昨日に引き続きまして、「軽率に隣の美人未亡人をロボット化」の後編を投下したいと思います。
同僚が「刺すだけで相手をロボット化しちゃうアンテナ」で、メイドロボットを手に入れたのを見た主人公は、うらやましいという思いを隠そうともせずに帰宅します。
するとなんとお隣に・・・
ということで、お楽しみいただけましたら幸いです。
ではどうぞ。
******
「あれ?」
俺は驚いた。
仕事から帰ってきたら、ちょうど玄関先に昨日の五月さんがいたのだ。
「あ、こんばんは」
「あ、こんばんはです。今お帰りなんですか?」
声をかけられて一瞬ドキッとしたような表情をした五月さんだったが、相手が俺とわかって少し表情が和らいだようだ。
「ええ、今日はちょっと早く終わったんで」
「ええと・・・原嶋さんはお一人なんですか?」
五月さんがそんなことを聞いてきたのは、俺がスーパーの袋を持っているからなのかな?
「ええ。この歳まで独り身です。なので、これから晩御飯作ります」
ハハハとごまかし笑いの俺。
「そうでしたか。あの、もしよろしければ・・・今度何かおかずなどお持ちしても・・・」
「ほんとですか? 助かります」
ええ?
五月さんの手料理をいただけるのか?
ありがたいけど・・・
そんなことしたら、美愛ちゃんや旦那さんが文句言ってくるんじゃ?
「あ、あの・・・つかぬことをお聞きしますけど、旦那さんは?」
俺は思い切って聞いてみる。
こんな安アパートに越してくるなんて、何か訳アリなんだろうか・・・
単身赴任でしばらく戻れないとか・・・
「えっ、その・・・じつは・・・主人は先日亡くなりまして・・・」
一瞬悲しげな表情を浮かべ、うつむいてしまう五月さん。
「あ、そ、それは・・・どうも・・・」
俺は慌てて頭を下げる。
えええええ?
なんですと?
旦那さんがお亡くなりに?
ということは、五月さんは未亡人?
だから美愛ちゃんと二人でここに住むということ?
「そ、それじゃ、俺は晩ご飯の支度もありますので」
俺は何と言っていいかわからず、逃げるように玄関をドアを開ける。
「あ、私もそろそろ娘が帰ってきますのでこれで。明日はうるさくなると思いますけど、よろしくお願いいたします」
「は、はいはい」
俺はそそくさと五月さんに頭を下げて家に入りドアを閉める。
五月さんが外階段を降りる音が響き、やがて何も聞こえなくなる。
うううううう・・・
うううううう・・・
いやったぁぁぁぁぁ!
五月さんに旦那さんはいないんだ。
五月さんは未亡人なんだ。
だからこんな狭いアパートに引っ越してきたんだ。
俺にも・・・
俺にもチャンスが来たぞぉぉぉぉぉ!
そうだ!
こんなチャンスはもう二度とないかもしれない。
俺はスーパーの袋を放り出すと、すぐに山田に電話をかけた。
******
それから数日。
俺はわくわくしながら到着を待った。
山田からそれを渡された時には、俺は思わず笑いだしてしまったくらいだ。
これで五月さんを俺のもの、俺の思いのままにできるんだ。
俺は手の中のアンテナを見つめながら、ずっと五月さんの顔を思い浮かべていた。
待ちに待ったその日。
今日は土曜日。
五月さんたちはほぼ引っ越しの片付けも終わっただろう。
美愛ちゃんのことが気にはなるが、いざとなれば・・・
あとはどうやって・・・
『行ってきまーす』
ん?
玄関先で声が聞こえる。
今日は土曜日・・・だよな?
俺が玄関を開けると、ちょうど鉢合わせで階段に向かおうとしていた制服姿の美愛ちゃんと出会ってしまう。
一瞬ギョッとして、すぐに目をそらし、挨拶もせずに俺の横を通り過ぎる美愛ちゃん。
はあ・・・
そりゃまあ、こんなおっさんだけどさ・・・
あからさまに嫌われるのはきついなぁ・・・
「美、美愛、お隣さんにちゃんとご挨拶なさい。もう・・・すみません、まだ子供で」
玄関から顔を出していた五月さんが申し訳なさそうに頭を下げる。
「あ、いえいえ、いいんですよ。でも、土曜日なのに学校ですか?」
「はい。あの子部活をやっているので。水泳部なんですけど」
表情がにこやかになる五月さん。
どうやら五月さんには嫌われてはいないようなのが救いだなぁ。
それにしても美愛ちゃんは水泳部か。
どうりでスタイルがいいはずだ。
「それでは失礼しますね」
五月さんが部屋に戻ろうとする。
ええい、ままよ!
美愛ちゃんがいないなら、今がチャンスだ!
「ちょ、ちょっと待ってもらっていいですか? ぜひ見てもらいたいものがありまして」
「え? え、ええ・・・いいですけど」
やや警戒した感じの五月さん。
それはそうか。
だが、こんなチャンスは・・・
俺は部屋に戻ってあのアンテナを取ってくる。
これだ。
これさえあれば俺は五月さんを・・・
だが・・・
だがいいのか?
人間をロボットにしてしまうなんてことを軽率にしてしまっていいのか?
・・・・・・
・・・・・・
いいのだ・・・
いいのだ!
「実はこれなんですよ」
俺は再び玄関から顔を出し、そのまま五月さんの家の玄関まで行く。
やるなら一瞬が勝負か?
神様・・・
「なんですか、それは?」
俺が手にしたアンテナを不思議そうに見る五月さん。
銀色に輝く細い金属製の棒で、先端は片方がとがっており、反対側は透明のプラスチックのカバーが付いている。
「これはアンテナでして。どうも特殊な効果があるらしいんです」
俺はできるだけ自然に・・・でもやや強引に五月さんの玄関先へと入り込む。
「アンテナ?」
「ええ。これを人間の頭に刺すとですね・・・」
五月さん・・・ごめん!
「えっ? あっ? キャッ! な、なにを・・・」
俺は手を振り上げ、五月さんの頭にアンテナをブスリと刺す。
思ったほど手ごたえはなく、アンテナはスッと五月さんの頭に刺さっていく。
これで・・・
これでいい・・・んだよな?
「あ・・・ああ・・・い・・・いや・・・あ・・・」
五月さんに刺したアンテナから手を離す。
五月さんは驚いて頭のアンテナに手を伸ばそうとしたが、アンテナの先端の透明プラスチックカバーの内部が赤く光り始めると、その手が止まってしまう。
「さ、五月さん?」
俺の呼びかけには答えず、ゆっくりと手を下ろして気をつけの姿勢になる五月さん。
その驚愕の表情がゆっくりと消え、まったくの無表情へと変わっていく。
「・・・プログラム作動確認・・・フォーマットおよび組成改変による機械化を行います。約2分間かかりますがよろしいですか?」
五月さんの口から抑揚の無い声が発せられる。
まるで電子音のようだ。
これが・・・
これがロボット化なのか?
しかもわずか2分程度で?
「あ、ああ、いいよ」
「ピッ、フォーマットおよび組成改変による機械化を開始します」
電子音のような声で五月さんがそういうと、彼女の躰に変化が起き始める。
「うわ・・・」
顔や、半袖のブラウスから覗いていた腕の皮膚がつややかでつるんとした、そうプラスチックのような表面に変わっていくのだ。
正面を見ている眼もなんだかガラスのレンズのように変化し、髪も長くつややかな黒髪がバサッと全部いっぺんに抜け落ちて、新たに人工的な光沢の髪の毛が生え、以前と同じ長さへと伸びていく。
腕は関節部分がそれぞれ球体のように変化し、いわば人形の腕のようになっていく。
あのユカリさんと同じだ。
まさに生きたままロボット化されていっているのだ。
「フォーマットおよび組成改変による機械化が完了しました。基本状態における素体のヒューマンロボット化はこれで終了となり、当機はKSカンパニー製ヒューマンロボットKSR-191として機体登録が行われました。オプションによる個性化を行いますか?」
約2分が経過し、無表情でそう告げる五月さん。
「オプション?」
「はい。当機の仕様をご使用者様のお好みに合わせて個性化させることが可能です。例としまして人工皮膚カバーによる表面の柔軟化、セックス機能の追加、メモリーの完全消去から事項別でのメモリー保存等が可能です。また外見、口調等の機械感を割合に応じて変化させることも可能でございます」
ああ・・・なるほど。
山田のように人形のような形が好みであればこのままでもいいし、人間ぽい躰にしたいよと言えば、そうしてくれるということか・・・
「機械感・・・とは?」
「はい。ご使用者様のお好みで、当機をロボットぽく見せたいのか、できる限り人間ぽくふるまわせたいのかを、パーセンテージでお選びいただくことが可能です」
なるほどねぇ。
山田はどのくらいにしているのかなぁ・・・
ともあれ、少なくともセックス機能は入れないとな。
「オプションによる個性化を頼む」
「了解いたしました。そのためには当機に対するマスター登録が必要となりますが、よろしいですか?」
「マスター登録?」
「はい。当機体の責任者となっていただくことが必要となります」
ああ・・・まあ・・・そうだよね。
「うん。登録する」
「それではマスター登録を開始いたします。マスターとなられる方の虹彩情報を取得いたしますので、当機のカメラアイを3秒間お見つめください」
当機・・・カメラアイ・・・
なんだか五月さんは本当にロボットになってしまったんだなぁ・・・
俺はそんなことを思いながら五月さんの目を見つめる。
少しの間お互いの目を見つめ合い、俺は五月さんの目の奥でカメラのレンズが焦点を合わせるような動きをしているのがわかった。
「虹彩情報の取得が完了しました。続けてお名前をお願いいたします」
「原嶋・・・敦貴(あつき)」
「原嶋・敦貴・さまですね? 姓名及び声紋情報を取得、登録いたしました。マスター登録が完了いたしました。これより当機は原嶋敦貴さまの所有機となります。以後は当機の製造元であるKSカンパニーとの契約下に置かれることになりますが、契約に基づく約款を読み上げてもよろしいでしょうか? 約1時間27分かかりますが」
「ぶはっ!」
俺は吹き出した。
無表情の五月さんが淡々と約款を1時間以上もしゃべるというのも悪くはないかもしれないけど、絶対途中で寝ているのは間違いないよ。
どうせ壊したときの責任がどうとかってことなんだろうし、まあ別にいいか。
「いや、必要ない」
「かしこまりました。それでは当機のマスター登録が終了しました。以後、当機は原嶋敦貴さま所有KSカンパニー製ヒューマンロボットKSR‐191となります。末永くご愛用いただけますよう、よろしくお願いいたします」
ぺこりと頭を下げる五月さん。
KSR‐191かぁ・・・
「あの、五月さんと呼んでもいいのかな? あ、いや、五月・・・か」
「当機に名前を付けてくださるのですか? うれしいです。サツキ、ですと素体名の名前部分をそのまま登録という形になると思われますが、それでよろしいですか?」
「ああ、うん、いいよ。名前だけね」
そう・・・
名前だけでいい。
苗字はいらない。
彼女はもう俺のものなんだから。
「登録いたしました。現時点から当機はKSR-191サツキとなります。よろしくお願いいたします、原嶋敦貴さま」
再び頭を下げるサツキ。
うん。
なんかいい気分だ。
「いちいち名前を呼ぶ必要はないよ。そうだなぁ・・・」
敦貴さまも原嶋さまもなんかなぁ・・・
やっぱりこれか?
「そうだな、他に誰もいない場合には俺のことはご主人さまと呼んで欲しいな。ほかに誰かいる時には・・・うーん・・・原嶋さま・・・かなぁ・・・」
あっ・・・
山田ももしかしたらユカリさんに俺がいないときはご主人さまって呼ばせているかもしれないな。
「かしこまりました、ご主人さま。それではオプションによります個性化につきましてご説明させていただきます」
「うん、いいよ」
俺はサツキにどういう個性をつけようかと、わくわくしながら説明に聞き入った。
******
「んちゅ・・・くちゅ・・・んむ・・・」
うわぁ・・・これはたまらん・・・
サツキの口奉仕に思わず腰が動いてしまう。
「んちゅ・・・いかがですか、ご主人様? オーラルセックスモードはきちんと動作しておりますでしょうか?」
「ああ・・・いいよぉ。最高だ」
片手で髪をかき上げて上目遣いに俺を見上げるサツキ。
ガラスに覆われたカメラアイの焦点が俺の顔に合わされ、頭から延びたアンテナの先端が赤く明滅している。
まさに俺の、俺だけのロボットになったサツキに俺は満足する。
やべぇ・・・
もう出そうだ・・・
あのあと俺は、サツキに様々なオプションによる個性化を取り入れていった。
肌はやはり人間ぽい方がいいだろうということで、人工皮膚カバーによる疑似スキンをまとわせた。
これによってサツキの外見はかなり人間ぽくなり、ちょっと見た程度ではロボットとは思えないだろう。
ロボット的な外見に戻すことも可能なそうなので、気が向いた時にはロボットのサツキで楽しむこともできるという。
口調などもロボットぽく電子音のあとに平板な音声で言葉を言わせるとか、数字やパーセンテージを多用させるといったこともできるし、人間ぽいあいまいな表現を多用するように言わせることもできるらしい。
これが機械感というものだそうで、まさに個人の好みにかなり合わせてくれるわけだ。
もちろんセックス機能も搭載したので、股間の性器もお尻の穴も再現され、口もオーラルセックスが可能となった。
まあ、その機能を今試しているというわけだ。
服を脱がせてみてわかったが、サツキは結構グラマラスなボディをしており、体形もある程度は変更が可能らしいのだが、胸の大きさなどもいじることなくそのままにした。
この大きさなら、パイ擦りなんかもできそうだしな。
「うっ・・・」
俺はサツキの舌遣いに、たまらず射精してしまう。
はあ・・・気持ちええ・・・
「ん・・・んぐ・・・」
口の中に出された俺のザーメンを飲み干すサツキ。
まあ、あとで吐き出して洗浄するというのがちょっと残念。
そういえば食事なんかするんだろうか?
山田の家ではユカリさんは何も食べていなかったけど・・・
「はあ、ご主人さまの精液、とても美味しかったです。ありがとうございます」
とびきりの笑顔でそう言ってくれるサツキ。
ロボットであることを忘れる笑顔だなぁ。
これもプログラムなんだろうなぁ・・・
ほんとすごいなぁ。
「よし、それじゃ次は葛藤モードを起動して、俺とセックスしろ」
メモリーの方は、疑似人格を生かすためにも、最小限の消去に留めることにした。
素体時の記憶なども持たせてはいるが、それはあくまでも現在に対する味付けのためだ。
素体の記憶があるからと言って、俺に対する忠誠心というか服従心みたいなものは揺らぎはしないということも確認済み。
そのため、亡くなったという前旦那の記憶も消去せずに維持させた上で、心は前旦那を愛しながらも肉欲は俺を求めるみたいなシチュエーションモードを用意させ、葛藤モードと名付けている。
だから・・・
「かしこまりました、ご主人さま。葛藤モードに移行します」
そういったサツキの表情が少し険しくなる。
「ああ・・・そんな・・・私・・・ダメなのに・・・あの人を愛しているはずなのに・・・」
そう言ってサツキは顔を背ける。
もちろんそんなはずがない。
彼女は俺を一番に考えるようにプログラムされている。
前旦那のことなど忘れろと言えば、即座にメモリーから消去してしまうだろう。
だからこれは味付けなのだ。
俺はそのままソファーに行って横になる。
そしてサツキの方を見る。
サツキはしばらく険しい表情で俺をにらみつけるが、躰の疼きに耐えられないという感じでそっと立ち上がると、俺の元に来る。
今のサツキは黒の下着で統一されている。
黒のブラジャーに黒のパンティ。
黒の長手袋に黒のガーターストッキングだ。
いやらしい下着に着替えろと命令したら、黒の下着に着替えたのだ。
もしかしたら前旦那が用意したものかもしれない。
とても淫靡でいやらしい姿だ。
「ふふ・・・いやらしいな。我慢できないのか?」
俺が意地悪そうにそういうと、サツキはコクンとうなずく。
「ああ・・・はい・・・私は・・・私の躰はもう敦貴さんのおチンポなしでは・・・ごめんなさい、あなた」
そう言って俺の上にのしかかってくる。
くっはー!
なんていうか最高だな・・・
美人未亡人を虜にしてしまった俺のチンポ・・・なんて、どこのエロゲーだよ。
「ただいまー」
玄関で声がする。
はいぃぃぃ?
まだお昼ちょっと過ぎだよね?
美愛ちゃんが帰ってきた?
学校は?
あ・・・
今日は土曜日だ!
ヤバいと思った時には、部屋の入り口でわなわなと震えている美愛ちゃんが立っていた。
その目はもう見ただけで俺に対する怒りに満ち溢れている。
「うわぁぁぁぁ! お母さんに何をしてぇぇぇぇぇ!」
叫びながら俺にとびかかってくる美愛ちゃん。
いや、そりゃそうだろうけどさ。
うひぃぃぃぃ!
「えっ?」
俺が頭を抱えて身を守ろうとした瞬間、スッとサツキが美愛ちゃんの前に立ちはだかる。
「だめです。原嶋さまに危害を加えることは許しません」
「お・・・お母さん・・・どうして?」
まさか母親が前に立ちはだかるとは思いもしなかったんだろう。
愕然としている美愛ちゃん。
よかった。
今のうちに・・・
「サツキ、命令だ。葛藤モードを終了し、その子を捕まえて拘束しろ。絶対に逃がすな!」
「かしこまりました、原嶋さま」
「えっ?」
サツキは美愛の腕をぐっとつかむと、そのままぐるりと回転させて背後から腕を固めて動けないように拘束してしまう。
おそらくロボットになっていなければ、こんなスムーズな動きはできなかっただろう。
「えっ? ちょっ! お、お母さん! 離して!」
がっちりと腕と首を固められ、身動きのできない美愛ちゃん。
ごめん、すぐ戻るから。
「その言葉は私の素体に対する呼びかけと判断いたしますが、現在の私は里川五月とは異なります。私は原嶋敦貴様にお仕えいたしますKSカンパニー製ヒューマンロボットKSR-191サツキです。ですので、あなたさまのお母さまではありません」
俺がズボンを穿き直している間に美愛ちゃんに答えているサツキ。
「嘘? ロボット? お母さんは?」
「里川五月のことであれば当機の素体として使用されました。ですので、現在は存在いたしません」
「う・・・そ・・・うそ・・・でしょ・・・」
うう・・・その通りなんだよ、美愛ちゃん。
俺はとにかく急いでもう一本の“あれ”を持ってくるべく、部屋を飛び出した。
自分の部屋に戻った俺は、二本目のアンテナを手にする。
そう、もともと俺は美愛ちゃんもロボットにするつもりだったのだ。
まさかこんなタイミングになるとは思わなかったけど、どっちにしろもうやるしかない。
俺はアンテナを手に再び隣の家に入っていく。
「離して! 離してよ!」
「だめです。原嶋さまのご命令があるうちはあなたさまを離すことはできません」
「どうして・・・どうしてこんなことに・・・ひどいよぉ・・・」
俺が戻ると、美愛ちゃんは半分泣きながら必死になってもがいていた。
「あ、あんた! あんたでしょ! 何をしたの? お母さんに何をしたのよ!」
部屋に戻ってきた俺に気が付くと、美愛ちゃんはありったけの憎悪を俺に向けてくる。
ごめん、美愛ちゃん。
すぐに君もわかるからね。
「美愛ちゃん」
「美愛ちゃんなんて呼ばないで! あんたなんかぁ!」
「美愛ちゃん、ごめんね。君のお母さんは俺がロボットにしてやった。今では俺の言うことなら何でもするかわいいロボットになったんだ」
俺は美愛ちゃんがわめくのをそのままにしてそう告げる。
「お母さんをロボットに・・・信じられない・・・」
「信じられないかもしれないけど本当なんだ。ほら、お母さんの頭にアンテナが立っているだろ? それがこれさ」
俺が持ってきたアンテナを見せてやる。
銀色の金属でできた細い棒。
片方の先端は鋭くとがっており、もう片方には透明プラスチックのカバーが付いている。
「このアンテナを刺すとね、人間はロボットになっちゃうんだ。君のお母さんみたいにね」
「そんな・・・嘘よ・・・信じられない」
「嘘かどうかはすぐにわかるよ。君にもこのアンテナをつけてあげるから」
「えっ? 嘘でしょ? いやっ! いやよっ! 絶対にいやぁぁぁぁ!」
俺は悲鳴を上げる美愛ちゃんの頭に、アンテナをブスリと刺した。
******
「ご命令通り着替えてまいりました。いかがですか、ご主人さま?」
そう言ってくるっと一回転し、競泳用水着に着替えた姿を見せてくれる美愛ちゃん。
その頭にはアンテナが輝き、先ほどまでとは雲泥の差のとびきりの笑顔を浮かべている。
おっと、もう美愛ちゃんじゃなくて、KSR-193ミアだったな。
「うん。素敵だよ、ミア」
「ありがとうございますご主人さま。KSR-193ミアは、ご主人さまのためなら何でもいたしますので、何なりとご命令くださいませ」
ぺこりと一礼するミア。
彼女もサツキ同様にマスター登録を行い、オプションによる個性化を行ない俺好みに仕立て上げた。
メモリーの方は彼女から俺に対する嫌悪感のようなものはすべて取り除かせ、父親の記憶も消去した。
なので、ミアには父の記憶がなく、サツキとともにロボットとして俺に仕えられる喜びのみを感じるようになっている。
もちろんセックス機能も付けているので、いつでも俺に抱かれてくれるだろう。
うん。
いいロボット二体を手に入れたじゃないか。
「ご主人さま、冷蔵庫にある食材を使ってご主人さま用のお食事を用意したいと思いますが、それでよろしいでしょうか?」
冷蔵庫の中身を確認していたらしいサツキが戻ってくる。
「ああ、うん、それでいいよ。三人分あるかい?」
「ご主人さま、当KSカンパニー製ヒューマンロボットは食事を必要といたしません。充電をしていただくことで稼働するようになっております」
あ、そうなのか。
充電か。
一緒に食事をするというわけにはいかないんだ。
それはちょっと残念かも。
「ご主人さま、当機がKSR-191サツキを呼ぶ時はいかがいたしましょう? ナンバーと機体名で呼べばいいですか?」
直立して指示を待っていたミアが質問してくる。
そうか・・・
ロボット同士をどう呼ばせるかか・・・
「ミアはサツキを素体時と同じようにお母さんと呼べ。サツキも素体時と同じくミアと呼ぶんだ。いいな」
「「かしこまりました。ご主人さま」」
美人母娘が声を合わせて頭を下げた。
******
******
「ふわぁぁぁぁあ」
山田が大きなあくびをしている。
「おはよう、寝不足か?」
俺が声をかけると、山田がニヤッと笑う。
「ああ、まあな」
「ユカリちゃんと楽しんでいるのかな?」
「ああ。毎晩たっぷりと」
やっぱりなぁ。
そりゃそうなるよな。
俺も思わず苦笑する。
「お前だって楽しんでいるんだろ? それも二人も」
「ああ、まあな」
さっきの山田とおんなじセリフだ。
おかげで俺も寝不足気味。
タイプの違う二人のロボットを相手に楽しませてもらっている。
「それにしても思い切ったもんだな。一気に二体とは。俺も二体目考えるかなぁ・・・」
「しょうがないだろ。母親だけってわけにはいかないじゃないか。どうやったって娘に怪しまれるだろ」
サツキをロボットにする以上は、ミアをロボットにしないわけにはいかなかったんだよ。
「まあ、そりゃそうだな。俺みたいに一人暮らしをしていたユカリをロボットにしたみたいにはいかんわな」
そういえば、確かに斎藤さんは独り暮らしだったとは思うが、ご両親とかはどうしているんだ?
娘がいなくなって気にならないのか?
「なあ、そういえば斎藤さんって・・・どうなったことになっているんだ?」
「さあ・・・失踪してしまったらしいぜ」
こともなげに山田が言う。
「失踪?」
「ああ・・・婚約者とうまくいかなくなったんじゃないかとか、結婚が嫌になって逃げ出したとか・・・」
「そういうことになっているのかよ・・・」
まあ、ロボットになったユカリさんは家族や婚約者などどうでもいい存在になっているだろうから、連絡もするはずがないだろうしなぁ。
「うちに彼女によく似たロボットが一体いるけど、まあロボットだからなぁ。関係ないだろうなぁ」
この野郎、すっとぼけやがって・・・
でもまあ、そういう形が一番か・・・
「そういえば、お前今度引っ越しするんだって?」
「ああ、今のアパートはちょっと手狭だからな。ちょっと距離は遠くなるけど、いいところを見つけたんだ」
さすがに今のアパートじゃ三人というか俺と二体が暮らすには狭いし、かといって、ロボット二体が隣で暮らすというのもなぁ。
今度の家ならならまあまあ何とかなるだろう。
「ふーん・・・すると・・・」
「ああ・・・俺が引っ越ししたら、隣の部屋の母娘もなぜか失踪するんじゃないかなぁ」
「よく似たロボットがお前の家にいたとしても、ロボットだしな」
「そういうことだ」
「ははははは」
「わはははは」
俺と山田は二人して笑い合った。
******
「お帰りなさいませ、ご主人さま」
「お帰りなさいませ、ご主人さま」
家に帰ると頭にアンテナを立てた二体の女性型ロボットが俺を出迎えてくれる。
一体は母親型のKSR-191サツキで、もう一体は娘型のKSR-193ミア。
二体のロボットは俺に忠実に従い、俺のためなら何でもしてくれるかわいいやつらだ。
家事もすべてやってくれるし、夜の相手もしてくれる。
特にサツキの方は、葛藤モードを組み込んだおかげで、前旦那に思いを残す未亡人を寝取るというシチュを楽しめるのがたまらない。
ミアの方はミアの方で、まだやや幼さの残る若い躰を楽しむことができる。
なんていうか最高の二体だと俺は思う。
「お風呂の準備も、お食事の支度もできております」
俺好みの黒下着姿でサツキが笑みを浮かべている。
「ご主人さまがご希望であれば、私かお母さんがお背中を流させていただきますが、いかがいたしましょう?」
ミアは赤い下着を着けている。
サツキと同じくブラジャーにパンティ、長手袋にガーターストッキングという姿だが、躰の若さと淫靡さとのアンバランスさがまたいい。
でもな、流してもらうのはいいけど、風呂場狭いからなぁ。
引っ越し先の風呂場はどうだったかなぁ?
まあ、今よりは広いだろうから、三人で入るのもできるかなぁ。
「いや、今日はいいよ。とりあえず風呂入ってくる」
「かしこまりました。それではお風呂を上がり次第お食事ができるように支度をいたします」
「お酒の準備もしておきますので、どうぞごゆっくり」
二体のロボットが頭を下げる。
ああ・・・
いいなぁ・・・
でも、引っ越したら家賃も上がるし、食費は変わらないにしても、二人の電気代もかかるし、仕事頑張らなくちゃならんなぁ。
まあ、これも軽率に二人をロボット化した俺自身が招いたことか。
とほほ・・・
俺は最高のロボット二体を手に入れたという喜びと、これから維持費が大変だなぁというちょっと苦い思いが複雑に混じったカクテルのような気分を味わいながらも、今晩はどっちを抱こうかと考えを巡らせるのだった。
END
いかがでしたでしょうか?
よろしければ感想コメントなどいただけますと嬉しいです。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2020/07/08(水) 21:00:00|
- 怪人化・機械化系SS
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