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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ナイロンウーマン増殖編その1

今日から三日連続でSSを一本投下します。
先月9月19日に掲載した「ナイロンクイーン」の蛇足です。
蛇足という割りには長くなってしまったので、三日連続の投下となりますが、楽しんでいただければと思います。

「ナイロンウーマン増殖編」

静まりかえった郊外の街並み。
ひときわ広い一画を占めている建物群。
フェンスに覆われたグラウンドが月明かりに照らされている。
この時間、誰の出入りもなくなった校門には「聖リオン女学園」と記されていた。

「ふう・・・ こうしてみると学園長という立場も結構楽じゃないんだわ・・・ 伯父様がぼやいていたのもよくわかるわ」
重厚なデスクについていろいろな書類と格闘している古玉瑠美(こだま るみ)。
まだ三十代前半で、つい先日までは外資系企業で係長をしていたのだが、伯父の急病にともないこの私立聖リオン女学園の学園長に無理やりさせられたといっていい。
「まったく・・・伯父様も強引なんだから・・・」
苦笑いしながら書類にサインを入れていく。
学園長としての引継ぎにともなう雑処理がたくさんあるのだ。
ほとんどはサインを入れるだけの物なのだが、量が半端ではない。
結局、今日もすでに20時を過ぎていた。

うねうねと蠢く漆黒の水溜り。
アメーバのようにうねうねと動き、それがただの水溜りではないことを示している。
その不気味な液状の物体が二つ。
じわじわと流れるようにある建物に向かっていた。
その建物は・・・聖リオン女学園。

入り口のドアと床の隙間から難なく侵入し、ずるずると廊下を流れて行く黒いアメーバ。
やがてそれは、夜の暗闇の中、一つの部屋の前で動きを止める。
そして、ゆっくりとドアの隙間から染み込むように室内に入っていった。

「うん・・・っと、もうこんな時間か・・・残りは明日にしてもう帰ろうかしら」
瑠美は伸びをして首を左右に傾ける。
見れば時計はもう21時近く。
夕方に軽くお菓子を口にしただけなのでお腹も減っている。
「やれやれ・・・でも明日ぐらいには目処が立ちそうね」
だいぶ減った書類の山を前にして苦笑する瑠美。
これが終われば一息つけるだろう。
学園の教師たちともゆっくり面談できるかもしれない。
まだまだ学園内のことはわからないことが多いのだ。
いろいろと話したいことはいっぱいある。

『うふふふ・・・ それはよかったわね』
いきなり室内に声がして瑠美は驚いた。
この学園長室には誰もいないはずなのに・・・
事実室内を見渡しても、自分のほかには誰もいない。
「だ、誰? 誰なの?」
瑠美はきょろきょろしながら声の主を探す。
「えっ? あれは?」
見ると学園長室の応接セットの置かれた床、そのふかふかの絨毯の上にどす黒いタールのようなものが広がっていた。
「何? 何なの?」
いったいいつの間にあんな液体が広がったのだろう。
ここにはタールなんてあるはず無いのに・・・
瑠美が不思議に思う間もなく、そのどす黒い液状の物体の中心がせり上がり始めた。
「ヒッ!」
小さく悲鳴を上げ、思わず立ち上がる瑠美。
黒い液体は見る間に形を整えて行き、真っ黒ですべすべとしたナイロンの人型になっていく。
「な、何なの?」
瑠美は口元に手を当てて一歩二歩とあとずさる。
『ピルルルルルー』
やがて完全に人の形となった黒い液体は、奇妙な声を発声する。
そこには全身をナイロンの全身タイツですっぽりと覆われた女性が立っていた。
両の胸は丸みを帯びて膨らみ、腰は適度にくびれ、腰から両脚にかけて流れるようなラインを形作るこの人影はまさしく女性。
だが、それはあまりにも異形。
髪の毛はまったくなく、すべすべのナイロンマスクが頭の全てを覆っている。
目も鼻も口もなく、あるのはそれらがあったであろうことを示す凹凸だけ。
指先も真っ黒に覆われ手袋に包まれたかのよう。
つま先も真っ黒なタイツを穿いたように指先が無くなっていた。
「あ、あなたはいったい・・・」
いきなり液状から人型になった真っ黒な女性に瑠美は唖然としていた。
あまりのことにどうしていいのかわからない。

「私はナイロンクイーン」
漆黒の全身タイツの女性はそう言った。
「ナイロン・・・クイーン?」
瑠美は小さく繰り返す。
いったい何者なの?
どうやって入ってきたの?
さっきのは何かのトリックなの?
誰かが私を驚かそうとしているとでも言うのかしら?
幾つもの疑問がわきあがる。
「ナイロンクイーンだかなんだか知りませんけど、ここは聖リオン女学園の学園長室です。悪ふざけはやめて出て行ってください」
得体の知れない不気味さはあったものの、相手が人間の形を取ったことで、少しほっとしたのも事実である。
だから、瑠美は相手に対して立ち去るように言ったのだ。
「うふふ・・・ この学園はナイロンセルを広めるにはうってつけだわ。まずはあなたからね」
まったく表情が見えないにもかかわらず、瑠美は目の前の全身タイツの女が笑みを浮かべたように感じた。
そしてその笑みがぞっとするものであることも。

「もしもし、すぐに学園長室に来ていただけますか? 侵入者です」
机の上の電話を取り、内線で警備室にかける瑠美。
だが、警備員の返事は無い。
「もしもし、もしもし!」
血の気が引く瑠美。
まさか・・・
「くすくす・・・ 警備にあたっている男どもはみーんな殺しましたわよ」
いきなり背後から抱きすくめられる瑠美。
いつの間に近寄ったのか、全身タイツの女がもう一人背後にいたのだ。
瑠美が驚いたことに、背後の女の腕はまるでホースか触手のように長く伸び、瑠美の躰にぐるぐると巻きついてくる。
「い、いやぁぁぁぁぁぁ」
悲鳴をあげ受話器を取り落とす瑠美。
両腕もグルグルと巻かれてしまって身動きが取れなくなる。
「うふふふ・・・ よくやったわ」
悠然とその様子を見ているナイロンクイーン。
すらっとした姿勢で立っているその姿はまさに女王。
「ありがとうございます、ナイロンクイーン様」
嬉しそうに瑠美の耳元で答える全身タイツの女。
クイーンによってナイロンウーマンと化した織江だ。
「うふふ・・・ さあ、彼女にもナイロンセルを注入してあげて」
「はい、ナイロンクイーン様」
「い、いやぁっ! たすけてぇっ!」
必死に身をよじる瑠美。
だがぎっちりと絡みついたナイロン触手はまったく身動きを許さない。
すべすべしている肌触りは気色悪くは無いものの、瑠美にとってはそれどころではなかった。
「くすくす・・・ あなたもナイロンウーマンになるのよ」
黒い全身タイツの女が顔を近づけたかと思うと、瑠美の唇にマスクの口が押し付けられ、そこからどろっとしたものが流れ込む。
「ん・・・んぐっ」
必死で飲み込まないようにしたものの、液体はまるで意思があるかのようにのどの奥に入り込んで行く。
のどを滑り降りて行く液体の感覚に、瑠美は恐怖を感じたが、どうすることもできなかった。

******

「うふふふふ・・・」
先ほどまで瑠美が座っていた革張りのいすに腰掛けたナイロンクイーンが小さく笑う。
その足元には真っ黒な全身タイツに包まれた姿になってしまった瑠美が、ナイロンクイーンの組んだ脚に頬擦りをしていた。
「ピルルルルー。ああ、ナイロンクイーン様。とっても気持ちいいです。ナイロンセルによって私はナイロンウーマンに生まれ変わりました。これからは身も心もナイロンクイーン様にお捧げいたしますわ」
「ピルルルルー。よかったですねぇ。これであなたもナイロンウーマン。一緒にナイロンクイーン様にお仕えいたしましょ」
同じように床に座ってナイロンクイーンの左手に頬擦りするもう一人のナイロンウーマン。
それがかつて織江と呼ばれていたことなど、本人はもはや忘れているかもしれない。
「ええ、もちろんですわ。私はナイロンクイーン様の忠実なしもべです」
ナイロンクイーンの右足の甲の部分に頬擦りをしながら、うっとりとも感じられる口調で答えるナイロンウーマンとなった瑠美。
先ほどまでの学園長であった姿はまったくうかがえない。
「ピルルルルー。すべすべでとても気持ちがいいです、ナイロンクイーン様」
「うふふ・・・ それはよかったわ。ナイロンの感触は最高ですものね。でも、いつまでそうしているつもりかしら?」
ギクッと弾かれたように立ち上がるナイロンウーマン瑠美。
「申し訳ありません。直ちに始めます」
ナイロンクイーンに一礼すると、彼女はすぐに机の上の電話の受話器を取る。
「もしもし・・・西丘先生ですか? 古玉です。ええ、学園長の」
学園の教師西丘浅海(にしおか あさみ)に電話をかけ呼び出すのだ。
「ええ・・・緊急です。先生のクラスの生徒がちょっと問題を起こしてしまいまして・・・ ええ・・・ ええ・・・ 大至急学園に来て頂けますか? ええ・・・ お待ちしています」
受話器を置くナイロンウーマン。
「ピルルルルー。すぐに西丘先生が参りますわ。彼女は優秀な教師です。きっとナイロンクイーン様のお気に召すものと思われますわ」
「そう。それは楽しみね。ではあなたが彼女をナイロン化しなさい」
「ピルルルルー。よろしいのですか?」
思ってもいなかった言葉に喜びを感じるナイロンウーマン瑠美。
優秀な女性教師をナイロン化できるなんて素晴らしいことだ。
「ええ、この学園はこれからナイロン化の拠点になるわ。その指揮をあなたが取るのよ」
「ピルルルルー。光栄ですナイロンクイーン様。この学園は私が全てナイロン化し、ナイロンクイーン様に捧げますわ。ピルルルルー」
歓喜の声を上げてナイロンクイーンに跪く。
ナイロンの世界を広める喜びに打ち震えるナイロンウーマン瑠美だった。


現在「海」祭り開催中です。
会場はリンク先から行けますので、どうぞ足を運んで下さいませ。

現在一般の方々のご参加も受付中です。
ぜひぜひ皆様の作品をお寄せ下さい。
お待ちしております。

それではまた。
  1. 2007/10/09(火) 19:36:54|
  2. ナイロンウーマン
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

ピルルルルー

ナイロンウーマン瑠美誕生ですね
次は西丘浅海先生、同じように口からチュルチュルとナイロンセルを流し込まれしまうのでしょうか。
xsylphyxの希望は、ナイロンセルグローブ、ナイロンセルブーツを着けさせて…無理無理ww
続きを楽しみにしてります。
ナイロンセルコーヒーを飲ませるって方法も…
  1. 2007/10/09(火) 20:52:42 |
  2. URL |
  3. xsylphyx #-
  4. [ 編集]

増殖スタート

短編かと思われたナイロンクイーンの続編が!

どうやら学園を巻き込んでしまいそうな雰囲気ですね。で、やっぱり(警備の)男は要らないと。当然ですね。

明日を楽しみにしています。
  1. 2007/10/09(火) 22:24:43 |
  2. URL |
  3. metchy #zuCundjc
  4. [ 編集]

>>xsylphyx様
ああー、ナイロンセルでできた衣服を着せてと言うのも面白そうですね。
残念ながら、今回はご期待に添えられなくてすみませんです。
ナイロンセル入りコーヒーもいいですねー。

>>metchy様
男は遺伝子の関係上ナイロン化できないですからね。
不要なわけです。
これからもどんどん女だけを取り込みますよー。(笑)
  1. 2007/10/10(水) 19:34:58 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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