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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ソーラレイ

今日は少し早めに更新です。
この後でちょっとやることがあるものですから。

今日はローネフェルトです。
よかったら読んでやって下さいませ。

「今、どのあたりだ?」
俺はモンテビデオのパイロットルームで読みかけの雑誌から顔を上げる。
「間もなくア・バオア・クーの第三哨戒圏に入るあたりでは無いでしょうか」
編み物の手を休めるチュイコワ曹長。
物静かなクールビューティというイメージが強いアナスタシアだが、時間があるときはいつも編み物をしていることが多い。
一度誰にあげるのか聞いたことがあるが、にっこり笑ってナイショですと言われてしまった。
今編んでいるのはどうやらセーターらしい。
色から言っても男物のようだが・・・
「中尉殿! 中尉殿!」
パイロットルームに駆け込んでくるエイボン曹長。
こいつはおっちょこちょいなところがあるが、憎めない可愛い奴である。
「どうした?」
俺は立ち上がると自販機のところへ行く。
「ホワイトベースがやりましたよ。すごいですぅ」
目をきらきらさせているミスティ。
まるで自分のことのようだ。
「やったって? 何が?」
「ソロモンの亡霊ですよ。ソロモンの亡霊を撃破したんです!」
「なんだと?」
俺はコーラのチューブを取り出してキャップを開けた。
ソロモンの亡霊というのは、先日コンペイ島周辺の艦艇を次々と撃沈してくれた恐るべきモビルアーマーのことだ。
コンペイ島に残されたデータによると、どうも遠隔操作の小型機を使ってくるらしい。
殺りあいたくない相手だったが・・・そうか、ホワイトベースが殺ってくれたか・・・
「すごいわね。さすがホワイトベース」
編み物の手を止めるアナスタシア。
俺はコインを入れて二人の分も飲み物を取り出した。
「ほらよ」
「あ、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
俺が投げるチューブを二人はしっかりキャッチする。
「あ、それとそれと、戦争終わりです」
「戦争終わり?」
俺は耳を疑った。
ソロモンが落ちたってキャリフォルニアが落ちたって降伏しないジオン軍だぞ。
サイド3までは終わらないんじゃないのか?
「どういうことなの?」
アナスタシアもいぶかしげにしている。
「ジオンの王様がレビル将軍に降伏して来たんですよ。間もなくフェーベに接触してくるとか。うーっ、やったぁぁぁぁ!」
万歳して飛び跳ねるミスティ。
これで戦争が終わるということで嬉しいのだろう。
「それって本当なのか? いまいち信用できないが・・・」
「謀略の可能性もありますね」
俺とアナスタシアは顔を見合わせる。
確かに謀略の可能性は否定できないのだ。
「そんなこと無いですよ。もう艦橋では戦争終わったってノーマルスーツ脱いでいますよ」
「まだ脱ぐなよ。油断はするな」
俺は急いでそういった。
確認できるまでは油断するな。
「はい、中尉殿」
慌てて黄色のパイロットスーツのシールを確かめるミスティ。
すまんな。
だが、用心に越したことは無いんだ。
「艦橋に行ってくる」
俺は情報確認のために艦橋へ向かった。

岩肌を掠めるように飛ぶ私のYMS-15。
その背後には急速に接近してくる二機の09Rがいる。
ジャイアントバズのペイント弾は私を交錯するように放たれ、ぎりぎりのところで要塞表面の岩に赤や緑をぶちまける。
やるわね・・・
私はベクトルを左右に振り分け、反転のチャンスをうかがって行く。
パットもアヤメもすごくいいコンビーネーションに育ってきたわ。
もう宇宙での戦闘には何の問題も見当たらない。
それどころか気を抜くと撃墜されちゃうわね。
私はようやく装備されたシールドからビームサーベルを抜き放つと、急速に減速して要塞の表面を蹴り飛ばす。
いきなり反転した私の15に二人の09Rは一瞬コース取りにためらいを見せる。
こういった場合には二人という点がかえって不利に作用しかねないのだ。
私はまっすぐにアヤメの09Rに突っ込んで行き、ビームサーベルを作動させずに突き出した。
『あうぅ・・・やはりお姉さまはさすがですぅ』
アヤメの声がしょげている。
そりゃね。
負けるわけには行かないじゃない。
『イヤァァァァァッ』
ヒートサーベルを振りかざして突っ込んでくるパットの09R。
私の教えを忠実に守っているわね。
近接戦闘は勝利した一瞬気が抜けるもの。
本当に危険なのは敵を切り伏せた後なのだ。
「ごめん」
私はアヤメの09Rを蹴り飛ばして位置をずらす。
直前にいた位置を狙いたがわずパットの09Rは切り裂いた。
すかさず私はシールドのロケット弾を模擬発射する。
コンピュータの計算が当たり判定を下し、パットの09Rは脚部損傷とみなされた。
『まだまだぁ!』
AMBACを使わずに各部バーニアを吹かして反転するパットの09R。
「甘い!」
そんな動きは見切っているわ。
私は反転した09Rののど元にビームサーベルを突きつける。
これで・・・えっ?
『相討ちですよ。お姉さま』
パットがしてやったりと笑っている。
パットの09Rのヒートサーベルはピッタリと私のコクピットの前に切っ先を突きつけていたのだ。
いつの間に・・・
私は苦笑した。

その時、曳光弾が私の脇を走り抜けて行く。
「な? 敵?」
私はすぐに全周索敵を行なう。

周囲に敵の姿は無い。
『す、すみません』
すぐにレーザー通信が入ってくる。
『実弾訓練中に軌道を変更してしまいました』
見ると不恰好なモビルポッドが数機、展開して実弾訓練中らしい。
あれがMP-02Aオッゴ?
じっくり見るのは初めての機体。
円筒を横にして下部にアーム、上部にモノアイ、そしてザクマシンガンを固定武装とした機体。
とにかく簡単に作れて数を揃えるための兵器。
連邦のRB-79と大差ない代物。
どちらが有効なのかしらね。
「こちらは軽巡ブリュメル所属のYMS-15およびMS-09R。実弾訓練は充分気をつけなさい」
『え、ええっ? ロ、ローネフェルト大尉殿ですか?』
え?
通信機から流れる少女の声。
あの時の少女たちなの?
『第894モビルポッド中隊のエリカ・シュトラウト上等兵です。昨日は握手していただきありがとうございました』
私は昨日の少女たちの顔を思い浮かべる。
あの中の一人だったのだろう。
「こちらこそ。頑張ってね。シュトラウト上等兵」
『はい。頑張ります』
力強い声。
きっとあのコクピットの中でドキドキしながら私の声を聞いているに違いない。
そう思うと、なんだかかえって照れくさいわね。
『こら、いつまでおしゃべりしているの! 大尉殿はお忙しいのよ。それにまだ訓練は終わっていないわ』
『は、はい、小隊長』
シュトラウト上等兵のMP-02Aが戦列に復帰する。
再度の射撃訓練に望むのだろう。
私もチームの訓練を再度行なおうと二人のほうに振り返った。

『ビジッ・・・ビジジジ・・・』
いきなり空電ノイズが通信機に割り込んでくる。
私は再度振り返った。
『シュトラウト上等兵!!』
『エリカ~!!』
複数の叫び声が上がる。
先ほどまで会話していたMP-02Aのザクマシンガンが爆発していた。
「な・・・」
私はすぐにスロットルを全開にし、ペダルを踏み込む。
ぐんと言うショックとともに15が加速を開始する。
「何があった?」
『暴発です。シュトラウト上等兵のオッゴの銃が暴発して・・・』
クッ・・・
私は歯噛みする。
起こるべきことが起こってしまったのか・・・
「シュトラウト上等兵! シュトラウト上等兵! 返事をしなさい!」
私の背後にはすぐにバックアップができるようにアヤメとパットが続行する。
何も言わなくてもこうした判断ができるのは心強い。
『ああ・・・あああ・・・痛い・・・痛いよぅ・・・』
ザクマシンガンの暴発で推力を得てしまったMP-02Aは要塞に向かって落ちて行く。
各所から火花を吹いたMP-02Aは制御不能に違いない。
「聞こえる? シュトラウト上等兵! 聞こえているなら脱出して!!」
私は声を限りに叫んでいた。
すでに他のMP-02Aはあまりの事に動けないで居る。
私は何とか加速を合わせて追いすがろうと15を向けた。
『ああ・・・いやぁ・・・死ぬのはいやぁ・・・おかあさーん・・・おにいちゃーん・・・』
「脱出しなさーい!!」
私の叫びもむなしくMP-02Aはそのままの速度でア・バオア・クーに激突する。
『ジジジ・・・』
爆発が起こり通信機にノイズが入る。
「シュトラウト上等兵!!」
私はやりきれない思いに包まれた。
整備不良だ・・・
学徒動員はパイロットだけではない。
モビルスーツを稼働させるために重要な整備部門でも学徒動員によって少年少女が働いている。
だけど、一週間やそこらの指導期間でモビルスーツの整備などできるはずが無いじゃない・・・
だから・・・
だから絶縁不良とかが・・・
『お姉さま・・・』
『お姉さま、あれを』
そばに来たパットとアヤメが一点を指差す。

あれは何?
私が顔を上げたその向こうで、一筋の光が宇宙を切り裂いていった。



姫宮 翼
整備不良で事故死は本当に勘弁して欲しいです。
信用が出来ないと言う精神面への恐怖が出てきますからね。
学徒動員なんてどっちにしても良い事なんてありはしないんですよね。

ソーラレイ出てきましたね。これでいよいよ最終局面ですか。
スターダストメモリーの時はガトーが単機で突っ込んで破壊していたのが印象的な兵器です。
7月23日 19:50

漆黒の戦乙女
整備不良…嫌な言葉ですね
パイロット…というか兵士としては戦場で散ることが一番名誉?なんだと思うんですがこれはなんと言っていいやら
模擬戦、パットもすごく強くなったわけですね
そしてとうとうでたソーラレイ発射、後のない国(者?)同士の総力戦が始まるわけですね

ガトーがつっこんだのはソーラシステムⅡの制御艦につっこんだわけで、ソーラレイは密閉型コロニーを改造した巨大なレーザー砲なんですねたしか
発展型なのがコロニーレーザー…になるのかな
7月23日 21:32

舞方雅人
>>姫宮 翼様
太平洋戦争当時の日本軍も整備不良にはなかされたようですね。
エンジンもすぐに故障したりとか、大変だったようです。
ソーラレイとソーラーシステムは混同しやすいんですよねー。
ミラー並べるのはソーラーシステムですー。

>>漆黒の戦乙女様
戦う前に死んでしまうというのはまさに浮かばれないですよね。
こういったこともあったのではないかと思い書きました。
最後の総力戦が大変ですー。
7月24日 22:09
  1. 2006/07/22(土) 19:54:51|
  2. ガンダムSS
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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