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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

装甲だけなら一級品

ヴェルサイユ条約で軍備を制限されていた第一次世界大戦後のドイツでしたが、トラクターと言う名目でのちの軍備の中核となる戦車を開発しておりました。
そのうち軽トラクターとして開発が始まったのが一号戦車や二号戦車であり、この両戦車は訓練用戦車とも言われましたが、第二次大戦序盤の独軍の快進撃、いわゆる電撃戦では中核をなした戦車でもありました。

しかし、この電撃戦では一号戦車や二号戦車の弱点も明らかになりました。
それは武装の貧弱さと、装甲の薄さでした。
一号戦車は機関銃が二挺のみで装甲は13ミリ程度、二号戦車も20ミリ機関砲と機関銃の武装に初期型では装甲が13ミリ程度しかなかったのです。

この装甲の薄さは第二次世界大戦が始まる前から陸軍の兵器局でもある程度は問題になっていたのか、一号戦車と二号戦車の装甲を極力厚くしてみたらと言う試作車を作成するよう1939年の11月の時点で要請がなされておりました。
こうして一号戦車の装甲をできるだけ厚くしたのが一号戦車F型、二号戦車の装甲を極力厚くしたものが二号戦車J型として試作されました。

二号戦車J型の試作車は、1940年6月に一号車が完成したものと見られ、ほぼ対仏戦が終わったころに完成したと思われます。
試作車は要望どおり極力装甲を厚くした車体と砲塔で完成し、車体前面はなんと装甲厚が80ミリ、側面と後面でも50ミリと、のちの重戦車「ティーガー1」と比べても遜色のない装甲厚でした。
二号戦車J型

当然その分重量も重くなり、二号戦車の初期型が約9トンほどの重量だったのに対し、二号戦車J型では18トンにもなったと言われ、約二倍にも達していたのです。

前面装甲80ミリと言うのは1940年レベルではどの国の対戦車砲でも打ち抜けないほどの重装甲であり、その意味では二号戦車J型は強力な装甲を誇っておりました。
しかし、武装はあくまで二号戦車と同じく20ミリ機関砲と機関銃のみであり、その貧弱さが解消されたわけではありません。

さらに、試作車の完成は1940年夏でしたが、続いて生産されるはずの先行量産車は12月から生産が開始されはしたものの、遅延に遅延が相次いで、わずか30輌ほどの先行量産車を作るのに2年ほどもかかってしまいます。

そうなるともう戦場での兵器の発達には付いていけず、装甲厚はともかく武装は75ミリ級の主砲が当然の状態では20ミリ機関砲ではどうしようもありません。

結局二号戦車J型は、先行量産車のみが作られただけで、量産は見送られてしまいました。
やはり戦車というものは攻防のバランスが必要であり、防御だけがすぐれていても使いづらいものとなってしまったのでしょう。

それでも一輌でも戦車がほしい前線では、この先行量産車も部隊配備が行なわれ、第12装甲師団に配属されてロシアで戦った他、ユーゴスラビアに派遣された第13警察戦車中隊にも配属されるなどして実戦に参加したそうです。

装甲は一級品だったんですけどねぇ。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2012/11/23(金) 21:02:52|
  2. 趣味
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

ティーガー並みの装甲の二号戦車・・・何か凄いです。戦車戦になって敵の砲弾を跳ね返しても、こちらは機関砲しか打てないってコントみたいですね。この戦車をロシアで受け取ったドイツ軍将兵も苦笑したんじゃないでしょうか。

ユーゴスラヴィアのゲリラ戦でならそれなりに使えたんですかね。
  1. 2012/11/24(土) 19:42:50 |
  2. URL |
  3. 富士男 #-
  4. [ 編集]

>>富士男様
敵戦車に対抗するばかりが戦車の役目ではないとは言うものの、T-34に対抗する戦車を求めている前線としてはせめて長砲身四号を送ってくれって言いたくなりますよね。
おっしゃるとおりユーゴでのゲリラ相手には充分使えたのかもしれませんね。
  1. 2012/11/24(土) 20:54:55 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
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