fc2ブログ

舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

科学主任穂純(1)

今日は早めに更新です。

本当に本当にお待たせいたしましたー。
ようやく250万ヒット記念SSが完成いたしましたので、今日から四日間連続で投下させていただきます。
タイトルは「科学主任穂純(ほずみ)」です。
いつもと代わり映えのしない作品ですが、クリスマスプレゼントとしてお楽しみいただけましたら幸いです。

それではどうぞ。


1、
「「「ピーチスラッシュ!!!」」」
三人の少女の声がハーモニーとなり、それぞれの振るう剣の先から赤、青、黄色の三本の光がらせん状に渦を巻いて魔獣の躰に突き刺さる。
「グギャァァァァァァッ!」
すでに動きが鈍くなるほどダメージを受けていた魔獣に、それを避けることなどできるはずもなく、魔獣は断末魔の声を上げながら光の中で崩壊する。
またしても地球侵略のために送り込んだ魔獣が、テラズガーズの三人に倒された瞬間だった。

「クッ・・・」
モニターに映し出された光景に歯噛みする男。
ここは魔空城。
神聖帝国の地球侵略の拠点であり、また異次元に浮かぶ巨大な宇宙船でもある。
男はトゲの付いた金属質のアーマーに身を包み、背中にはマントを羽織って、額には皇族のしるしである角の付いたサークレットをはめている。
全身を黒一色で統一したその姿からは、怒りのオーラとも言うべきものが立ち上っていた。
「ゴモー」
「ハ、ハハァッ!」
彼の背後でモニターを見ていた白衣の老人が青ざめた顔でひざまずく。
彼の繰り出した魔獣がまたしても敗れた以上、叱責は免れない。
「お前はなんと言った? 今度こそテラズガーズを葬り去る。そう言っていたはずだな」
振り返る男の整った顔には、むしろ笑みさえ浮かんでいた。
「も、申し訳ありません。今一歩、今一歩のところでしたが、あの女の邪魔が入り・・・」
床にひれ伏して顔を上げることさえできないゴモー。
だが、確かにそうなのだ。
今回の魔獣はあと一歩のところでテラズガーズに敗れたのだ。
まさかあのタイミングで新装備を繰り出してこられるとは・・・

「わが神聖帝国は宇宙を支配せねばならん。宇宙は強いものが支配し、弱いものはそれにひれ伏さなくてはならんのだ。大宇宙の摂理に従い、強い我らが弱い奴らを支配する。それこそがわが父神聖帝国皇帝ワデックの望み」
男はふと虚空を見上げる。
まるでそこに父がいるかのように。
だが、その表情が厳しくなる。
「ゴモー! 今の我らはどうだ! これでは我らの方が弱きものではないか」
「ハハァッ! 申し訳ありません」
「何かいい手はないものか・・・このままでは父上に顔向けができん。しょせん親の七光りとあざけられるのみ。そのような屈辱は耐えられん・・・」
ひれ伏しているゴモーのことなどもはや眼中にないかのように男は背を向ける。
ふと男の目がモニターに向けられた。
「あの女・・・確かカザトホズミとか言ったな・・・」
モニターの中には、テラズガーズの三人に駆け寄る一人の女性が映っていた。
「は、はい、左様です。あの女こそテラズガーズの科学主任カザトホズミ。ガーズスーツをはじめとする装備の開発者です」
ゴモーの言葉に男がうなずく。
「ふむ・・・あの女を何とか我らの仲間に引き込めないものかな。わが手駒となれば、かなり役に立ちそうだが・・・」
男があごに手を当てて考える。
あのさまざまな機器類を作り出す能力は並ではない。
手駒にすることができれば、神聖帝国の強化にも役立つだろう・・・
「それは・・・難しいところかと・・・地球人は精神力が強く、我らの精神感応では支配できません。せいぜい多少の好感触を与えることができるだけ。それでは我らの手駒にはなりますまい」
ようやく顔を上げるゴモー。
どうやら嵐は去ったらしい。
「ふむ・・・あの女は科学主任と言ったな」
「左様です、ワゼック皇子」
「ならば、あの女自身にそういったものを作らせてみればよい。そう、自らを洗脳するための洗脳装置のようなものをな」
「うまく行きましょうか・・・」
ゴモーの顔に疑問の色が浮かぶ。
「だめでもともとだ。やってみる価値はあろう。ククククク・・・」
ワゼックは自分の思いつきに、思わず笑いがでるのを止められなかったのだった。

                    ******

「みんなお疲れ様。今回の敵はかなりの強敵だったけど、無事に撃退することができたわ。これもみんなのおかげよ」
司令官室に集まってもらった三人を前に、テラズガーズ司令官の塩村桃子(しおむら ももこ)がねぎらいの言葉をかける。
司令官の前にそろった三人の少女が、その言葉に柔らかな微笑を浮かべた。
まだ幼い雰囲気の残る高校生ほどの少女たち。
それが地球を神聖帝国の魔手から守っているテラズガーズの三人である。
これにはもちろん理由があり、彼女たちのまとうガーズスーツの適合者が、今のところこの三人しかいないということが大きい。
原因はいろいろと考えられているものの、そのいずれもが未確定の域をでずに解消されておらず、自衛隊員のような戦闘訓練を受けた人間がガーズスーツをまとって戦うという状況には今のところいたっていない。
そもそも、ガーズスーツそのものが、テラズガーズ科学主任の風戸博士による偶然の産物的な存在なので、三人の適合者がいたというだけでも驚きと言っていいのだ。

とはいえ、適合者への特化は進んでおり、三人のガーズスーツはそれぞれ赤、青、黄色の三色に塗られてそれぞれが特定のスーツを着るようになっている。
赤のガーズプリムラの狗川早智恵(いぬかわ さちえ)は、折川高校の二年生で陸上部に所属している。
身体を動かすことが大好きで、いつもトレーニングでランニングを欠かさない。
青のガーズサルビアの砂流美愛(すながれ みあ)は、お嬢様学校で名高い私立美望女子学院の同じく二年生。
砂流家のお嬢様であり、華道や茶道のたしなみを持つしとやかな女性だ。
もっとも、ガーズサルビアとして戦いに臨むときには、その限りではない。
黄色のガーズクロッカスは柿地佳乃(かきじ よしの)といい、王林大学付属高校三年生。
物静かな知的美女で、将来は医師を目指している。
読書が趣味で暇を見ては本を読んでいることが多いが、知的好奇心も強く、科学主任の風戸博士のところに顔を出すこともままあった。
この三人が地球を守るテラズガーズなのだった。

「これまでの傾向から言って、神聖帝国も魔獣の再投入までは時間がかかるでしょう。少しの間、羽を伸ばせると思うわ。次の呼び出しまでは自由に過ごしてもOKよ。ただし、常に連絡が取れるようにしておくことと、トレーニングは欠かさないようにね」
「「「ハイ、桃子司令」」」
三人は声を合わせて返事する。
ここまでになるには時間がかかったものだった。
塩村桃子は、そんなことをふと思って笑みが浮かぶ。
本当に三人はよくやってくれている。
適合者というだけで戦いに駆りだされ、考え方も生活様式もまったく違う三人が力を合わせる羽目になったのだ。
今のチームワークは奇跡に近い。
すっかり仲のよくなった三人を前に、なんとなく保護者気分になる桃子だった。
「それじゃ解散」
「「「ハイ、失礼します」」」
三人がにこやかに司令官室を後にする。
おそらくこれから食べ歩きとショッピングとカラオケだろう。
自分も暇なら行きたいところだが、司令官と一緒では羽も伸ばせないだろうし、何より報告書の作成等やることがある。
地球を守るのも、彼女たちだけでできるものではない。
戦闘による被害や損害を算定して報告し、政府が速やかに復旧や金銭保障が行えるようにしなくてはならないのだ。
そのための基礎資料として報告書の持つ意味は大きい。
テラズガーズ司令官として、報告書作成も重要なる任務の一つだったのだ。

「お疲れ様」
三人と入れ替わりにそう言って入ってくる一人の女性。
白衣を着て、手には書類のフォルダを持っている。
メガネをかけた知的で清楚な感じを漂わせる女性だ。
肩までの黒髪が美しい。
「穂純さんもお疲れ様です」
迎える桃子がにこやかに微笑む。
入ってきたのは、テラズガーズの科学主任風戸穂純(かざと ほずみ)。
先ほどのテラズガーズの三人が着る、無敵のガーズスーツの開発者である。
ほかにもテラズガーズの武器や、さまざまな支援装置を開発するテラズガーズの頭脳であり、彼女のおかげで地球の平和が保たれているといっても過言ではない。
もっとも、本人いわく、多少頭のねじがゆるかったり一本二本はずれているから、ほかの人が思いつかなかったことをするだけよ、とは言うのだが。

「はい、報告書」
桃子の机の上に持ってきた書類を置く穂純。
今回の魔獣の動きを封じた妨害波発生装置のことも触れられているに違いない。
実際あれがなければ今回は危うかったのだ。
いいタイミングで装置を開発してくれる穂純の能力に、桃子も全幅の信頼を寄せていた。
「ありがとうございます。それにしてもよく今回の敵がこちらの動きを先読みしてくるとわかりましたね」
「別にわかっていたわけじゃないのよ。いずれはそういう作戦を取ってくるんじゃないかなと思ってね。こっちが先回りして作っておいたの」
「なるほど。“こんなこともあろうかと思って”って奴ですね」
「まあね」
古いアニメの有名なセリフに、思わず笑い出す二人。
もっとも、当のキャラはそのセリフを言ってはいないらしいが。

「それじゃあとはよろしく」
「あら、お茶でもいかがですか? 美味しい紅茶淹れますけど」
報告書を置いてすぐに出て行こうとする穂純を引き止める桃子。
「ごめんね、ガーズスーツのメンテをしなきゃ。今回結構手ひどくやられたからね」
ひらひらと手を振って出て行く穂純。
その姿を苦笑しながら見送る桃子だった。

                   ******

「お見合いですか?」
思わず紅茶を淹れる手が止まる桃子。
それほど、今聞いた言葉は驚きだったのだ。
いや、普通に考えれば、なんら驚くべき言葉ではないのだが、その言葉を発したのが穂純であるということが、驚きを誘発していたのだ。
「みたいなものっていうか・・・叔父さんの紹介なのよ。いい人がいるから今度会ってみないかって・・・」
なんとなく困ったような表情を浮かべている穂純。
無論彼女とて適齢期であり、男性に興味がないわけではない。
だが、今はテラズガーズの科学主任としての仕事があるし、またそれにやりがいも感じている。
また、今まで研究一筋だった彼女は、男と付き合った経験に乏しく、それが尻込みをさせることにもなっていた。

「いいことじゃないですか。穂純さんはずっと研究室に篭もりっぱなしなんですから、少しは外に目を向けるのもいいことだと思いますよ」
湯気の立ち上るいい香りのする紅茶を穂純に手渡す桃子。
テラズガーズの司令官という立場に着かなければ、喫茶店でも開いていたかもしれない。
「そうかもしれないけど・・・まあ、叔父さんの顔を立てるためにも、一度は会うつもりだけどね」
穂純は手にした紅茶を一口飲む。
「美味しい」
紅茶特有の味が口の中に広がり、心も躰も温かくなる。
「いつ会うかもう決まっているんですか?」
自分もカップに口をつける桃子。
自分より年上ということもあり、穂純にはだいたい敬語を使うことが多い。
「明日」
なんとなく憂鬱そうに穂純が答え、思わず桃子は苦笑した。
叔父さんに対する義理がなければ、まず会おうとはしないんだろうなと桃子は思う。
「明日はおやすみですし、神聖帝国の襲撃も多分ないでしょう。ゆっくりしてきてくださいね」
「うん。ありがと・・・はあ・・・」
思わずため息の出る穂純であった。

                   ******

「こちら神能聖(かみの たかし)君。まだ若いが医師を務めていてね。将来を嘱望されているんだ。神能君、こちらが私の姪でね、風戸穂純という。いろいろと面倒を見てやってくれないか」
頭髪の薄くなった中年の男がメガネをかけた女性を紹介する。
モニター越しに見て知ってはいたものの、こうして対面すると、なかなかどうしてこちらの美的感覚にも美しいと思える女性だとワゼックは思った。
地球人とほぼ同じような外見を持つワゼックにとって、地球人に変装するのはわけもない。
地球侵略にあたりそろえた情報によれば、地球人はきわめて種族的にも近く、おそらくは子孫を残すことさえ可能だという。
ワゼックは、素直に目の前の女性とセックスをしてみたいものだと感じていた。

「神能です。将来を嘱望なんてとんでもない。まだまだ駆け出しで未熟な男です」
「風戸です。はじめまして。私こそ何もできない未熟者ですけど、よろしくお願いいたします」
挨拶を返してくる穂純に、ワゼックはすぐさま精神感応を送り込む。
精神的に同調し、こちらへの警戒心を薄めて好印象を持たせるのだ。
神聖帝国の宇宙支配には欠かせない能力である。
弱きものを支配する上で、支配者に対し好印象を持たせることができれば、それだけ反抗しようとする意識は低くなる。
だが、しょせんは印象操作に過ぎず、相手を言いなりにするようなことはできない。
せいぜい魔獣の意識コントロールを行うぐらいのものなのだ。
だからこそ、この女に対象を言いなりにさせる装置を作ってもらわなくてはならない。
敵の能力を利用する。
これも強いものの特権だ。

思ったより素敵な人だわ。
穂純は目の前の男性にそういう印象を抱いた。
すらっとして背が高く、ハイヒールを履いた穂純を少し上から見つめている。
その目がとても優しい感じで、穂純は一目で気に入っていた。
肉体も無駄がなさそうで、医師というよりもスポーツマンに近い感じだ。
おそらく何かの運動をしているのは間違いないだろう。
叔父さんに言われてしぶしぶ来たけど、これはいい人と巡り会えたのかもしれないわ。
穂純はそう思い、久しぶりに胸がときめくのを感じていた。

「さあさ、後は若いもの同士で話しなさい。わしはちょっと用事があるのでこれで失礼するよ。神能君、姪をよろしく頼んだよ」
「はい、もちろんです。今日はありがとうございました」
ワゼックはそういって頭を下げる。
ターゲットに接触するために接近したが、思った以上にこちらの役に立ってくれた。
精神感応がかなり有効に効いたらしい。
そそくさと立ち去る中年男の後姿に、ワゼックは冷ややかな笑みを浮かべていた。

それからの時間は、穂純にとってはとても楽しい時間だった。
男性とお付き合いしたことなどなかった穂純は、楽しい会話と美味しいお酒と食事にすっかり魅せられていた。
最初ということもあり、あまり遅くまではという神能の紳士的な態度にも感心した穂純は、別れ際には携帯の番号とメールアドレスを交換することに何の問題も感じなかった。
  1. 2010/12/24(金) 19:53:18|
  2. 科学主任穂純
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
<<科学主任穂純(2) | ホーム | ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン>>

コメント

久しぶりのSS、待ってました!

精神感応を使って自分自身を洗脳する装置を作らせようなんて、面白そうですね。

“テラズガーズ”の読みを最初間違って“テラ・ズガーズ”と呼んでいました。“テラズ・ガーズ(tera's guards)”なんですね(スペルあってるかな・・・)。早い話が、地球防衛軍ですね。

4日間、楽しませていただきます。
  1. 2010/12/24(金) 22:13:08 |
  2. URL |
  3. metchy #zuCundjc
  4. [ 編集]

記念SS来ましたね~。
人を支配するほどの精神感応は出来ない、
でも洗脳装置を作らせる…どうやるのかと思ったら恋愛感情を利用する作戦ですか~。
穂純さんが堕ちて行く様を楽しませていただきます♪
  1. 2010/12/25(土) 00:36:28 |
  2. URL |
  3. Mizuha #FPjcWNrE
  4. [ 編集]

>>metchy様
はい、テラズ・ガーズ=地球防衛隊ですね。
この場合のテラはTerraだそうで、Teraですと1テラバイトなどの1兆の意味のほうになるようです。
残り三日間、楽しんでいただければと思います。

>>Mizuha様
上手く相手に恋心を抱かせることができればしめたものですよね。
ワゼックのお手並み拝見としゃれ込んでくださいませ~。
  1. 2010/12/25(土) 19:33:09 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://masatomaikata.blog55.fc2.com/tb.php/2204-8e664e4d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

カレンダー

01 | 2024/02 | 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 - -

時計

プロフィール

舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

ブログバナー


バナー画像です。 リンク用にご使用くださってもOKです。

カテゴリー

FC2カウンター

オンラインカウンター

現在の閲覧者数:

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

管理人にメールなどを送りたい方はこちらからどうぞ

ブログ内検索

RSSフィード

ランキング

ランキングです。 来たついでに押してみてくださいねー。

フリーエリア

SEO対策: SEO対策:洗脳 SEO対策:改造 SEO対策:歴史 SEO対策:軍事

フリーエリア