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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

異聞クリスタルローズ最終回(沙弥香様作)

当ブログにいつもコメントをいただき、リンクもさせていただいております「沙弥香の脳内妄想」の沙弥香様から、当ブログの一周年記念として非常に素晴らしいSSをいただきました。

E=MC^2に掲載させていただいていた、「正義の女戦士クリスタルローズ」の最終回の沙弥香様バージョンです。
クリスタルレモンをしっかりと妖女虫化させていて、非常に完成度も高く、最初に読んだ時にはこういったエンドでも良かったなと思わされてしまいました。

正直素晴らしい出来栄えで、さすがにいつも素敵なSSで皆様を楽しませていらっしゃる沙弥香様です。
ご許可をいただいたので、ここに掲載させていただきますね。

別な形のクリスタルローズのエンディング、存分にお楽しみ下さいませ。

「クリスタルパワー!」
三崎聖夜がペンダントを取り出し、高く掲げる。
ペンダントの魔力が解放され、それが巻きつくように聖夜の躰を覆って行く。
やがて魔力の渦の中から、パープルのミニスカート型のコスチュームとヘルメットに身を包んだクリスタルレモンが姿を現した。
「ふふふ、驚いたわね、その若さ・・・もしかしてクリスタルの聖女からエネルギーをもらっているのかしら?」
「・・・そういうことにしておいてちょうだい・・・あなたに詳しく答える必要などないわ!」
言うが早いか、三崎聖夜、いえ、クリスタルレモンは私に向かって飛び掛ってくる。
「はっ!」
すごい・・・
全盛期のクリスタルレモンの身のこなしだわ。
私はとっさに身をかわした。
が、胸のあたりに奇妙な圧迫感を受けた。
何・・・?
たしかに間合いは見切っていたはず。
クリスタルレモンは私に触れることなどできなかったはずだわ。
まさか ―
クリスタルレモンの手にある、変身に使用したペンダントが変形しているのが見えた。
それは、コスモソードの柄のような形になっていた。
まずいわ・・・あれは ―
それは聖女から与えられた究極のエネルギーウェポン、コズミックカッターだったのだ。
あれをまともに食らっては、いくら強靭な外骨格に守られた私の体とはいえ真っ二つ。
どうやら、彼女も必死のようだわ・・・綺麗ごとではすまなくなっているってわけね。
「あまりこういうやり方は好きじゃないのだけどね ―
あなた達は地上の平和を脅かすものとして巨大になりすぎたわ。
こちらも力の加減ができないのよ。」
やはり、そういうことか ―
「はぁっ!」
ふたたびクリスタルレモンが飛び掛る。
コズミックカッターの切っ先は真っ直ぐ私をめがけて伸びてきた。
刃先までの間合いはわかっているとはいえ、無傷ではよけられそうにない。
「くっ!」
私はそのまま急速に後退し、自分から敢えて壁にぶつかった。

ドスンッ!

そして壁を蹴り天井に向かって飛び上がる。
そのまま天井の弾力を利用して角度を変え、クリスタルレモンの脳天へ踵落としを食らわそうとしたのだが ―
「はっ?!」
滞空している私の眼下には、クリスタルレモンに捉えられたホタルナがいたのだ。
「ぐっ・・・!し、しまった!」
このまま蹴り下ろしたのではホタルナの脳天に突き刺さってしまう。

ガシャンッ!

私はホタルナの体をよけるようにとっさに体の向きを変えた。
保健室の薬品棚に、私は体ごと突っ込んでしまった。
どうにか、ホタルナに衝突することは避けられた。
「ブ、ブラックローズ様!」
ホタルナは私の身を気遣い、駆け寄ろうとするが、クリスタルレモンに拘束されているためにそれもままならない。
「ぐっ!」
クリスタルレモンの左腕が、全盛期を取り戻したパワーを以ってホタルナの首筋に食い込む。
「おっと、ごめんなさいね・・・
正義の味方たるもの、こんな卑怯な戦い方はしたくはないのだけど・・・」
どうやら2度目の攻撃は、最初からホタルナ目当てであったようだ。
クリスタルレモンの表情に心なしか苦悶の色が見える。
ふふふ・・・甘いわね・・・正義なんて・・・
ホタルナのことは心配ないだろう。
それは今に判る。
「ブラックローズ様・・・申し訳ございません・・・私がふがいないばかりに・・・」
まぁ・・・
ふふふ、なかなか役者じゃない、ホタルナったら。
「とりあえず、縁根先生が安全なところに逃げるまで時間を稼がせていただくわ」
クリスタルレモンが言う。
やはりね・・・甘いわよ、クリスタルレモン・・・
所詮正義なんてそんなもの。
くだらない正義感・倫理観に縛られて、持ちうる力の半分も発揮できないんだわ。
悪はそんなことはないの・・・悪は、ね・・・ふふふ

パァァァァァァッ・・・・!!!

突然ホタルナの全身が光りだす。
それは薄緑色の、この世のものとは思えないような美しい光だった。
「え?」
目をつぶらなければならないほどの眩しさではない。
「い、いったいこの光は?・・・・あ?・・・な、なにが・・・?」
ふふふ、もらったわ・・・
思わずクリスタルレモンは光を見てしまったのだ。
突然クリスタルレモンは崩れるようにその場に膝を突き、ホタルナの首を羽交い絞めにしていた腕も緩めてしまう。
「ふふふ、ホタルナの放つ蛍光は強力な催眠効果があるのよ」
そんな私の言葉に歯軋りをしながら悔しがるしかないクリスタルレモン。
「くうっ・・・!ひ、卑怯な・・・」
「うふふ、学園長・・・これまでですわね」
ホタルナが不敵に微笑む。
とても頼もしい妖女虫になったものだわ。
ホタルナはクリスタルレモンにトドメを刺そうと光のパワーを最大にする。
光は薄い緑色から眩いオレンジ色に変わってゆく。
この光は私たち地底帝国の者にとってはただの光だが、地上の人間どもにとっては見ているものの脳細胞をぐちゃぐちゃに破壊してしまう殺人光線なのだ。
「ぐうっ!!・・・きゃぁ!」
さすがのクリスタルレモンも、もとは生身の人間。
我が地底帝国の妖女虫に敵うはずが無い。
脳みそをシェイクされるような激痛にのた打ち回るクリスタルレモン。
ククク、正義面した人間の苦悶の表情はたまらないわね。
さて・・・
私はこの保健室に持ってきたもう一つの魔獣の核を取り出した。
「あら?・・・うふふ」
それだけで全てを察したホタルナは、私が何も言わずとも、「殺人光線」の出力を弱めていった。
「うう・・・はぁはぁはぁ・・・」
激痛から解放されたクリスタルレモンだが、すでに立ち上がる気力も、シールドを張るパワーも残っていない。
姿カタチも、もとの三崎聖夜に戻ってしまっていた。
汗だくになって仰向けに倒れているだけだ。
聖夜の豊かな胸が大きく波打ち、苦痛の大きさを物語っていた。
「ふふふ、さようなら、正義のクリスタルレモン・・・」
私は聖夜にニッコリと微笑みかけると、しなやかに波打っているその魅力的な胸の谷間へ、魔獣の核を押し込んでやる。
「ぐぅっ!・・・・ああっ!・・・」
魔獣の核は、シールドの張られていない聖夜の体の中へ、いとも簡単に埋没して行き、聖夜はそのままぐったりと気を失ってしまった。
「ブラックローズ様、もしかして最初からこのように?」
ホタルナが悪戯っぽい笑みを浮かべて聞いてきた。
頭上の触角がフルフルと小刻みに動くのがカワイイ。
「ええ、もちろんよ。
 クリスタルの聖女のこと、また小細工をしてどこかにエネルギーを転送しないとは限らないでしょう。
 そうしたらまたクリスタルレモンのような正義にうつつを抜かす戦士が現れるに違いないわ。
 それよりも、そのままそのエネルギーをこちらの手駒として使ってやるのよ。
 そのほうが賢明だからね。」
「さすがですわ、ブラックローズ様」
ホタルナはうっとりとした表情で私に寄り添ってくる。
「ふふふ・・・あ、始まったようよ」
聖夜の周囲に闇がわだかまり、瞬く間に彼女の体を包み込む。
闇の立ち込めている隙間から垣間見える聖夜の体 ―
若返った聖夜のプロポーションをさらに魅力的に見せる大きくくびれたウェスト。
臀部が鋭く競りあがり、その先端には鋭い毒針が生えてくる。
豊満で魅惑的な乳房には、その頂点を中心に同心円の模様が広がってゆく。
膝から足首まで、そして肘から手首までがそれぞれフサフサとした黒く美しい毛に覆われ、手足の指先には鋭く強靭なカギ爪が漆黒の光を放ちながらニョキニョキと伸びてきた。
目は大きな複眼となり、頭上には長い触角が伸びている。
そして、背中には大きな透明の羽が4枚、まるで美しいベールのように彼女の体を覆っている。
口元だけがかつての聖夜の面影を残すその新たな妖女虫は、残忍な肉食昆虫スズメバチをモチーフとしたものであることがわかる。
ゆっくりと私たちの前で起き上がる妖女虫。
「ふふふ、どうやら完成ね・・・気分はいかがかしら?」
私はその美しいフォルムに包まれた芸術品に声をかけた。
「ふふふ、私は妖女虫ジバチナ・・・最高の気分ですわ・・・
 ブラックローズ様、これからは地底帝国に忠誠を誓います・・・
 地底帝国に栄光あれ!」
こうして学園長であり正義の戦士クリスタルレモンであったかつての三崎聖夜は妖女虫ジバチナとなった。

                 ****************

「これでこの地上に巣食うおろかな正義の使者とやらは全て我々地底帝国の手中に堕ちましたわね。」
私は大きな達成感を感じながらゲドラー様に言った。
「ふん、しかし、またいつクリスタルの聖女が新たな使者を送り込んでくるかはわからん。
まぁ、そのときはそのときだがな」
ゲドラー様は私たちに油断は禁物と戒めるが、余裕しゃくしゃくのご様子でグラスの中の琥珀色の液体を口に含む。
まったく頼もしい限りだわ。
「ククク・・・ご心配には及びませんわ、ゲドラー様」
三崎聖夜、いや、妖女虫ジバチナが妖艶な笑みを浮かべ、ゲドラー様のあとに続く。
「クリスタルの聖女からのパワーは、すべてこの妖女虫ジバチナを通して空間転送されて参ります。」
あら、ふふふ、そうだったわね。
私たちには頼もしい味方ができたのだったわ。
それも、クリスタルの聖女どもにとって最も手ごわい、ね・・・ふふふ
「ふん、なるほどな。つまりそなたを通じてパワーを我々で横取りできるというわけか。」
「ええ・・・それだけではなく、パワーを根こそぎ吸い取ってしまうこともできますわ。
次の空間転送のチャネルが開いたときがクリスタルの聖女どもの最期というわけですわ・・・ホホホ・・・」
ジバチナは手の甲を口に当て、高らかに笑った。
もはや三崎聖夜は、残忍な妖女虫ジバチナとしてクリスタルの仲間たちを根絶やしにすることに生きがいを感じているようだ。
「ふん、知らずはクリスタルの聖女だけ・・・というわけか。それもまた一興だな」
ゲドラー様はクリスタルの聖女たちの最期を予感して、満足そうに再びグラスを傾けた。



沙弥香
わぁお!本当に掲載してくださったんですね!
なんか、とっても不遜なことをしてしまったのではないかと、内心ビクビクなんですが・・・(^_^;)
(舞方さんのSSを否定していると受け取られかねない行為ですからね)
クリスタルローズからSSの書き方の多くを学ばせて頂いた沙弥香の、舞方さんへのオマージュとして軽く読み流していただければ幸いです。
どうもありがとうございました<(_ _)>
7月23日 21:29

漆黒の戦乙女
わぁ~、沙弥香さんの話もいい感じですね
ハチになったんですね…どうしましょ、なんとなく妄想ではネタを仕込んでたクリスタルローズのその後の話、書いて…いいのかな
7割以上オリキャラネタで終わりそうな予感があるのが問題ですが
学園長の妖女虫化はこれで行くことになりそうですね…なんだか自信も含めて3人分のものをまとめるような感じがしてきて勝手にプレッシャーを感じてたり(^_^;)
7月23日 21:45

metchy
いいですね、アナザーストーリー。自分的にはこっちのほうがトゥルーエンドって感じですけど。
学園長はいろんな意味で最強の妖女虫になりましたね。新たなクリスタルの戦士が現れない今、地底帝国はまさに鬼に金棒ですね。
この後、地上がどのようになっていくのかは妄想で済ますとして、沙弥香さん、お疲れ様でした。文才のある方ってうらやましいですよ。
7月24日 12:16

舞方雅人
>>沙弥香様
投稿いただき、本当にありがとうございました。m(__)m
これからも素敵な作品で我々の眼を楽しませていただけると嬉しいです。
これからも頑張ってくださいねー。

>>漆黒の戦乙女様
妄想いただき嬉しいですねー。
自分の作品の続きとかを妄想していただけるというのは、作者冥利に尽きますね。
もしSSをお書きになって、投稿したいということであれば、私はいつでも大歓迎です。
もちろんクリスタルローズの二次創作ばかりでなく、オリジナルを投下したいということでも、充分対応可能ですので、お待ちしておりますよ。

>>metchy様
おっしゃるとおりですねー。
私もこういう結末を用意していただいた沙弥香様には感謝感激です。
学園長の変貌シーンも萌えですし、妖女虫ジバチナの姿もいい感じです。
本当に沙弥香様にはありがとうございました。
7月24日 22:17
  1. 2006/07/23(日) 20:45:01|
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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