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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

吸血帝国キュラー(1)

「オホホホホ・・・イエローナイト、あれをごらん!」
極彩色の翅を広げ、一点を指差しながら高笑いをする毒蛾の女怪人モスキュラー。
「えっ?」
思わずその指差された方に視線を移すイエローナイト。
もちろん戦闘態勢は整えたままだ。

「あれは?」
そこには一台の黒塗りのバスが止まっていた。
そしてその中には複数の若い女性たちが載せられている。
「クッ」
ヘルメットの中で唇をかむイエローナイト。
彼女はあのバスが何を意味するのか即座に理解したのだ。

「うふふふふ・・・どうやら理解したようね。そう、あのバスの中には人質がいるわ。あんたが仲間を呼んだり抵抗したりすれば・・・うふふふ・・・人質がどうなるかは・・・わかるわよね」
複眼の下の人間そのままの口に笑みを浮かべるモスキュラー。
背中からは色鮮やかな翅が広がり、全身を細かい毛に覆われてはいるものの、その流れるようなボディラインは美しい女性のままであり、腰のくびれも胸の膨らみも人間の女性と変わらない。
頭部も複眼や触角など毒蛾の特徴を持っているのに、口元だけは人間の女性と同じだった。

「クッ、卑怯者め」
悔しさに歯噛みするイエローナイト。
だが、人質をとられていては手出しすることができない。
悔しいがここは相手の言うとおりにして隙をうかがうしかない。
本来なら仲間を呼びたいところだが、今はそうもいかないだろう。
とにかくチャンスを待つしかない。

「ああ・・・」
黒塗りのバスの中からため息が漏れる。
吸血帝国キュラーの女怪人と対峙していたアースナイトの一人、イエローナイトが身構えるのをやめてしまったのだ。
それは当然自分たちが人質になっているからに他ならない。
自分たちのことを気にかけてくれたことがうれしい反面、自分たちのせいで正義が悪に屈してしまうかもしれないと思うと心苦しかった。

「イエローナイト! 私たちにかまわず戦って!」
バスの中から声がかかる。
だが、すぐにざわめきが広がった。
「何言うのよ! 勝手なこと言わないで!」
「私たちは無関係なのよ! 家に帰してよ!」
「イエローナイト、お願い、助けてぇ!」
「いやぁっ! 死にたくないよぉ」
一人の言葉がきっかけで人質の女性たちが堰を切ったようにしゃべり始めたのだ。

「あらあら・・・勝手なことばかり言って無様なものねぇ。これだから下等な動物なのよね、人間って。オホホホホ・・・」
バスの中のざわめきを聞き、あざけるように笑うモスキュラー。
「私はどうなってもいいわ。バスの中の人たちを解放して」
「うふふふふ・・・さぁて、どうしようかしらね」
戦うのをやめたイエローナイトの訴えに肩をすくめて見せるモスキュラー。
「卑怯よ! あの人たちには何の関係もないでしょう」
イエローナイトが怒りにこぶしを握り締める。
「関係はないかもしれないけど、どうするかはアタシ次第よね」
複眼をバスに向け、冷酷な笑みを浮かべるモスキュラー。

「それよりも、今は自分の置かれている立場を認識してもらおうかしら。さあ、変身を解除しなさい、イエローナイト」
「へ、変身を?」
思わず躊躇するイエローナイト。
変身を解除してしまえばほとんど無防備になってしまう以上、躊躇するのも当然だ。
「人質がどうなってもいいの? 早くしなさい!」
「わ、わかったわ・・・」
黒塗りのバスの周囲には黒い全身タイツに身を包んだキュラーの戦闘員たちがおり、モスキュラーが一言発すればすぐに中の人質を始末しようと待ち構えている。
この状況ではイエローナイトに選択肢は無かった。
「ああ・・・レッド、ブルー・・・お願いだから駆けつけて・・・」
「うふふふふ・・・レッドとブルーがくるとでも思っているのかしら? 残念ね。あの二人なら今頃はビーキュラーがたっぷりとお相手をしているころよ」
「そ、そんな・・・」
愕然とするイエローナイト。
道理でこんなに時間が経っているにもかかわらず二人が現れないはずだ。
二人は二人で別のキュラー怪人と戦っていたのだとは・・・

「さあ、早く!」
「クッ・・・」
やむを得ず右手のブレスレットをかざして変身を解除するイエローナイト。
黄色いミニスカート型の躰にぴったりとしたバトルスーツが解除され、着用前の普段着姿に戻ってしまう。
バイザー付きのヘルメットも消えてしまい、髪が翻って凛とした表情の素顔があらわになる。
「解除したわ。これでいいでしょ」
憎憎しげにモスキュラーをにらみつけるイエローナイト。
「うふふふふ・・・いいざまね、イエローナイト。いえ、その姿のときは園里未莱(そのざと みらい)だったかしら」
「えっ? 私の名が知られている?」
その事実に愕然とする未莱。
アースナイトのメンバーの名前は最高機密のはずで、関係者の間でもほとんど知られていないはずだというのに・・・
「オホホホホ・・・吸血帝国キュラーを甘く見ないことね。あんたたちの情報など筒抜けよ」
口元に手の甲を当てて高笑いするモスキュラー。
自分の思い通りの展開に満足しているのだ。

「ほら、変身を解除したわ。これでいいでしょ。早くあの人たちを解放して」
両手を広げて改めて変身を解除したことをアピールする未莱。
どうあれ人質さえ解放することができれば、あとは何とでもなるはずだ。
「オホホホホ・・・お前たち、その女を拘束しなさい」
「「ヒャイーッ!」」
モスキュラーの命で黒尽くめの戦闘員たちが未莱の両腕を取り押さえる。
「な、人質は?」
「オホホホホ・・・残念ね。あの女たちにも利用価値があるのよ。だから開放するわけにはいかないわ」
「そ、そんな・・・」
変身を解除すれば人質は解放されると思っていた未莱は愕然とする。
「卑怯よ! 人質を解放して!」
「うるさいわね。少しの間眠っていてもらうわよ」
モスキュラーが背中に広がる翅を震わせる。
きらきらとした鱗粉が舞い散り、未莱の周囲に降りかかる。
「こ、これは? ごほっ、ごほっ」
思わず鱗粉で咳き込む未莱。
すると急速に眠気が襲ってくる。
「えっ? 何?」
しまったと思う間もなく未莱の意識は闇に飲み込まれていく。
戦闘員たちに両腕をつかまれたままぐったりと眠り込んでしまう未莱。
「オホホホホ・・・私の毒鱗粉の味はどうかしら? 安心なさい。しばらく眠ってもらうだけよ。さあ、お前たち、この女と人質を連れてきなさい」
「「ヒャイーッ!」」
奇声を上げてモスキュラーに従う戦闘員たち。
やがて黒塗りのバスもろとも彼らの姿は突然現れた闇の中へと消えていった。

                 ******

「う・・・こ、ここは・・・」
冷んやりした空気に目を覚ます未莱。
「えっ?」
寝そべった躰を起こそうとして自分の躰が拘束されていることに未莱は気がつく。
両手首と両足首が金属のベルトで固体され、台の上に大の字のように寝かされていたのだ。
しかもあろうことか衣服は一切身に着けておらず、胸も股間もさらけ出したままだという。
「ええ? ど、どうして?」
何がなんだかわからない未莱は軽くパニックに襲われた。

「オホホホホ・・・目が覚めたようね、園里未莱」
「あなたは・・・」
寝かされている台の脇に近づいてくる毒蛾の女怪人に目を移す未莱。
そこにやってきたのは間違いなく自分を眠らせた張本人だ。
「キュラーの女怪人モスキュラー」
極彩色の翅を背中で広げるモスキュラーを未莱はにらみつける。
こんな状況でも彼女の中の正義の心はくじけてはいないのだ。
「うふふふふ・・・名前を覚えてもらえて光栄だわ」
モスキュラーの口元にほんのりと笑みが浮かぶ。

「こんな格好をさせて、私をどうするつもり?」
何とか手足の拘束をはずそうと身を捩る未莱。
「うふふふ・・・無駄よ。その拘束は人間にははずせないわ」
「クッ・・・ヒャッ」
いきなりモスキュラーの指がお腹の上をなでていき、未莱は思わず声を上げてしまう。
「な、何を!」
「うふふふ・・・綺麗な躰。素敵だわ。でもこれからもっともっと素敵になれるわよ」
「えっ?」
「心配しなくてもいいわ。あんたを殺したりはしない。それどころかあんたには新しい生活を与えてあげる」
「新しい生活?」
いったいどういう意味なの?
私を殺さないって、どうするつもりなの?
未莱は戸惑いを隠せない。

「うふふふふ・・・アタシ、前からあんたのことが気になっていたのよね。あんたがアタシたちの仲間になれば二人でじっくり楽しめそう」
そういいながら未莱の躰に指を這わせていくモスキュラー。
その鋭い爪がちょっとだけ未莱の肌を傷つける。
「つっ」
「あら、ごめんなさい。やっぱり人間の肌はもろいわね。でも、キュラーの女怪人になればそんなもろい躰とはおさらばできるわよ」
未莱の肌ににじんだ血を指で掬い取り、その指をぺろりと舌で舐めるモスキュラー。
その口元には淫靡な笑みが浮かんでいた。

「女怪人になる? まさか・・・」
「うふふふふ・・・キュラーの怪人に生まれ変わることはすばらしいわよぉ。アタシも以前は人間だったわ。でも下等な人間だったころのことなんてもう思い出したくもないけどね」
「そんな・・・私をキュラーの女怪人にするつもりなの?」
愕然とする未莱。
「そのとおりよ。正義などというくだらないものを信じているあんただけどその能力は折り紙つきだものね。キュラーの一員になれば優秀な女怪人になれるわよ」
「冗談じゃないわ。誰があんたたちの仲間になんて! クッ」
未莱は何とか拘束を逃れようと身を捩る。
だが、モスキュラーの言うとおり人間の力ではびくともしなかった。

「うふふふ・・・今はそう思うのも無理はないわね。アタシも怪人になる前は化け物になんかなりたくないって思ったわ。でもそんな気持ちは怪人になれば消えるのよ。むしろキュラーの怪人にしてくださってありがとうって感謝の気持ちでいっぱいになるの。あんたもすぐにそうなるわ」
そういいながら未莱の胸をなでていくモスキュラー。
「そんなことあるもんですか! 私はどんなことをされてもキュラーに感謝したりなんかしないわ!」
「素敵な胸。いい形だわ。この胸を永遠にそのままとどめておきたいと思わない? キュラーの怪人になれば病気や老化で醜くなって死ぬことはなくなるのよ」
「キュラーの怪人になるほうがよほど醜いわよ! ふざけないで!」
必死に手足の拘束をはずそうともがきながらも、未莱はモスキュラーに言い放つ。
グロテスクな昆虫や植物と融合する姿のどこが美しいというのか。
「うふふふ・・・アタシから見れば人間のほうが脆弱で醜いと思うわ。あんたもすぐにわかるわよ」
「冗談じゃないわ!」
「うふふふ・・・おしゃべりはここまで。次に話すときが楽しみだわ。うふふふふ・・・」
やさしく未莱の頬をなでてから台のそばを離れていくモスキュラー。
その指がパチンと鳴らされると、台の周囲の機器類が明滅し始めウィンウィンとうなりをあげていく。
「いやぁっ! やめてっ! やめてぇっ!!」
未莱はこれから自分が何をされるのかを考え、恐怖に叫び声をあげるのだった。
  1. 2012/01/02(月) 21:00:00|
  2. 改造・機械化系SS
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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