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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

普墺戦争(7)

デンマークからシュレスヴィヒ州とホルシュタイン州をともに手に入れたいと考えていたプロイセンでしたが、「第二次シュレスヴィヒ・ホルシュタイン戦争」にはオーストリアと同盟してデンマークに戦争を仕掛けました。
これは一説には、実際のオーストリア軍の野戦での能力を見極めたいとするプロイセンの首相ビスマルクの深謀遠慮だったとも言われます。

一方デンマーク側としては、「第一次シュレスヴィヒ・ホルシュタイン戦争」のときに同盟国として軍隊を派遣してくれたスウェーデンが今回は参戦してくれず、孤軍奮闘を余儀なくされてしまいました。
それでも国土防衛の意気に燃えるデンマーク軍の士気は高く、同盟国とはいえ元来がドイツ統一に対するライヴァルであるオーストリアとプロイセン両軍は協調性が低かったため、何とか戦えるのではと思われましたが、やはりオーストリア・プロイセン両軍、特にプロイセン軍の強力さに圧倒される結果となってしまいます。

デンマーク軍は主防衛線であるダンネウェルクの強化陣地帯で踏みとどまり、時間を稼いで外交により英仏などの列強の干渉を引き出そうともくろみましたが、オーストリア・プロイセン連合軍はわずか四日ほどで強化陣地帯を突破してしまい、時間を稼ぐことはできませんでした。

その後は後退するデンマーク軍をオーストリア・プロイセン連合軍が追撃するという状況になり、オーストリア軍はユトランド半島を、プロイセン軍はデンマークの首都コペンハーゲンを目指して進撃。
軍の主力をプロイセン軍に撃破されたデンマークは講和をいけいれるしかなく、1864年10月30日、ウィーンにおいて条約が結ばれ、シュレスヴィヒとホルシュタインの両州はオーストリアとプロイセンの共同管理化に置かれることが決まりました。

ウィーン条約においてシュレスヴィヒとホルシュタインをデンマークから奪い取ったオーストリアとプロイセンの両国でしたが、両国ともはじめから共同管理などという形で両州を治めていこうなどとは露ほども考えておりませんでした。
できうれば両州ともに自国の領土にしてしまおうというのが本音だったのです。

それでも当面はお互いの衝突は回避するべきと考えたのか、オーストリア側の譲歩によりシュレスヴィヒ州をプロイセンが、ホルシュタイン州をオーストリアが統治するという形で妥協が図られました。
これがガスタイン条約と呼ばれるもので、いつの間にか両州の独立を支援するといった話は消え去り、両州ともに二国の支配下に組み込まれてしまったのでした。

こうしてまんまとシュレスヴィヒ州を手に入れたプロイセン王国でしたが、このままで収めるつもりもありませんでした。
いずれこの両州は再び問題となり、オーストリアとぶつかるであろう事はビスマルクは予期しておりました。
そしてそのときにこそオーストリアと決着をつけることになるであろうとも考えていたと思われます。

当時すでにプロイセンでは参謀本部制度が取り入れられておりました。
このときの参謀総長はヘルムート・カール・ベルンハルト・フォン・モルトケという男で、クラウゼヴィッツの影響を強く受けた人物でしたが、当時はまだ無名で実力のほどはわかっておりませんでした。
ビスマルクはこのモルトケを信頼し、時にはぶつかりながらもドイツ統一を二人三脚の形で成し遂げていくことになります。
この参謀総長モルトケにビスマルクは、対オーストリア戦の作戦を考えるように命じたのでした。

はたして1866年1月、再びシュレスヴィヒとホルシュタイン両州でアウグステンブルク公爵を担いでの独立運動が再燃いたします。
これに対しオーストリアは事を荒立てないよう当面静観する様子を見せましたが、プロイセンはこの問題に介入し、オーストリアとの関係を悪化させます。

これはもうビスマルクが最初からオーストリアとの関係を悪化させようとしてしたとしか思えない状況であり、いよいよ機が熟してきたとビスマルクは考えたのでしょう。

プロイセンはオーストリアに難癖ともいえるような抗議を行いますが、オーストリア側はこれを無視。
これをわざとかもしれませんが挑発とみなしてプロイセンは戦争を決意。
オーストリアもプロイセンの態度に戦争回避は難しいと悟り、ボヘミア地方の軍に対して戦争の準備を行わせました。
「普墺戦争」はすぐ目の前まで迫っていたのでした。

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  1. 2011/11/09(水) 20:58:18|
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