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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

科学主任穂純(3)

「科学主任穂純」の三回目です。
それではどうぞー。


3、
テーブルの上に置かれた穂純の機械にワゼックの手が伸びる。
かちりと音がして、スイッチが入れられる。
「うぎぃぃぃぃぃ・・・」
穂純が絶叫を上げ、躰をぴくぴくと跳ねらせる。
頭の中に手を突っ込まれ、グニグニとこねくり回されているような激痛が彼女を襲っていたのだ。
自分で作ったものなのである程度は予測していたものの、実際に自分に使われたときの痛みは想像を超えたものだった。
「や、やめて・・・やめてぇ!」
必死に苦痛に耐える穂純。
それをワゼックは冷ややかに見つめ、機械につながっているマイクを口元へと持っていく。
「やめてぇぇぇぇ!!」
穂純は目を見開いて絶叫した。

ラブホテルというものは便利なものだ。
人間どもが行為に及ぶときの音が隣に伝わらないよう、結構な防音が施されている。
まさかこれほどの叫び声をあげるとは思わなかったが、ここを選んで置いてよかったものだ。
さて、ホズミの作ってくれたこの機械、じっくりと試させてもらうとしよう。
ワゼックはマイクのスイッチを入れる。
このマイクで彼女に語りかけることで、その言葉が彼女の脳に刷り込まれることになるらしい。
いわば焼き付けることになるので、暗示がとても強固なものになるそうだ。
はたしてそれが本当か。
彼女自身で実演してもらおう。

「カザトホズミ。お前は神聖帝国の忠実なしもべだ」
「いやぁっ! わ・・・私は・・・神聖・・・帝・・・国の・・・しも・・・べ・・・」
激痛に苦しみながらもワゼックの言葉を繰り返す穂純。
暗示が脳に刷り込まれているのだろう。
「そうだ。お前は神聖帝国の忠実なるしもべ。神聖帝国に尽くすことこそが喜び」
「ああ・・・あああ・・・神聖・・・帝国に・・・尽くす・・・喜び・・・」
ベッドをきしませて躰を跳ねらせている穂純。
その目は大きく見開かれ、口からはよだれが一筋たれている。
「神聖帝国こそが宇宙を支配するにふさわしい存在。力こそがすべて。弱きものには死か服従を」
「あぐぅ・・・神聖・・・帝国こそ・・・ふさわしい・・・力こそがすべて・・・弱きものには死か服従を・・・」
激痛に躰を震わせ、失禁をしてしまっているものの、じょじょに口調が滑らかになっていく穂純。
「神聖帝国皇帝こそ全宇宙の支配者。その息子たる我に従うことこそお前の喜び」
何度も同じようなことを言って暗示を強固にする。
繰り返しが重要だと穂純は神能に伝えていたのだ。
「あなたに従うことこそが・・・私の喜び・・・」
穂純の躰の震えがおさまってくる。
目は焦点を失い、宙を見つめているだけになっていた。
「テラズガーズは憎むべき敵。お前は我がメス奴隷として我に忠誠を誓うのだ」
「テラズガーズは憎むべき敵・・・私はワゼック様の忠実なるメス奴隷」
ワゼックがにやりと笑う。
単なる繰り返しではなく、穂純の中でワゼックの言葉が自分なりの言葉に置き換えられていっているのだ。
「お前は冷酷な魔女となって神聖帝国と我がために尽くすがいい。それがお前の生きるすべてである」
「私は冷酷な魔女として神聖帝国とワゼック様のために尽くします。それが私の生きるすべて・・・」
穂純の目に輝きが戻ってくる。
だが、それは先ほどまでの穂純の目ではなかった。

シャワーを浴び終えた穂純がワゼックの前にやってくる。
全裸にバスタオル一枚で、肩までの黒髪を拭いていた。
「クククク・・・洗脳された気分はどうかな? カザトホズミよ」
ベッドに腰掛けたワゼックが含み笑いをもらす。
手足の戒めをとり頭から装置を外してやると、穂純はシャワーを浴びさせてほしいと訴えたのだ。
「はい。とてもいい気分ですわ。洗脳していただくことがこんなにすばらしいとは思いませんでした。私はもう神聖帝国とワゼック様の忠実なるしもべ。洗脳していただいて感謝しております」
にっこりと微笑む穂純。
だがその笑みにはどこか冷たいものがあった。
「クククク・・・まさか自分の作った機械で洗脳されるとは思わなかっただろう。洗脳具合はどうなのだ?」
「予想以上に強固かと。これならば改良の必要もなく充分に実用化できます。私はもう以前のようにテラズガーズの連中を仲間だと思うような気持ちはありません。テラズガーズは敵です。この気持ちが元のように戻るなど考えられませんわ」
「それならいい。お前は我がメス奴隷だ。これからは我のためにたっぷりと働いてもらうぞ」
「はい、もちろんですワゼック様。私はワゼック様の忠実なメス奴隷。どうぞ何なりとご命令を」
そういってひざまずくと、穂純はワゼックの靴にキスをする。
偉大なる支配者への当然の行動だった。

                   ******

「それで、カザトホズミをそのまま解放してきたのですか? この魔空城に連れてこずに?」
驚いた表情を浮かべるゴモー。
せっかく洗脳したというのに解放してしまうなど、いったい何を考えているのか?
「ああ、俺も最初はこの魔空城に連れてこようと思った。だが、ホズミが面白いことを考えているというのでな」
「面白いこと?」
「ああ・・・まあ、黙ってみているがいい」
にやりと笑うワゼック。
なるほど。
テラズガーズを内部より崩壊させる・・・か。
ゴモーにはなかなか思いつくまい。

                   ******

「穂純さんがどうかしたの?」
司令室に集まってきた三人の少女に紅茶を振舞う桃子。
彼女はテラズガーズの司令官だが、普段まで厳しく上下関係を求める人間ではないし、むしろ友人めいた付き合いを好むほうだったから、こうして三人に紅茶を振舞うのもいつものことだった。
「ううん。どうかしたってわけじゃないんだけど、このごろなんか雰囲気が違う気がしませんか?」
美味しい紅茶とクッキーという午後のティータイムを楽しみながらも、早智恵が気になっていたことを言う。
「あ、それは私も感じていた。なんていうか人を近づけないような感じで・・・」
佳乃も早智恵に同意する。
彼女も数日前から、あの穂純博士がなんとなく近づきがたい雰囲気を持つようになったと感じていたのだ。
「何かあったんでしょうか? もしかしてお相手に傷付けられてしまわれたとか?」
美愛が心配になる。
穂純博士にいい人が現れたというのはすでにみなの噂になっていたから、もしかしたら彼に振られたりしたことでショックを受けてしまったのかもと思ったのだ。
「うわ、そうなのかな? 穂純博士ケンカでもしちゃったかな?」
佳乃が悲しそうな表情を浮かべる。
人が傷付いたり傷付けられたりというのは彼女にはたまらないことなのだ。

「そっか・・・みんなにはまだ言ってなかったわね。ごめんなさいね。心配しなくても大丈夫よ」
桃子が三人に頭を下げる。
「えっ?」
「どういうことですか? 桃子司令」
「実はね。今穂純博士は次期ガーズスーツを目指して新ガーズスーツの開発に取り掛かっているの」
「「「新ガーズスーツの開発?」」」
三人が口をそろえ、桃子がうなずく。
「おそらくかなり難しい作業になると言っていたわ。そのためしばらくあまり人と接しないようにするって言っていたの。多分そのためにぴりぴりしているんだと思うわ」
桃子の言葉に目に見えてほっとしたような表情を浮かべる三人の少女たち。
「なんだぁ。そうだったのかぁ」
「よかったぁ」
「ホントよかった。もう、言って置いてくださいよ」
口々に安堵の言葉を漏らしていく三人。
「彼との事は聞いていないけど、そう悪い雰囲気でもないみたいよ。いずれ私たちにも紹介してくれるんじゃない?」
「うふふ・・・そのときは未来の旦那様ですかね?」
「そうかもしれませんわね」
「今頃穂純博士くしゃみしているかも」
気にかかっていたことが解消され、四人は笑顔で笑いあう。
それだけ穂純のことが気がかりだったのだ。

電子音が鳴って笑い声がさえぎられる。
司令官席のインターコムが鳴ったのだ。
はいはいといいながら、桃子は席に戻ってインターコムの通話ボタンを押す。
「はい、塩村です」
『私だけど』
インターコムから穂純の声がする。
「あ、穂純さん。どうしました?」
噂をすれば影だと思い、桃子は思わず苦笑した。
『そちらにテラズガーズの三人は行っていない? 今日は顔を出していると思ったんだけど』
三人が自分たちのことだと知って顔を見合わせる。
「来てますよ。今お茶していたんです。穂純さんもいかが?」
『・・・結構よ。それよりも三人をすぐにラボによこしてほしいの。いいわね』
それだけ言うとインターコムは切れてしまう。
そのあまりにも冷たく感じる物言いに、桃子も戸惑いを感じてしまう。
「穂純さん・・・やっぱり煮詰まっているのかなぁ・・・とにかくあなたたち、ラボに行ってくれるかしら?」
「はい。かまいません」
「どうせ準待機だったわけですし」
「穂純博士の様子も見て来たいしね」
三人はなんとなくまた多少の不安を感じながらも、にこやかに立ち上がった。

「クククク・・・」
ワゼックは笑いがこらえきれなかった。
まさか地球の守りの要とも言うべきガーズベースに自分が入ることができるとは、つい先日までなら思いもしなかったことだからだ。
もちろん地球人神能聖の姿をとってではあるものの、ホズミの導きであっさり入ることができたことはむしろ拍子抜けを感じるほどだったのだ。
どんなに強固な要塞であっても、内側から侵食されてはたまらない。
このガーズベースももはや終末が近い。
ホズミの洗脳が予想以上の結果をもたらしそうであることに、ワゼックは充分以上の満足感を感じていた。

「クククク・・・こうも簡単にガーズベースに入り込むことができるとはな」
「うふふふ・・・しょせんここの警備などザル同然ですわ。私が神聖帝国の一員になったことなど誰も気付きもしないのですから」
スーツ姿の神能、いや、ワゼックにひざまずきうっとりとした目で見上げている穂純。
科学主任として白衣を着てはいるものの、今はもう神聖帝国のワゼック付き女秘書官ホズミへと生まれ変わった女である。
「今日は楽しいものを見せてもらえるそうだな。楽しみにしているぞ」
「うふふふ・・・お任せくださいませワゼック様。わが神聖帝国の憎むべき敵、テラズガーズの最後をごらんいただこうと思いますわ」
冷たい笑みを浮かべているホズミ。
メガネの奥の瞳が邪悪に輝いている。
「ほう・・・それは面白い」
ワゼックも興味を引かれる。
テラズガーズの科学主任である穂純が神聖帝国の一員であるホズミとなったからには、程遠くない時期にテラズガーズ壊滅に持ち込めるだろうとは思っていたが、それがこれほど早く訪れようとは・・・
ここはホズミの腕前を見せてもらおうと、ワゼックは楽しみにしていたのだった。

研究室の扉がノックされる。
「どうやら三人が来たようですわ。ワゼック様はしばしそちらでお待ちくださいませ」
別室へと続く扉を指し示すホズミ。
ワゼックはホズミに一度うなずくと、扉の向こうに姿を隠した。

「穂純博士ー、来ましたよー」
「私たちに何か御用でしょうか?」
「またデータの収集ですか?」
入り口を開けてにこやかに入ってくる三人の少女たち。
「よく来てくれたわね、三人とも」
ホズミも穂純としてのにこやかな表情で三人を出迎える。
「いえいえー」
「博士に呼ばれましたら、来ないわけには参りませんわ」
「そうそう。来なかったら何されるかわからないもんね」
悪気のない佳乃の冗談に、残りの二人も思わず笑う。
「あれ? 今日はお一人なんですね? いつもは研究員さんたちがいるのに」
そんな中、佳乃は周りを見て人がいないことに気がついた。
「ホントだ。穂純博士、ほかの人たちは?」
「ああ、もう不要だから消えてもらったの。今日のお披露目には必要ないし」
「不要?」
「必要ない・・・ですか?」
ホズミの冷たい感じのする言葉にちょっと驚く早智恵と美愛。
思わず三人は顔を見合わせる。
「ええ、そうよ。いなくてもいい人にわざわざいてもらうこともないでしょう? それよりも、今日はこれを装着してみてほしいの。新しいガーズスーツよ」
ホズミが三人の前に真新しいブレスレットを置く。
ガーズスーツは、このブレスレットを介して少女たちに転送され、その身に装着することになるのだ。
「あ、なるほど」
佳乃がうんうんとうなずく。
「新型ガーズスーツの装着テストですか。それならあんまり人がいてもらっては困りますよね」
「あ、そうか」
「確かにそうですわね。ガーズスーツは重要機密ですから、人が少ないほうが機密保持には有利ですわ」
先ほどのホズミの言葉を自分たちなりに解釈してしまう三人。
そのことがホズミには可笑しかった。

「でも・・・」
テーブルに置かれたブレスレットを見て手を伸ばすのをためらう美愛。
「何だか気味悪いデザインですね。何とかならなかったのでしょうか?」
テーブルの上には、両手にはめるタイプのブレスレットが置かれており、黒革に銀色のトゲや目玉のような紋様がついている。
「何だかパンクロックのファッションブレスって感じだな。普段はめるにはちょっときついかも」
「確かに。これをはめて学校へ行くのはちょっとつらいよぉ」
佳乃も早智恵もその異様なブレスレットが気味悪く感じてしまう。
どうして穂純博士はこんなデザインにしたのだろう?
  1. 2010/12/26(日) 20:09:06|
  2. 科学主任穂純
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

洗脳シーンGJです!
心に暗示が刷り込まれ、
それが段々自意識として作り変えられて行く…その過程が凄く興奮します♪
そして洗脳された穂純さんが次に作り出したのは新型ガーズスーツ…。
これは…もう言わずもがなですねw
連鎖堕ち楽しみにしてますw
  1. 2010/12/26(日) 21:04:57 |
  2. URL |
  3. Mizuha #FPjcWNrE
  4. [ 編集]

もう少し抵抗するかと思いましたが、穂純さんのマシンの威力はそれだけ凄いということですね。まさか直に体感するとは思ってもいなかったでしょうけど。

洗脳された後の、元の仲間を蔑む言動はやっぱりいいですね。

新しいブレスレットのデザインは明らかに…って感じですね。ダーキュリーを思い浮かべてしまいました。
  1. 2010/12/26(日) 22:34:30 |
  2. URL |
  3. metchy #zuCundjc
  4. [ 編集]

洗脳された気分はどうかな?というセリフが最高すぎます
  1. 2010/12/26(日) 23:16:06 |
  2. URL |
  3. 印度一好色 #-
  4. [ 編集]

自分の気持ちと違うのにワゼックに染められていく穂純さん、また自分で作った装置だけに自分がどうなるか、分かってしまっている所が良いですね(^O^)/本日も楽しみに待ってますm(__)m
  1. 2010/12/27(月) 09:04:40 |
  2. URL |
  3. ディオディオ #-
  4. [ 編集]

>>Mizuha様
GJと言っていただきましてありがとうございますー。
連鎖堕ちもお楽しみにー。

>>metchy様
ダーキュリーもいい洗脳でしたねー。
今回の作品もいい洗脳だったといわれるようになりたいものです。

>>印度一好色様
なかなか洗脳された側が洗脳されたことを意識することがないので、こういうセリフも珍しいかもしれないですねー。

>>ディオディオ様
裏切りに絶望したことなど、もうどうでもよくなってしまっているのでしょうね。
むしろそのことで洗脳されたので喜ばしいと思っているかも。
最終話もお楽しみにー。
  1. 2010/12/27(月) 20:45:30 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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