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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

三国同盟戦争(2)

前回も述べましたとおり、もともと南米大陸はポルトガルとスペインの両国による植民地でした。
両国はその植民地支配における勢力争いで世界中で火花を散らしました。
この南米でもそれは例外ではなく、特にポルトガル植民地だったブラジルと、スペイン植民地であったアルゼンチンの間では、勢力争いが激しいものでした。

勢力争いはアルゼンチンやブラジルが宗主国より独立を果たしたのちも続けられ、両国の間にあるバンダ・オリエンタルと呼ばれる現在のウルグアイ地域では、戦争にまで発展いたしました。
結局、ラプラタ川河口の両岸をアルゼンチンが単独支配するのは好ましくないと考えた英国の介入で、バンダ・オリエンタル地域にアルゼンチンとブラジルの緩衝国として「ウルグアイ東方共和国」が成立します。
1828年のことでした。

しかし、緩衝国として成立したウルグアイは、政治的に極めて不安定な状況に陥りました。
国内の二大政党、ブランコ党とコロラド党の二党が、まさに内戦にまで発展するほどの闘争を繰り返すようになってしまったのです。
これにブラジルやアルゼンチン、さらにはフランスや英国の思惑も絡み、ウルグアイは一触即発の状況を引きずり続けたのでした。

ウルグアイの政治的な不安定は、パラナ川及びパラグアイ川の両河川が流れ込むラプラタ川河口の安全性に問題を投げかけます。
ラプラタ川河口が何らかの理由で航行不能となれば、そこを通じて貿易を行なうパラグアイにとっては死活問題になりかねません。
パラグアイとしては、ウルグアイになんとしても安定して欲しいと考えました。

そこでパラグアイのフランシス・ソラーノ・ロペス大統領は、政権を持っていたブランコ党に肩入れし支持します。
一方アルゼンチンは公然とコロラド党を支援し、援助を始めます。
かつてはブランコ党を支持していたブラジルも、コロラド党に鞍替えし、こちらも援助を始めます。

この状況はパラグアイにとっては座視できないものでした。
いまやアルゼンチンとブラジルがコロラド党支持の名の下にウルグアイを分け合おうとしているのです。
ウルグアイの次はパラグアイでしょう。
パラグアイはブラジルに対し、これ以上のウルグアイへの干渉はラプラタ川河口地域の安定を崩すためやめるよう警告します。
さらにはブラジルが干渉を続ける場合、パラグアイは戦争も辞さないとまで訴えました。

パラグアイには開国以来富国強兵で増強してきた軍がありました。
南米最強とも言われるパラグアイ軍の実力をソラーノ・ロペス大統領は頼りにしておりましたし、まさか戦争にまで発展はしないと考えていたのかもしれません。
それに、両国ともウルグアイのコロラド党を支援しているとはいえ、長年の仇敵であるアルゼンチンとブラジルが手を組むとは考えられず、またアルゼンチンもブラジルも国内問題で手一杯だろうとも考えていたといわれます。

しかし、ブラジルはパラグアイの警告を無視しました。
1864年10月。
ブラジル軍がウルグアイに派遣され、コロラド党軍とともにブランコ党政府軍との内戦に参戦したのです。
ブランコ党を支援するパラグアイは腹を決めました。

1864年11月。
パラグアイ川を航行するブラジル船の拿捕に端を発し、ブラジルとの外交関係を断行したパラグアイは、約6000の兵力でブラジルのマット・グロッソ州へと侵攻を開始します。
「三国同盟戦争」の始まりでした。

パラグアイのソラーノ・ロペス大統領は、問題であったウルグアイの内戦に介入するという手段ではなく、直接ブラジルへと攻撃を開始しました。
このため対ブラジルの全面戦争に火をつけてしまったのです。
これはいいやり方とはいえなかったでしょう。

ですが、パラグアイ軍の直接攻撃を予期していなかったのか、12月にはマット・グロッソ州のコインブラやコルンバといった要衝をブラジルは失います。
また同州のかなりの部分を占領され、パラグアイに編入されてしまいました。

戦争開始当時のパラグアイは、約52万人の人口を擁しておりました。
その中でパラグアイ軍は8万に及ぶ兵力を動員します。
これはまさに数でも南米最大級の兵力でした。

しかし、ソラーノ・ロペス大統領の開戦は早すぎました。
パラグアイは内陸国ですが、パラグアイ川とパラナ川による河川交通が重要であり、海軍力(水軍力)がまた重要だったのです。
ですが、パラグアイ水軍の河川艦隊は外輪の旧式艦船が多く、新鋭艦の多いブラジルの河川艦隊とは戦闘力の差が開いてしまっておりました。
その差を埋めるために六隻もの河川装甲戦闘艦を海外に発注していたパラグアイでしたが、その到着前に開戦してしまったことで、この六隻を手に入れることがかなわなくなってしまったのです。
パラグアイにとっては悔やまれる開戦の早さでした。

とはいえソラーノ・ロペス大統領はまだ楽観的でした。
マット・グロッソ州の大半は手に入れたし、パラグアイ陸軍は精強です。
ブラジル内部の分離主義者も騒ぎ出すだろうし、アルゼンチンでも政情不安が起こるだろうと読んでおりました。

ウルグアイではアルゼンチン及びブラジルの支援を受けたコロラド党がブランコ党政府を追い詰めておりました。
ソラーノ・ロペス大統領は、いずれ遅かれ早かれウルグアイはコロラド党によって新政権が作られるだろうと考え、ウルグアイとブラジル南部への侵攻も考えます。
そのためソラーノ・ロペス大統領は、アルゼンチンに対してパラグアイ軍の領内通行権を求めました。
アルゼンチンを通ってウルグアイへ侵攻するつもりだったのです。

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  1. 2009/11/12(木) 21:45:00|
  2. 三国同盟戦争
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