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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

アメリカ南北戦争概略その22

「ゲティスバーグの戦い」二日目です。


1863年7月1日夜半。
リーが待ち望んでいた「老ピート」ことジェイムズ・ロングストリートが麾下の部隊の一部(全部ではない)とともにゲティスバーグに到着しました。
早速リーは作戦会議を開き、翌7月2日に北軍を総攻撃で撃退する方針を打ち出します。

しかし、南軍の知将ロングストリートは異を唱えました。
ゲティスバーグでの戦いは小競り合いからずるずると消耗戦に転じてきており、これ以上この戦場で戦うと損害ばかりが増えると思われたのです。
彼は北軍が陣地構築をしているのを幸いとし、その隙に麾下の部隊で北軍の脇をすり抜け、ワシントンを直撃する姿勢を見せることを進言します。
A・P・ヒルとエーウェルの軍勢が北軍を引き付けていれば、ロングストリートの軍勢に差し向ける戦力はわずかでしょうし、万一全軍で北軍が向かってくるようであれば、北軍は陣地から出てこざるを得ず、ロングストリートとA・P・ヒル及びエーウェルの軍勢に挟み撃ちにされる危険を冒すことになります。
どっちに転んでも悪いことは無さそうで、成功の可能性はありそうでした。

しかしリーは首を振りました。
この「ゲティスバーグの戦い」において、南軍はどうもつきに見放されていたのかもしれません。
リーにしてみれば、ロングストリートの進言は机上の空論でした。
ミードが南軍の側面機動を見逃すはずはなく、兵力に優る北軍は南軍を各個撃破してしまうでしょう。
リーは静かに北軍陣地を指して言いました。
「ジェイムズ、敵はあそこだ」

1863年7月2日。
夏の太陽が顔を出したとき、南北両軍はゲティスバーグ近郊の向かい合った丘の上に双方陣取ってにらみ合った状態でした。
前夜、リーの手元にロングストリートの軍勢の一部が到着したように、北軍ミードの手元にも三個軍団という兵力が到着しておりました。
北軍はセメタリーヒルとカルプスヒルという二つの丘と、その南に位置するリトル・ラウンド・トップという丘にまで防御陣地を築いており、ミードはこの防御陣地で南軍を迎え撃つ腹積もりだったのです。

南軍五万、北軍六万が戦闘態勢を取りつつあった早朝、リーはロングストリートをともなって北軍陣地の視察を行ないます。
二キロほど先の丘に陣取る北軍を見て、リーはロングストリートにリトル・ラウンド・トップ方面からの攻撃を指示します。
いつ攻撃を開始できるかとロングストリートに尋ねたリーは愕然としました。
返事は午後二時であると言うのです。

いくつかの説がありますが、おそらくロングストリートは手持ちの全兵力がそろい、さらに陣地攻撃のための入念な準備をしてから攻撃したかったのでしょう。
知将であるロングストリートには、陣地攻撃など愚行と思われたのかもしれません。

そのため南軍の攻撃は散発的なものでした。
A・P・ヒルとエーウェル隊の威力偵察とも陽動ともつかないような攻撃が夕方まで続きます。
この時北軍が貝の殻のように硬く陣地に篭もっていれば、二日目はこれで終わったかもしれませんでした。

しかし、戦場に錯誤は付き物です。
リトル・ラウンド・トップ方面に配置されていた北軍シクルズ少将の第三軍団が、のこのこと丘を下って街道沿いまで前進してきていたのです。
シクルズ少将の独断とも命令の行き違いともいわれていますが、ミードは大激怒して直接シクルズに怒鳴り込んでいくほどのまずい行動でした。
この行動のおかげで、セメタリーヒルのハンコックと、本来リトル・ラウンド・トップにいるはずのシクルズとの間に大きな隙間が開いてしまったのです。
南軍にとっては一大チャンスが到来しました。

午後四時頃、南軍ロングストリート隊はようやく配置につき終わりました。
ロングストリートはまずフッド隊を、続いてマクロード隊を平地にのこのこやってきたシクルズ隊に差し向けます。
シクルズ隊は当然のごとく大損害を受け後退。
リトル・ラウンド・トップも南軍の攻撃に晒されます。

この時、リトル・ラウンド・トップにいた北軍の士官がチェンバレン大佐という人物でなかったなら、南軍はこの丘を制することができたと言われます。
チェンバレン大佐はプロの軍人ではありませんでした。
士官の足りない北軍は(これは南軍も同じことですが)大学教授のチェンバレンに大佐の肩書きを与えて、通り一遍の軍事知識を教えて促成栽培の指揮官としていたのです。

素人は時々プロの常識を超えたことをしでかします。
南軍に包囲されそうになったチェンバレンは、包囲されることを嫌ったのか、集中防御のために部隊を集結させず、逆に兵力を薄く引き延ばして左右に展開します。
横一列に広がっただけの防衛ラインは、無論南軍の効果的な一撃があればすぐに撃ち破られてしまうものでした。

しかし、女神はチェンバレンに微笑みます。
北軍が兵力を左右に展開しているのは、その後方に援軍が到着して逆包囲を目論んでいるからではないのか?
そう考えた南軍は攻撃を躊躇ってしまいました。
南軍は最大のチャンスを失いました。
この時リトル・ラウンド・トップが落ちていたら、そこからの砲撃は北軍を完膚なきまでに打ちのめしていたはずです。

結局、ハンコックが手持ちの兵力を振り分けて再度防衛線を張り直したとき、二日目の戦闘は終わりました。
エーウェルの軍勢も一時は北軍カルプスヒル方面を脅かしますが、兵力が続きませんでした。
A・P・ヒルの攻撃も頓挫していました。
南軍は手詰まりに陥っていたのです。
唯一の救いは、この日の戦闘終結後、スチュアートの騎兵隊が到着したことでした。

一方の北軍もただ粘ったというだけでした。
偶然と奇跡のような南軍の錯誤がなければ敗走していたかもしれないのです。
ミードは冷や汗を流しながら、退却もやむなしと考えておりました。
ただ、各軍団長は現状に踏みとどまることを希望しており、ミードは翌日も戦うことにします。
右翼と左翼での攻撃をしてきたリーは、おそらく明日は中央で攻めて来るだろう。
ミードは作戦会議でそう言い放ちます。
ミードの読みは正しいものでした。

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  1. 2007/04/09(月) 20:33:55|
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