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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

フォークランド紛争(3)

国民の不満をそらそうと画策したガルチェリ大統領は、マスコミを使ってフォークランド諸島奪回を大々的にアピールします。
そのためアルゼンチン国民の目は現軍事政権への批判ではなく、じょじょに英国批判へと移って行きました。
ここまではガルチェリ大統領の思惑通りでした。

1982年3月、アルゼンチン海軍の補給船がフォークランド諸島よりまだ東にある南ジョージア島に入港します。
この南ジョージア島は、アルゼンチンにとってはフォークランド諸島の一部的な扱いとなっており、英国に支配されているアルゼンチン領であるという認識でした。
補給船は入港後に40人ほどのアルゼンチン労働者を上陸させ、アルゼンチン国旗を掲揚させるなどの挑発行動を行ないます。
英国にとってはこれは見過ごせるものではありませんでした。

英国は付近にいた氷海監視船「エンデュアランス」を派遣し、アルゼンチン労働者を強制的に排除します。
さらにサッチャー首相はアメリカに働きかけ、アルゼンチンに圧力をかけると同時に、不測の事態に備え攻撃型原子力潜水艦(他国の潜水艦や水上艦を攻撃するタイプの潜水艦。核ミサイルを発射する戦略原子力潜水艦とは違う)をフォークランド諸島近海に派遣することを決定しました。

南ジョージア島に上陸した労働者たちが強制退去させられたことで、アルゼンチンの世論は沸騰しました。
もはや過去の大国となった英国から、フォークランド諸島を奪回しろとの声がアルゼンチン国内を埋め尽くします。
南ジョージア島での緊張状態で英国に強硬なる態度を見せ付け、その後の交渉を有利にしようとしていたガルチェリ大統領は、自分で自分の首を絞めることになりました。
もはや国民は実力行使しか望まなくなっていたのです。
大統領のとるべき道はフォークランド諸島の奪回を図る軍事行動を起こすことだけでした。

3月31日にアルゼンチン軍が武力行動の準備をしていることが知れると、英国も対応せざるを得なくなりました。
翌4月1日にはサッチャー首相が、米国のレーガン大統領に事態収束のための仲介を要請しましたが、残念ながら時すでに遅しでした。

1982年4月2日。
アルゼンチン軍のフォークランド諸島上陸作戦が開始されます。
「フォークランド紛争」の始まりでした。

アルゼンチン軍は奇襲と強襲の二本立てで上陸作戦を行ないます。
駆逐艦と潜水艦による小部隊のゴムボートによる上陸と、揚陸艦から発進する水陸両用車による大掛かりな上陸です。

まず行なわれたのは駆逐艦によるゴムボートでの上陸でした。
4月2日の早朝に九十名以上のアルゼンチン軍コマンド部隊が東フォークランド島に上陸。
二手に分かれて目的地へと向かいます。
英軍の兵舎と英国総督の屋敷でした。

東フォークランド島には当時六十名ほどの英国海兵隊員がおりました。
彼らは事前に兵舎を脱出して総督邸に集まっておりましたため、アルゼンチン軍コマンド部隊が英軍兵舎にたどり着いたときにはそこは無人でした。
一方総督邸襲撃部隊は、英軍兵士がいることに驚きましたが、そのまま攻撃を仕掛けます。
ここで最初の銃撃戦が起き、アルゼンチン軍の兵士一名が戦死しました。
アルゼンチン軍はコマンド部隊だけでの襲撃をあきらめ、他の部隊の集結を待つことにします。
総督邸ではにらみ合いとなりました。

アルゼンチン軍潜水艦から発進したアルゼンチン軍部隊はほんの少数でしたが、島の主都市であるポート・スタンレーとスタンレー空港を偵察、その後の本体の上陸を誘導します。
午前9時ごろ、アルゼンチン軍揚陸艦「カポ・サン・アントニオ」よりアルゼンチン軍本隊が東フォークランド島に上陸を開始。
一個大隊と水陸両用車二十台を上陸させると、そのままポート・スタンレーとスタンレー空港へと向かいました。

アルゼンチン軍部隊はそのままポート・スタンレーとスタンレー空港を占領。
わずかな兵力しかない英軍は、アルゼンチン軍との圧倒的な兵力差にもはやどうすることもできず、1982年4月2日午前9時30分にレックス・ハント総督の下アルゼンチン軍に降伏します。
フォークランド諸島はアルゼンチン軍に占領されました。

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  1. 2010/01/06(水) 21:28:04|
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