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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

五つの力を一つに合わせ

第二次世界大戦中の西側連合国の主力戦車といえば、M4戦車であることは皆様異論の無いところでしょう。
傾斜した前面装甲に直立した側面装甲。
高い車高に丸っこい砲塔。
どことなくユーモラスさを感じさせるM4戦車は、実に5万台もの数が作られて、連合軍の数の象徴でもありました。

厚い装甲板に囲まれた重い戦車を動かすには、高出力のいいエンジンが必要ですが、第二次世界大戦前後に開発された戦車には航空機用のエンジンを流用しているものが多くありました。
航空機用エンジンは軽量でありながら高出力のものが多かったからです。

M4も航空機用の星型エンジン(シリンダーを放射状に配したエンジン。前後のスペースが少なくてすむ)を後部に搭載したため、車高が結構高い戦車になってしまいましたが、機動力は満足できるものを確保できました。

ところが、アメリカの工業力をもってしても、航空機の増産にエンジン供給が追い付かなくなってくる可能性がありました。
航空機用エンジンを使ってM4を作ることができなくなるかもしれなくなったのです。

そこで、M4は航空機用星型エンジンに代わるエンジンを載せるようになりました。

トラック用ディーゼルエンジンを二基載せたM4A2。
戦車用に新たに作られたガソリンエンジンを積んだM4A3
そして、あろうことか既存の大型車用ガソリンエンジンを星型に五基無理やり束ねた30気筒エンジンを搭載したM4A4などが作られたのです。

この無理やり五基束ねたエンジンはクライスラーA57エンジンといい、当然のごとく巨大なエンジンでした。
初期型はまさにただ束ねただけという感じのエンジンで、冷却水も五箇所それぞれに入れなくてはならないほどでした。
当然、整備には手間が掛かるものであり、軍用車両のエンジンとしてはあまり褒められたものではありません。

さらに、もともとのM4戦車のエンジンルームに入りきらない大きさだったため、単なるエンジンの載せ替えというわけには行かず、車体を後部に伸ばした専用車体となってしまいました。
そのために写真などでも他のM4系列とは比較的見分けが付きやすい車両となりました。

A57エンジンそのものは、幾度かの改良もあって、機械的問題点はほぼ潰されていたいいエンジンだったのですが、やはり整備に手間が掛かる点は否めなく、米軍は実戦部隊への配備を断念します。

訓練用車両としてしか使い道が無いと思われたM4A4でしたが、ドイツ軍と激しい消耗戦を繰り広げていた英軍がこのM4A4に目をつけます。

ほかのM4系列は米軍部隊への配備が優先されますが、M4A4なら米軍は使いません。
作れば作られただけ英軍が引き取ることができるのです。
問題となる整備のことも、整備兵を一所懸命に訓練すれば乗り切れると考えたのでした。

M4A4は最終的に約7500両が作られました。
そしてその95%が英軍へのレンドリースにまわされたのです。

英軍にとってはM4A4はまさに救いの神でした。
独軍の四号戦車を上回る(五分五分という意見もあるかもしれませんが)優秀な戦車を、大量に手に入れることができたのですから。
整備の問題もそれほどなく、英軍整備兵にとっては逆に信頼性の高い戦車という評判さえ受けました。

後には主砲を英国製17ポンド砲に換装したファイアフライのベース車両ともなり、まさに英軍機甲部隊の中心戦車として活躍したのでした。

捨てる神あれば拾う神ありと言うところでしょうか。


現在「海」祭り開催中です。
会場はリンク先から行けますので、どうぞ足を運んで下さいませ。

それではまた。
  1. 2007/09/21(金) 20:57:10|
  2. 趣味
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

物量作戦

M4のあの車高の高さって
けっこう危険だったと思うのですが
どうなのでしょう

とはいえ物量で押し切ってしまうのが米軍流(?)
1輌を狙い撃ちされている間に、
残りの数輌で独逸戦車をタコ殴りって
感じでしょうか……
  1. 2007/09/21(金) 21:26:56 |
  2. URL |
  3. 芹沢軍鶏 #JalddpaA
  4. [ 編集]

独軍にとって、米国の数の暴力の象徴ですね、さしずめジオンにとっての連邦軍のGM(笑)。
GMといってもジェネラルモータースの略じゃないですよーな(苦笑)。
マイナーチェンジから大幅な改修まで含めると、あくまで同一の車両でありながらとんでもなく多岐の分類ができますよね。
おっしゃられてる通りに車高の高さがいかんともしがたく、また性能的にも平板だったと言われてますけど、居住性や安定性、操作性は良くてまさに車社会のアメリカならではの戦車ですよね。
まあ独軍戦車相手では
「池のアヒルより簡単にやられちまう」
戦車だったみたいですが(笑)。

イギリスってこういうの多いですよね・・・戦闘機も爆撃機ももらい物が多いっていう・・・
で英国ファンの舞方さんに失礼かもしれませんが
アメリカのお下がりの改修版が最優秀戦車なのはどうかと・・・
でしかもその後で、アメリカにファイアフライ貸して~って言われたら断ってるってのがまた・・・。
わーすいません!でもこういうとこがイギリスらしさなのかも?ですね(慌ててフォロー)
  1. 2007/09/21(金) 23:55:31 |
  2. URL |
  3. 空風鈴ハイパー #-
  4. [ 編集]

>>芹沢軍鶏様
M4の車高の高さは確かに被発見率を高めたでしょうね。
車高の低い三突あたりと比べたら雲泥の差ですからね。
物量というよりも航空戦力の充実が米軍の進撃を支えたのではないでしょうか。
純粋な戦車戦ではかなり分が悪かったそうですしね。

>>空風鈴ハイパー様
おっしゃるとおり英軍はレンドリースがなければ勝てなかったでしょうね。
それがわかっていたからこそ、チャーチルも米国を引きずり込むのに躍起だったわけですし。
ファイアフライは17ポンド砲が足りなさ過ぎたんですよー。
米国も17ポンド砲はライセンス生産しなかったようですしね。
まあ、砲弾の共通性がまったくなかったので、もらっても米軍も困ったような気もします。
(M7もらった英軍は自軍の砲と違うのでセクストン作ったりした)
どっちにしても、米軍は戦車同士の戦いをするより航空機で一掃するほうを選んだ気がしますねぇ。
  1. 2007/09/22(土) 19:53:30 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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