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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

西南戦争(31)

開戦以来約半年という時を経て鹿児島市に戻ってきた薩軍残存部隊でしたが、県庁近くの米倉に篭る官軍を撃破することができず、薩軍残存部隊は城山に後退せざるを得ませんでした。

城山とは、鹿児島市の中心部にある標高107メートルの山です。
現在は国の史跡及び天然記念物に指定されており、もともとは鶴ヶ峯と呼ばれておりました。
中世に上山氏がここに城を建てたと言われ、のち島津氏によっても城が築かれました。

しかし、わずか10年ちょっとでこの城は廃城となり、以後は立ち入り禁止とされていたため、江戸期を通じてこの山は樹木の生い茂る山へとなって行ったのです。
薩軍残存部隊は、この城山に拠点を築いたのでした。

三百七十二名。
それがこの城山に篭った薩軍残存部隊のすべてでした。
そこでこの人数を約二十から三十人ほどの小隊に編成し、城山の十方面に振り分けました。

一方の官軍は、9月6日に城山の包囲体制をほぼ完了しましたが、山県参軍が9月8日に包囲防戦を主とし、攻撃を従とするという方針に決定したため、城山への攻撃は控えられ、集結する部隊で城山を完全に包囲しつくして行きました。
これは可愛岳での薩軍残存部隊の突破に懲りたためで、まさに水も漏らさぬ包囲陣を敷くことにしたのです。

官軍は続々と鹿児島へと集結しつつあり、第二、第三、第四旅団、別働第一、別動第二旅団の五個旅団に加え、警視隊など約五万名もがわずか三百七十二人を包囲したのです。
城山の周囲には、塹壕や堡塁、竹の柵までが構築され、約二週間もかけて完全なる包囲を行なったのでした。

包囲する官軍は、その間も連日城山に対して砲撃を行い、薩軍残存部隊を圧迫しました。
薩軍残存部隊は城山の一角、岩崎谷に横穴を掘り、上層部はそこで寝起きを行なうほどでした。
横穴はいくつか掘られ、西郷のいる場所を第一洞とし、桐野がいる第五洞が本営として使われました。

包囲が二週間を越えた9月20日ごろ、河野主一郎と辺見十郎太は、国家の柱石である西郷隆盛をこのままこの城山で死なせるわけにはいかないとして、官軍に西郷の助命を嘆願することを幹部連中と話し合いました。
席上、桐野利秋は今や義に殉じての死あるのみと反対しますが、残りは河野と辺見の訴えに賛同し、官軍に西郷隆盛の助命を嘆願することで決します。

9月21日、河野は西郷に面談し、西郷の助命のことは伏せたままで、官軍の元へ赴いてこのたびの挙兵の大義を説いて賊名を雪いでくることを許してくれるよう求めます。
これに対し、西郷は助命のことを知ってか知らずか、ただ無言で微笑み許可したといわれます。

9月22日、河野は山野田一輔をともに連れ、白旗を掲げて別働第一旅団に投降し、知り合いである川村純義参軍に面会を求めました。
河野は川村参軍に西郷の助命を願いますが、すでにそのときには官軍の総攻撃が決まっておりました。

9月23日、河野は官軍に捕らえられたまま、山野田のみが西郷宛の官軍よりの書を携えて城山へ戻されます。
西郷宛の書には、翌24日午前4時をもって総攻撃を行なうので、時すでに遅いのではあるが、もし西郷自らが言いたいことがあるならば、本日(23日)5時までに回答するようにとの文面がありました。
これに対し西郷は、きっぱりと回答の要無しと拒絶したといいます。

その日の夜、薩軍本営では最後の宴が行なわれたといいます。
みな飲んで歌って惜別の宴を楽しんだといいます。

明治10年(1877年)9月24日午前4時。
官軍の砲台から三発の砲声が鳴り響きました。
城山総攻撃の合図でした。

(32)へ
  1. 2009/10/28(水) 21:27:12|
  2. 西南戦争
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