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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

アメリカ南北戦争概略その40(最終回)

リー将軍の降伏は、南部諸州同盟の最後の足掻きも終わったことを意味しておりました。
ここに至って、残存の南軍各部隊も抵抗は無意味だと悟ったのです。
リーの降伏が情報として伝わるにつれ、南軍の各部隊は銃を置くようになりました。
ジョゼフ・ジョンストンの南軍部隊も、4月14日、追撃してきていたシャーマン将軍の北軍に対し、休戦を持ちかけました。

まさにこの時、歴史は痛烈な皮肉を合衆国に送ります。

リー将軍の降伏からわずか5日後の4月14日。
婦人や友人をともなってフォード劇場へ観劇に出かけた北部連邦大統領エイブラハム・リンカーンは、22時13分(23時17分説あり)、南部を信奉する俳優ジョン・ウィルクス・ブースの放った銃弾に倒れるのです。

リンカーンは翌朝に死亡。
合衆国憲法の規定に基づき、副大統領アンドルー・ジョンソンが大統領に昇格。
戦後は彼が合衆国をまとめることになりました。

歴史にイフは禁物ですが、もしこの事件が一年前であったら、南北戦争の行方は変わっていたかもしれません。
南北戦争は最後には大統領までも生贄に欲したのでした。

4月24日、デイビス南部諸州同盟大統領の下での最後の閣議がシャーロットで行なわれます。
4月26日、休戦状態だったジョンストンの南軍は、正式に北軍シャーマン隊に降伏。
5月9日には西部方面で粘っていたフォレスト将軍の部隊も降伏しました。
5月10日、ジェファーソン・デイビス南部諸州同盟大統領身柄拘束。
南部諸州同盟は終わりを告げました。

5月26日、南軍の最後の部隊(艦艇はこの後もまだ洋上にあるものあり)が北軍に降伏。
ここに4年の歳月に渡って戦われたアメリカ南北戦争(Civil War)は終わりを告げました。


この戦争の被害は未曾有のものでした。
北軍の戦死者約三十六万人。(戦病死含む)
南軍の戦死者約二十四万人。(同上)
合計約六十万人が命を落としました。

第二次世界大戦時の合衆国軍の戦死者数が約五万五千人ですから、被害の大きさがうかがい知れます。

死者ばかりではなく、国土も荒廃しました。
特にシャーマンの焦土戦術に晒された地域はしばらくの間復興ができないほどでした。
その間に合衆国の開発力は西部へ向けられ、南部は後発の遅れた地域となってしまうのです。

南部諸州は相次いで連邦脱退を撤回。
奴隷制廃止も決定し、1867年のテネシーを筆頭に1870年までに全ての州が連邦へと復帰しました。

しかし、奴隷制が廃止されたとはいえ、南部では黒人に対する差別感は根強く、近年に至るも完全には解消されません。
北部も南部再建よりも西部開発に重点が置かれたことで、南部の黒人差別は重要視されませんでした。

そして、華やかなる西部開拓史時代が到来するにつれ、南部は見捨てられアメリカの暗部とまで考えられるようになるのです。
西部劇の世界の始まりでした。

アメリカ南北戦争概略  終


参考文献
「南北戦争 49の作戦図で読む詳細戦記」 クレイグ・L・シモンズ(友清理士訳) 学研M文庫
「歴史群像1996年8月号 南北戦争特集」 学研
「歴史群像2000年秋・冬号 ハンプトンローズの戦い」 学研
「歴史群像2001年10月号 ゲティスバーグ会戦」 学研
「歴史群像2003年12月号 ニューオーリンズ攻略戦」 学研
「歴史群像2004年8月号 決戦 グラントvsリー」 学研
「歴史群像2005年10月号 アンティータムの戦い」 学研
「歴史群像2006年6月号 ブルラン1861」 学研
「世界の艦船 増刊第49集 アメリカ海軍昔と今(新版)」 海人社
「シミュレーションゲームマガジン タクテクス12号」 ホビージャパン社
「シミュレーションゲームマガジン タクテクス13号」 ホビージャパン社
「ゲームジャーナルVOL59 南北戦争」 同人誌
「コマンドマガジン日本版29集」 国際通信社
「コマンドマガジン日本版59集」 国際通信社

参考サイト(いずれも日本のです)
南北戦争研究室
アメリカ南北戦争
YSGA編集版アメリカ南北戦争日報
Wikipedia 南北戦争他

この場を借りまして、皆様に感謝を捧げます。
ありがとうございました。


足掛け四ヶ月の長きに渡りました「アメリカ南北戦争概略」もこれにて終了となりました。
最後まで拙い文章にお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

意図していなかったことですが、40回という区切りのいい回数で終わることができ、何か嬉しいものがありますね。
自分なりに南北戦争を最初からまとめてみようと思い立ったのが初めでしたが、どうにか最後までまとめることができました。
もっとも、資料本の簡略な写しであることはまぎれも無い事実ですので、もし、この連載を見て南北戦争に興味を持たれました方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひ直接資料本に当たってみてください。

日本ではなじみの無い戦争ですが、戦争の愚かしさ空しさ、さらには人間くささやユーモラスさなど、およそ戦争に関する全てがあると言って過言では無いと思います。
皆様にほんのちょっとでもその雰囲気が伝われば、執筆者としてこれほど嬉しいことはありません。

あらためまして、皆様お付き合いありがとうございました。m(__)m
  1. 2007/06/11(月) 20:42:55|
  2. アメリカ南北戦争概略
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<分不相応に有名? | ホーム | ありがとうございました>>

コメント

はじめまして、そして おつかれさまでした

はじめて書き込みさせていただきます。
長きに渡る南北戦争のお話、お疲れ様でした。

歴史モノは昔から苦手だったのですが、舞方さんの文章は本当に
ドラマを見ているみたいにワクワクさせてくれるので、
いつしかすっかり虜になっていました。

テーマが戦争なので、「ワクワク」という表現はあまり適切では
ないかもしれませんが、毎回、終わり方が絶妙だったので
次回の展開が気になって気になって・・・。

もちろん、今シリーズだけではなく、ナポレオンのお話も、
マイナーな兵器や戦艦のお話も、もちろん18禁の小説も
とても面白いです。おかげさまで今まであまり理解でき
なかった全身タイツや悪堕ちという属性にも目覚めた気が…(笑

今後もいろんなお話を書いてもらえると嬉しいです。
更新、楽しみにしています。

改めてお疲れ様でした。
  1. 2007/06/11(月) 21:30:16 |
  2. URL |
  3. TANA #GCA3nAmE
  4. [ 編集]

すばらしい記事の完成を祝いたいです

「南北戦争について知りたい」という人に、一番に薦めることができる文章が、ネット上でいつでも読める状態に置かれたことを、ものすごく嬉しく思います。

お疲れ様でした。とても興味深く、何度も読ませていただいています。気の利いたことを言えないのが何とも悔しいですが、最大限の尊敬の気持ちを送らせていただきたいです。
  1. 2007/06/11(月) 23:59:55 |
  2. URL |
  3. たかさわ #-
  4. [ 編集]

ほんとうにお疲れ様でした。

舞方さん、長きに渡りの連稿おつかれさまでした。
私の専攻は日本史だったので、
このような世界史的大事件の詳細を読み取れたことを
とてもありがたく感じています。
図書館行くにも時間が無いし、かと言って専門書を買うにも…。
そういうときに舞方さんのような方の熱意ある史書を
読むことができることはどれだけの幸せでしょう。
また、改めて始めからゆっくりと楽しみたいと思います。
  1. 2007/06/12(火) 08:52:37 |
  2. URL |
  3. MIZUKI #il1EYvco
  4. [ 編集]

皆様ありがとうございました

>>TANA様
初めまして。
コメントありがとうございます。
できるだけ次に興味を持っていただけるように最後は余韻を残すようにしましたけど、それを感じ取っていただけてすごく嬉しいです。
苦手な歴史物を楽しんでいただけたというのは、本当に光栄なことです。
これからもよろしくお願いいたします。

>>たかさわ様
すごくお褒めいただいてこちらの方こそ恐縮です。
少しでもお役に立てたのであれば、これに勝る喜びはありませんですね。
ありがとうございました。

>>MIZUKI様
日本史専攻のお方でしたか。
日本史も面白いですよね。
今度は関が原から大坂の陣へ至るぐらいも取り上げてみたいものですね。
今回の連載が多少なりともお役に立てたのでしたら嬉しいです。
これからもよろしくお願いいたします。
  1. 2007/06/12(火) 21:57:21 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
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