本日日付の変わった直後の午前0時10分ごろ、ありがたいことに90万ヒットを迎えることができました。
いつも申していることではありますが、これもひとえに皆様のご支援の賜物。
決して自分の力のみで達成できるものではありません。
訪れて下さっている皆様に心よりお礼申し上げます。
本当にどうもありがとうございました。
思えば夢のような数字ですね。
私の住んでいる北海道では、この数字を超える人口の都市は札幌しかないんですよね。
100万ヒットという数字もわずかに見えてきたような気もします。
これからもできるだけ突っ走るつもりでおりますので、これからもご声援のほどよろしくお願いいたします。
今日の日の記念にと書いてきたSSだったわけではありませんが、期せずして90万ヒット記念になりました「デスマドー少女隊復活」、今日はその締めの日です。
どうか楽しんでいただければ幸いです。
そして願わくば、何らかのコメントがいただければ嬉しいです。
作者にとって作品に何らかの反応があるということほど嬉しいものはありませんのですから。
それでは「デスマドー少女隊復活」の3回目をどうぞ。
放課後、真奈美は一心に仕事に打ち込んだ。
小テストの採点や教科の確認事項などを済ませ、退勤時間を待ちわびる。
帰りにデパート寄らなくちゃ・・・
もう真奈美の心を占めているのは赤紫色のレオタードを探すことだけ。
お昼に千尋に会ってわかったわ・・・私たちには赤紫のレオタードが必要なのよ・・・
ああ・・・早く赤紫のレオタードを身に付けたいわ・・・
自分でも異様な気持ちだなとも感じるが、それを不思議とは感じない。
とにかく赤紫色のレオタードが着たいのだ。
他の事などどうでもいい。
真奈美は先ほどからもう何度目を落としたか知れない腕時計に、再度また目を落とした。
「先生さよーならー」
委員会などを終えた生徒たちが校門で真奈美に手を振ってくる。
挨拶もそこそこに真奈美は繁華街に向かって歩を進めた。
十数分後、真奈美は繁華街の一画にあるデパートに入って行く。
脇目も振らずに歩いていくその姿は、傍から見れば一種異様だったかもしれない。
そのまま真奈美は五階にあるダンス用品の専門店に入って行く。
カラフルでとりどりのレオタードがディスプレイを飾っているお店だ。
七階にはスポーツ用品店もあり、レオタードはそちらでも売っているが、カラフルなレオタードならダンス洋品店の方があるだろう。
そう思って真奈美はここを選んだのだ。
まあ、無ければ七階に行ってみればいいわね。
そう思いながらレオタードの棚を見ていく真奈美。
丸首やVネック、ハイネックなどの襟の形や、長袖半袖袖無しにハイレグや下にカラータイツを穿くこと前提のTバックなど、さまざまな形のレオタードが揃っている。
これなら形を選ぶのも楽しいかもしれない。
色もカラフルなものがたくさんだ。
黒白はもとより、ピンクやグリーンやネイヴィーブルー。
蛍光系の派手な色もいくつかある。
今まで気にもしていなかったけど、レオタードっていろんな種類があるんだわ・・・
真奈美は棚やマネキンを目で追いながら、目的のレオタードを探して行く。
これだわ・・・
やがて真奈美は一着のレオタードを手に取った。
それはVネックのレオタードで、長袖のそれほどハイレグではないものだった。
何よりも鮮やかな赤紫色が真奈美の目を捕らえて離さなかったのだ。
真奈美はすぐに同じものをもう一着手に取ると、小物類のところへ行く。
夢の中の真奈美は両手に手袋をしていた。
紫の手袋があればいいのだけど・・・
駆け込むように自宅の玄関に入り込む真奈美。
もう、どこをどう歩いてきたのかも覚えていない。
確かなのは抱えた紙袋の感触だけ。
他にはもう何もいらない。
真奈美は靴を脱ぐと、早速部屋に行って紙袋を置く。
ドキドキが止まらない。
服を買ってこんなにドキドキするのは初めてかもしれない。
真奈美は少し落ち着こうとコートを脱いでハンガーにかける。
だが、心はちっとも落ち着いてくれない。
早く紙袋の中身を取り出したくて仕方ないのだ。
真奈美は結局、グレーのスーツを脱いでハンガーにかけると、下着とパンティストッキング姿のままで紙袋の前に腰を下ろした。
広げられる赤紫色のレオタード。
同じものが二着ある。
なぜそんなことをしたのだろうとも思ったが、今となってみるとわかりきったことだ。
着せる。
そのために同じものを買ったのだ。
夢と同じように・・・
一緒にこのレオタードを着るのが当然なことなのだ。
そう・・・
これを着て行かなくては・・・
真奈美はレオタードを着るためにストッキングと下着を脱ぐ。
その上であらためて出したばかりのナチュラルベージュのパンストを穿いていく。
もちろん下着などは付けずに直穿きだ。
普段の真奈美なら絶対にやらなかっただろうが、今の彼女にはそれが当然のように思う。
本当はレオタードの下には何も付けたくなかったが、素足ではいけない。
激しい戦闘に備えるためにはむき出しの部分があってはならないのだ。
パンティストッキングならば、充分に彼女の脚を守ってくれるだろう。
なぜだかわからないが、真奈美はそう思っていた。
パンティストッキングを穿いたら、次はいよいよレオタードだ。
脚を交互に入れて腰までたくし上げ、そこから徐々に胸まで上げて行く。
その上で両腕を通し、肩まで上げてフィットさせる。
はふう・・・
ただレオタードを身につけただけなのに、強烈な快感が全身を走る。
まるで全身を愛撫されているかのようだわ・・・
真奈美は熱い息を漏らしながら両腕で自分の躰を抱きしめる。
赤紫のレオタードが心地よかった。
姿身の前に立つ真奈美。
おもむろに買ってきた紫色の手袋を両手に嵌めて行く。
残念ながら紫のブーツは見つからなかったので、足先が定まらない。
でも、レオタードを着て手袋を嵌めただけでも、気持ちが引き締まる。
手袋を嵌め終えた真奈美は、おもむろに紫色の口紅を塗り始める。
唇が紫色に染まって行くのは本当に気持ちがいい。
何か自分が新しく生まれ変わって行くかのよう。
口紅を塗り終えた真奈美は、姿見の前で自分の姿を確認する。
口紅をわざわざ目蓋にも塗って即席のアイシャドウとし、紫の唇とあわせてコーディネートしてある。
赤紫色のレオタードを着て紫色の手袋も嵌めている。
ブーツこそないものの、ナチュラルベージュのパンティストッキングも穿いている。
だが、真奈美は何か物足りなさを感じていた。
何か、何かが足りないのだ。
いったい何が足りないのか・・・
改めて姿見の中の自分を見つめる真奈美。
あ・・・
何が足りないのかがわかったような気がする。
両手で目の周りを覆ってみる。
もう間違いない。
真奈美は材料を探し始めた。
ボール紙を切り抜いてこしらえたアイマスク。
サインペンで黒く塗って目のところに当ててみる。
ゾクゾクッという快感が背筋を駆け抜けていく。
真奈美は再び姿見の前に立つ。
アイマスクで目の周りが覆われて目元だけが覗く形になり、いっそう紫色が引き立っている。
ああ・・・
これよ・・・
これこそが私の姿・・・
これこそが本当の私の姿なんだわ。
真奈美はうれしくて姿見の前でくるくると回って見せる。
内からあふれてくる悦びに叫びだしたくなる。
「・・・ドー・・・」
思わず口をついて出てくる言葉。
昼間頭の中をぐるぐる回っていたあの意味不明な言葉が今はっきりと意味を成す。
「マドー・・・」
おずおずと小さな声で口にしてみる。
その瞬間に全身がまるで性感帯にでもなったかのような快感が走る。
真奈美はもう少しで床にへたり込んでしまいそうになるほどだった。
「マドー!」
もうためらわない。
「マドー!!」
真奈美は大声でそう叫んでいた。
突然湧き起こる黒い渦。
足元から立ち昇る黒い霧の渦に真奈美は巻き込まれる。
「えっ? ええっ?」
いきなりのことに何がなんだかわからない。
だが、足元がグニャリと歪んで感触がなくなり、真奈美は漆黒の中空に浮いたような感じを受ける。
「い、いやぁっ! だ、誰か助けてぇっ!」
手足をばたつかせてもがいたものの、どこにも手がかりはなく、まるで濃い闇の中を泳いでいるかのようだった。
「いやぁっ! 怖い、怖いよぉ!!」
本能的な恐怖に襲われ、真奈美は必死にどこかにすがれるものはないかと手を伸ばす。
やがて、真奈美が着ているものに変化が訪れた。
赤紫色のレオタードが、ナチュラルベージュのパンティストッキングが、そのほか身に着けていたものすべてが細かい塵のようになってぼろぼろと崩れていくのだ。
「ええっ?」
闇の中で白い裸身をさらけ出すことになった真奈美は、思わず躰を丸めて隠そうとした。
だが、このふわふわした闇の中に漂うことが、とても気持ちがよいことが次第に感じられてくる。
誰も見ているものなどない闇の中で、躰を隠すなんて馬鹿らしいことだ。
真奈美は恐る恐る両手両足を広げて、闇の中に身を任せる。
先ほどまで感じていた恐怖はすでに綺麗になくなり、心地よさだけが広がっている。
それどころか、この状態に恐怖を感じていた自分が馬鹿みたいに思え、思わず真奈美の口元には苦笑が浮かんでいた。
ああ・・・気持ちいい・・・
裸のまま大の字になって闇にたゆたう真奈美。
やがて最後の変化が真奈美を包み込む。
周りの闇が真奈美の躰に染み込んで、真奈美の体表に衣装を形作り始めたのだ。
すらっとした白く長いすべすべの脚は、薄い皮膜のナイロンストッキングを穿いたように包まれていき、くるぶしから下は紫色のショートブーツを履いたようにつま先がとがって高いヒールが作られる。
股間から胴体、そして首周りまでは赤紫色のハイネックレオタードを着たようにすべすべのナイロン状の皮膜が覆い、手首から先は紫色の手袋を穿いたように染められていく。
唇は口紅ではなくその色自体が紫色となり、目蓋のアイシャドウも目蓋自身の色となる。
額には金色に染め抜かれたデスマドーの紋章が輝き、そして目の周りと鼻の頭にかけて、黒いアイマスクが仮面舞踏会の仮面のように載せられ、真奈美の顔を妖しく美しく彩った。
それは、以前エロジームの手により作り出され、ユリジームによって強化されたデスマドー少女隊、そのリーダーソルジャーだったマナミの姿に他ならなかった。
闇が晴れ、先ほどと同じく姿見の前に真奈美は立っていた。
しかし、その姿は以前とは微妙に異なっていた。
すべての衣装が暗黒魔界の力によって作られ、その姿を誇らしげにさらしている真奈美は、もはや生徒に親しまれた日本史教師の大河内真奈美ではなく、デスマドー少女隊のリーダーソルジャーマナミへと生まれ変わっていた。
「うふふふ・・・ようやく本当の姿を思い出したわ。ジャスリオンによって封じ込められていた本当の私。今まで忘れさせられていたんだわ」
姿見の前でくるっと回って自分の姿を確認する。
「うふふふ・・・素敵。これこそが私の姿。私はデスマドー少女隊、リーダーソルジャーマナミ。あははははは・・・」
気持ちが高ぶり思わず笑いが出る。
「ふふふ・・・さあ、千尋に会いに行きましょう。私の可愛い大事なパートナー、リーダーソルジャーチヒロにね・・・」
******
「買っちゃった・・・」
手に持っている口紅のスティックを見つめながら、千尋はポツリとつぶやいた。
どうしてかわからない。
でも、紫色の口紅がどうしてもほしくなったのだ。
「真奈美・・・先生・・・」
今日の昼、千尋は真奈美先生に紫色の口紅を塗ってもらった。
すぐに拭ってもらったものの、それがあまりにも気持ちよくて、しばらくはぼうっとして授業に集中もできなかった。
どうしてこんなにも紫色に心惹かれるのだろう・・・
考えてもわからない。
ただ言えることは、つい先日まではそんなに惹かれる色ではなかったということだけ。
でも・・・
千尋はそっとキャップをはずし、下部をひねって口紅を出す。
鮮やかな紫色が千尋の目を釘付けにする。
綺麗・・・
千尋はゆっくりと口紅を唇に塗りつける。
しっとりとした口紅の冷たさが唇に染みとおるような感じがする。
「ん・・・」
唇を前後に滑らせ、口紅がきちんと載るように整える。
机の引き出しから手鏡を取り出して見ると、千尋の唇は鮮やかな美しい紫色に染め上げられていた。
「はあ・・・なんだろう・・・なんだか躰が熱いよぉ」
じんわりと躰が火照るような気がする。
内から何かがあふれ出してくるような、何か閉じ込められていたものが出てくるようなそんな感じ。
「なんだろう・・・これ・・・」
思わず胸に手を当てる。
千尋はその得体の知れない感覚をいつの間にか楽しんでいた。
『チヒロ・・・チヒロ・・・』
誰かが呼んでいる。
『チヒロ・・・私の可愛いチヒロ・・・』
誰だろう・・・
千尋は少し考える。
だが、その声はすごく優しく、そして聞き覚えがあるような感じがする。
「誰? 誰なの?」
千尋はあたりを振り返る。
だが、ここは自分の部屋。
ベッドと机、本棚や洋服ダンスがあるだけの自分の部屋。
誰もいるはずがない。
『チヒロ・・・私のチヒロ・・・迎えに来たわ』
ドクン
千尋の心臓が跳ね上がる。
ああ・・・
来てくれたんだ・・・
私の・・・
私のパートナーが・・・
千尋はふらふらと窓を開ける。
外は夜。
住宅街の静けさに包まれて、街灯の明かりが寒々と輝いている。
そこに真奈美がいた。
赤紫のハイネックのレオタードと紫のショートブーツに手袋、漆黒のアイマスクといういでたちをして、二階の千尋の部屋の窓の外に浮いている。
「真奈美先生・・・」
千尋はその真奈美の姿と状況が異様とも感じないどころかとても素敵に思えた。
できることなら自分もその姿になりたいとそう思う。
真奈美はちょっと身をかがめるようにして窓をくぐり、千尋の部屋に入り込む。
「今晩はチヒロ。迎えに来たわ」
「真奈美先生・・・」
千尋はうっとりと真奈美を見つめる。
すらりとしたスタイルのよい真奈美にはレオタードがよく似合っていた。
「さあ、これを・・・」
真奈美が差し出すものを千尋は黙って受け取る。
それは赤紫色のレオタード。
千尋が求めてやまない赤紫色のレオタードだった。
「ああ・・・」
まるで失ったものを取り返したかのように、千尋はレオタードを抱きしめる。
「ありがとうございます、先生」
「礼はいいわ、着て御覧なさい」
「はい」
千尋はためらいもなく着ているものを脱ぎ捨てていく。
室内着はおろか下着までも脱ぎ捨てると、美しい裸身が姿を見せた。
自慢の胸は巨大すぎてバランスが悪いなどということはなく、腰のくびれは極端すぎず、お尻の丸みはみずみずしい果実のよう。
まさに天が与えたバランスのよさと千尋自身のたゆまぬ努力の結晶だ。
「綺麗だわ、チヒロ」
「ありがとうございます」
少し頬を赤らめる千尋。
「これも使うといいわ」
手渡されたのは紫色の手袋とベージュのストッキング。
無くてはならないものばかりだ。
「はい、それじゃ着ますね」
千尋はゆっくりと渡されたものを身に着けていった。
「いかがですか? 先生」
真奈美の前でくるっと回転してみせる千尋。
赤紫色のレオタードがぴったりと吸い付くように躰のラインをさらけ出している。
「うふふ・・・素敵よチヒロ。気持ちいいでしょ?」
「はい、とっても・・・」
うっとりと自らの躰を抱きしめる千尋。
「うふふ・・・さあ、目覚めるのよチヒロ。マドーって叫んで御覧なさい」
「えっ? マドー・・・ですか?」
一瞬意味がわからない千尋だったが、その言葉がすごく心に響いてくる。
「そう、内なる力を呼び覚ましなさい。目覚めるのよチヒロ!」
千尋ではなくチヒロと呼ばれるうれしさが千尋の躰を駆け抜ける。
音は同じでも意味がまったく違うことがすぐにわかる。
「ああ・・・はい、先生。マドー!!」
その悦びに包まれて力いっぱい千尋は叫ぶ。
その瞬間、千尋の周囲に闇が湧き起こり、彼女の姿を飲み込んだ。
闇の中から姿を現す千尋。
その姿は先ほどとそんなには変わらない。
だが、漆黒のアイマスクが鼻梁から目の周囲を覆っており、きている赤紫のレオタードもハイネックに変化している。
足元にはショーツブーツが形成され、額には金色のデスマドーの紋章が、目元には紫色のアイシャドウが入っていた。
「ふふふ・・・おめでとうチヒロ。これであなたも・・・」
「ええ、ありがとうマナミ。私はデスマドー少女隊リーダーソルジャーチヒロ。デスマダー様復活のためにこの身をささげるわ」
デスマドー少女隊の姿に変化した千尋は、口元に冷たい笑みを浮かべて妖しくチロリと舌先を覗かせた。
******
「今晩は、卯月さん。あなたを迎えに来たわ」
「あ、あなたたちは? いったいどこから?」
突然自室に現れた二人の異様な姿の女性に卯月麻美(うづき あさみ)は恐怖する。
「すっかり忘れさせられてしまったのね。でも心配は要らないわ。すぐに思い出させてあげる」
赤紫のレオタードに身を包んだ二人の女性は、アイマスクの奥の瞳を輝かせながらそっと麻美に手を差し伸べる。
「い、いや、こないで」
逃げようとした麻美だったが、すぐに二人の女性に前後を挟まれてしまう。
「ひいっ」
「怖がらないで。すぐにあなたも思い出すわ」
二人は前後から麻美を挟み込んで抱きしめると、意味不明の叫び声を発した。
「「マドー!」」
「きゃあーっ」
足元から黒い霧が湧き上がって麻美もろとも全員を包み込んでいく。
やがて闇が晴れていくと、挟み込まれていた麻美の姿も赤紫色のレオタードを身にまとったデスマドー少女隊の姿へと変化していた。
「うふふふ・・・どうかしら、ソルジャーアサミ」
前後を挟んでいたマナミとチヒロがアサミを離す。
「ありがとうございますマナミ様、チヒロ様。私はデスマドー少女隊、ソルジャーアサミ。デスマドーに忠誠を誓います」
すっとひざまずき忠誠を誓うアサミ。
だが、その瞳からは意思の輝きは失せ、アイマスクの奥の瞳はガラス作りのように透き通っていた。
川霧女学園。
深夜だというのに、教室の一つに灯りがついている。
「私はデスマドー少女隊、ソルジャーミノリ。リーダーソルジャーチヒロ様、何なりとご命令を」
赤紫のレオタードを身にまとって生まれ変わった少女がひざまずく。
その背後には十数人の同じ姿をした少女たちが控えていた。
「うふふ・・・これでデスマドー少女隊は完全復活ね。お疲れ様リーダーソルジャーチヒロ」
マナミはそっとチヒロのあごを持ち上げて口付けをする。
「ああ・・・ありがとうマナミ。デスマドー少女隊は滅びないわ。何度でも蘇るの。エロジーム様やユリジーム様の力に頼らなくてもこうして蘇ったんだもの」
「ええ・・・そのとおりよチヒロ」
マナミもうなずいた。
明日からは忙しくなる。
デスマダー様を復活させ、暗黒魔界を地上に広げるのだ
「ねえ、チヒロ。デスマダー様の復活にちょうどいい生贄がいるんだけど」
「うふふふ・・・雷純玲のことね」
「そうよ、チヒロは賢いわね」
「うふ、マナミに褒められちゃった。あの娘こそが憎むべき敵、魔法機動ジャスリオンだものね」
ペロッといたずらっぽく舌を出すチヒロ。
その仕草がすごく愛らしい。
「ええ、でも油断は禁物。まずは力を蓄えないとね。美並原先生あたりは魔力が豊富そうだし・・・」
「幾人かの生徒も魔力を持っているわ。まずは新たな少女隊メンバーを補充しましょうか」
「ええ、二人で楽しみましょう」
お互いに見つめあい、求め合うように抱き合う二人。
新たな闇が学園に広がろうとしているのだった。
END
- 2007/11/29(木) 19:09:02|
- 魔法機動ジャスリオン
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