昨日の「ゴム女のフェラ」はいかがでしたでしょうか?
いつもの作品とはちょっと違う感じだったので、違和感を感じられた方もいらっしゃったかもしれませんね。
今日はいつものように女怪人に改造されちゃうお話です。
まあ、オーソドックスなありがちな話かも。
タイトルは「カマキリとサソリ」です。
お楽しみいただけましたら幸いです。
それではどうぞ。
カマキリとサソリ
轟音とともに巨大な炎を噴きあげて爆発が起こる。
またしても送り出した怪人がミラージュマリーによって倒されてしまったのだ。
青いコスチュームに身を包んだミラージュマリーは、彼らワームリアに取って天敵だ。
彼女を倒さない限り、この地球を支配することはできない。
そのため、何体もの怪人を送り込み彼女の抹殺を計ったのだが、ことごとく返り討ちにあってしまったのだ。
そして今回もまた・・・
「うぬぅ・・・おのれミラージュマリー! 次こそは必ず・・・」
とげとげの付いた全身鎧のような衣装に身を包んだ偉丈夫が歯噛みする。
ワームリアの作戦指揮官グモーゾだ。
その実力は首領にも認められているのだが、このままミラージュマリーに負け続けるようなことがあれば、いつ処刑されてもおかしくはない。
その焦りがグモーゾを苛立たせる。
「なんとか・・・なんとかせねば・・・」
だが、妙案と呼べるものは浮かばない。
せめてミラージュマリーの戦う気持ちをそらせたり、隙を作り出すことができれば打つ手も生まれようというものなのだが・・・
「む?」
いつまでも見ていても仕方がないと思い、モニタードローンを回収しようと思ったところ、思いもかけないものをグモーゾは目にしてしまう。
「これは・・・」
それはいつも怪人を倒したあとすぐに姿を消していたミラージュマリーの追跡に成功していたのだ。
たまたま周回させていたモニタードローンのカメラに納まったもののようだったが、そこにはミラージュマリーがごく普通の女性、しかも制服姿の女子高生になる瞬間のシーンが捉えられていたのだ。
「なんと! ミラージュマリーの正体は日本の女子高生ということなのか! この女子高生の正体を早急に調べるのだ!」
「キキーッ!」
グモーゾの指示に従い、全身を黒タイツに包んだ戦闘員たちが調査に出発する。
ミラージュマリーの正体が判明するのは、それから間もなくのことだった。
******
「う・・・」
意識がゆっくりと戻ってくる。
ここは?
私はいったい?
自分に何が起こったのかを思い出す。
そうだわ・・・私は確か外出中に・・・
その日所用で外出していた彼女は、その帰り道でいきなり黒づくめの連中に襲われ、意識を失わされたのだ。
おそらくそのまま車にでも乗せられ、連れてこられてきたのだろう。
いわば誘拐されたわけだ。
躰を動かそうとした彼女は、自分の躰が何かで拘束されていることに気が付いた。
両手首と両足首が固定され、何か台のようなものに磔にされているのだ。
「こ、これは?」
試しに手足を動かそうとしてみるが、がっちり固定されているために動けない。
いくら逃げられないようにするためとは言っても、ここまで拘束するとは普通じゃないのではないだろうか。
しかも周囲は薄暗く、何があるのかもよくわからない。
まるで闇の中に放り出されてしまったかのようだ。
「誰かぁー! 誰かぁー!」
少し大きな声で呼んでみるものの、どこからも返事はない。
いったいこれからどうなってしまうのか・・・
彼女は恐怖に震えていた。
やがて、闇の一部が開き、体格のいい男が一人、制服姿の少女を抱えて入ってくる。
少女は両手をだらんと下げ、どうやら意識を失っているらしい。
おそらく彼女と同じく拉致されてきたのだろう。
「あなたが私をここへ?」
男をにらみつけるようにそう尋ねる彼女。
「ん?」
顔まですっぽりと覆うヘルメットの下から鋭い視線が彼女を射る。
「気が付いていたのか。少し待っていろ」
男は抱えていた少女を、彼女から少し離れた位置の台に彼女と同じように寝かせていく。
そして両手と両足を金具で固定し、外れないことを確かめた。
「えっ? あ、茜(あかね)ちゃん? まさか茜ちゃんなの?」
寝かされた少女の横顔に見覚えがあることに気が付く彼女。
娘の友人であり、よく家に遊びに来てくれている子に間違いない。
彼女もいつしか苗字よりも名前で呼ぶことに慣れてしまったぐらいなのだ。
「ククク・・・そうだ。この娘は持林茜(もちばやし あかね)。お前の娘である秋中麻里亜(あきなか まりあ)の友人だ。そうであろう、秋中喜美子(あきなか きみこ)?」
いかつい男が彼女の名前を言い当ててくる。
これは明らかに彼女のことを知っていて誘拐してきたのだ。
「私たちをどうするつもりですか? 何か恨みでも? そうだとしても、その子はまだ未成年なんですから、解放してあげて」
男をにらみつけながらも、できるだけ冷静に話そうとする喜美子。
いったいこの男が何者なのかさっぱりわからないが、どうして自分たちを狙ってきたのだろう。
「クククク・・・そう心配するな。お前たちは大事な素体だ。手荒に扱ったりはせん」
台に寝かされた二人を前に、グモーゾは笑みを浮かべる。
この二人を改造し、ワームリアの怪人にするのだ。
母親と友人がワームリアの怪人となれば、ミラージュマリーも手を出すのをためらうに違いない。
そこを攻撃することができれば、ミラージュマリーもたやすく倒せるかもしれないのだ。
そのためにもこの女たちを念入りに改造してやらねば。
クックック・・・
「う・・・うーん」
台に寝かされた少女がゆっくりと目を開ける。
「茜ちゃん! 茜ちゃん!」
「えっ? あっ、麻里亜ちゃんのおば様?」
喜美子の声に振り向いた茜が友人の母を認識する。
「良かった。目が覚めたのね」
「おば様、私はいったい?」
目が覚めたことで自分が捕らわれていることに気が付く茜。
両手両足が固定されていて動けないのだ。
どうやら二人ともが同じ状況らしい。
「私たちは彼に誘拐されてしまったみたい。でも、きっとすぐに警察が・・・」
「それはどうかな?」
ニヤニヤと笑っているグモーゾが口をはさむ。
「ここは我々ワームリアの地底アジト。人間の警察風情がここまで来られるとでも思うのかね?」
「ワームリア・・・」
「ワームリア!」
茜と喜美子の表情が青ざめる。
ワームリアと言えば最近世間を騒がせている謎の組織である。
まるでテレビの特撮番組の世界から抜け出てきたような怪人が暴れ回り、謎の女性がそれを倒しているというのだ。
この男はそのワームリアだというの?
「先ほども言った通り、お前たちは大事な素体だ。傷つけるつもりはないから安心しろ」
「私たちをどうするつもりなんですか? ワームリアがなぜ私たちを?」
喜美子が先ほどと同様にグモーゾをにらんでくる。
やはりあのミラージュマリーの母親だ。
意志の強さが感じられる。
「お願いです。うちに帰して・・・」
少女のほうはそうでもないようだが、それが逆にか弱さを感じさせてミラージュマリーを油断させるだろう。
「ククク・・・お前たちはミラージュマリーの正体を知っているのではないか?」
「えっ?」
グモーゾの質問に思わず顔を見合わせ、ふるふると首を振る茜と喜美子。
「知りません」
「ミラージュマリーが私たちと何の関係が?」
「ほう・・・本当に知らんようだな。では教えてやる。我らワームリアに歯向かうミラージュマリーの正体は、秋中麻里亜なのだ」
「えっ?」
「えっ? 麻里亜ちゃんが?」
喜美子も茜も驚きに目を丸くする。
それはそうだろう。
自分の娘が、自分の友人が謎のヒロインとしてワームリアと戦っているなんて信じられるはずがない。
「嘘! 嘘です! あの子がそんな・・・」
「嘘ではない。お前の娘はミラージュマリーなのだ」
「そんな・・・」
言われてみれば娘はときどき怪我をしていた。
かすり傷程度らしかったし、学校で運動中に傷をつけたと言っていたけど・・・
あれは戦いの傷だったの?
喜美子はそのことに気付かなかったことを悔やんでしまう。
あっ・・・
であれば・・・
「私たちを人質にするのですか?」
人質にされ娘が苦しむのを見るぐらいなら・・・
喜美子はそう思う。
でも・・・茜ちゃんは・・・
「私はどうなっても構いません。でも茜ちゃんは、茜ちゃんは未成年なんです。家に帰してあげて!」
「おば様」
「茜ちゃん、人質なら私だけで充分よ。あなたは解放してもらうから」
「おば様・・・」
今にも泣きそうな顔で喜美子を見る茜。
どうして私たちがこんな目に・・・
「残念だが二人とも帰すわけにはいかんな」
「どうしてですか? 人質なら私だけで・・・」
「言ったであろう。お前たちは大事な素体だと。お前たちはこれより改造を受け、我がワームリアの女怪人へと生まれ変わるのだ」
腕を組んでククッと含み笑いを漏らすグモーゾ。
二人の女たちの青ざめる顔がなかなかにそそる。
「女怪人に? まさか・・・私たちに娘と戦わせようと?」
「いやっ! いやぁっ!」
「そう。そのまさかだ。お前たちを女怪人にしてミラージュマリーを始末させる。母親や友人が怪人化したとなれば、ミラージュマリーとて冷静ではいられまい。その動揺した隙をついて倒すのだ」
愕然とする喜美子や絶叫する茜に言い放つグモーゾ。
「そんな・・・娘と戦うなんてできるはずが!」
「いやぁ・・・怪人になるのはいやぁっ!」
「クックック・・・すぐにそんな感情は消え、ワームリアのためなら何でもするようになるのだ。楽しみにしているがいい」
指をパチンと鳴らして合図するグモーゾ。
その合図を待ちかねたかのように数名の戦闘員たちが現れ、喜美子と茜の周囲の装置を操作する。
やがて天井から手術用の無影灯のようなものが下がってきて、カクテル光線のようなきらびやかな光を二人の躰に当てていく。
同時にいくつものチューブが二人の躰に突き刺さり、毒々しい色の液体が注ぎ込まれていく。
「いやぁっ!」
「ああっ! あああっ!」
苦悶の表情を浮かべる二人。
その様子を見て、グモーゾは笑みを浮かべながらその部屋を後にした。
******
カツコツと硬質な足音が響いてくる。
ハイヒールのかかとが床を打つような音だ。
室内に現れる二つの影。
その姿にグモーゾはニヤッと笑みを浮かべた。
「改造が終わったようだな。さあ、お前たちが何者か、俺に言うがいい」
「ケケケケケ! 私は偉大なるワームリアの女怪人カマギリアですわぁ。ケケケケケ!」
全身が緑色の外骨格に覆われ、巨大な複眼と触角の付いた頭部を持ち、両手のカマを振り上げるカマキリの女怪人。
だが、そのボディラインは、元となった喜美子のスタイルが色濃く出ており美しい。
「シュシュー! 私は女怪人サソリアです。どうぞ何なりとご命令を。シュシュー!」
カマギリアの隣にはやや小柄で紫色の外骨格に覆われた女怪人が立っている。
黒い単眼の付いた頭部を持ち両手の先はハサミ状になっていて、背中からお尻にかけたラインに沿うように尾てい骨部分から長い尾が伸びていた。
もちろんその先からは、鋭い毒針が覗いている。
茜が改造されたサソリの女怪人だ。
二人とも口元だけは以前の人間のままであり、うっすらと笑みを浮かべている。
それがまた妖しい雰囲気を漂わせてるのだった。
「それでいい。お前たちはワームリアの怪人として生まれ変わった。これからはワームリアのために働いてもらうぞ」
「ケケケケケ! もちろんですわ」
「シュシュー! ワームリアのためなら何でもいたします」
二人の女怪人は喜ばしそうにうなずいている。
「お前たち二人、力を合わせてミラージュマリーを始末するのだ。できるな?」
「ケケケケケ! お任せくださいませ。私はもうあの子の母親などではありませんわ。ワームリアに歯向かうものはすべて敵。必ずやミラージュマリーを始末してまいります。ケケケケケ!」
「シュシュー! 私の毒ならミラージュマリーと言えどもただでは済まないはず。カマギリアとともに彼女を。シュシュー!」
もはや身も心も完全にワームリアの女怪人に変貌した二人には、ミラージュマリーを殺すことは当然のことだった。
******
「麻里亜ちゃん、今日遊びに行ってもいい?」
放課後、家に帰ろうと思っていた麻里亜を茜が呼び止める。
「えっ? うちに?」
「うん。ダメかな?」
友人の茜の申し出に、麻里亜はぶんぶんと首を振る。
「とんでもない。茜ちゃんが来てくれるのは大歓迎だよ。お母さんも茜ちゃんが来たら喜ぶと思うし」
「ありがとう。実は今日両親がいきなり遠くへ行っちゃったものだから」
なんとなく冷たい笑みを浮かべる茜。
「えっ? そうなの? じゃ、今日はうちへ泊りなよ。いろいろとおしゃべりしよう」
うきうきと帰り支度をする麻里亜。
茜が自宅に来るのはそこそこあれど、泊りは久しぶりだ。
パジャマで二人遅くまで他愛もないおしゃべりができると思うと、麻里亜の心は浮きたった。
「お母さんもいいって。茜ちゃんが来るの楽しみだって言ってた」
すぐにスマホで確認した麻里亜が茜に伝える。
「そう。私もおば様に会うのが楽しみだわ。うふふ・・・」
「どうする? うちにも何かあるとは思うけど、帰りに何か買ってく?」
目をキラキラと輝かせている麻里亜。
茜がお泊りということでテンションが上がっているのだ。
「うーん・・・別に何か欲しいものがあるわけでもないからいいわ。それより早く麻里亜ちゃんの家に行きたいな」
「おお! それは早く私と二人きりになりたいってことですかぁ? あははは・・・」
「まあ、麻里亜ちゃんたら。あははは・・・」
楽しそうに笑いあう麻里亜と茜。
二人はそのまま笑いあいながらカバンを手に学校を後にした。
「ただいまー。お母さん、茜ちゃん来たよー」
元気よく玄関を開けて家に入る麻里亜。
「お帰りなさい。いらっしゃい、茜ちゃん」
奥から二人を出迎えに出てくる喜美子。
水仕事でもしていたのか、手をタオルで拭っている。
「こんにちはおば様。お邪魔します」
「どうぞどうぞ。入って入って」
にこやかに二人を招き入れる喜美子。
麻里亜はふと、その手に持っているタオルが赤黒くなっていることに気が付く。
それと、何とも言えない血のにおいのようなものも感じた。
「お母さん、何かしてたの?」
「えっ? ああ、カスを切り刻んでいたのよ。ケケケケケ・・・」
奇妙な笑い声をあげる喜美子。
麻里亜はちょっと変に思いながらも、あとについてリビングへと入っていく。
「ひっ!」
リビングに入ったとたんに絶句する麻里亜。
ソファに血まみれで死んでいる父親の姿があったのだ。
「お、お父さん!」
「ケケケケケ・・・ほんと、間の悪い男ねぇ。やはり所詮は下等な人間ということかしら。これからの楽しみを邪魔しに帰ってくるんだもの」
父の死体を前に笑っている母。
その様子に麻里亜は愕然とする。
「お、お母さん? ま、まさかお母さんが?」
「ええ、そうよぉ。だって、これからミラージュマリーを切り刻むのを楽しみにしていたのに、風邪で熱が出たからとか言って早退してくるんですもの。邪魔くさいったらありゃしないでしょ。だから切り刻んでやったの。ケケケケケ・・・」
口元に手の甲をあてて笑う喜美子。
「お・・・お母さん・・・そんな・・・」
あまりのことに言葉が出ない麻里亜。
いったい何が起こったというのだろうか?
「ケケケケケ! ねえ、もうそのお母さんお母さんってのいい加減にやめてくれない? 私はもうお前のお母さんなんかじゃないわ。私は偉大なるワームリアによって改造され生まれ変わったの」
そう言って躰を変化させていく喜美子。
見る間に全身が緑色の外骨格で覆われ、頭部が巨大な三角形の形になり、目も大きな複眼へと変化する。
両手はとげの付いたカマとなり、両脚もハイヒールのブーツのような形になっていく。
背中には翅が生え、お尻も大きくなって、カマキリと人間が融合した姿に変わっていく。
「ケケケケケ! どう? これが今の私の本当の姿よ。私はワームリアの女怪人カマギリアなの。ケケケケケ!」
ここだけは人間のままである口元に笑みを浮かべ、笑い声をあげるカマギリア。
「お母さん・・・お母さんがワームリアの怪人に・・・」
麻里亜は唇をかみしめる。
自分は何のために・・・
何のためにミラージュマリーとして戦ってきたのか・・・
父や母を、友人たちを守るためではなかったのか・・・
その母がワームリアの怪人にされてしまうなんて・・・
お母さん・・・
ハッとする麻里亜。
今はとにかく茜だけでもこの場から逃がさないと。
「茜ちゃん! 逃げ・・・て・・・」
振り返りざまに背中に激痛が走る。
「茜・・・ちゃん?」
そこには茜ではなく、全身を紫色の外骨格に覆われ、人間のままの口元からくすくすという笑い声を発しているワームリアの女怪人がいた。
「どうして私が逃げないとならないのかしら? せっかくカマギリアとともにミラージュマリーを始末できるチャンスだというのに。シュシュー!」
「茜・・・うぐっ・・・」
がっくりと膝をつく麻里亜。
「私ももう茜などという名前なんかじゃないの。私はワームリアの女怪人サソリア。よろしくね、ミラージュマリー。シュシュー!」
「そんな・・・」
麻里亜の全身に強烈な痛みが走る。
どうやら毒を流し込まれたらしい。
「ケケケケケ! どうしたの? 変身しないの? 私のカマで切り刻んであげるわよぉ。ケケケケケ!」
「無理よ、カマギリア。私の毒は強力ですもの。もう全身が痛くて起き上がれないと思うわ。シュシュー!」
「おかあさ・・・あか・・・ね・・・ちゃ」
激痛に耐え必死に手を伸ばす麻里亜。
その手をカマギリアは踏みつける。
「言ったでしょ。私はもうお母さんじゃないって。頭悪いわねぇ。ケケケケケ!」
「まだ息があるようだから切り刻んでいいわよカマギリア。少しは楽しめるんじゃない? シュシュー!」
二人の冷たい笑みが麻里亜を見下ろしている。
「そうね。そうさせてもらおうかしら。ケケケケケ!」
カマギリアがカマを振り上げたとき、麻里亜は意識を失った。
******
「クククク・・・まさかこうも簡単にミラージュマリーを排除することができるとは。よくやったぞお前たち」
「「ハッ、ありがとうございます」」
上機嫌のグモーゾの前で片膝をつき頭を下げるカマギリアとサソリア。
「ケケケケ・・・ですが・・・もう少しでミラージュマリーを切り刻むことができましたのに、止められてしまったのは残念ですわぁ」
褒められたものの、カマギリアはやや不満そうな表情だ。
無理もない。
今にもカマを振り下ろそうとしたとき、グモーゾから待ての命令が来てしまったのだ。
ワームリアに歯向かうミラージュマリーに一撃を与えられると楽しみにしていた彼女にとっては不満だろう。
「シュシュー! ご命令に従いあの女をこの地底アジトに運び込みましたが、どうなさるおつもりなのですか?」
サソリアにしても今一つ納得がいっていない。
彼女たち二人はミラージュマリー抹殺のために改造され、この素晴らしい躰に生まれ変わったはずではなかったのだろうか。
「うむ。首領様のご命令でな」
「首領様の?」
カマギリアとサソリアが顔を見合わせる。
首領様がミラージュマリーを生かしたまま連れてこいと命じられたというのか?
「うむ。ミラージュマリーを無力化した以上、殺すよりもいい方法があると仰せになられたのだ。その方法を聞いた時、俺もなるほどと納得した」
いい方法?
「シュシュー! そのいい方法とは?」
「クククク・・・すぐにわかる」
サソリアの質問に対し、グモーゾはニヤッと笑う。
カツコツというヒールの音が響く。
「ククク・・・噂をすれば影か。入るがいい」
「キキキキ! 偉大なるワームリアの女怪人ドクガリア、ただいま参りました」
そう言って入ってくる一体の女怪人。
やや小柄でサソリアと同じぐらいの大きさだ。
巨大な二つの複眼と二本の触角が付いた頭部を持ち、茶色の細かい毛が体を覆っている。
背中には大きな翅が広がっており、いくつかの斑紋が浮き出ている。
口元はカマギリアはサソリアのように人間のままであり、うっすらと冷たい笑みを浮かべていた。
「クククク。よく来たなドクガリア。生まれ変わった気分はどうだ?」
「キキキキ! はい、とてもいい気分です。愚かにもミラージュマリーなどと名乗り偉大なるワームリアに歯向かっていた私を、このような素晴らしい躰に改造していただけたなんて、感謝の言葉もございません」
スッと片膝をつき一礼するドクガリア。
その姿にカマギリアとサソリアも笑みが浮かぶ。
「ケケケケケ! なるほどそういうことでしたの」
「シュシュー! これでまた一緒にいることができるわね。仲良くしましょう、ドクガリア」
「キキキキ! ええ、こちらこそよろしく、カマギリア、サソリア。これからは私もワームリアのためにすべてをささげるわ」
三人の女怪人たちが笑顔を見せるのを、グモーゾは満足そうに眺めるのだった。
******
「ン・・・あん・・・だ・・・ダメ・・・ダメよ・・・」
「んちゅ・・・んふふ・・・カマギリアのここ、こんなにとろとろになってる。美味しい。シュシュー!」
ぺろりと舌なめずりをして、再びカマギリアの股間に顔をうずめるサソリア。
その舌が外骨格の継ぎ目から中の秘肉に刺激を与え、愛液を溢れさせていく。
「ケケ・・・ああ・・・こ、こんな・・・ダメ・・・ダメよ・・・」
「うふふ・・・何がダメなの? シュシュー! 私たちは女怪人同士。楽しみ合ったって問題はないわ」
サソリアの黒く丸い単眼がカマギリアの痴態を見つめ、口元には笑みが浮かんでいる。
「ケケ・・・で・・・でも・・・ドクガリアが来たら・・・」
「来ないわ」
「え?」
その返事にやや苦いものを感じたカマギリアが驚く。
「シュシュー! ドクガリアは来ないわ。彼女は今頃グモーゾ様に犯されている頃よ。うふふ・・・」
「犯されて?」
「ええ。今は女怪人とは言え元はミラージュマリーを犯せるんですもの。グモーゾ様はとても喜んでいるんじゃないかしら。シュシュー!」
「ケケケ・・・そ、そんな・・・」
「シュシュー! 気になるかしら? 元娘のことだから・・・」
「あ、あん・・・」
サソリアの手の先にあるハサミの先端がそっと差し入れられ、カマギリアの躰に快感が走る。
「シュシュー! 渡さない。ドクガリアとカマギリアがかつて母娘だったとしても、先にカマギリアのパートナーになったのは私」
「サソリア・・・」
「私、うらやましかったのよ。あなたたちのことが。私の母親はろくな奴じゃなかったから・・・だからこうして女怪人になれて、カマギリアとパートナーになれたことがとてもうれしかったわ。クズどもも始末できたしね。シュシュー!」
言葉を紡ぎながらも、その手はカマギリアの肉襞を優しく刺激することをやめはしない。
「サソリア・・・あ、あん・・・」
サソリアのハサミがカマギリアの躰の官能の炎を燃え上がらせる。
それに、そう言ってもらえることもカマギリアにはうれしかった。
一緒に女怪人になった者同士、カマギリアにもサソリアのことを好ましく思わない理由はなかったからだ。
「シュシュー! だから私は渡さない。カマギリアは私のものよ」
カマギリアの上で躰を回転させていくサソリア。
その秘部がカマギリアの顔の位置にやってくる。
「ねえ、お願い。私のも舐めて。カマギリアの舌で私を気持ちよくして。シュシュー!」
「・・・・・・わかったわ、サソリア」
カマギリアの舌がサソリアの肉襞に触れる。
とろとろの愛液がカマギリアの舌を伝って流れてくる。
「ああん・・・いい・・・カマギリアの舌・・・いい・・・」
腰をくねらせて快感に打ち震えるサソリア。
すぐに自らもカマギリアの襞に舌を這わせていく。
「ケケケケケ! サソリアの舌もたまらないわ・・・あん・・・イっちゃう・・・」
二体の女怪人の痴態はいつ果てるとも知れずに続くのだった。
END
いかがでしたでしょうか?
明日は三日目最終日。
明日もいつもとはちょっと違ったSSだと思います。
先日ちらっと書きましたあの話です。
お楽しみに。
- 2018/07/18(水) 21:00:00|
- 怪人化・機械化系SS
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