ガダルカナル島砲撃に向かった日本軍艦隊でしたが、カラハン少将指揮する米軍巡洋艦隊との遭遇により、戦艦「比叡」を失うという損害を受けました。
米軍の巡洋艦隊にも大損害を与え、五隻の巡洋艦すべてを損傷させるという戦果を挙げはしましたものの、ガダルカナル島のヘンダーソン飛行場を砲撃することはできず、陸軍部隊を送り届けるという目的も達成できませんでした。
しかし、日本軍はまだあきらめたわけではありませんでした。
山本五十六連合艦隊司令長官は、再度残存兵力を再編してガダルカナル島ヘンダーソン飛行場の砲撃を命じます。
今度は二段構えの砲撃を行う計画で、11月13日夜に巡洋艦隊による砲撃を行い、翌14日夜に戦艦「霧島」を含む部隊で更なる砲撃を行ってヘンダーソン飛行場を無力化し、一挙に輸送船団を突入させて陸軍兵力を上陸させる予定でした。
この計画に従い、日本軍は西村少将指揮する巡洋艦「鈴谷」「摩耶」「天龍」と駆逐艦四隻が出動し、ガダルカナル島へと向かいます。
砲撃の主役は主砲に20センチ砲を持つ重巡の「鈴谷」と「摩耶」であり、砲撃が終わったのちは三川中将の巡洋艦隊と合流してガダルカナル島近海から退避する予定となっておりました。
一方カラハン少将の率いる巡洋艦隊を失った米軍は、ブル(雄牛:転じて強気の意味も)とあだ名されるハルゼー提督(大将)が、日本軍の行動を封じ込めるべく手持ちの部隊からウィリス・リー少将の指揮する第64任務部隊にガダルカナル島に向かうよう命じました。
リー少将はすぐさま麾下の戦艦二隻と護衛の駆逐艦四隻を連れてガダルカナル島沖へと向かいます。
リー少将は自分の率いる艦隊が練度や経験等でいまだ多少未熟であることを承知しておりましたが、なんと言ってもその中核となる二隻の戦艦が前年に就役したばかりの「ノースカロライナ」級戦艦「ワシントン」と、この3月に就役したばかりの最新鋭戦艦「サウスダコタ」という新型戦艦を二隻も擁していることから、日本軍の撃退には充分な自信を持っていたようでした。
日本軍時間で日付の変わった11月14日午前2時ごろ、西村少将の巡洋艦隊は無事にガダルカナル島に近づき、ヘンダーソン飛行場の砲撃を行うことができました。
重巡「鈴谷」と「摩耶」の20センチ砲が火を吹き、両艦合わせて約1000発もの砲弾がヘンダーソン飛行場に降りそそぎました。
ヘンダーソン飛行場は各所が損害を受け、駐機してあった航空機も全壊18機、損傷32機という損害を受けてしまいます。
しかし、これまた飛行場の機能は翌日には復旧し、飛行場の機能を麻痺させることはできませんでした。
そればかりか、ヘンダーソン飛行場を飛び立った攻撃隊は退避していく日本艦隊を発見して攻撃。
さらに米空母「エンタープライズ」からの攻撃隊も加わって、日本艦隊を攻撃します。
日本艦隊は計画通り三川中将の艦隊と西村少将の艦隊が合流しておりましたが、この攻撃で重巡「衣笠」が沈没、ほかの巡洋艦も何隻か損傷を受けてしまいます。
また、輸送船団も発見され攻撃を受けてしまい、輸送船十一隻中六隻を沈められるという大損害をこうむってしまいました。
重巡の20センチ砲弾ではヘンダーソン飛行場を麻痺させることはできないと感じた日本軍は、やはり戦艦による飛行場砲撃を強行することに決定します。
今度は近藤信竹中将が艦隊を指揮し、ガダルカナル島へ向かうことになりました。
今回ガダルカナル島へ向かう日本艦隊は、旗艦の重巡「愛宕」以下、戦艦「霧島」、重巡「高雄」、軽巡「川内」、「長良」、駆逐艦九隻の合計十四隻でした。
近藤中将は米艦隊が待ち受けているであろうことは予想しており、その際は一時飛行場砲撃を中止してでも米艦隊の撃滅を図る旨を艦隊に指示しておりました。
一方、リー少将の指揮する米軍戦艦隊もガダルカナル島近海に進出してきており、日本艦隊を待ち受ける態勢を整えておりました。
完成して1年ほどの新型戦艦二隻と、完成後27年にもなる旧式戦艦との砲撃戦が、今まさに始まろうとしておりました。
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- 2012/01/18(水) 21:00:00|
- 旧式と新型の撃ちあい
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