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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

「きて」原作

先日、先々日に引き続きまして、10年記念&400万ヒット達成記念ということで、「極北興行」様にお送りしまして写真集「きて」の原案となりましたSSを、「極北興行」様のご好意により公開させていただきます。

「極北興行」様は残念ながら活動を休止されていらっしゃいますようで、現在は「きて」の写真集を新たに見ていただくことはかないませんが、原作SSだけでもお楽しみいただければと思います。
この作品も前作「儀式」同様昭和仮面ライダーの二次創作でありまして、新仮面ライダー、いわゆるスカイライダーに登場したネオショッカーの戦闘員であるアリコマンドがモチーフとなっております。
お楽しみいただけましたら幸いです。


「きて」

「ふぅ・・・」
水しぶきを上げて水面から顔を上げる泉美(いずみ)。
紺色のスクール水着とUVケアのしっかりできた白い肌が水滴をはじいて輝いている。
友達と一緒に泊まりに来た山小屋の近くにこんな素敵なプールがあるとは思わなかった。
露天風呂に入るため一応持ってきていたスクール水着が役に立つとは。
泳ぐのが好きな泉美は、早速スクール水着に着替えてこのプールに泳ぎに来たのだった。

パシャッと水を滴らせてプールサイドに上がる泉美。
気がつくと随分泳いでいたようだ。
もともと人気のないプールだったが、今は泉美の他には誰もいない。
泳ぎ疲れた友人たちは、一足先に山小屋に戻っていると言っていた。
そろそろ私も戻ろうかなと泉美は思う。
まだ夕方までは時間があったが、そろそろ戻って夕食の支度を手伝わないと、何を言われるかわからない。
女同士なんてそんなもの。
自分だけが働いているなんて思わせたらまずいのだ。
泉美はデッキチェアにかけておいたバスタオルを背中から羽織ると、プールから程近い山小屋にそのまま戻ることにした。

「あれ?」
山小屋に戻る途中、泉美は奇妙なものを見かけた。
友人たちと借りている山小屋近くに、黒い人影が二人歩いていたのだ。
陰になっていて黒かったのではない。
文字通り真っ黒な姿だったのだ。
まるで全身を黒いもので覆っているみたいだ。
しかも、それが躰にぴったりとしているようで、二人が女性であることがすぐにわかるほどだ。

「何あれ?」
泉美は思わず立ち止まって様子を見ていたが、二人の人影は山小屋の影に入ってしまって見えなくなった。
「何だったんだろう・・・何かのコスプレかな」
こういう人があんまりいない場所でコスプレパーティでもしているのかもしれない。
でも、あんなふうに躰のラインが露出されるのは恥ずかしくないのだろうか・・・
泉美はふとそんなことを思いながら、また小屋に向かって歩き出した。

「ただいまぁ」
友人たちと借りている山小屋へツインテールを拭きながら戻ってきた。
夏のバカンスにちょうどいいと思い、みんなで借りることにしたものだ。
幸い空きがあったらしく予約もスムーズに行えたし、料金も手ごろなものだった。
部屋もそこそこ広く、居心地はすごくよい。
まさに夏の一日を過ごすにはうってつけだ。

「あれ?」
部屋の中には誰もいない。
先に戻ってきたはずの二人がいないのだ。
「トイレ・・・じゃないよね?」
まさか二人一緒にトイレとは考えづらい。
荷物はベッド脇に置いてあるし、夕食の食材もキッチンに置いてある。
もしかしたら、泉美の帰りが遅いのでプールに迎えに行き、入れ違いになってしまったのかもしれない。
だとしたら、かえって探しに行くよりもここで待っている方がよさそうだ。
そのうち帰ってくるだろう。

と思った泉美の目に奇妙なものが映った。
「えっ?」
別途のそばにあるソファの上に真っ黒い折りたたまれた布。
こんなものはプールに行く前にはなかったものだ。
いったい誰が置いたのだろう。
黒い布なんて何か変だ。その上には白い紙。そしてそこには

「きて」

と、ただそれだけが書いてあった。泉美は首筋に薄ら寒い物を感じたが、紙を横にどけ
その黒い布を拾い上げた。そしてまたしても驚愕する。
「えええっ? これって?」
泉美は思わずそう口にする。
手に取った布ははらりと広がると、両手両脚のついた全身タイツだったのだ。

その瞬間泉美の頭の中に『・・・きて・・・くるのだ・・・』という声が響いた。
「えっ!」泉美は振り返り回りをキョロキョロするが誰もいない。
そして黒い布にまた目をやる。

「これって・・・全身タイツ・・・だよね? 何でこんなものがここにあるの?」
泉美は両手で全身タイツの肩の部分を持ってみる。
だらんと両手両脚が下がり、それぞれ指先やつま先まで覆う形になっていることがわかる。
背中にはファスナーが付いていて、そこから着るようになっているらしい。
首から上の頭の部分もしっかり付いていて、どうやら頭をすっぽりと覆う感じになるようだ。
額には何かちょこんと飾りが付いていて、何だか昆虫の触角を思わせる。
鼻や口は開いてなく、ただ目の部分だけが丸くくりぬかれているようだった。

「どうしてこんなものが・・・」
しばらく呆然としてその黒い全身タイツを見ていた泉美は、ふと先ほど見た真っ黒な人影に思い当たった。
もしかして、あれはこの全身タイツを着た人だったのかもしれない。
いや、そうに違いない。
もしかしたら、今ここにいない二人がこの全身タイツを着て出て行ったのかもしれない。
「どういうことなの?」
何もかもがわからない。
なぜこんなものがここにあるのかも、なぜ二人がここにいないのかも。

泉美は「きて」という書き置きの意味を考えた。「着て」なのか「来て」なのかそれとも両方なのか・・・。

考えているうちに泉美の頭はぼうっとしてきた。
やがて気づくと泉美は全身タイツの背中のファスナーを開け始めていた。
ファスナーを開ける感触がなぜか泉美の心をざわつかせる。
完全にファスナーを開け切ると、泉美は脚の部分をくしゃくしゃとまとめていく。
そして右脚からゆっくりとつま先を差し込むと、太ももまで一気に脚の部分を通していく。
同様に左足も。若干厚手に出来たこのゼンタイはタイツやストッキングとは違う感触。
何百デニールあるのだろうという感じの黒さ。

次に泉美は全身タイツを腰まで持ち上げる。
気がつくとまだ生乾きのスクール水着を着たままであったが、今更どうしようもない。
そのまま全身タイツを着込んでいく。ここからは未知の領域だ。
右手を袖に差し込み、手袋のところまで押し込んでいく。
それぞれの指を手袋に収め、握ったり開いたりしてなじませる。
手が収まったら、袖を引き上げて腕をすべて通していく。
ナイロンのすべすべした感触がなんとも言えず不思議な感じがする。

左手も同じようにして袖に通した泉は、両肩まで全身タイツを引き上げる。
すでに見下ろした自分の躰は黒一色になっていて、いつも見慣れている自分の躰とはまったく違うように感じた。
着ていたはずのスクール水着の感触もどこか薄れた気がして、まるで腰周りやお腹のあたりも手脚同様に素肌に直接全身タイツを着ているような感じがする。
何より思ったより着心地がよく、着てみてよかったと泉美は思った。

やがて泉美はツインテールをほどき胸のところに垂れ下がっている頭の部分を取り上げる。
そしてそのまま自分の頭にすっぽりとかぶせていく。触覚の様な部分が額付近に触れた瞬間
泉美は電流が体中を駆け巡った感覚にとらわれ、何かのスイッチが切り替わった・・・。
視界が遮られていたのでマスクをずり下げる。すぐにくりぬかれた目出し穴が目の位置に収まり、
まったく視界は問題なくなった。
頭をすっぽりと覆い、髪をまとめてゼンタイに押し込むと何かちょっとした圧迫感が泉美を包む。
あとは背中のファスナーを閉めるだけ。
泉美は背中に手を伸ばし、ファスナーを閉めていく。
先ほど開いたときと同じような感触を受けながら、ファスナーがゆっくりと閉じられる。
より一層全身タイツが肌に密着してくる圧迫感に、泉美と言う意志はどんどん遠のいていった。
ainya339.jpg

首のところまでファスナーが閉まると、全身タイツを着込む動作は終了した。
掃き出しの窓に映る泉美の姿は真っ黒に覆われ異質ではあったが、とても美しく力強く見えた。
黒い布に覆われた両手を見つめ、その両手で自分の躰をかき抱く。

だが、まだ不完全だ。
この全身タイツを着ただけでは足りない。
ほかにも身につけるものを身につけなくちゃ。
完全に・・・ならなくてはいけないのだ。

自分が何をするべきかわかっていた。
収納場所の扉を開き、そこにあったブーツと手袋、
それに大きなバックルの付いたベルトを取り出す。
NSという文字を意匠とした大きなバックルが付いたベルトだ。
あとはそれらを身につけるだけ。
泉美は胸がどきどきするのを抑えることができなかった。

取り出した黒いブーツ。
自分の足を包むのにはぴったりだ。
無言でブーツを眺めると、おもむろに足を通して履いていく。
全身タイツに包まれた足が、さらにブーツによって密着し、よりよい履き心地を伝えてくる。
両足をブーツに通して立ち上がると、自分の足はこれ以外は想像がつかなくなっていた。
漆黒で力強い足。
まさに彼女たち・・・にはうってつけだろう。
今のところ彼女は自分が泉美という人間だとわかっているが、それももうすぐ変わるだろうということが
彼女には感じられていた。

ベルトを手に取る。
大きなバックルが付いているベルトだ。
これを着けることで彼女は完成する。
それがなんともうれしかった。

ベルトを腰に当て、後ろで止める。
なんとなく頼りなさそうだった腰周りが、これでしっかりと引き締まった。
全身タイツが改めて躰に吸い付き、彼女の躰にぴったりと張り付いていく。
「ヒャイーッ!」
彼女は思わず声を上げていた。

掃き出しのガラス窓に映る全身。
目以外は全身が真っ黒だ。
それでいて、彼女の躰のラインを余すところなくさらけ出している。
普通に見れば恥ずかしいかもしれない。
だが、彼女はまったく恥ずかしいとなど感じない。
むしろ、この姿になったことに喜びを感じていた。
強化された足。
強化された腕。
強化された肉体。
すべてがネオショッカーのため。
ベルトのバックルに付いたマーク。
それこそがネオショッカーのマーク。
彼女が忠誠を誓うべき組織のマークだった。

「ヒャイーッ!」
彼女は右手を斜め上に上げてネオショッカーの敬礼をする。
彼女にはもうわかっていた。
自分が何者なのか。
そう、自分はもう泉美などという下等な生き物ではない。
ネオショッカーによって選ばれたアリコマンドという存在なのだ。
ネオショッカーに忠誠を尽くし、ネオショッカーのためにすべてをささげて働く存在。
それがアリコマンド。
彼女は自分がアリコマンドとして生まれ変われたことが、とてもうれしかった。

額のところにある触角がピクリと震える。
『女アリコマンド17号よ。聞こえるか?』
頭の中に偉大なるネオショッカーの声が聞こえてくる。
「ヒャイーッ! 聞こえます」
右手を上げる敬礼のまま、彼女はそう答える。
自分のことを“女アリコマンド”と呼ばれることも、ナンバーで呼ばれることももう彼女には当たり前のことだった。
泉美などという名前はもう意味がない。
彼女は女アリコマンド17号なのだ。

『すぐにそこを出てアジトに来るのだ。わかるな?』
「ヒャイーッ! かしこまりました。すぐにまいります」
彼女は頭の中に響く声からの命令にうなずくと、すぐにきびすを返して外に向かう。
きっとアジトには仲間が待っているに違いない。
偉大なるネオショッカーの一員として、彼女はこれからその身をささげて働くのだ。
なんとすばらしいことだろう。
彼女は今、とても幸せだった。

END
  1. 2015/07/19(日) 21:16:19|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

無意識の内に魅了されてしまうシチュはやはり良いですね。
戻れない所まで来てしまっても止まれない、止まらない。
一度タイツに体を通せば後は堕ちるだけ…。
とても楽しめました。
  1. 2015/07/19(日) 23:29:58 |
  2. URL |
  3. MAIZOUR=KUIH #gCIFGOqo
  4. [ 編集]

なるほど、元のSSはこういうお話だったんですね。
着ずに入られない状況に飲み込まれる描写っていいですよね~
  1. 2015/07/20(月) 09:03:51 |
  2. URL |
  3. g-than #-
  4. [ 編集]

>>MAIZOUR=KUIH様
コスメインの写真集原案だということもありましたので、ゼンタイスーツを着ることで身も心もアリコマンドになってしまうというストーリーとなりました。
着ているうちに戻れなくなるというのはいいですよねー。

>>g-than様
どんな仕掛けかわかりませんが、着ちゃうとアリコマンドになってしまうゼンタイスーツっていいですよねー。
  1. 2015/07/20(月) 21:22:42 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #fR9d3WYs
  4. [ 編集]

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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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