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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

旧式と新型の撃ちあい(2)

出撃した「比叡」と「霧島」は、それぞれ「金剛」級巡洋戦艦の同型艦として建造されました。
巡洋戦艦とは、戦艦より高速で巡洋艦より砲撃力を増したもので、戦艦並みの砲撃力を持っておりましたが防御は弱く、第一次世界大戦の「ジュトランド海戦」では英独の巡洋戦艦が大きな損害を出しました。

「金剛」は第一次世界大戦前に英国に発注された艦で、当時は有力な巡洋戦艦として完成いたしました。
同型艦の「比叡」「榛名」「霧島」はいずれも日本で建造され、大正時代の日本は強力な巡洋戦艦を四隻も保有することになったのです。

その後、第一次世界大戦の戦訓から「金剛」級は防御力を強化するなどの大改装が行われ、種別も巡洋戦艦から戦艦へと変更されました。
しかし、巡洋戦艦時代からの速度の速さは確保されており、最大速度は30ノットを超える日本の戦艦では最も速い戦艦でした。

このため「金剛」級は高速が要求される空母機動部隊の随伴艦として南雲機動部隊と行動をともにすることが多い戦艦でもありました。

完成したばかりの「大和」「武蔵」などとは異なり艦齢30年にも達する古い戦艦であるため、上層部ももったいないという気持ちを持つことなく最前線に投入することができた戦艦でありましたので、かえって活躍の場を多く与えられた戦艦でもありました。

基準排水量は32000トン。
主砲には36センチ砲(正確には14インチですので35.6センチ砲)を連装四砲塔八門装備しておりました。
この36センチ砲の砲撃力を持ってガダルカナル島の「ヘンダーソン飛行場」を砲撃し、一時的な使用不能に追い込んでその間に第三十八師団を上陸させ、今度こそ米軍を撃滅しようと考えたのです。

「比叡」と「霧島」の両艦は、軽巡「長良」と駆逐艦十一隻に護衛され、昭和17年(1942年)11月9日に根拠地であるトラック島を出撃しガダルカナル島へと向かいます。

一方米軍もちょうどこのとき輸送船団がガダルカナル島に到着し、物資を送り届けておりました。
日本艦隊の出撃は米軍側に知られており、この輸送船団を護衛してきたダニエル・カラハン少将率いる巡洋艦隊が、この日本艦隊を迎撃しようと待ち構えておりました。

日付が変わった11月13日の午前1時過ぎ(米軍時間)、米艦隊は最新式のレーダーで日本艦隊を捉えます。
このとき日本艦隊は米艦隊の存在に気がついておらず、日本艦隊は非常に危険な状況でした。

さらに主力の戦艦である「比叡」と「霧島」は、夜明けまでに米軍機の行動圏から退避しなくてはならないことから、短時間で砲撃を済ませなくてはならないために主砲にすでに対地攻撃用の砲弾をセットしてしまっておりました。
これは飛行場砲撃には有効ですが、対艦攻撃には不向きな弾であり、せっかくの戦艦の主砲の攻撃力が半減しているようなものだったのです。

米艦隊旗艦重巡「サンフランシスコ」の艦橋では、カラハン少将が探照灯(サーチライト)を使わないレーダーだけで射撃を行おうと考えておりました。
探照灯は相手を照らし出すのはいいのですが、自分の位置も相手にわかってしまいます。
レーダー射撃ならば日本軍は米艦隊を見つけられないままに一方的に砲撃を受けてしまうことになると考えたのでした。
サンフランシスコ (米重巡サンフランシスコ)

「サンフランシスコ」の艦橋に僚艦の軽巡「ヘレナ」より日本艦隊が約25キロの位置に来たとの報告が入ります。
「ヘレナ」は新型のレーダーを装備していたので、「サンフランシスコ」よりも正確に日本艦隊の位置を捉えておりました。
まさに日本艦隊は闇の中から見つめる蛇ににらまれたかえるのような状態でした。

このとき、ひとつの偶然が日本艦隊を救います。
昼間の対空警戒態勢から飛行場砲撃用の態勢に艦隊の各艦艇の位置を変更し、そのあとスコールなどで幾度か進路変更をしたことで、前衛警戒の駆逐艦「夕立」と「春雨」が突出してしまっており、かなり米艦隊に接近してしまっていたのです。

日本時間12日の23時40分ごろ、「夕立」は闇の中に米軍艦艇らしきものを発見。
これはなんと米軍のレーダー探知とほぼ同じころでした。

発見されたのは米軍の前衛駆逐艦の「カッシング」でした。
「カッシング」もほぼ同時に「夕立」を見つけますが、突然闇の中から日本軍の駆逐艦が出現したことに驚き、あわてて進路を変えてよけようとします。
そして旗艦「サンフランシスコ」に目の前に敵がいると通報しました。

カラハン少将は驚きました。
わずか数分前に「ヘレナ」のレーダーは25キロ地点に日本軍がいると報告してきました。
それがほんの数分で目の前3キロほどの位置にいるというのか?
カラハン少将はそれがまったく違う本隊と前衛だとは思わなかったのです。
カラハン少将は再度確認するように命じ、貴重な時間が失われていきました。

(3)へ
  1. 2012/01/09(月) 21:02:37|
  2. 旧式と新型の撃ちあい
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

ニューオーリンズ級重巡洋艦

本文で触れられておりますが、『夕立』の奮戦は、凄まじかったようですね。
きっとこれが、日本海軍水雷戦隊の、理想の戦闘形態だったのでしょう。

画像についてですが、直線的すぎるブリッジのシルエットといい、主砲のたたずまいといい、ニューオーリンズ級にしては、どうも見慣れないシルエットだなぁ・・・とおもっていたら。
大戦後期の映像みたいですね。

↓はあんまりカッコよくない画像ですが・・・

http://en.wikipedia.org/wiki/File:NewOrleansTulagiBowMissing.jpg

個人的には、こういうブリッジをイメージすることが多いです。
ちなみにこれは、姉妹艦ニューオーリンズの画像だそうで、へさきがひどいことになっているのは、ルンガ沖野戦でやられた直後の画像だからだと思います。
  1. 2012/01/13(金) 22:45:41 |
  2. URL |
  3. 柏木 #D3iKJCD6
  4. [ 編集]

>>柏木様
柏木様も結構ご存知なようでうれしいです。
なるほど、気にしてませんでしたが今回の画像は修理後の画像なんでしょうね。
近代化されている感じですもんね。
「ニューオーリンズ」はルンガ沖で大破して、結局終戦まで復帰できなかったんでしたか。
  1. 2012/01/14(土) 20:45:39 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
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