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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

三国同盟戦争(3)

ソラーノ・ロペス大統領が考えていたのは、おそらくはウルグアイのブランコ党政府の救援だったでしょう。
ですが、救援が間に合わなかったとしても、コロラド党軍やブラジル軍との戦いに勝利することで、ウルグアイとあわよくばブラジル南部までも占領できると考えていたのかもしれません。

しかし、パラグアイとウルグアイは国境を接してはおりませんでした。
間には回廊のように細長いアルゼンチン領が横たわっていたのです。
パラグアイが軍隊をウルグアイに進めるには、このアルゼンチン領の回廊を横切っていかなくてはなりません。

ソラーノ・ロペス大統領は、アルゼンチンに対しパラグアイ軍の領内通行権を求めました。
もちろんこの領内通行権が認められれば何の問題もありません。
パラグアイ軍は大手を振ってウルグアイ領へ入れるでしょう。

ですが、パラグアイ軍の目的はコロラド党軍の排除です。
コロラド党軍はアルゼンチンによって支援されており、コロラド党軍に敵対するパラグアイ軍をアルゼンチンが通すはずがありません。
当然アルゼンチンはパラグアイ軍の領土通行を拒否するでしょう。

これに対しソラーノ・ロペス大統領はある密約を持っておりました。
アルゼンチン内の反体制派フスト・ホセ・ウルキーサと謀り、領内通行権が拒否された場合にはウルキーサが反政府暴動を起こすことになっていたのです。
ウルキーサの反政府暴動が起きれば、アルゼンチンは国内がごたごたになり、パラグアイ軍はその隙を突いてウルグアイに侵攻する手はずだったのでしょう。

しかし、ウルキーサは動きませんでした。
アルゼンチンが領土通行を拒否してきたにもかかわらず、アルゼンチン国内で暴動は起きなかったのです。

ソラーノ・ロペス大統領は愕然としました。
このままではパラグアイ軍はウルグアイに侵攻できません。
ウルキーサが立ち上がってくれなくては話にならないのです。

思い余ったソラーノ・ロペス大統領は、1865年3月、ついにアルゼンチンに対して宣戦布告を行ないます。
パラグアイ対ブラジル戦争だった今回の戦争に、アルゼンチンが加わりました。

ソラーノ・ロペス大統領は、約1万のパラグアイ軍をアルゼンチンに侵攻させます。
パラグアイはその後も兵力を増強し、約2万の兵力でアルゼンチンのコリエンテス州を制圧。
1865年4月には、州都コリエンテスも占領します。
しかし、ここにいたってもウルキーサは動かず、アルゼンチン国内で暴動は起きませんでした。

同4月、ついにウルグアイで孤立していたブランコ党政府が崩壊。
コロラド党党首のベナンシオ・フローレスがアルゼンチン、ブラジル両国の後ろ盾で政権を奪取します。
コロラド党支配となったウルグアイは、即座にパラグアイに対して宣戦を布告。
とうとうパラグアイは同時に三ヶ国を相手に戦争しなくてはならなくなってしまいました。

1865年5月、南米の目の上のたんこぶパラグアイが窮地に陥っていることをいいことに、英国主導でアルゼンチン、ブラジル、ウルグアイが三国同盟を結びます。
こうしてこの戦争が「三国同盟戦争」と呼ばれることになりました。

当初の目論見が大幅に狂ったソラーノ・ロペス大統領でしたが、まだまだ速戦速決をあきらめたわけではありませんでした。
精強パラグアイ軍をもって電撃的勝利を目指したのです。

1865年6月、パラグアイ軍はアルゼンチンのコリエンテス州から南進してエントレ・リオス州へと進軍。
さらに別働隊がパラグアイとウルグアイの間にあるアルゼンチンの回廊ミッショネス地方を席巻し、ブラジル領へと進みます。
パラグアイ軍はそのままウルグアイ川に沿って進軍し、ウルグアイ川のブラジル側のウルグアヤーナと、対岸にあるアルゼンチン側のヤタイを占領しました。

しかし、パラグアイが河川装甲戦闘艦を戦争前に手に入れなかったつけがここで回ってきます。
6月11日、パラナ川でパラグアイ河川艦隊とブラジル河川艦隊との間に水上戦が起こったのでした。

パラグアイ河川艦隊は大小合わせて十四隻、一方のブラジル河川艦隊は九隻でした。
数ではパラグアイ軍が優勢ではあるものの、ブラジル軍はそのほとんどが大型の有力艦ばかりでした。
パラグアイ艦隊には有力艦と呼べるのは八隻しかありません。

パラグアイ艦隊は自軍の不利を承知で決戦を挑みました。
夜陰にまぎれて上流から接近し、ブラジル艦隊の脇をすり抜けて下流に出、そこからUターンして再度接近。
接舷戦に持ち込んであわよくばブラジル艦を奪取しようというものです。

ですが、この作戦はパラグアイ軍にあまりにもタイミングのよさを要求しすぎました。
パラグアイ艦隊は上流から下るのに手間取ってしまい、ブラジル艦隊の脇をすり抜けようとしたあたりですでに夜が明け始めてしまったのです。
ブラジル艦隊に発見されてしまったパラグアイ艦隊は、もはや不利な状況で戦うしかありませんでした。
運良く接舷戦に持ち込めそうな艦も、接舷用のフックがなかったり、ブラジル艦の舷側が高すぎたりで接舷戦には持ち込めず、優秀なブラジル艦に各個撃破されてしまうばかりでした。

結果はパラグアイ河川艦隊の大敗でした。
パラグアイは七隻もの河川戦闘艦を失い、ブラジルは一隻損失、一隻大破のみでした。
以後、パラグアイは国土防衛に欠かすことのできない河川制水権を失います。
パラグアイ敗北への第一歩でした。

(4)へ
  1. 2009/11/13(金) 21:49:26|
  2. 三国同盟戦争
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

なんか、ウルキーサという人物が気になりますね。詐欺師まがいの策士なのか、ただ腰が抜けただけなのか、他に何か事情があったのか……
  1. 2009/11/16(月) 16:26:11 |
  2. URL |
  3. maledict #gR92Clc.
  4. [ 編集]

>>maledict様
ウルキーサはブエノスアイレスの独裁王ロサスの腹心だったようですが、ロサスに反旗を翻してアルゼンチン連合を作った人なんですね。
ですが再びブエノスアイレスに敗れ、ミトレが実権を握ったようです。
ソラーノ・ロペスは再度反旗を翻すと思っていたんでしょうね。
おそらく情勢的に無理だと悟っていたのかもしれません。
  1. 2009/11/16(月) 21:01:27 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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