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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

艦名は「5月25日」

第二次世界大戦中、英国海軍は海上航空戦力の必要性を痛感させられておりました。
マレー沖で「プリンス・オブ・ウェールズ」や「レパルス」を失う羽目になったのも、随伴する航空母艦がなかったことが理由の一つと考えられたのです。
そのため英国海軍は、中型の戦時急造型航空母艦を多数整備する計画を立てました。

こうして建造が開始されたのが「コロッサス」級の軽空母でした。
排水量はわずか13000トンほどでしたが、ベースとなったのは「イラストリアス」級航空母艦であり、搭載機数(48機)や船体長(211メートル)などは遜色ないものでした。

その代わり排水量を軽くした代償として防御力と速度は「イラストリアス」級とは比べるべくもないほど脆弱なものでした。
飛行甲板には装甲はなく、速度も「イラストリアス」級が30ノット以上を出せるのに対し、わずか25ノットしか出せませんでした。

「コロッサス」級は2年で建造できる空母として建造され、実際に第二次大戦後半にじょじょに就役し始めました。
しかし、そのころにはほぼ戦争も終わりに近づいており、実戦に参加したものはごくわずかでした。
むしろ「コロッサス」級は戦後各国に売却されることで英国以外の国に海上航空戦力として使われることになりました。

「コロッサス」級は同型艦十隻が建造されましたが、そのうちの一隻が「ヴェネラブル」でした。
「ヴェネラブル」は大戦集結直前の1945年1月に就役し、英国海軍の空母として太平洋に配備されました。
しかし、すぐに大戦は終結し、「ヴェネラブル」はわずか3年ほどで戦後の再建を目指す英国には不用と判断され、オランダ海軍に売却されました。

オランダ海軍は「ヴェネラブル」を「カレル・ドールマン」と改名し、オランダ海軍の中核として運用します。
オランダ海軍に属していた期間はかなり長く、「カレル・ドールマン」となった「ヴェネラブル」はこの期間中にジェット機に対応するべくアングルドデッキ(いわゆる米空母に見られるような斜め飛行甲板のこと)の増設や、カタパルトの設置などの近代化改装が行なわれました。

「カレル・ドールマン」は20年ほどもオランダ海軍で働きましたが、1968年4月、機関室から火災を発生させてしまいます。
この火災で「カレル・ドールマン」は機関が使用不能になる損害を受けてしまいましたが、早晩退役予定となっていたことから「カレル・ドールマン」の修理は行なわれず、そのまま退役となってしまいます。

退役した「カレル・ドールマン」でしたが、そのままスクラップとはなりませんでした。
今度はアルゼンチン海軍がこの「カレル・ドールマン」を購入したのです。
破損した機関部は英国製の未完成空母「レヴァイアサン」のものを持ってきて取り付けました。

こうして「カレル・ドールマン」は、1969年に今度はアルゼンチン海軍の航空母艦として生まれ変わりました。
艦名も「ベインティシンコ・デ・マヨ」と改名され、三度目の任務に就いたのです。
ちなみに艦名はアルゼンチンの5月革命記念日である「5月25日」を現地の言葉で発音したものです。
ベインティシンコデマヨ

再出発となった「ベインティシンコ・デ・マヨ」でしたが、新たに取り付けた機関部は最初から調子が思わしくないものでした。
速度が思うように出せなかったといいます。
そんな状況の中、「ベインティシンコ・デ・マヨ」はアルゼンチン海軍の象徴として働き続け、1982年にあの「フォークランド戦争」に参加することになりました。

アルゼンチン海軍は当初「ベインティシンコ・デ・マヨ」からシュペルエタンダールやスカイホークなどを飛ばして英国艦隊を攻撃する予定だったそうです。
しかし、機関の不調がそれを許しませんでした。
速力が足りず、艦載機が飛び立つために必要な合成風力が得られなかったのです。
また、英国潜水艦による巡洋艦「ヘネラル・ベルグラノ」撃沈に衝撃を与えられ、「ベインティシンコ・デ・マヨ」の喪失を恐れたアルゼンチン海軍は、ついに同艦を外洋に出すのを控えるようになってしまいました。

結局「ベインティシンコ・デ・マヨ」はフォークランド戦争ではほとんど何の働きもできませんでした。
搭載機はそれなりに働きましたが、それはあくまでも陸上基地から発進したものでした。

1997年、アルゼンチンもついにこの「ベインティシンコ・デ・マヨ」を退役させました。
実に52年間にわたって使われた長寿の航空母艦でした。
戦時急造型という長期間使うことをあまり考えていなかった軍艦としては異例の長さといえるかもしれません。

「ベインティシンコ・デ・マヨ」は2000年にインドに回航され、そこでスクラップとなりました。
長い艦歴はここで終止符を打たれ、以後、現在に至るもアルゼンチン海軍は航空母艦の保有はしておりません。

英国で作られた空母でしたが、最後はその英国と戦う羽目になってしまいました。
とはいえ、第二次世界大戦もフォークランド戦争も生き抜いたのですから、運がよかった艦なのかもしれませんね。

それではまた。
  1. 2012/08/25(土) 21:10:16|
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