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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

全身タイツ仲間のはずが・・・ (前)

昨日書きましたとおり、今日明日で短編SS一本投下させていただきます。
本当はいっぺんに投下したほうがいいんでしょうけど、そこは二日ほど楽させてくださいませ。(笑)

タイトルは「全身タイツ仲間のはずが・・・」です。
いつもとちょっと違うようでやっぱりいつもの舞方節だとは思いますが、よろしければ目を通していただけますとうれしいです。
それではどうぞ。


全身タイツ仲間のはずが・・・

このところ夫の様子が何か変・・・
勤めていた会社が倒産し、三ヶ月前に転職したころからなんだけど・・・
何だか携帯を肌身離さず持つようになったし、電話のときも私には極力聞かれないようにしようとしているみたい・・・
それに夜勤も多く、夜になると大きなカバンを持っていそいそと出かけて行っちゃう。
昼間のお仕事だと聞いていたのに、そんなに多く夜勤があるのかしら・・・
まさか・・・
まさか浮気?
夜勤と偽って女性と会っているのかしら・・・

でも、夜勤から帰ってきた時はとても疲れたような感じだし・・・
浮気にしては妙な気もするわ・・・
いったい何がどうなっているのか・・・

「ひゃ、ひゃいー・・・すぐ行きます」
今日も夫がこっそりと電話に出ている。
会社からだというけどホントかしら・・・
だって、会社からさっき帰ってきたばかりじゃない・・・
一日に二度も会社に行くなんて変よ。
それに、電話に出るたびにひゃいひゃいってへんな声出しているし、怪しくない?
私といるときに浮気相手と話すからしどろもどろになっているんじゃないのかしら・・・

「すまんが仕事に行ってくるよ。遅くなると思うから先に寝ていていいから」
夫がいそいそと出かける支度をする。
「あなた・・・本当に仕事なの?」
「えっ? そ、そうだよ」
私に背中を向けたままの夫。
「おかしくない? だってさっき会社から帰ってきたばかりで・・・」
「また急な夜勤が入ったんだ。だから行かなくちゃならないんだ」
「そう・・・気をつけてね」
私は夫の背中にそう言う。
結婚三年目でそろそろ子供でもつくろうって言っていたのに・・・
こうしょっちゅう夜勤があるんじゃ・・・

「それじゃ行ってくる。ホント先に寝ていていいからね」
「はい。行ってらっしゃい」
昼間とは違い、大きなカバンを持って出かける夫。
あのカバンって何が入っているのかしら・・・
私はふとそんなことを思いながら夫を送り出した。

                   ******

「行ってらっしゃい」
朝、夫を送り出すと、私はすぐにあるものを探し始める。
あの大きなカバンだ。
朝の出勤時には持たないカバンなのに、なぜか夜勤の時には持っていく。
あの中を見たら、何かがわかるかもしれない。
私はそう思い、夫の部屋に入る。
普段掃除でいつも入っている部屋なのに、なぜか今日はどきどきするわ。
何だかしてはいけないことをしている感じ。
でも・・・
気になってしまうのよ・・・

「あった」
あのカバンはクロゼットの奥に隠すように置いてあった。
普段持ち歩くカバンなのに、なぜこんな隠すように・・・
やっぱり中は知られたくないものが入っているの?
もしかして浮気の証拠?

私はカバンを開けてみる。
中にはなにか黒いものが・・・
私はそれを取り出してみて驚いた。
えええええ?
何これぇ?
あの人がこんなものを着ているというの?

それは黒い布でできた両手両足のある全身を覆う感じの服だった。
なんていうの、全身タイツ?
黒い全身タイツがカバンの中にはあったのだ。
私がそれを広げてみると、どうやら頭の先から足のつま先までが全部覆われる感じで、背中にファスナーが付いている。
頭の部分は目の位置だけがくりぬかれていて、それ以外は鼻も口もマスクのように覆われるみたい。
目の周りは赤で縁取りされたようになっていて、そこだけが強調されている感じ。
あの人にこんな趣味があったなんて・・・
びっくりだわ・・・

カバンの中にはほかにも黒いブーツや手袋、腰に巻くベルトなどが入っていた。
ベルトには大きなバックルが付いていて、奇妙な蟲の模様が入っている。
なんていうか普段のあの人からはとても信じられない衣装だわ。

でも・・・
私は全身タイツを手に取ってみる。
ナイロンでできているのかすべすべした手触りで気持ちがいい。
何だか着てみたくなるのもわかる気がするわ。
もしかして、これを着るために夜勤と偽って出かけていたのでは?
みんなで全身タイツを着て楽しむために・・・
もし・・・
もしそうなら一言言ってくれればいいのに・・・
そうしたら・・・
そうしたら何?
言ってくれていたら私はどうしたの?
言ってくれていたら・・・
そう・・・言ってくれていたらいっしょに行ってみたいかも。
全身タイツを着てみんなで楽しむ・・・
どんな感じか行ってみたい気がするわ・・・

私はとりあえず取り出したものを元のようにカバンに戻す。
今晩夫が帰ってきたら聞いてみよう。
みんなで全身タイツを着て楽しんでいるのって。
もしそうなら私も一度参加してみたいって。
全身タイツってどんな感じかな・・・
さっきの手触りだと気持ちよさそうだわ。

                   ******

「ねえ、あなた」
夫が帰宅し、晩御飯の席で私は切り出した。
おいしそうに私の作ったおかずを食べてくれるのはうれしいけど、ちゃんと話もしないとね。
「なんだい?」
口をモグモグさせながら夫が顔を上げる。
「その・・・」
いざ話そうと思ったものの、何だか口ごもってしまう私。
「ん?」
「その・・・ごめんね。私見ちゃったの・・・」
「見たって・・・何をだい?」
夫が首をかしげる。
「その・・・あのカバンの中身」
ぴくっと夫の手が止まる。
「あれを・・・見たのか?」
青ざめた表情で私に問いかける夫に、私は無言でうなずいた。
「そ・・・うか・・・」
夫は箸も茶碗も置いてしまう。
どうしよう・・・
まさかそんなにショックを受けるなんて・・・
「あ・・・あの・・・」
私は何とか言葉をつなぐ。
「勝手に見ちゃってごめんなさい。最近あなたが夜勤夜勤って出かけるものだから、何だか怪しく思えちゃって・・・」
「そうか・・・」
「まさかあなたがあんなのを着て楽しむなんて思ってもいなくて・・・あ、別に気持ち悪いとかやめてほしいとか言うんじゃないの。隠れてやるんじゃなくて・・・なんていうか・・・」
ああ・・・なんて言えばいいの?
何だか夫も目を丸くしているわ。
「その・・・夜勤って言って、あなたはあれを着て仲間といっしょに楽しんでいるんでしょ?」
きっとみんなで全身タイツを着て楽しんでいるんだと思うの。
「だから・・・だから・・・もしよかったら・・・もしあなたさえよければ・・・私も仲間に入れてほしいの・・・」
最後のほうは声がかすれるように小さくなってしまった・・・
ちゃんと聞こえたかしら・・・

私が顔を上げると、夫はあんぐりと口をあけていた。
「あ・・・あなた?」
「ほ、本当かい?」
「えっ?」
「ほ、本当に仲間になってくれるのかい?」
先ほどまで青ざめていた夫が、ほほを紅潮させている。
「え・・・ええ・・・あなたさえよければ・・・興味もあるし・・・」
そう・・・
さっき手にしてみて、全身タイツって気持ちよさそうだったのよね。
だから一度着てみたいというのはうそじゃないわ。

「よかった・・・君を失うかと思った・・・」
「えっ?」
失う?
私を失うって?
「それなら善は急げだ。早くしないと君が狙われてしまう。すぐに支度して」
「えっ? 支度?」
「そうだ。外出の支度をするんだ。君を連れて行く」
すでに立ち上がり、外出の用意を始めている夫。
「ま、待って? 今からなの? 食事は?」
「そんなの後だ。早くしないとまずいんだ」
私は夫にせかされるように外出の支度をする。
まさか今これから?
どこへ行こうというの?

私は夫に車に乗せられ、どこかへ連れて行かれる。
まだ食事の途中だったというのに、いったいどこへ行くのだろう。
いつになく真剣な夫の表情に、私は少し怖くなる。
後ろの座席にはあの全身タイツの入った夫のカバンがある。
あれを見たことで何が起こっているのだろう・・・
「あなた・・・どこへ行くの?」
「おとなしくしててくれ。すぐに着く」
私のほうを見ようともしない夫。
私もそれ以上は何も言えなかった。

夜の街を10分ほど走ったころ、車は街中のビルの地下駐車場に入っていく。
「ここは?」
「リュゼーのアジトのひとつだ。さあ、来るんだ」
駐車場の奥に車を止めた夫は、後ろからカバンを取り出すと、私に付いて来るように言って車を降りる。
私は仕方なく夫の後に付いていくと、関係者以外立ち入り禁止と書かれたドアを通った。
「あなた・・・大丈夫なの? こんなところに入って・・・」
「ああ、とにかく黙って付いて来るんだ」
「は、はい・・・」
私は夫の背中に黙って付いていくしかなかった。

しばらくすると両開きの重々しい扉が現れた。
扉にはあのベルトについていた奇妙な蟲のようなマークが付いており、何だかとても気味が悪い。
それなのに夫は平気な顔をして、扉に向かって右手を上げた。
「ヒャイー! 戦闘員174号参りました。報告したいことがございます」
私は思わずあっけにとられてしまう。
何なのこれ?
でも、私はすぐに思い至った。
そうだわ・・・
きっと秘密クラブみたいな感じなんだわ。
確かに全身タイツを着て楽しむなんて事は、そうそうおおっぴらにできることじゃないだろうし、夫が夜勤と言って出かけていたのもうなずける。
そう思うと私は何だか納得できて、不安がすっと消えるような気がした。

重々しい扉が開くと、暗い廊下が続いていた。
「来るんだ」
夫が私にそう言うと、先ほどと同じように先に立って歩いていく。
私は暗くて足元が気になったが、夫の後を追いかけた。
そして、少し行ったところでドアがあり、夫がそこで立ち止まる。
「ここで着替えるからちょっと待つんだ。いいね、どこへも行ってはいけないよ」
「え、ええ・・・」
私がそう返事をすると、夫はドアの中へと消えていく。
暗い廊下に一人取り残された私は、とたんに心細くなってしまったけど、いまさらどうしようもない。
それに戻ろうとしても、暗い廊下が一本道だったかどうかもわからず、戻るに戻れない。
私はまた不安を感じながら、夫が出てくるのを待った。

  1. 2016/03/07(月) 21:19:46|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
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このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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