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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

普墺戦争(15)

三段の後翼単梯陣を組んで突撃してくるテゲトフ提督のオーストリア艦隊に対し、散開隊形からようやく単縦陣を組み始めていたペリオン提督指揮するイタリア艦隊でしたが、ここで世界の海戦史上にも例を見ない奇妙な出来事が起こります。

イタリア艦隊旗艦「レ・デ・イタリア」に座乗していた艦隊司令官のペリオン提督が、なんとこの戦闘直前になって艦を降りてしまったのです。
そして提督はなんとまだ列外にあった装甲艦「アフォンダトーレ」へと移乗してしまいました。
海戦直前のこのときに旗艦が変更されるなど前代未聞の出来事です。

このペリオン提督の行動はいったい何を考えたものかよくわかりません。
一説には新鋭艦でお気に入りだった「アフォンダトーレ」に乗りたかったからだというものもありますが、それにしてもこの時点での移乗は考えられません。

案の定この旗艦変更はイタリア艦隊を混乱に陥れてしまいます。
提督の移乗のために停止した「レ・デ・イタリア」およびそれ以後の五隻の艦と、「レ・デ・イタリア」より前にいた三隻の艦との間に大きな間隙ができてしまい、一本の単縦陣が二本に分かれてしまったのです。
さらに旗艦が変更されたことも各艦の艦長には伝えられておらず、ほとんどの艦の艦長はいまだ「レ・デ・イタリア」が旗艦だと思い込んでおりました。
レ・デ・イタリア (イタリア装甲艦「レ・デ・イタリア」)

このイタリア艦隊の混乱を見逃すテゲトフではありませんでした。
彼は麾下の七隻の装甲艦をイタリア艦隊の前列と後列の間に割り込ませ、前列の後尾に砲撃を加えつつ後列の側面に回りこみました。
第二陣以降のオーストリア艦隊は第一陣の援護に回ります。

こうしてイタリア艦隊は列外の「アフォンダトーレ」を含めて九隻の装甲艦が戦闘態勢に入ったにもかかわらず、前列の三隻は大きく飛び出してしまって離れてしまい、後列の五隻も後ろ二隻がオーストリア艦隊の第二陣以後に拘束され、後列の前半分と列外の「アフォンダトーレ」の計四隻のみがオーストリア艦隊の装甲艦七隻と戦うはめになっってしまいました。
つまりイタリア艦隊の数の優位が一瞬にして消えてしまったのです。

混戦となった海上には双方の砲煙が漂い、視界は急速に悪化します。
テゲトフ提督はイタリアの軍艦が灰色、オーストリアの軍艦が黒色に塗られていることに目をつけ、「灰色の艦を(衝角で)突き沈めよ」と命じますが、蒸気機関で自由に動ける装甲艦は、ぶつける側以上に回避する側も自由に動けるためになかなか艦首をぶつけることができません。
これは衝角戦術の大きな誤算でした。

逆にものを言ったのは火力のほうでした。
イタリア艦隊の後列の前半分にいた「レ・デ・イタリア」、「パレストロ」、「サン・マルティーノ」の三隻はオーストリア装甲艦によって半ば包囲される形となり集中砲火を受けてしまいます。
これによって「パレストロ」は大火災を起こし戦列を離脱。
かつてのイタリア艦隊の旗艦「レ・デ・イタリア」も砲撃を受けて操舵装置に損傷が発生、航行不能に陥りました。

旗艦を変更したペリオン提督は再三にわたって「アフォンダトーレ」のマストに信号旗を掲げ、艦隊に指示を下そうとしましたが、混戦の中ではどの艦も気がつきません。
艦長たちの目は旗艦であると思われていた「レ・デ・イタリア」に向けられているのですから当然です。

これはオーストリア側も同様で、テゲトフ提督はイタリア艦隊の旗艦と思っていた「レ・デ・イタリア」が操舵機の損傷で停止したのをチャンスと見て、座乗する「フェルナンド・マックス」に衝角攻撃を命じます。
航行不能になっていた「レ・デ・イタリア」にはこれを回避することはできず、ついに「フェルナンド・マックス」の衝角が「レ・デ・イタリア」の横腹を突き破ります。
フェルナンド・マックス (オーストリア装甲艦「フェルナンドマックス」)

横腹に大穴を開けられ、これが致命傷となった「レ・デ・イタリア」は転覆。
ついに沈没してしまいます。
この海戦での最初の沈没艦となりました。

一方イタリア艦隊の後列後尾の二隻の装甲艦を相手にしていたオーストリア艦隊第二陣ですが、さすがに非装甲艦対装甲艦では分が悪く、イタリア装甲艦に損害を与えることはできておりませんでした。
そこで第二陣の指揮官ペッツ代将は、第二陣の旗艦である木造戦列艦「カイザー」による衝角攻撃を敢行。
イタリア装甲艦「レ・デ・ポルトガロ」に艦首をぶつけます。
「レ・デ・ポルトガロ」に突っ込んだ「カイザー」 (「レ・デ・ポルトガロ」に突っ込んだ「カイザー」)

しかし、木造である「カイザー」の衝角は「レ・デ・ポルトガロ」の舷側を貫くことはできず、逆に衝突の衝撃で「カイザー」のほうが艦首を損傷してしまいました。
「レ・デ・ポルトガロ」はこのチャンスに「カイザー」を砲撃。
さらにペリオン提督の「アフォンダトーレ」までもが砲撃を仕掛けてきたために「カイザー」は急遽離脱を余儀なくされ、損傷を受けながらもかろうじて脱出に成功いたしました。

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  1. 2011/12/14(水) 21:14:07|
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(まいかた まさと)と読みます。
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