マクレランの北軍が当然のことながら幾つもの軍団に分かれていることに目をつけたリーは、ジャクソンとの合流後、北軍の一部に対して局所的優勢をもって攻撃し、もって北軍の戦力を削る作戦に出ました。
狙いはチカホミニー川北岸にいるフィッツジョン・ポーター少将の率いる北軍第五軍団。
リーはマグルーダーとヒューガーの合計二万五千に北軍主力をひきつけさせ、ロングストリートとA・P及びD・Hの両ヒル、そしてシェナンドー峡谷から馳せ参じたジャクソンの合計約五万にポーター隊を攻撃させることにします。
6月26日。
この日は南軍にとってはまたしても攻撃に不手際が生じてしまいます。
マグルーダーとヒューガーは見事に牽制攻撃を成功させ、圧倒的兵力を持つマクレランの主隊をひきつけます。
しかし、メカニクスヴィルという土地でポーター隊を当たった南軍部隊は、それぞれがまったく連携が取れずにほぼA・P・ヒル隊単独攻撃となってしまいます。
結局南軍はポーター隊を攻めきれずに後退。
翌日の再攻撃に向けて再編成に入ります。
しかし、終始南軍側が自軍よりも兵数が多いと信じ込んでいたマクレランは、南軍の攻撃に後退を決意。
ポーター隊にメカニクスヴィルを放棄させてゲインズ・ミルまで下がらせ、主力はなんとジェームズ川のほとりハリソンズ・ランディングまで後退することに決めたのです。
6月27日。
ゲインズ・ミルにおいて南軍五万が北軍ポーター隊三万五千に襲い掛かります。
南軍は終始北軍を圧倒し、ついにポーター隊はチカホミニー川を渡って総退却となりました。
しかし、北軍の優勢な砲火は南軍に多大なる犠牲を強い、この戦いの勝利者となった南軍でしたが、その損害は八千にも及びました。(北軍損害は約四千)
マクレランは北軍砲艦隊が支援してくれるハリソンズ・ランディングまで何とか後退して、部隊を立て直すつもりでした。
一方リーはそれまでにマクレランを叩き潰さねばなりません。
兵力的に劣勢な南軍でしたが、ここは攻勢に出るしかありませんでした。
6月29日にはサヴェッジ駅で後退する北軍後衛と戦闘。
翌30日にはフレイザー農場で戦闘になります。
この七日戦争の最中、シェナンドー峡谷であれほどの活躍をしたジャクソンはまったく振るいませんでした。
メカニクスヴィルでもゲインズ・ミルでも戦闘に遅れ、このフレイザー農場の戦いにも顔を出しません。
結局この日もA・P・ヒル隊とロングストリート隊が北軍に襲い掛かりましたが、甚大な損害を受けて跳ね返されます。
北軍は整然とフレイザー農場を後にしました。
7月1日。
マルヴァーン・ヒルに防御陣を敷いた北軍に対し、リーは攻撃を仕掛けるしかありませんでした。
むざむざとマクレランに逃げられるわけには行かないのです。
しかし、当然相手の防御陣に無策で突撃するつもりはありません。
マルヴァーン・ヒルに砲撃を加え、それによって防御陣の一角を突き崩してから突撃という手はずでした。
お昼過ぎから始まった砲撃戦は、北軍優勢のまま進みます。
このままでは突撃に移ることはできないと感じていたリーでしたが、何を思ったのか命令の行き違いなのか、マグルーダー隊とD・H・ヒル隊が突撃を開始します。
丘の上に陣取った北軍からの射撃は凄まじく、マグルーダー隊もD・H・ヒル隊もほとんど虐殺と呼んでよいような状況に見舞われました。
南軍は慌てて後退。
北軍はその日の夜ハリソンズ・ランディングに逃げ込みました。
七日戦争はここに終結したのです。
いずれの戦いにおいても南軍は攻撃側でありかつ戦場を手に入れた側でありましたが、北軍は整然と後退し、常に南軍に甚大な損害を与え続けました。
最終的な七日戦争での損害は、北軍一万五千に対し南軍が二万。
勝利を得たとはいえ人的資源の少ない南軍にとってはつらい戦いでした。
ハリソンズ・ランディングに逃げ込んだマクレランは、リンカーンに対し増援を求めます。
リンカーンは五万の増援を打診しますが、自軍の兵力に不安を持っているマクレランはそれでは少なすぎると文句を言いました。
リンカーンはがっかりして、マクレランではリッチモンドは落とせないと思い、ついにマクレラン隊をヨークタウン半島から撤退させることにしました。
ついに南軍は半島から北軍を追い出したのです。
半島戦役の終焉、そして、新たなる戦いの幕開けでした。
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- 2007/03/17(土) 20:43:30|
- アメリカ南北戦争概略
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