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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

踊れ踊れ!

ベテラン搭乗員によって操作されたティーガーは、まさに無敵の存在と言ってもいい戦車でした。

少なくとも登場した1942年及びクルスクでの戦いのあった1943年頃までは、ソ連軍にティーガーと正面切って戦闘をできる戦車は皆無でした。

そんな中であった戦いを一つ。

1943年1月。
ドイツ軍に包囲されたレニングラードを解放するために、ソ連軍は反攻作戦を開始します。

そんな中レニングラード近郊の住宅街に立て篭もるドイツ軍兵士を追い出すために、オサチューク中尉率いるT-60戦車一個中隊が歩兵を支援するために進出します。

T-60戦車は重量5.8トンの軽戦車で、主砲はわずか20ミリ。
1941年ならともかく、1943年ではあまり使い道の無い戦車でした。
それでもソ連軍の戦車不足のために使われていたのです。

ドイツ軍の砲撃により、履帯を切ってしまったオサチューク中尉は、本隊を先行させ、自分は修理してから本隊を追いました。

その時オサチューク中尉のT-60のクルーは林の中から巨大なドイツ軍の重戦車が三両も現れたのを見ます。

「ティーガーだ!」
オサチューク中尉は愕然とします。
相手の主砲は88ミリ、重量は60トン近い。
大人と子供以上に差があるT-60では勝ち目があるわけがありません。

しかし、オサチューク中尉は操縦手のマカレンコフ曹長に言いました。
「ティーガーの前で踊るんだ」

彼らの右後方には野砲中隊が布陣をしているところでした。
T-60の20ミリ砲なら無理でも、76.2ミリ野砲なら撃ち抜けるかも知れない。
オサチューク中尉はそう考えたのです。

一台のT-60はこれ見よがしに三両のティーガーの前で走り回り始めました。
20ミリ機関砲はいくら撃ってもティーガーの装甲に弾かれるばかりでしたが、ティーガーにとっても小うるさいT-60は意外と機敏に走り回るため、88ミリ砲に捕らえられない状況が続きました。

ティーガーはじりじりと野砲中隊の方へ引き寄せられます。
オサチューク中尉は野砲中隊がティーガーの側面を狙えるように、ティーガーを引きずり回し、ついに野砲中隊の前にティーガーが姿を現します。

その瞬間、二両のティーガーの側面に76.2ミリ砲弾が集中し、動きが止まりました。
残ったティーガーは早々に退避し、姿を消します。

結局オサチューク中尉のT-60は無傷で残り、ティーガーは二両が失われました。

この戦闘により、オサチューク中尉は「ソ連邦英雄」の称号を受けたそうです。
どんな時でも冷静に全力を尽くせば、いい結果がついてくると言うことなのかもしれないですね。

それではまた。

(参考文献「グランドパワー2001年9月号」)
  1. 2007/02/07(水) 22:09:22|
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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