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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

戦車に乗らない戦車兵まで

第一次世界大戦で産声を上げた戦車でしたが、その発達の過程で一つの特異な形状の戦車を生み出しました。

もともと塹壕に潜む敵兵を攻撃するのが目的であった最初の戦車は、車体の左右に機関銃や砲を搭載しておりましたが、多方向の敵に対処できるように回転できる砲塔形式となり、履帯の付いた車体に一つの砲塔という戦車の基本形ができるわけですが、多くの敵に対処するには多くの砲塔を載せるのがいいのではという思想から、多砲塔戦車の構想が生まれました。

このいわば陸上戦艦とも言うべき多砲塔戦車を最初に開発したのは英国で、五つの砲塔が各自独立していることからインデペンデント重戦車と名付けられました。
このインデペンデント重戦車に関しては、当ブログの2009年5月14日の記事を見ていただければと思います。

このインデペンデント重戦車は、各国の軍事関係者に衝撃を与え、各国ともに多砲塔戦車の開発に着手することになりますが、折からの世界恐慌で軍事費が削減されるなか、開発にも製造にも多額のコストがかかる多砲塔戦車は、やがて次々と開発中止へと追い込まれて行きました。

しかし、社会主義政権により第一次五カ年計画が進行中で世界恐慌の影響をほとんど受けなかったソ連では、多砲塔戦車の開発が続いておりました。
一つは大型砲塔一つと車体前部に小型銃塔二基を備えたT-28中戦車。
そしてもう一つが、世界で唯一量産された砲塔五つを持つ多砲塔戦車T-35でした。

T-35は、ソ連側資料では英国のインデペンデンス重戦車に影響を受けたものではないとされていますが、デザイン的にはほぼ似通ったものとなってました。
車体の中央から少し前よりにメインとなる大型砲塔が一基。
この砲塔には当時としては大口径の76.2ミリ砲を搭載し、大きな破壊力を有します。

そして車体を上から見て主砲塔の右前と左後ろに対称的に45ミリ砲の小型砲塔が一基ずつ。
さらにその逆側の左前と右後ろ側に機関銃を一丁搭載した小型銃塔を一基ずつと、合計五基の砲塔を備えました。

T-35は1932年には最初の試作車が完成し、翌年には二両目の試作車が完成します。
この試作車はT-32と呼ばれたともされますが、砲塔を五つも備えた勇壮な姿で軍事パレードには必ず登場したといいます。

この試作車をもとにT-35は量産が始まりますが、主砲塔や小型砲塔を当時量産中の他戦車の砲塔と共通にするなどコストダウンを図ったにもかかわらず、一両あたりの費用はT-28戦車の約五両分、BT-7戦車の約九両分という高いものになってしまいます。

また、とてつもなく巨大になってしまった車体は、40トンに押さえたもののエンジンがやはりアンダーパワーで機動性に乏しいものになってしまいました。
また装甲も30ミリ程度とそれほど厚いものにはできませんでした。
つまり、英国のインデペンデンス重戦車で明らかになっていた欠点をそのまま引き継いでいたのです。

そして、T-35にはほかにも問題がありました。
砲塔が五つもあるため、それぞれを操作する人員を配置しなくてはならず、なんと操作員が10名も必要だったのです。
しかも、信頼性が低いため整備用に専門の車外員が2名必要となり、戦車に乗らない戦車兵が必要になりました。
つまり、T-35一両に12名もの戦車兵が必要であり、これまたBT-7戦車あたりの三両分で、運用側からも運用しづらいという不満が噴出いたしました。

そのような使いづらい戦車でしたが、T-35は約六十両が生産され、独ソ戦に投入されました。
実戦ではやはりあまり活躍することもできずに独軍に個別に撃破されてしまったようです。
また、故障も多く、戦場にたどり着く前に故障で放棄されてしまったものもあったようです。

結局多砲塔戦車は有用ではなく、急速に廃れて行きました。
T-35も見た目は勇ましく、パレードの花形ではありましたが、実戦で役に立つものではありませんでした。
ですが、やはりこうした多砲塔戦車というものは、一種のロマンを感じてしまう気がするのは私だけでしょうか?

それではまた。
  1. 2009/08/31(月) 21:21:17|
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