1930年代後半に入り、航空機の発展が著しくなってきた頃、アメリカ海軍でもまた艦載戦闘機の能力向上を目指して、1936年に新型戦闘機の開発が始まりました。
それまでは複葉の艦上戦闘機でしたが、この時要求されたのは、単葉機であることや、引き込み脚を持つこと、翼の折りたたみ機能を備えること、密閉式のコクピットであることなど近代戦闘機としての能力を備えるものという要求でした。
この要求に基づき、ブリュースター社が開発したのが、F2戦闘機でした。
ちなみに、同じときにグラマン社が開発したのが、F4Fワイルドキャットです。
F2戦闘機は、1937年12月に試作機が初飛行しました。
そのスタイルは、空冷エンジンを積んだ太く短い胴体が特徴的で、ずいぶんとずんぐりむっくりという感じのする飛行機でした。
ですが、アメリカ海軍の要求する性能は満たしており、アメリカ海軍としては使える戦闘機と考えられたため、1938年に量産機F2Aの発注がおこなわれます。
しかし、納入が始まった1939年にはすでに各国の航空機の性能向上が著しく、F2Aでは充分な能力ではないと見なされたために能力向上型の発注がおこなわれました。
ところが、この能力向上は思ったほどの向上をさせることができませんでした。
エンジン出力を上げては見たものの、防弾装備の追加や武装の強化などでかえって鈍重になってしまったのです。
さらに着陸脚の貧弱さなどが影響し、航空母艦での運用にも問題が出てしまいました。
それでも英国やオランダなどが興味を示し、陸上型のF2Aを導入。
英国軍がこの機体にバッファローというあだ名をつけ、以後一般的にはブリュースターF2Aバッファローと呼ばれるようになりました。
F2Aバッファローは、やはりさすがにドイツのメッサーシュミットBf109などには歯が立ちませんでした。
そのため英軍も地中海や極東でイタリア機や日本機の相手をさせることにいたします。
しかし、極東でもF2Aは日本海軍の零戦や陸軍の一式戦(隼)に歯が立たず、早々に第一線から退きます。
アメリカ軍でも陸上型のF2Aを太平洋で運用しておりましたが、これまた零戦に歯が立たずにお役ごめんとなりました。
東西で苦汁を舐めさせられてしまったF2Aでしたが、一ヶ所だけ、このF2Aが活躍できた場所がありました。
北欧です。
1939年にソ連と「冬戦争」を戦ったフィンランドは、アメリカからF2Aを輸出向けにスペックダウンしたB239と呼ばれるバッファローを44機受け取りました。
旧式機や鹵獲機など雑多な機体で占められていたフィンランド空軍にあって、このB239はまさに有力な第一線の機体でした。
この「冬戦争」とそれに続く「継続戦争」において、フィンランド空軍はこのB239を用いて、ソ連空軍と真っ向から渡り合いました。
記録によればB239を21機失ったのに対し、撃墜したソ連軍機はなんと456機にも達したといわれます。
まさにフィンランドの空の守り神でした。
昨日ご紹介したP-39もそうでしたが、作り出したアメリカではほとんど有効に使われなかった機体が、こうして他国では重要な働きをするというのもおもしろいことですね。
F2Aも輝ける場所を得ることができてよかったんだと思います。
それではまた。
- 2010/02/06(土) 21:37:05|
- 趣味
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
こうして、戦闘機の開発の状況をみていくと、どうしてもアメリカは、自国が主戦場にならないせいか局地戦闘機を作るのが下手に見えますね。零戦がいい機体かといわれると、現行のジェット機ばかり見てるので判りませんが、兎に角、アメリカは数撃ちゃ当たるって感じで作ってる気がします。いろんな能力を持たせた機体作ろうとするけど結局必要なのは1部のみ・・・こんな考え方だからこそF-35も開発長引いているのかもしれません。
- 2010/02/07(日) 20:01:30 |
- URL |
- ALTION #LapiYBeE
- [ 編集]
>>ALTION様
アメリカはある意味バランスのよい機体を作りたいのかもしれませんね。
何かに特化した機体、上昇力とか旋回力とかだけではなく、全体のバランスが高い位置で取れている機体。
でも、なかなか作るのが難しいので、あまり高くない位置でバランスがそこそこになってしまうのかもしれません。
ところがそれがアメリカ以外の国でいい具合にツボにはまったとき、これはという活躍を見せてくれるのかもしれませんね。
- 2010/02/07(日) 21:04:31 |
- URL |
- 舞方雅人 #-
- [ 編集]