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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ようやくアルバに

2010年最後の更新は「グァスの嵐」です。

なんと366日ぶりの更新。(苦笑)
ほったらかしで申し訳ありません。
そろそろケリつけないとあかんなぁ。


27、
晴れ渡った空はとても気持ちがいい。
島のそばには鳥の姿も見え隠れする。
眼下の灰色の密雲とは異なり、頭上を白い雲が流れていく。
その雲と雲の間の空間を、ファヌーはゆったりと進んでいた。
「んー、気持ちいい。嵐が去ったあとって気持ちいいのね」
健康的な小麦色の肌を日の光にさらし、ショートカットの赤毛を風になびかせるフィオレンティーナ。
まばゆいばかりのその若々しい美しさに、思わずエミリオはドキッとする。
「あ、ああ、、そうだね。なんか空気が入れ替わったって感じだね」
シャツをつんと持ち上げているフィオレンティーナの胸に目が行ってしまい、思わず目をそらすエミリオ。
彼とて健康な青年である。
女性のことが気になってしまうのは仕方がない。
作業を続けながらも、どうしてもその視線がフィオレンティーナに向いてしまうのを、エミリオは止めることができなかった。

適度な風がファヌーを推し進める。
前面で広がる帆が風を受けて大きく孕み、ギシギシとつないでいるロープをきしませる。
何物にも邪魔されない航海は順調で、アルバ島へも程なく着くことができそうだ。
「見えたぞ」
船首からゴルドアンの声が聞こえてくる。
ファヌーの前方に、島が小さく見えてきたのだ。
アルバ島に間違いない。
やっと目的地に着いたのだ。

アルバ島の桟橋に横付けする『エレーア』
エミリオが船を固縛し、フィオレンティーナとミューが桟橋に降り立つ。
ミューにとっては何度も行き来してきたミストス島とアルバ島だったが、桟橋に足をかけた瞬間、シナプス回路に言いようのない電流の流れを感じる。
それがチアーノ老人がそばにいないことによるものだと気が付いたとき、ミューは胸が痛く感じていた。

「ミューちゃん、大丈夫?」
フィオレンティーナが、桟橋に立ったまま動かなくなったミューを心配して声をかける。
「あ、はい、大丈夫です。ちょっとチアーノ様のことを思い出していました」
「そうか。ここにはチアーノさんのお友達がいるんだったね。何度も来ていたってわけか」
『エレーア』を固縛し終えたエミリオがやってくる。
「はい。早くその人のところへ行かなくては」
「そうだな。さっさと用事を済ませ、フィオを送ってやらなくちゃ」
背後からゴルドアンも桟橋に降り立つ。
アルバ島はその位置からカラスタ群島ではそこそこ名が知られてはいるが、住んでいる人は少なく、数人の人しかいないはず。
だからこそチアーノ老人も自航船で行き来してきたのだ。
もっとも、チアーノ老人はいずれ自航船を広めるつもりでいたから、隠し立てするつもりはなかったかもしれない。

「さて、その人のところへ行ってこよう。その人はなんていう人なんだい?」
「パオロ・エルトラーニさんです。チアーノ様の古くからのお知り合いだそうです」
「エルトラーニさんね? 行ってみましょ」
まったく躊躇することなくエミリオもフィオレンティーナもミューについていこうとするのを見て、ゴルドアンは苦笑した。
こいつらまるで娘を連れた若夫婦じゃないか。
まあ、ミューちゃんがちょっと大きいから、さしずめ妹を連れた兄夫婦かもしれないが。
もっとも、当の三人はそんなことお構い無しに、のんきにゴルドアンに手を振っている。
「ゴル、船は任せたよ」
「何かお土産があったら持ってきますね~」
「こっちのことは気にするな。気をつけるんだぞ」
三人が遠ざかっていくのを、ゴルドアンは微笑みながら見送った。

「さっきの船が向かった先は何がある?」
「おそらくアルバ島へ向かったものかと」
小型ギャレー『デ・ボガスタ』の後部艦橋で、ふと考え込むエスキベル提督。
ファン・ナルバエス艦長が航空図を広げて確かめる。
間違っていたりしたら目も当てられないからだ。
まったく・・・
この提督が乗ってきてから気の休まる時がない。
「我々はアルバ島には寄ったかな?」
「アルバ島は小さな島ですし、住んでいる人間もわずかです。後回しでいいとのことでしたので、いまだ寄ってはおりませんが・・・」
「うむ、アルバ島に向かってくれ。どうも気になる。そういう小さな島のほうが何かあれば隠しやすい」
「ハア・・・隠しやすい・・・ですか」
おそらく提督は自航船がもう一隻あってほしいと思っているのだろう。
だが、肝心の自航船は燃え尽きてしまったというではないか。
そんな風もなしに動く船などそうあるものではなかろうに。
問題はいつまでそんなものにつき合わされるのかだ。
こんなことでうろつきまわされるのはたくさんだ。
何か自航船にまつわるものの一つでも発見して、さっさと降りていってくれないものか。
ファン・ナルバエス艦長はそう思いつつ、部下に指示を出す。
「針路変更! 船首をアルバ島に向けろ!」
小型ギャレー『デ・ボガスタ』は、ゆっくりと船首をアルバ島に向けるのだった。
  1. 2010/12/31(金) 19:21:27|
  2. グァスの嵐
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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