第二次世界大戦前、チェコスロバキアは欧州では工業国として知られておりました。
その工業力は当然軍用の兵器の分野でも力を発揮しており、チェコ製のLTvz.35やLTvz.38という戦車はのちにドイツ軍に35(t)や38(t)戦車として使用されました。
それは航空機の分野でも同様で、チェコスロバキアのアヴィア社は1933年に空軍の主力となる戦闘機の試作機を初飛行させました。
この新型戦闘機は、当時としてはじょじょに旧式の域に入っていた複葉のスタイルをとっており、胴体下部と操縦席上方に胴体から放して設けられた上部翼といういささか古めかしい形状ではありましたが、ソ連のI-15と並び当時最強の複葉戦闘機の一つでした。

チェコスロバキアはこの新型戦闘機にB.534のナンバーを与え、アヴィアB.534としてチェコスロバキア空軍の主力戦闘機として量産が図られます。
500機以上も量産されたB.534はだんだんきな臭くなっている欧州情勢に対し、祖国の上空を守るために活躍が期待されておりました。

しかし、情勢はチェコスロバキアにとって予想外の方向へと進みます。
ドイツの有形無形の圧力により、ついにチェコとスロバキアは分離させられ、チェコはドイツに併合され、スロバキアは単独で独立と言うことになりました。
アヴィアB.534もチェコとスロバキアに分けられ、チェコに残ったものはドイツ空軍機へと編入されてしまったのです。
それはLTvz35やLTvz38と同じ運命でした。
その後、ドイツ空軍機となったアヴィアB.534はポーランド戦や独ソ戦初期までは戦闘機としてドイツ軍の上空を守り、それ以後は練習機としてドイツ空軍のために働きました。
一部は夜間戦闘機としても使われ、また空母艦載機としても使用する計画もあったといいます。
本来ならチェコスロバキアの空を守るはずだったB.534戦闘機。
複葉機としては最優秀の部類に属すると言われた機体でしたので、ドイツ軍にとってはそれなりに役に立った機体だったでしょう。
しかし、35(t)戦車や38(t)戦車ほどには有名になれなかったのは、ドイツ空軍にはすでにメッサーシュミットBf109と言う優秀な戦闘機があり、その影に隠れてしまったからかもしれませんね。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2014/12/18(木) 21:03:27|
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