にバラ女と同じ毒蛇とドクロの紋章のベルトをつけており、ジャドーグの一員であることを示している。
 その真っ黒な女性がすぐにジャドーグの女戦闘員であることを理解するバラ女。
 バラ女のような動植物とではなく、単なる闇と融合させられた女性たちで、ジャドーグのために手足となって働く存在だ。

 「ヒュールー! 何か用かしら」
 バラ女はやや尊大に女戦闘員に言い放つ。
 女戦闘員は下級の存在であり、彼女にとっては使い捨てても構わない相手なのだ。
 「キーッ! お部屋の準備ができております」
 右手を斜めに上げてバラ女に敬礼する女戦闘員。
 目も鼻も口もないその真っ黒な頭部は、つるんと丸いゆでタマゴのようだ。
 「そう……案内しなさい」
 バラ女はそう命じ、女戦闘員のあとについていく。
 その姿を白衣の男たちは無言でその目も鼻も口も無い顔で見送った。

 「キーッ! こちらです、バラ女様」
 「ありがとう。下がっていいわ。ヒュールー!」
 女戦闘員に部屋に案内されたバラ女は、ドアを開けて部屋に入る。
 そこはシンプルで殺風景な部屋で、窓一つ無い。
 テーブルと座り心地の良さそうな椅子、そして大きな鏡があるだけだ。
 バラ女はその鏡に近寄って行った。

 鏡に映った姿を見たとき、バラ女は自分がなぜその名前になったのかを一目で理解した。
 彼女の顔というか頭部には、毒々しいくらいに真っ赤なバラが大輪の花を咲かせていたのだ。
 それはまさしく花弁が広がったバラの花であり、目も鼻も口も耳もない。
 だが、花弁が空気や光に反応し、彼女はものを見ることも音を聞くこともにおいを嗅ぐことも言葉を話すこともできるのだ。
 そして首から下は濃い緑色の全身タイツを身に着けたような姿になっており、彼女の女性らしいボディラインを余すところなく見せている。
 両の胸のふくらみも腰の括れもあらわになり、少し恥ずかしいくらいだったが、美しくも強靭な躰はバラ女を喜ばせた。
 その躰にはさらにトゲや葉の付いたバラの蔓が巻き付いており、それらは鞭のようにふるうことができるようだ。
 腰にはジャドーグの紋章の付いたベルトが締められており、括れた腰を飾っていた。
 両手の爪はバラのトゲのようになり、獲物を引き裂くのに好都合だ。
 さらに両足はハイヒールのブーツを履いたような形になっており、彼女の足を美しく見せていた。

 「ヒュールー! これが私の躰……」
 思わず自らの躰を指先でそっとなぞるバラ女。
 躰の内側から強い力が湧いてくるような気がして、とてもうれしくなる。
 以前のちっぽけな人間の躰とは比べ物にならない。
 なんてすばらしい躰だろう。
 これこそ融合人間の躰なんだわ。
 バラ女は自分が選ばれたことを誇りに思う。
 彼女はジャドーグのためならどんなことでもしようと思うのだった。

                   ******

 「うふふ……ヒュールー!」
 夜の闇の中、バラ女が小さく笑う。
 首領様より頂いた初めての任務。
 それをこれから果たすのだ。
 高揚した気分が彼女を包んでいた。

 最初任務の内容を教えられた時、バラ女は一瞬戸惑った。
 だが、むしろその内容は当然のことであり、彼女がやるべきことであることをすぐに理解した。
 初瀬梨花だった時の家族を始末する。
 それが彼女に与えられた初任務だったのだ。

 目の前には一軒の家。
 住宅街にある建売の一軒家だ。
 かつては彼女と家族が楽しく過ごしていた家でもある。
 だが、バラ女にとっては始末する相手がいる家に過ぎない。

 蔓を伸ばして電柱に巻き付け、それを利用して庭に入りこむバラ女。
 以前の彼女はこの庭をよく手入れしていたものだ。
 だが、バラ女はそこにある花壇をブーツ状の足で踏みにじる。
 今の彼女には何の意味もない草花なのだ。

 庭から家に近づいたバラ女は、まだ明かりが点いている窓があることに気付く。
 もう深夜に近い時間なのに誰かが起きているらしい。
 おそらく初瀬龍次が起きているのだろう。
 ならば先にそちらから始末したほうが良さそうだ。
 うふふ……

 バラ女は窓に近づくと手を伸ばし、トゲ状の爪でガラスを切り裂いて鍵を開ける。
 そして窓を開けて部屋の中に侵入する。
 そこには憔悴したような表情をした龍次がおり、カーテンを引き裂くようにして室内に入ってきた彼女に驚愕して口を開けていた。
 バラ女は龍次がただ驚愕するだけでなんの行動もできないことに無様さを感じる。
 しょせんこの男は下等な人間なのだ。
 融合人間である彼女にとっては獲物にすぎない。

 「だ、誰だお前は? お、お前が梨花を誘拐したのか?」
 バラ女は龍次の言葉に笑いがこみ上げてくる。
 初瀬梨花などと呼ばれた人間の女はもう消え去っているのだ。
 今の私はジャドーグの融合人間バラ女なのだから。
 それなのにこの男はまだ梨花が存在していると思っているのだ。

 「ヒュールー! うふふふ……初瀬梨花などという女はもうこの世にはいないわ。私は偉大なるジャドーグの融合手術を受け融合人間バラ女になったのよ」
 「バラ……女……」
 龍次には目の前の化け物が何を言っているのかわからなかった。
 梨花がもうこの世にいない?
 この化け物に殺されたとでも言うのだろうか?

 「私にとってお前たちは邪魔者。お前たちを生かしておけば、初瀬梨花を探し回りジャドーグの存在に気付くかもしれない。だからお前たちには死んでもらうわ。ヒュールー!」
 バラ女は龍次に向かって息を吹きかけるようにする。
 すると彼女の頭で咲いている真っ赤なバラから黄色いガスが噴出する。
 ガスはまっすぐ龍次に降りかかり、龍次はそれがバラの甘い香りのような感じがした。
 だが、すぐに龍次の躰はガスに犯され全身がどろどろと溶け始めていく。
 「ぐ……ぐわぁぁぁぁ」
 喉をかきむしりながら床に倒れる龍次。
 その躰がみるみるうちに溶けて骨だけになっていった。

 「おほほほ……私の溶解ガスの香りはとても素敵でしょ? バラの素敵な香りに包まれて死ねるなんて、お前は幸せ者よ。ヒュールー!」
 バラ女は床のシミと骨だけになってしまった龍次をつま先で小突く。
 「うふふふ……死んだわ。バカな男。初瀬梨花とともに消えればいいわ」
 冷たく見下ろすバラ女。
 この男が死んだことで、初瀬梨花のことを思い出す人間はまた一人消えたのだ。
 バラ女にとってそれは喜ばしいこと。
 以前の自分が初瀬梨花などという人間だったことなど思い出したくもない。

 その時、部屋のドアが開いて少年が一人入ってくる。
 バラ女はその少年が初瀬賢太であることを確認してほくそ笑む。
 第二のターゲットが向こうからやってきたのだ。

 「パパ、ママが帰ってきたの? えっ?」
 階下で物音がしたことで目を覚ました賢太は、母親が帰ってきたのかと思って降りてきたのだったが、部屋の中に頭にバラの花を咲かせた女の化け物がいるのを見て驚いた。
 バラ女は右手の蔓を素早く伸ばして賢太の首に巻き付ける。
 「ぐっ!」
 急に首に蔓が絡まり、息がつまる賢太。
 「あ……ぐ……」
 苦しむ賢太が必死に蔓を掴んではがそうとする。
 その様子がバラ女には滑稽に感じた。
 自分の蔓を子供の力ではずせるとでも思っているのだろうか?
 このガキは死ななければならない。
 世界は首領様が選ばれた融合人間を使って支配するのだ。
 首領様が始末しろといった人間は配下の融合人間が始末する。
 その任務がバラ女に与えられたのだ。
 バラ女は融合人間に選ばれたことがとてもうれしく、誇らしかった。

 「マ……ママ……」
 苦しい息の下で母を呼ぶ賢太。
 「ヒュールー! うふふふ……残念ねぇ。お前のママはもういないわ」
 初瀬梨花は消え去ったのだ。
 今の自分はバラ女であり、このガキは始末するターゲットでしかない。
 「マ……マ……」
 コキンという音がして、賢太の腕がだらんと下がる。
 バラ女が蔓を締めて賢太の首の骨を折ったのだ。
 ドサッと床に倒れる賢太。
 すでに息はしていない。
 「うふふふふ……ヒュールー!」
 バラ女は賢太の死を確認して小さく笑う。
 人間を殺すことがこんなに楽しいとは思わなかった。
 これならもっともっと人間を殺したくなるわとバラ女は思う。
 これで任務は達成した。
 バラ女は充実感を感じながら、部屋を後にした。

                   ******

 女戦闘員たちの待つワンボックスカーに戻ってくるバラ女。
 周囲を見渡し、目撃者がいないことを確認して車の中に乗り込む。
 窓にはカーテンがかけられており、外から見られる心配はない。
 「キーッ! お疲れ様でしたバラ女様。首尾はいかが……」
 バラ女を出迎えた向かいの席に座る女戦闘員の言葉が途中で途切れる。
 彼女の首には目にもとまらぬ速度でバラ女の蔓が巻き付いていたのだ。
 「ヒュールー! おだまり! 私がヘマをするとでも思っているの?」
 「も、申し訳ありません……念のためにと……」
 目も鼻も口もないつるんとした頭部の女戦闘員だが、冷や汗を浮かべているように見える。
 「ふふ……まあいいわ。お前たちはジャドーグの大事な戦力。これが普通の人間だったら絞め殺していたところよ。ヒュールー!」
 バラ女は女戦闘員の首に巻き付けていた蔓を引き戻す。
 蔓が離れた首をなでてホッとする女戦闘員。
 バラ女を乗せた車は静かに走り出し、夜の闇に消えていく。

 アジトに戻ったバラ女はカツコツとヒールの音を響かせて通路を歩いていく。
 背後には女戦闘員たちをしたがえている。
 彼女たちはアジトの中心部にある謁見の間に入り、奥の壁に飾られている大きなジャドーグの紋章の前にひざまずいた。
 「ヒュールー! 首領様、バラ女ただいま任務より戻りました」
 紋章に向かって深く頭を下げるバラ女。
 ジャドーグの紋章は首領様のお姿そのものなのだ。

 『ご苦労、バラ女よ。初任務は終わったようだな』
 紋章より響く声がバラ女の全身を揺さぶる。
 「はっ! ご命令通り初瀬龍次と初瀬賢太の二人を始末してまいりました。ヒュールー!」
 任務成功を報告するバラ女の声は少し高揚している。
 『よくやったバラ女よ。家族を始末した気分はどうか?』
 「ヒュールー! お言葉ですが首領様、あの二人は初瀬梨花にとっての家族であり、このバラ女の家族などではございません。単なるターゲットの二人というだけでございます」
 バラ女が誇らしげに顔を上げる。
 もう自分は初瀬梨花などというくだらない人間とは違うという気持ちが現れるのだ。
 『それでよい。お前はジャドーグの融合人間バラ女。ジャドーグのために働くのだ』
 再び繰り返される首領の言葉。
 その言葉はバラ女に刻み込まれる。
 「はっ! 私はバラ女。ジャドーグの忠実なるしもべです。どうぞ何なりとご命令を。ヒュールー!」
 『うむ。次の任務まで待機するのだ』
 「かしこまりました首領様。ヒュールー!」
 一礼して立ち上がるバラ女。
 背後の女戦闘員たちも立ち上がる。
 彼女たちをしたがえたバラ女は、謁見の間を後にして待機のための部屋に向かう。
 そこで首領様より下される次の任務を心待ちにするのだった。

END

いかがでしたでしょうか?
よろしければ感想コメントなどいただけますとうれしいです。

今回はこの二本で終了です。
またいずれ作品を投下したいと思いますので、お待ちいただければと思います。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2023/07/18(火) 19:00:00|
  2. 怪人化・機械化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:9
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コメント

改造された母親が家族を殺すというのはオーソドックスな流れではありますが、かつての夫や息子に何の感情も抱かずに殺してしまうというのは恐ろしいですねぇ
個人的には子供に関しては戦闘員に変えてしまったりするのが好きですがw

2作品投稿お疲れ様でした
今後の作品も楽しませていただきます
d('∀'*)
  1. 2023/07/18(火) 21:14:58 |
  2. URL |
  3. IMK #-
  4. [ 編集]

人外要素強めの女怪人もいい。(*´▽`*)

ブログ開設18周年記念SSの第2弾の投下、お疲れ様です。

今回のSSは改造が終了した時点で洗脳も完了しているというパターンでしたが、すぐに違和感が消え去るとはいえ、自分の改造された躰に違和感を覚えたり、首領が融合人間へと改造された梨花の名前である「バラ女」と呼ぶことによって洗脳が完全に完了するというシチュエーションがいいですね!
(*´▽`*)

また、今回のSSに登場する「融合人間バラ女」ですが、人間の面影を一切感じさせない人外要素強めのバラの花の頭部と、人間の女性らしさを残した濃い緑色の全身タイツを身に着けたような姿の躰という、エロさと恐ろしさを融合させたようなデザインが素晴らしいですね!
躰にトゲや葉の付いたバラの蔓が巻き付いていたり、足元がハイヒールのブーツを履いたような形に変化しているというデザインもたまりませんねぇ。
(*゜∀゜)=3

また、融合人間となったことで人間を下等な存在として見下しているバラ女ですが、夫である龍次や息子である賢太をあっさりとは殺さずに苦しませて殺したり、ワンボックスカーの中で待機していた女戦闘員に首尾を聞かれて怒りを露わにしたりと、人間らしい一面が残っているのもいいですねぇ。
(*´▽`*)

今回、ブログ開設18周年記念ということで、2日連続で新作SSを2作も投下していただき、ありがとうございました!
<(_ _)>

これからも応援していますので、体に気を付けて、舞方さんのペースで末永くSSを書き続けていってください!
(^_^)/
  1. 2023/07/18(火) 23:05:38 |
  2. URL |
  3. XEROXEL #97P46UCU
  4. [ 編集]

人外要素が強い頭部の怪人はやはりいいなぁ。

19年目記念2本目SSお疲れ様です。

今回は前回よりも更に人外要素が強い外見の女怪人で素晴らしかったです。頭部が薔薇の花で目も口も無い。それでいて蔓が巻かれた身体。

いいですねぇ。「イナズマン」のバラバンバラのようです。

元夫と元息子に情け容赦無く始末したり女戦闘員に攻撃したりと薔薇らしく女王様チックな感じがたまりません。

2本連続お疲れ様でした。これからも楽しみです。
  1. 2023/07/19(水) 10:49:02 |
  2. URL |
  3. テンプラー星人 #-
  4. [ 編集]

実にオーソドックスな女怪人モノで原点回帰な良さがありますねー。
首領のセリフはやはりあの声で読んでしまう。
バラ女のビジュアルもいいですね。
家族全滅エンドで脳改造で一片の情も失ったのもゾクゾクしますね。
記念SSありがとうございました!
  1. 2023/07/19(水) 12:52:24 |
  2. URL |
  3. くろにゃん #rC5TICeA
  4. [ 編集]

皆様コメントありがとうございます

>>IMK様
かつての家族に対しても何も感じなくなるのが洗脳の恐怖ですよねー。
やはり悪の組織の怪人化はこういうのが好きですわぁ。
(*´ω`)

>>XEROXEL様
やっぱり異形化は人外要素強めでありながらどこか人間ぽさも残っていたりするのがいいですよね。
首から下は女性らしいというのは自分でも好きなパターンです。
怪人化したことで組織の一員としての立ち位置を感じるのもいいですよねー。

>>テンプラー星人様
あー、私はもうもろに「仮面ライダー」のショッカー怪人「バラランガ」の女性バージョンというイメージでした。
ぜひ検索してみてくださいませ。

>>くろにゃん様
久しぶりに人妻怪人化を書いたような気もしますねー。
やっぱり異形化と寝取られを感じる人妻怪人化はいいですわぁー。
  1. 2023/07/19(水) 18:10:56 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

2連続お疲れ様でございます。

まずは改造シーンの描写をあえて削ったところ。

いつもだとあった方がいいのにと思う私なのですが、
今回は物語がテンポよく進んでる印象で、むしろメインは改造されてからの意識の変容を楽しむところにあり、と感じました。

実際これまでの舞方さんの作品で見られたお子さんは助かるのかな?という手心が今回は一切なく、そういった描写からも組織の洗脳は完璧なのだと。

凄く良かったです~
  1. 2023/08/10(木) 09:52:11 |
  2. URL |
  3. g-than #-
  4. [ 編集]

>>g-than様
改造手術台での嫌がる姿も捨てがたいんですけど、改造後からのスタートも意識の変容がストレートでいい感じかなーと思いました。
今回は怪人化後の残忍さを出したかったので、家族はあっさりと始末始末。(笑)
  1. 2023/08/10(木) 18:00:56 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

こんばんは。個人的には、「ゲンジ通信あげだま」43話の麗の鯖亥貼化・「デジモンセイバーズ」のナナミのバイオクアトルモン/バイオロトスモン化「最遊記」アニメ24話の陽明の蜂妖怪化もネタとしては面白いですね。
  1. 2023/09/20(水) 19:06:13 |
  2. URL |
  3. マッドリオ #-
  4. [ 編集]

>>マッドリオ様
お久しぶりです。
どれも存じないものばかりでびっくりです。
今度調べてみますです。
  1. 2023/09/20(水) 20:28:00 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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