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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

西南戦争(13)

「植木の戦い」「木葉の戦い」で相次いで官軍乃木隊に勝利した薩軍でしたが、戦果を拡張することには失敗しました。
敗走する乃木隊を追撃し、部隊を北上させて南関まで制圧下に納めようという意見も出ましたが、なぜかその意見は採用されず、むざむざと植木方面まで後退し、防御陣を張りました。

これは一説によれば、薩軍本営からの指示であったとも言われますが、指示そのものがなかったという説もあり、はっきりとはいたしません。
しかし、後知恵的視点に立てば、この時南関まで薩軍が支配下においていれば、福岡から南下して来た官軍はさらに時間を取られることになったのは明白であり、以後の局面に大いに影響を与えたのではないかといわれます。
薩軍は好機を逸したのでした。

熊本城の強襲をあきらめ、包囲だけにとどめることに決した薩軍でしたが、2月24日になってもなぜか強襲が続けられておりました。
22日夜に決したはずの決定がずるずると引き延ばされていたのです。
ですが、さすがに無謀な歩兵突撃は鳴りを潜め、ほぼ砲撃による攻撃に終始してきておりました。
ここにいたり、ようやく薩軍も熊本城強襲をあきらめたと言えるでしょう。

薩軍はじょじょに部隊の再配置を始めておりました。
福岡から南下してくる官軍を迎え撃つために、桐野隊は山鹿方面へ、篠原隊は田原方面へ、村田隊と別府隊は木留方面へと分派され、熊本城の包囲には約三千の兵力を残し、池上四郎が包囲部隊の指揮を取ることになります。
ほかに永山弥一郎の三番大隊が、海岸線の守備に就くために展開。
薩軍は熊本北部に広がることになりました。

二度にわたる敗退で、軍旗や兵を失った乃木少佐率いる小倉第十四連隊でしたが、このままおめおめと引き下がるつもりはありませんでした。
一度は寺田山まで後退したものの、そこで兵力を再集結し、高瀬方面に向かいます。

高瀬は菊池川西岸にある集落で、菊池川にかかる橋もあり、交通の要衝でした。
官軍にとって、ここを押さえることは絶対必要なことであり、薩軍の進出をなんとしても阻止しなくてはならない場所だったのです。

乃木は一個中隊を菊池川左岸の江田に派遣。
本隊の左翼を援護させ、本隊そのものは2月25日の夜明けごろに高瀬に無事に到達いたしました。
高瀬に入った乃木隊は、菊池川の堤防沿いに陣を構築。
ここで薩軍を迎え撃つ態勢を取ります。

一方、官軍主力である第一旅団と第二旅団からなる征討軍本隊は、24日には久留米を出発し、翌25日に南関に到着します。
正勝寺に本営を置いた征討軍本隊は、ここで小倉第十四連隊の戦闘報告を聞き、現在高瀬にて布陣中という情報を手に入れました。
そこで第一旅団長である野津少将は、乃木隊に応援を送るべく一個中隊を高瀬へ急行させます。
この一個中隊は、なんと全員を人力車で移動させるという手段をとり、移動の時間を短縮することに成功しました。
さらに第一連隊と第八連隊から二個中隊ずつ引き抜き、長谷川好道中佐に指揮を取らせて高瀬に向かわせます。
ようやく乃木の小倉第十四連隊は孤軍奮闘の立場から解放されることになるのでした。

高瀬での戦いは、2月25日の午後4時ごろから始まりました。
薩軍の三番中隊の三個小隊を率いた岩切喜次郎が、高瀬大橋を渡って正面の乃木隊に攻撃を仕掛けます。
さらに熊本の不平士族で編成された熊本隊が下流側で菊池川を渡河。
岩切隊とともに乃木隊に圧力をかけました。

両翼からの攻撃に、乃木隊はまたしても後退を余儀なくされましたが、ここで第一旅団の長谷川中佐の四個中隊が戦場に到着。
すぐさま乃木隊を支援して薩軍と交戦に入りました。

長谷川中佐の四個中隊は、第一連隊の二個中隊が岩切隊に対応し、第八連隊の二個中隊は第二線を形成します。
乃木隊を押し込んでいた薩軍でしたが、ここで戦線は膠着。
そこで熊本隊の一部が側面を迂回しようとしましたが、これも察知されて撃退されてしまいます。

戦闘は膠着のまま二時間ほど続きましたが、日没となり自然終決いたします。
薩軍は後退し、官軍はそのまま高瀬を保持したままで夜営に入りました。
第一次高瀬会戦はこうして幕を下ろします。

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  1. 2009/07/07(火) 21:29:21|
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
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