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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

アメリカ南北戦争概略その35

戦場での南北両軍の戦いとは別に、シャーマンはアトランタそのものに対しても砲撃を命じていました。
軍隊を維持し、物資や人的資源を供給する都市は、戦争遂行上破壊しなくてはならない軍事目標と考えられるようになったのです。
これは戦争というものが、前線と後方との区別がつかなくなってきた事例の一つでした。
これまでの戦争は軍隊そのものが標的でしたが、軍隊を構成するものを支える全てのもの、人的物的資源やそれを運ぶ道路や鉄道、生産する工場や食料そのものとそれらを支える経済活動自体、といったものが標的となったのです。

戦争を勝利に導くためには、そういった戦争を行なうために使われる全てのものを破壊する。
それもやむを得ないことだと考えられるようになったのです。

8月中旬から9月1日のフッドのアトランタ放棄まで、ほぼ毎日アトランタ市外には北軍の砲弾が降りそそぎました。
小説「風とともに去りぬ」では文章で、後に映画化された際には映像でそのときのアトランタの様子が描かれています。
アトランタ市民の損害もかなりの数に上ったと思われます。
アトランタはほぼ都市としての機能を喪失したのでした。

アトランタを放棄せざるを得なかったフッドでしたが、まだまだ闘志は衰えていませんでした。
すでに三万五千に減ってしまった麾下の軍勢でしたが、正面切っての決戦でなければ、まだまだ勝機はあると考えたのです。

フッドは今度は自分がシャーマンの後背に回り込み、補給線を脅かすことでシャーマンの進軍を停止させようとしました。
アトランタ陥落後の状況視察に出向いたデイビス大統領もこれを承認。
フッドは麾下の軍勢を率いて北上を開始します。

フッドは鉄道を破壊し、電信線を切断しながらドルトンまで進みました。
北軍のシャーマンはフッドが後方で蠢動するのを良しとせず、当然のこと軍勢を率いてフッドを追いました。
フッドは小競り合いを少ししただけで西に逃れ、シャーマンをさらにひきつけるべく動きますが、シャーマンはフッドの目的が自軍をひきつけることにあると看破したため、トマスとスコフィールドに後を任せてアトランタに戻ります。

シャーマンを吊り上げることに失敗したフッドは、乾坤一擲の大作戦を立案しました。
テネシー州を縦断し、ケンタッキー州まで進出、リーと連絡をつなぎ北軍を撃破するというものです。
当然これは補給も何もかもを無視した無謀なものでしたが、フッドはやる気満々でした。

フッドはこの作戦を誰にも知らせずに実行し始め、アラバマ州に軍勢を進めました。
しかし、テネシー川渡河に手間取っているうちに北軍のスコフィールドとトマスの軍勢がテネシー州でフッドの軍勢を迎え撃つ準備を整えてしまいます。

折りしも1864年11月。
この月に行われた大統領選挙の結果は、アトランタ陥落など軍事上南部を追い詰めていることが評価され、リンカーンが再選します。
対抗したのはあのジョージ・B・マクレラン。
彼が大統領になることを南部の人々は期待しましたが、そうはなりませんでした。

リンカーンの再選は、南部諸州同盟の最後の希望を断ち切ったようなものでした。
南部諸州同盟にとって、戦争に勝つ見込みどころか、負けない見込みすらも失われつつあったのです。

11月26日、フッドはテネシー州のコロンビアまで到達しましたが、そこにはすでにスコフィールド麾下の北軍が陣取っていました。
フッドが強固な防御陣地への攻撃を避け、迂回する動きを見せたため、スコフィールドは後退して陣地を変更しようと考えます。
その動きを封じるべくフッドは、スプリングヒルという地点でスコフィールドの軍勢を捕捉しようとしましたが、フッド自身の不注意と意思疎通の不徹底から北軍を捕捉することはできずに取り逃がしてしまいます。
フッドは怒り、失敗を部下のせいにして当り散らしますが後の祭り。

興奮冷めやらぬフッドは、11月30日にはフランクリンという町の前面に新たに築かれたスコフィールドの北軍の防御陣地に無謀にも突撃を命じます。
下級指揮官たちは揃って反対しましたが、部下を無能なバカどもと思っているフッドは聞き入れません。
二万八千のスコフィールドに対し、フッドの軍勢は二万二千。
最初から戦力が少ない上に、防御しやすい陣地に篭もる相手に向かって突撃するのですから、勝敗は見えていました。
午後から始まって暗くなるまで続いた戦闘は、南軍が六千の損害を出して終わります。
(北軍側の損害は約三分の一と言われます)
南軍の損害は兵力もそうでしたが、特に将官級の戦死者が相次ぎました。
師団長旅団長などが十二人も失われたのです。
南軍にとっては埋め合わせることの不可能な損害でした。

フランクリンを守りきったスコフィールドは、かねてからの打ち合わせどおりに軍勢をナッシュビルへ向かわせます。
ナッシュビルで待機しているトマス将軍の軍勢と合流し、そこでフッドを迎え撃つつもりでした。

フランクリンでの敗北に衝撃を受けたフッドでしたが、北軍を放置するつもりはありませんでした。
彼は残った兵力をかき集め、約二万四千の兵力でナッシュビルへ向かいます。
彼にはある考えがありました。
合流した北軍は圧倒的な兵力になるため、きっと南軍に対して攻撃に出るに違いない。
今度はこちらが防御陣地で迎え撃ち、北軍に大量の損害を与えてやろうというものだったのです。

はたして12月2日、年の瀬も押し迫ったこの日、ナッシュビル近郊に布陣したフッド麾下の南軍兵士たちの前には、トマス以下五万四千にまで膨れ上がった北軍兵士たちが立て篭もる陣地が広がっておりました。

フッドは麾下の各軍団に塹壕を掘らせ、柵をめぐらせて防御陣地をこしらえます。
南北両軍はナッシュビルでにらみ合いになりました。
約二週間のにらみ合いのあと、攻撃を仕掛けたのは北軍でした。
二週間もだらだらと攻撃をしないトマスに痺れを切らしたワシントンの動き(解任案が出ていた)を察知したのか、トマスが猛然とフッドの陣地への攻撃を命じたのです。

12月15日、みぞれまじりの悪天候の中、北軍兵士約四万三千が攻撃に参加。
両翼からの半包囲攻撃を仕掛けます。
フッドが考えていた通り、北軍側からの攻撃となりましたが、北軍側は兵力が豊富でした。
南軍の両翼は善戦し、北軍兵士をたじろがせはしましたが、徐々に圧迫され後退を余儀なくされます。
フッドは陣を捨てるしかありませんでした。

翌16日も三キロ後退したフッドを北軍が襲います。
簡易ながらも防壁をこしらえた南軍陣地に対して、北軍はやはり圧倒的な兵力でこれを圧迫。
左右両面からの半包囲体勢を取られ、両翼が支えきれなくなった南軍はついに崩壊しました。

南軍の損害そのものは約五千ほどということでしたが、フッドはもう立ち直れませんでした。
残存兵力一万八千ほどとなった南軍は、雪の降りしきる中ミシシッピ州トゥーペルまで後退。
そこで年明けを迎えることになります。

西部方面での南軍の組織的抵抗はほぼ終了しました。

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  1. 2007/05/19(土) 19:27:02|
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(まいかた まさと)と読みます。
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このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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