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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

クルップボクサーと呼んでました

第一次世界大戦後、各国は自国の軍の機械化を推し進めていきましたが、第一次大戦の敗戦国ドイツでも軍の機械化は重要事項の一つでした。

特に前線での機動力が要求される小型の対戦車砲や対空機関砲などは、馬匹牽引ではどうしても機動性が劣るので、牽引車で牽引するのがいいと考えられました。
しかし、第一次大戦後の混乱期には軍の予算も乏しく、履帯式の牽引車はなかなか数がそろえられません。
そこでドイツ軍では、不整地もある程度走ることができ、履帯式の牽引車よりもコストの安い不整地用トラックでこうした軽対戦車砲や軽対空機関砲を牽引することを考えます。

一方、19世紀から鉄鋼を生産し、蒸気機関車の製造から兵器製造に手を広げたクルップ社は、前側2輪後ろ側4輪の6輪トラックを民間向けに開発しておりましたところ、この6輪トラックが意外なほど不整地走破力を持っていることが試験でわかり、これを軍用トラックとして開発して軍に売り込もうと考えました。

クルップ社は軍用とするならば整備に手間のかからないエンジンがいいと考え、冷却器を持たない空冷エンジン、しかも高さを押さえることのできる水平対向エンジンをこの軍用トラックのエンジンにすることにいたします。
このエンジンはシリンダーが横向きに置かれ、それぞれのピストンが向かい合って動くことからボクサーが殴り合っているようだと言うことで“ボクサーエンジン”とも呼ばれるものでした。

このボクサーエンジンを搭載したことで、エンジン部分の高さはかなり低くすることができました。
そのためボンネットも前に行くほどに低くなるよう傾斜をつけることができ、運転席からの視界はすこぶるよいものとすることができました。

また、前2輪後4輪それぞれを独立懸架とすることで地面との追随性を高め、さらに運転席左右に取り付けた予備タイヤも自由に回転するように設置することで、段差などをのりこえるときに腹がつかえないよう補助輪の役割をも持たせることにいたしました。

運転席はドアも無いオープントップとすることでコストを下げ、後部の荷台部分はそれぞれの用途に合わせて変更できるようになっておりました。

こうして完成したクルップ社の6輪トラックはL2H43という番号で呼ばれ、ドイツ陸軍に提示されました。
ドイツ陸軍はこの優秀なトラックをすぐに採用し、主に対戦車砲牽引用のKfz69と兵員輸送用のKfz70、対空機関砲牽引用のKfz81として配備することにいたしました。
採用となったこれらのトラックは、いずれも区別なくクルップ・プロッツ、もしくはクルップ・プロッツェと呼ばれるのが一般的だったようです。

対戦車砲牽引用のKfz69は、当時の主力対戦車砲であった37ミリ対戦車砲PAK36を牽引するもので、荷台部分には対戦車砲の操作班が乗り込み、後部車輪のフェンダーの上に弾薬ケースを載せるのが一般的でした。
また、最後部にはPAK36用の予備タイヤを取り付けてあるのも特徴でした。
Kfz69.jpg   Kfz69(2)

兵員輸送用のKfz70は、一般的な汎用トラックと同じような荷台を装備しておりましたが、荷台の左右にベンチシートが設けられ兵士がそこに腰掛けられるようになっておりました。
主に歩兵部隊に配属され、兵士の足として多用されました。
Kfz70.jpg

対空機関砲牽引用のKfz81は見た目はKfz70とほぼ同じですが、対空機関砲用の弾薬ケースが載せられるためにベンチシートは片側だけとされ、またベンチシートの下側にも弾薬ケースが置けるようになっていたようです。
また、荷台の運転席側に対空機関砲用の予備タイヤが設置されておりました。

主に使われたのはこの三種類でしたが、他にもシャーシを利用して探照灯を乗せたり無線機を載せたりしたものもあったようです。
また、牽引車で引っ張るよりも載せて自走化させたほうが便利だと言うことで、牽引していた37ミリ対戦車砲や20ミリ対空機関砲を荷台部分に載せてしまい、簡易自走砲としてしまった車両も結構あったようです。

変わったところでは、中国に輸出されたKfz70が日本軍に鹵獲され、日本軍の車両として使われたなんてこともあったようで、日本兵がKfz70に載った写真なんかも残っていたりします。

クルップ・プロッツは、改良型のL2H143も含め、1942年の生産終了まで約7000輌が作られました。
便利なトラックでしたが、車種統合のため軽トラックは4輪とすることが軍の方針で決まったため、6輪トラックは生産終了となってしまったのです。

しかしクルップ社の目論見どおり、整備に手間のかからない空冷エンジンを搭載したことでクルップ・プロッツは故障で使えなくなるということがとても少なく、終戦まで使われ続けた車両も多かったと言われます。

かつてこの車両がタミヤで模型化されたとき“クルップボクサー”という名称で売られていたため、今でもクルップ・プロッツと呼ぶよりもクルップボクサーと呼ぶ人も多いかもしれません。
私もプロッツという愛称は後年まで知りませんでしたので、クルップボクサーと呼んでいたものでした。
単なる軽トラックではありますが、独特の味があるデザインはちょっと魅力的ではありませんか?

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2011/09/07(水) 21:13:43|
  2. 趣味
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

地震があったそうですが大丈夫ですか
  1. 2011/09/07(水) 22:47:57 |
  2. URL |
  3. 名無しですー #-
  4. [ 編集]

>>名無しですー様
ありがとうございます。
札幌は震度2程度でしたので問題無しでした。
  1. 2011/09/07(水) 23:03:31 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
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