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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

普墺戦争(13)

プロイセンに同調し、ヴェネツィア地方獲得のためにわざわざオーストリア帝国に宣戦布告したイタリア王国でしたが、「クストッツァの戦い」において一敗地に塗れてしまいました。

これはオーストリア軍側司令官アルブレヒト大公による積極果敢な行動も大きく影響しておりましたが、イタリア側もまだ統一後わずか五年しか経っておらず、イタリア国内各地の旧各国軍の統一的運用も未熟で将兵に対する扱いの格差など問題点も山積していたことも見逃せない事実でした。

特にかつては南イタリア地方で権勢を誇っていた旧ナポリ王国の兵士たちは、イタリアを統一したのがサルディニア王国だったからといって、当時は辺境の島国であったサルディニアの指揮官たちに従わなくてはならないなどということは屈辱以外の何者でもなかったのです。
そのため彼らは往々にして陸軍内で反抗を繰り返し、イタリア陸軍の戦闘力を減じてしまっていたのでした。

イタリア軍は「クストッツァの戦い」後オーストリア軍が追撃してこなかったことから、何とか体勢を立て直して再度の侵攻を試みようとします。
一方イタリア軍は地中海に有力な艦隊を持っていたこともあり、海軍力を持って陸軍の支援を行おうと考えました。

当時、欧州では海上戦闘艦に大きな変革が訪れてきておりました。
産業革命により蒸気機関や製鉄などの分野が発達したことで、海上戦闘艦のスタイルも大きく変わってきていたのです。

1860年にはフランスで船体に装甲を施した装甲艦「ラ・グロアール」が竣工。
翌1861年にはいまも英国で記念艦として保存されている装甲艦「ウォーリア」が竣工するという具合に、海上戦闘艦はかつての木造帆船である戦列艦から、蒸気機関を備え装甲を張り巡らせた装甲艦へと変わってきていたのでした。

「普墺戦争」開戦時、イタリア王国には大小十二隻の装甲艦があり、非装甲の艦も大小合わせて二十二隻を擁しておりました。
これに対しオーストリア帝国には大小七隻の装甲艦しかなく、非装甲の艦も二十隻とイタリア海軍より劣勢でした。
しかも戦闘力の要である艦載砲も新型の後装式(大砲の後ろ側から弾を込める)の大砲をイタリア海軍の艦は装備していたのに対し、オーストリア海軍の艦載砲は大部分が前装式(前から弾を込める)大砲だったため、命中精度と発射速度両面でイタリア海軍に後れを取っていたのです。

イタリアとしてはこの海軍力の優位を生かそうと考えました。
そこで「クストッツァの戦い」以前より、イタリア海軍に対してオーストリア海軍への攻撃を命じておりましたが、イタリア艦隊の司令長官ペルサーノ伯カルロ・ぺリオン提督は60歳になる老提督であり第一線指揮官よりも政治家というほうがふさわしいような人物であったためはなはだ戦意が低く、イタリア艦隊をアンコナ近海で訓練に明け暮れさせるだけという有様でした。

一方戦力的には劣勢のオーストリア海軍でしたが、その指揮官にはヴィルヘルム・フォン・テゲトフ提督が就任しておりました。
彼はまだ38歳という若き指揮官であり、しかも「第二次シュレスヴィヒ・ホルシュタイン戦争」でデンマーク海軍とも戦ったことのある有能な人物で部下たちの信望も厚い人物でした。

テゲトフは自艦隊が劣勢であるにもかかわらず艦隊を率いて出撃し、1866年6月27日にイタリア艦隊のいるアンコナ沖に現れます。
イタリア艦隊は突然のオーストリア艦隊の出現にあわてて出港準備を行いますが、機関故障を起こす艦や戦闘準備の整わない艦、果ては火災事故まで起こす艦が現れる始末でした。

それでもイタリア艦隊司令官ペリオンは麾下の装甲艦四隻を率いてアンコナ港外へ出撃します。
しかし、彼はアンコナ港の砲台の援護射撃が届く範囲から出ようとはせず、洋上で作戦会議を行うなどしているうちにテゲトフのオーストリア艦隊は悠然と引き上げてしまいます。
このペリオンの態度は艦隊の下級兵士からイタリア政府にいたるまでがっかりさせたことは間違いありませんでした。

「クストッツァの戦い」で陸軍が敗退し、アンコナ港外では海軍も消極的な態度に終始したイタリア軍でしたが、7月3日に「ケーニヒグレーツの戦い」においてオーストリア軍がプロイセン軍に大敗したという報告がもたらされました。
このため、遠からずプロイセン軍がオーストリア帝国の首都ウィーンに進撃するものと考えたイタリア政府は、戦争が終結する前に何らかの戦果を上げる必要に迫られます。

イタリア政府は陸軍に再度のヴェネツィア地方への侵攻を命じるとともに、海軍に対してもアドリア海の対岸にあるオーストリア領ダルマティアのリッサ島にある要塞を攻略し、救援に駆けつけてくるであろうオーストリア艦隊を撃破するよう強く命じます。

おりしもイタリア艦隊には英国に発注していた装甲艦「アフォンダトーレ」が到着し、この装甲艦の到着してないことを口実に出撃を引き伸ばしていたペリオンもついに出撃せざるを得なくなりました。
装甲艦同士の海戦として名高い「リッサ海戦」が、今始まろうとしておりました。

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  1. 2011/12/09(金) 21:08:55|
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