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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

普墺戦争(8)

プロイセンにとってオーストリアと戦争するにあたり、まず行うべきは外交でオーストリアの味方をしそうな国を減らすことでした。
力を失いつつあるとはいえ巨大なオーストリア帝国は、プロイセンにとってはまだまだ強力な敵であり、オーストリアの味方をする国が出てきてしまうとプロイセンにとっては手に負えなくなってしまう可能性があるからです。

その状況をよく認識していたプロイセンの首相ビスマルクは、積極的な外交を展開いたしました。
まず「イタリア統一戦争」においてオーストリア領として残されてしまったいわゆる「未回収のイタリア」であるヴェネティアやトリエステといった地域のうち、ヴェネティアを戦争後にイタリアに与えるという約束をすることで、来るべき戦争においてイタリアの協力を取り付けることに成功します。

さらに東の大国ロシアに対しても中立を守るように働きかけ、「クリミア戦争」後他国の戦争に介入する余裕を失っていたロシアも申し出を受け入れて中立を維持することを伝えます。

こうしてオーストリアは気がつくと北のプロイセンと南のイタリアには戦争を仕掛けられようとしており、東のロシアは戦争になっても中立を保つという状況に追い込まれます。
残るは西にある大国フランスでした。

フランスの皇帝ナポレオン三世は、「クリミア戦争」「イタリア統一戦争」のときと同様他国の戦争で利を得ようと考えたのか、オーストリアとプロイセンの関係悪化に対して国際会議を開いて問題を解決するよう提案します。
しかし、フランスがこの機にライン河河畔に対する領土的野心をむき出しにしてくる可能性を考えたビスマルクは、フランスの提案する国際会議を拒否。
ただし、ナポレオン三世をうまく誘導して戦争が起こってもフランスは中立を保つという確約を得ることに成功いたしました。

これでオーストリアの東西南北に対して手を打つことができたビスマルクは、いよいよオーストリアに対して強硬的な態度に出ます。
これに対しオーストリアはガスタイン条約の破棄とアウグステンブルク公爵によるシュレスヴィヒ・ホルシュタイン両州の統治をドイツ連邦議会に提案し、オーストリアもプロイセンも双方がシュレスヴィヒ・ホルシュタインから手を引くことを提示します。

もはや戦争を行うことに決していたプロイセンはこのオーストリアの提案を拒絶。
強くオーストリアを非難しました。

プロイセンとオーストリアが一触即発状態となったことで、両国に挟まれる形となった諸邦ではオーストリアの提案に賛意を示しプロイセンの自重を求めました。
しかしプロイセンにはそのような気持ちはまったくなく、すでにビスマルクより戦争へのGOサインを受け取っていたモルトケはプロイセン軍を動かします。

1866年6月7日、プロイセン軍はオーストリアの支配するホルシュタインに兵を進めます。
ドイツ連邦議会はあわてて平和維持決議を行いますが、これに対しプロイセンはドイツ連邦を脱退。
オーストリア側についていたバイエルンやヘッセン、ザクセン等の諸邦領に対しても軍を差し向けました。

ことここにいたり、オーストリアはついにプロイセンとの戦争を決意。
1866年6月15日(日付は異説あり)、プロイセンに対して宣戦を布告します。
これに応じて翌日にはプロイセンとイタリアがオーストリアに対して宣戦を布告。
ついに「普墺戦争」が始まったのでした。

(9)へ
  1. 2011/11/16(水) 21:02:15|
  2. 普墺戦争
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