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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

触るな!

昨日に引き続き「ホーリードール」の35回目です。
やっぱりこれは書いてて楽しい。
少しだけですが、それではどうぞ。


35、
「ドールサキ!」
すぐさま後を追おうとするホーリード-ルアスミ。
だが、その前にスッと躰を持っていくデスルリカ。
進路を阻まれたホーリード-ルアスミは宙で立ち止まるしかない。

「邪魔をするのですね?」
「ええ、当然でしょ。あの娘は私の大事な娘。光の手駒にしておくわけにはいかないわ」
すり抜けようとするホーリード-ルアスミの進路を阻むように身を動かしていくデスルリカ。
背後からはヘルアクスを構えたレディアルファがいつでも跳びかかれるように身構える。
それを承知しつつ、ホーリード-ルアスミは目の前の闇の女王を見据えていた。

ホーリード-ルアスミの魔力の庇護を失いその腕から滑り落ちたホーリードールサキ。
その躰はそのまま校舎の屋上に叩きつけられる。
「がふっ」
激しい衝撃がもろに伝わり、ホーリードールサキの口から血がたれた。

「えっ?」
少し離れた位置に落ちてきた青い光の手駒。
上空では駆けつけてくれたデスルリカとレディアルファが赤いほうの手駒を牽制している。
今ならば・・・
今ならばこの憎い光の手駒を除去できる。
今ならばこの手で・・・
ギュッとブラディサイズを握り締めるレディベータ。
その脚はゆっくりとホーリードールサキの倒れている場所に向けられた。

青ざめてぴくりとも動かないホーリードールサキ。
上空でのにらみ合いをよそに、レディベータはそのそばに歩み寄る。
口元からは血が一筋たれており、内部損傷が激しいことが見て取れた。
ギリ・・・
思わず歯を噛み締める。
目の前に転がっているのは光の手駒。
ブラックパンサービーストもドーベルマンビーストもこの光の手駒たちに消し去られた。
かつてこの娘が荒蒔紗希と言う名の友人であったことなどどうでもいい。
光の手駒のくせにデスルリカ様の心を独り占めしているのが赦せない。
憎い・・・
憎い憎い憎い・・・
デスルリカ様の寵愛を得るのは私とアルファお姉さまのはず。
どうして光の手駒がデスルリカ様に愛されなくてはならないのか?
そんなの赦せるはずがない。

振上げられるブラディサイズ。
漆黒の大鎌がきらりと光る。
これで終わり。
光の手駒に止めを刺す。
気持ちのいい闇の世界が広がるのだ。
光よ滅べ!

「可愛いベータ」
振り下ろされようとしたブラディサイズがぴたっと止まる。
思わずレディベータは顔を上げた。

「私の可愛いベータ。よくお聞きなさい」
視線をホーリード-ルアスミに据えたまま、デスルリカはレディベータに語りかける。
「デスルリカ様・・・」
振上げられたブラディサイズがゆっくりと降りる。
レディベータはただ次の言葉を待っていた。

「あなたの気持ちは私には痛いほど伝わってるわ。これが終わったらお話をしましょう。だから・・・だから今はその娘を傷つけないで。お願い」
「デスルリカ様・・・」
しばしうつむいてしまうレディベータ。
だが、彼女にはデスルリカの“お願い”を拒絶することはできなかった。
「・・・わかりました。デスルリカ様」
レディベータは顔を上げた。

「ありがとう、レディベータ。紗希のことをお願いね」
心よりの笑みを見せるデスルリカ。
彼女にとってもレディベータの気持ちはうれしいものなのだ。
だからできるだけいい方向に結び付けたかったのだ。

デスルリカの笑みにレディアルファもホッとする。
妹とも思うレディベータの思いがデスルリカに伝わったのだ。
それが何よりうれしかった。

レディベータにとってもデスルリカの笑みは格別のものだ。
屋上のこの位置からでははっきりとは見えないものの、それでもデスルリカが笑顔を見せてくれたことはわかっていた。
ならばそれでいいと思う。
デスルリカ様が自分たちに笑ってくれるなら、それでいいのだ。
光の手駒のことを考えるのは今はやめよう。
今はただ、デスルリカ様の言うとおりにこの青い少女を確保するのだ。
レディベータはブラディサイズを消滅させ、そっとホーリードールサキのそばにかがみこんだ。

動けなかった。
左腕の痛みは遮断した。
杖を振るには問題あるが、どのみち杖は右手で振る。
左腕が使えない程度は戦闘力の20%減にも満たないだろう。
だが、ホーリード-ルアスミは動けなかった。
正面にいる闇の女王が動きを封じているのだ。
視線をはずしてホーリードールサキの状況を確認することさえ困難だった。
このまま対峙しているわけには行かないが、かといって動きを見せれば対応される。
まして背後にはもう一体の闇の女がいる。
ホーリード-ルアスミは動くことができなかった。

そっと手を伸ばすレディベータ。
黒いエナメルのロンググローブを嵌めた手がホーリードールサキの躰を抱き起こそうと近づいていく。
先ほどまで憎んでいた少女だが、なぜだか今はそれほどの憎しみは感じない。
このまま屋上に寝かせておくのはよくないだろう。
確保をかねて抱きかかえてやろうとレディベータは思っていた。

「触るな!」
地に響くような重々しい声が白い空間に広がっていく。
肘掛を掴んだ指が震えている。
組んだ脚を解き、腰を浮かせて宙をにらむ。
それはまさに彼女にとってはあってはならないことだった。

「触るな!!」
再び叫ぶゼーラ。
できることなら今すぐにでも飛び出していきたい。
そして大事なドールを奪い返すのだ。
だが、それはできない。
ここから出ることはできない。
この白い空間で、彼女はただ叫ぶしかできないのだ。

闇の女の手が伸びる。
動けないままの青いドール。
内部損傷のせいか呼び戻すこともできない。
綺麗な綺麗な青いドール。
赤と青の一セット。
大事に大事に育ててきたのに。
闇に触られるなんて考えただけでもおぞましい。

「触るな! それは私のものだ。私のドールだ。誰のものでもない私のドールだ。闇なんかが触るなーーーー!!」
ゼーラは気も狂わんばかりに絶叫した。
  1. 2009/09/12(土) 21:52:49|
  2. ホーリードール
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<今日は札歴会 | ホーム | 09月12日のココロ日記(BlogPet)>>

コメント

今回のホーリードールは、四人(+1)の思いがいろいろ交錯しましたね。

それにしてもレディベータ、カワイイですね。闇の一員として光の手駒に憎しみを募らせながらも、デスルリカ様の笑顔でとどめを刺すのを止めたなんて。

ところでゼーラ様、なぜそこから動けないのですか? これじゃゼーラ様の方がよくある? 悪の親玉みたいじゃないですか。

このままでは二人ともデスルリカ様の手に渡りそうな雰囲気ですね。

次回は二人の決着がつくんでしょうか。
  1. 2009/09/12(土) 22:38:50 |
  2. URL |
  3. metchy #zuCundjc
  4. [ 編集]

なかなかいい展開になってきましたね~。
この流れだと紗希と明日美の二人も闇に堕ちそうな感じですね。
冷酷な人形と感情豊かな闇の下僕…、
こう書くと闇の方が良さそうに見えますw

それにしてもゼーラ様…もう悪そのものですねw
  1. 2009/09/13(日) 10:49:50 |
  2. URL |
  3. Mizuha #-
  4. [ 編集]

ゼーラ様かんしゃくおこしてる子供って感じですねー
ここからどう挽回するのか(というかできるのか)楽しみですねー
  1. 2009/09/13(日) 19:19:48 |
  2. URL |
  3. 漆黒の戦乙女 #cNkRLudY
  4. [ 編集]

>>metchy様
ベータを可愛いといってくださりありがとうございます。
ゼーラ様はわけあって動けないのです。
そのわけはまたいずれ。

>>Mizuha様
サキもアスミもピンチですよねー。
はたして逆転があるのか、それともそのまま闇側の手に落ちるのか私も気になりますー。

>>漆黒の戦乙女様
ゼーラ様は闇が大っ嫌いですからねー。
まさにかんしゃくを起こしていると言っていいかもしれないですね。
  1. 2009/09/13(日) 21:23:40 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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