昨日、作家のレイ・ブラッドベリ氏の訃報がネットで流れてまいりました。
正直驚きました。
白状しますが、ご存命とは思わなかったのです。
とっくに鬼籍に入られていらっしゃるとばかり思っておりました。
私に取りましては、ブラッドベリ氏はロバート・ハインライン氏やアイザック・アシモフ氏と同じほど懐かしい感じのする名前であり、二者と同じくお亡くなりになっているとばかり思っていたのです。
ブラッドベリ氏の作品、意識して読んだのは少ないかもしれません。
ですが、私にとりまして思い出深い作品といいますか、人生に影響を与えた作品とも言える作品がございます。
それは短編「金色の目」です。
もうかなり昔に読みましたので、記憶が定かでない可能性もありますが、あの作品には本当にお世話になりました。
エロい作品ではまったくないのですが、若いころの私はこの作品で何度も抜かせていただいた気がします。
地球上で戦争が起こり、ある一家が火星に避難してきます。
彼らは夫、妻、息子、娘の四人家族で、慣れない火星で暮らし始めます。
火星にはほかにも脱出してきた人たちが居て、彼らも暮らしておりましたが、そのうち夫は変なことに気が付きます。
何かが微妙に違うのです。
火星で取れた作物は彼らの食欲を満たしてくれましたが、それらも地球上で取れた作物と微妙に違うようなのです。
やがて夫は、妻の目に金色の斑点があることに気が付きます。
妻に聞いても前からあったといいます。
そのうち娘がへんな言葉を使います。
調べてみると火星語らしいのです。
地球からの人間はだれも火星人の言葉など知らないはずなのに、なぜか娘は火星語をしゃべったのです。
夫は地球に戻ろうとしますが、妻も娘も息子も拒否します。
異常だと感じているのは夫だけだというのです。
夫はあきらめ、ここで暮らすことを受け入れました。
しばらくして、丘の上にたたずむ一家の姿がありました。
彼らは地球人たちがなぜか居なくなってしまった町を見下ろしておりました。
妻は若く美しく金色の目をしていました。
夫も若くたくましく金色の目をしていました。
息子も娘も火星語でしか話しません。
彼らはなぜ地球人がいなくなったのか不思議でした。
なぜなら彼らは火星人だったからです。
こんな話だった気がします。
もうね、異形化SF好きとしてはたまりませんでした。
今に通じる私の異形化好きの原点の一つといえると思います。
当時はいろいろと妄想を繰り広げたものでした。
SSも書いたような気がします。
ブラッドベリ氏にあらためて感謝するとともに、ご冥福をお祈りいたします。
- 2012/06/07(木) 21:00:01|
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私が初めて意識して読んだSFが、いとこからもらった「10月はたそがれの国」だったと思います。
金色の目を検索しましたが、
「浅黒い顔、金色の目」『スはスペースのス』(創元SF文庫)収録
ですかねえ? これは読んでなさそうです。
- 2012/06/07(木) 22:12:58 |
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- 名無し #-
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>>名無し様
私はたぶん「10月はたそがれの国」は読んだことないですねぇ。
「金色の目」は収録本によって違うので、おっしゃるとおりその作品で間違いありませんです。
- 2012/06/08(金) 21:07:46 |
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- 舞方雅人 #-
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こんばんは。 お久しぶりです。
私もレイ・ブラッドベリ氏の本を何冊か読んだことがあります。
最初は「10月の旅人」という題名だったように思います。
まだ20歳前のことで、結末の作り方のうまさに心を奪われました。
印象に残っているのは、別の短編集に収録されている有名な「大鎌」でしょうか。
久しぶりに出た”新刊”というので買った、「死ぬときはひとりぼっち」も未読のまま20年経ってしまいました。
今度読んでみましょう。
- 2012/06/16(土) 20:32:54 |
- URL |
- HIRO #1sgI4/k2
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>>HIRO様
お久しぶりです。
ブラッドベリ氏はやはり物語の組み立て方がうまい方だったんでしょうね。
「大鎌」というのはちょっと思い当たらないので今度探して読んでみます。
- 2012/06/16(土) 20:49:28 |
- URL |
- 舞方雅人 #-
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ご無沙汰してます。
「金色の目」
グッとくるようなお話ですね。
あやかったわけではありませんが、柏木版を作ってみました。
(^^ゞ
おひまなときにでも、ご覧になってください。
「なにかが、変わる。」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2843.html
- 2012/06/30(土) 16:31:23 |
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- 柏木 #D3iKJCD6
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