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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

アラモの戦い(7)

ニール大佐の後任としてトラヴィス中佐が選ばれたことで、アラモ砦の内部ではそれを快く思わないボウイ大佐との間で、指揮権をめぐる不協和音が顕在化してしまいました。
そんな状況下、メキシコ軍が接近してきたことを知ったトラヴィスは、サンアントニオ・デ・ベクサーの町に残っていたテキサス人をアラモ砦に収容します。

アラモ砦は、長方形型の広場を兵舎と壁で囲むような形で作られていて、その一角に伝道教会だった建物の名残があるようなものであり、それほど防御がしっかりしているとはいえませんでした。
守備隊は周囲に土を盛るなど補強工事を行い、17門の大砲を据えつけておりましたが、やはり守備力に自信を持てるというものではありませんでした。

メキシコ軍の先遣隊がベクサーの町に入ってきたことを知ったボウイは、現状のアラモ砦の守備力に自信を失ったのか、それともこの時彼を襲っていた病魔によるものなのか、トラヴィスに無断でメキシコ軍と休戦交渉を行おうとしたといいます。
このことはトラヴィスの知るところとなり、怒った彼はボウイに勝手なことをするなと詰め寄りました。
これでボウイとトラヴィスの険悪な状況は決定的になるかと思われましたが、病魔(結核だったといいます)に冒されていたボウイが折れるような形で、指揮権はトラヴィスに集束することになりました。

1836年2月24日、メキシコ軍の最初の攻撃がアラモ砦に対して行なわれました。
攻撃はまず砲撃を持って行なわれ、メキシコ軍の砲弾がアラモ砦を襲います。
この攻撃はアラモ砦側の守備力を探るような攻撃であったため、この日はほぼ砲撃に終止したようで、幸いアラモ砦側には死傷者は出なかったといいます。

この攻撃を受け、トラヴィスはテキサス軍司令官のサミュエル・ヒューストンに援軍を求める手紙を書きました。
この手紙には、最後の言葉の下にアンダーラインが三本引かれていたといいます。
その最後の言葉は、「勝利か、しからずんば死」というものでした。

しかし、ヒューストンは援軍を送ることはできませんでした。
テキサス軍はアラモだけではなく、各地でメキシコ軍の圧力を受けていたのです。
兵力を引き抜いてアラモ砦に送る余裕はありませんでした。

最初の攻撃以降、メキシコ軍は主力の来着までアラモ砦を包囲する態勢を取りました。
兵力の逐次投入を避け、大兵力の到着と同時に一気に押しつぶすつもりだったのです。
そのため、砦の防備を探るための威力偵察と呼べる小規模な戦闘を繰り返すのみでした。

3月1日、32人のテクシャン義勇兵が、ゴンザレスの町からアラモ砦にやってきます。
彼らはメキシコ軍の包囲をうまくすり抜け、守備隊に合流することができました。
守備隊は大歓声でこの増援を迎え入れますが、アラモ砦に対する兵力増強は、これが最後となりました。

3月2日、この日テキサス暫定政府は「テキサス独立宣言」を発表します。
アメリカ独立宣言に範を仰いだこの宣言は、テキサスがなぜ独立するかの理由についても述べられており、正式に「テキサス共和国」を建国するという宣言でした。
ですが、アラモ砦の守備隊が、この事実を知ることはありませんでした。

3月3日、メキシコ軍の主力がベクサーの町についに到着いたします。
これによってメキシコ軍の戦力は、各地に散開させた分を除き約4000名から5000名ほどになったといわれます。
このメキシコ軍の到着はアラモ砦からも見ることができ、ベクサーの町にはメキシコ軍の歓声が響きました。

3月4日、5日とメキシコ軍はアラモ砦に砲撃を仕掛けました。
これはこれまでの砲撃とは違い威力偵察などではなく、総攻撃の前段階としての砲撃でした。
砦の外壁は各所で崩され、砲弾はあちこちで炸裂します。
メキシコ軍の総攻撃は、目前でした。

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  1. 2010/04/21(水) 21:40:50|
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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