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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

M2/M3/M5/M9ハーフトラック

第一次世界大戦後、アメリカ陸軍では砲兵部隊の大砲牽引を機械化することを考え、ハーフトラックに目をつけておりました。
ハーフトラックとは、言うならば普通のトラックの後輪部分に履帯で走る装軌式走行装置を取り付けたようなもので、ある程度の速度性能を維持しつつも路外走行性能を高めた車両です。

従来馬匹で牽引していた大砲を機械力で牽引しようとしたのは何もアメリカだけではなく、各国軍隊も同様でしたが、履帯式の装軌車輌でもタイヤ式の装輪車輌でもなくハーフトラックを考慮したのはアメリカ軍とドイツ軍だったのではないでしょうか。

とは言うものの、大砲牽引車輌としてのハーフトラックの開発はあまり活発には進まず、試作車輌が何種か作られたものの、量産までには至らない状況でした。

ところが、第二次世界大戦が近づいてきた1938年、アメリカ陸軍は大砲牽引と合わせて敵情偵察用の偵察車輌としてハーフトラックを求めました。
すでに米陸軍にはM2スカウトカー(装甲偵察車)がありましたが、足回りはタイヤ式の装輪車輌だったため、路外走行性能が不足していたのです。

そこでこのM2スカウトカー(のちにM3スカウトカーに発展する)の後輪部分を履帯にして装甲ハーフトラックにするアイディアがまとまります。
こうして作られたのが、T7ハーフトラックでした。

T7装甲ハーフトラックは、まさにM2スカウトカーの後輪を履帯にしたといっても過言ではなく、エンジンも含め前半部分はまるっきりM2スカウトカーそのままでした。
このT7は若干改良されてT14となりますが、ほぼそのまま受け継がれて量産指示が出されます。
こうして大砲牽引と敵情偵察用の装甲ハーフトラックとしてM2ハーフトラックが作られました。

M2ハーフトラックは、見たところ後輪を履帯にしたトラックを装甲化しただけという感じの姿です。
荷台部分は垂直の装甲板に覆われてますが、天井はなく吹きさらしでした。
履帯は板を一枚一枚つないだものではなく、金属部分を中にくるんだゴム製一枚ベルトのものでした。
また、ドイツのハーフトラックと違い、前輪部分にも動力が伝えられるため、路上での高速発揮に有利でしたが、履帯部分の長さが短く、路外での性能においてはドイツのハーフトラックに一歩譲るものでした。

このM2ハーフトラックの完成で、米陸軍はこの車輌が歩兵輸送にも使えるのではと考えました。
M2は大砲牽引と偵察が目的でしたので車内に乗るのは五・六名、多くても七・八名と考えられておりましたが、歩兵部隊の輸送となるとそれでは若干少なすぎます。
やはり最低でも一個分隊(約十名から十二名)を乗せられるようにしたいということで、荷台部分を延長し、そこに十名分のシートを設けて操縦席シートと合わせて十三名が乗れるように改良されました。
これがM3装甲兵員輸送ハーフトラックとして採用され、第二次世界大戦の米軍の兵員輸送車輌の中核として活躍することになります。
M3ハーフトラック(M3ハーフトラックA1仕様 前輪フェンダーが丸っこい)

このM2およびM3ハーフトラックは、のちに自衛用の機銃リングマウントを装備したA1型に発展し、映画などで見かけるのはほとんどがこのA1仕様です。
変わったところでは、日本映画「戦国自衛隊」でも自衛隊員の車輌として画面に登場しておりました。

第二次大戦が始まると、M2/M3ハーフトラックは英軍やソ連軍に対するレンドリース用車輌としても供給する必要がでてきました。
そこで米軍は、製作に手間のかかる表面硬化装甲板ではなく、普通の均質圧延鋼板を使った簡易量産型M2/M3を作りました。
これがM5/M9型装甲ハーフトラックです。

M5/M9装甲ハーフトラックは、装甲が表面硬化装甲から均質圧延鋼板に変わったことで、もともとたいしたことのなかった防御力がさらに落ちました。
一応装甲板の厚さを6ミリから7.9ミリ(兵員室側面)に厚くしたものの、ほとんど効果がなく防御力はM2/M3よりもかなり悪いものとなってしまいましたが、量産を優先するためにこの問題は無視されてしまいました。

M5はM3と同じ兵員輸送型で、M9はM2と同じく大砲牽引および偵察用でしたが、M2とM3のように車体の長さが違うようなことはなく、単にシートの配置や弾薬箱の有無など中身が違うだけでした。
M5ハーフトラック(M5ハーフトラック 前輪フェンダーが直線的)

M2/M3とM5/M9の違いはほとんど見た目にはありませんが、前輪を覆うフェンダー部分がカーブしているのがM2/M3、一枚板をただ曲げただけなのがM5/M9なので、そこを見ればわかります。

ドイツの装甲ハーフトラックであるSd.kfz250/251に比べると路外性能や防御力では劣りましたが、反面生産性の高さは言うまでもなく、量産性では圧倒的な差がありました。
またドイツのハーフトラックと同様に自走砲や対空車輌のベースともなり、いくつかの派生車輌を生み出しました。

第二次大戦後半の連合軍にはなくてはならない車輌であり、戦後も各国で大いに使われたのでした。

それではまた。
  1. 2013/05/15(水) 21:03:25|
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