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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

西南戦争(18)

3月5日、6日、7日、8日と官軍は田原坂及び吉次峠への攻撃を行ないました。
しかし、守りやすい田原坂の地形は、官軍の攻撃をあざ笑うかのように跳ね返し続けました。
特に薩軍の抜刀攻撃は強力で、官軍はいつも薩軍の陣地に迫っては切り伏せられてしまうことが常でした。

また、両軍の射撃戦も相当に激しく、お互いに撃ちあった銃弾が空中で衝突するという現象まで発生しました。
これを「行き合い弾」といい、田原坂周辺でいくつものちに発見されることになります。

当時官軍の弾薬製造力は、一日十二万発だったといわれますが、田原坂での連日の戦いでは官軍だけで平均三十二万発の弾薬が消費されたのです。
中には六十万発を超えた日もあるといわれ、日露戦争中の旅順要塞攻略戦以上に消費したのでした。
そのため政府は弾薬の緊急輸入など対応を迫られたといいます。

3月9日、ここで官軍はようやく横平山に目をつけました。
連日の官軍の猛攻は、いつも横平山方面からの薩軍の側撃で痛手をこうむっていたのです。
横平山は吉次峠に連なる山地の一角で、ここからは田原坂攻撃を行なう官軍の姿が丸見えでした。
このために薩軍はすぐに官軍の動きに呼応でき、官軍に対していいタイミングでの反撃が行えたのです。
官軍もようやくこのことに気がついたのでした。

官軍は横平山の手前から迂回するように回りこんで攻撃を開始。
夕方には横平山の一角に取り付きます。
しかし、この山の重要性を知っていた薩軍もまた反撃を開始し、この横平山でも両軍は激戦を繰り広げることになりました。

3月11日、官軍はついに田原坂の正面突破は困難と判断。
以後西側斜面からの突破と横平山の奪取に切り替えます。
とはいえ、切り替えてすぐに結果が出るものでもなく、11日、12日、13日とまたしても激戦が繰り広げられるだけでした。

官軍にとっての脅威は薩軍の抜刀攻撃でした。
近接戦闘になってしまえば火力の優位は発揮できません。
日本刀をきらめかせて突っ込んでくる薩軍に、官軍兵士は対抗することができませんでした。

そこで官軍は、兵士の中から士族出身の者をつのって抜刀隊を編成します。
最初に編成されたこの抜刀隊は五十名。
彼らはすぐに横平山への攻撃に投入されました。

抜刀隊の威力は大きく、横平山は一時官軍が占拠することに成功します。
しかし、薩軍の反撃に持ちこたえることができず、官軍は後退。
抜刀隊も十三名が戦死し三十六名が負傷という状況で壊滅してしまいました。

そこで官軍の本営では、士族出身者が多い警視庁警視隊から抜刀隊を選抜します。
さらに東京からも警視庁抜刀隊約九百名が戦地に到着、警察官で構成された抜刀隊が約千名編成されました。

よくこの警視庁抜刀隊には東北諸藩の藩士が多く、彼らは切り込みの際に「戊辰の仇」と叫んだとされていますが、実際はそれほど東北出身者が多かったわけではなく、むしろこのことが宣伝によって広められたために、その後の巡査による新撰旅団の編成の際に東北出身者が多く集まったといわれます。

3月14日、警視庁抜刀隊の支援の下、官軍は再度横平山への攻撃を行ないます。
この時も警視庁抜刀隊は薩軍の抜刀攻撃をよく受け止め、官軍の横平山占拠に貢献しました。
しかし、またしても薩軍の反撃に横平山を放棄せざるを得ず、官軍は後退して行きました。

この3月14日の戦いで、警視庁抜刀隊は薩軍と対等に戦えることが証明され、のちにこの栄誉をたたえて「抜刀隊の歌」が作られます。
この「抜刀隊の歌」は、後にこれを元に「陸軍分列行進曲」が作られ、現在でも陸上自衛隊や警察などで演奏されております。

警視庁抜刀隊は、翌日15日の攻撃にも参加。
この日の官軍の攻撃により、ついに横平山は官軍が支配します。
薩軍にはもはや横平山を取り戻す力はありませんでした。
膠着状態だった田原坂での戦いに少し明かりが差し込んだ瞬間でした。

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  1. 2009/08/07(金) 21:16:46|
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北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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