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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

双闇の邂逅(1)

いつもお世話になっている「闇月の創作ノート」の闇月様より、投稿作品をいただきました。

今回は闇月様のサイト「闇月の創作ノート」で連続掲載されました「ノワール・キングダム」シリーズのキャラと、我らが「犯罪教授響子様」シリーズのキャラが絡み合うというコラボレーションSSです。
まさに先日TVで放送されました「ルパン三世VS名探偵コナン」ばりの大胆なコラボレーションではないでしょうか?
(ただし、私は今回の作品そのものには携わっておりません)

とはいえ、今回のSSは双方が協力し合うというものではなく、まさにお互いが対決するというシチュエーション。
はたして勝利を手にするのはどちらの陣営でしょうか?

今日と明日の二回で公開させていただきます。
それではどうぞ。


舞方雅人様作「犯罪教授」シリーズ/闇月作「ノワール・キングダム」シリーズ コラボ(?)作品
【双闇の邂逅】

街の路地裏にある小さなバー『ノワール』。
店内には漆黒のパーティー用ワンピースを着た女性、いや、少女が一人。
少女はおそらく未成年だろう。
しかし、この少女のまとう雰囲気は大人の女性と同じものだった。

「こちらは本日おすすめのカクテル、『クライム・プロフェッサー』でございます」
バーテンダーが少女の前に、彼女の衣装と同じ漆黒のオリジナルカクテルを出す。

「あら、私にカクテルなんて出しちゃっていいの?」
「ノンアルコールですのでご心配なく」
少女の皮肉めいた問いにバーテンダーはにこやかに答えた。

(ふーん…カクテルの名前といい、私が何者なのか、わかっているみたいね)

「お客様がお待ちの『あの方』はあと15分ほどでお見えになります。お仕事が予定より長引いたようで…」

バーテンダーの言葉を聞き流しながら、少女はここ数日の出来事を思い出すため、そっと眼を閉じた。



数日前、犯罪教授のもとに届いた依頼。
それは『ノワール・コーポレーション』という企業の調査と、社長である青年実業家への襲撃。
犯罪教授こと案西響子は部下であるコックローチレディに調査を、マンティスウーマンに襲撃をそれぞれ命じた。


翌日の昼時。
ランチタイムとあってか『ノワール・コーポレーション』があるオフィス街はサラリーマンやOLたちで賑わっていた。

「『ノワール・コーポレーション』のビルは、オフィス街にあるビルの中では真ん中レベルといったところかしら?」
『ノワール・コーポレーション』のビルを眺め、そう呟く女性はフリーライターの佐登倉志穂(さとくら しほ)。
彼女の服装は、周囲に違和感を与えないようなスーツ姿。
“調査”を目的に行動していることは気づかれないだろう。

(あれ? 今『ノワール・コーポレーション』から出てきたのって、投捨の女記者じゃない…?)

志穂が監視していたビルの玄関から出てきたのは、薄紫のスーツ姿の若い女性。
見覚えのある顔に志穂は驚く。

「…確か、投捨新聞社会部の門名真里(もんな まり)だっけ?」
“かつての”自分と同じタイプの女記者の名前を志穂はすぐに思い出す。

その時、志穂は、真里の行動にさらに驚いた。
真里が志穂の方を見てにっこり微笑み、軽く会釈をしていったように見えたからだ。

「ありゃ、気づかれたかな、これは…」
志穂は苦笑いを浮かべ、そう呟いたのだった。


佐登倉志穂の視界から消えた門名真里は、バッグの中から携帯電話を取り出すと、素早く電話をかけた。

「もしもし…どうやら“あちら”が動き出したようです。今夜あたり潜り込むと思いますわ…」
「…はい。顔見知りでしたけど、おそらく私の“正体”には気づいていないかと」

電話を終えた真里は、くすっと笑うと、新聞社に戻るため、駅に向かったのだった。


その夜。
オフィス街は残業の明かりも少なく、閑散としていた。

『ノワール・コーポレション』社内に蠢く一つの影があった。
美しいプロポーションを包む茶色のレオタード、すらりと伸びた脚にはハイヒールのブーツ。
頭を覆うヘルメットのようなものからはふるふると震える二本の線が延び、背中には翅のような形をしたものを背負っている。

その姿はまるでレオタードの胸の部分に描かれたゴキブリのよう。

そう、この影の正体こそ、犯罪教授の部下の一人、コックローチレディ。
フリーライター佐登倉志穂の“もう一つの顔”である。

コックローチレディがやってきたのは、『ノワール・コーポレーション』の情報が全て集まったサーバールーム。
ここまでやってくるのに、警備員に会うことはなく、警報装置も背中の装置で簡単に無効化できた。

「クスッ、業績を伸ばしている企業のわりにはセキュリティが甘いんじゃない? まぁ、私にかかればどんなに強固なセキュリティでも赤子同然だけどね」

コックローチレディの言葉は自分に対する自信と、自分にこの装備を与えてくれた犯罪教授への絶大なる信頼によるものだった。

コックローチレディは触角の先のコネクターをコンピュータにつなぎ、右手に仕込まれたキーボードを操作する。
これで、複眼状のバイザーにコンピュータのデータが映し出されるはずだったのだが…

(えっ、サーバーのセキュリティに阻まれてる!?)

おかしい。こんなことは今まで一度もなかった。
コックローチレディは初めて動揺を見せる。

それから十数分、彼女はセキュリティシステムと格闘したが、結局全ての手段を阻まれ、データの強奪をあきらめざるをえなかった。
再びもと来たルートを誰にも気づかれずに進み、外に出る。

「…くやしい、こんなこと初めてだわ。いったいなんなのよ、あのセキュリティシステムは!」

失敗の報告をしたら響子様は何ておっしゃるだろう?
そう思いながら、コックローチレディは重い足取りでアジトに向かうのであった。

…自分が何者かに尾行されているのも気づかずに。


「ふぅ。結構手ごわかったけど、失敗に終わったみたいね」

住宅街にある『神崎』と書かれた表札のある家の2階の部屋で、神崎飛鳥(かんざき あすか)はフゥっと息をつく。

部屋にあるのは数台のパソコンとサーバー。
ここでは、『ノワール・コーポレション』の事業の一つ、『女性ニートのためのSNS HOT-SL』の運営と、『ノワール・コーポレション』のサーバールームのセキュリティを遠隔で監視していた。

部屋には飛鳥の他に二人の女性がいた。
一人は飛鳥ともにこの部屋で仕事をする笛木美鈴(ふえき みすず)。
そして、もう一人は門名真里だった。

「あちこちの企業でデータを根こそぎ奪ってきたコックローチレディも、うちのセキュリティは破れなかったんだ。これならどんなヤツが来ても大丈夫だね」
美鈴が笑顔で言った。

「まぁ、ここまで強固なセキュリティシステム作れたのも、貴女の“怠惰”のおかげよね、スロート」
「ひどっ! ラスティ、グリーデがひどいこと言ってるよぉ…シクシク」
真里に“スロート”と呼ばれた美鈴の笑顔が泣き顔に変わる。

「グリーデの言っていることは真実だからねぇ。貴女がサボっても問題ないようにしたらこんな立派なシステムができたんだから」
美鈴に“ラスティ”と呼ばれた飛鳥がクスクスと笑い、真里に向かって言った。

「グリーデ、貴女の情報のおかげで万全の体制で迎え撃つことができたわ。感謝してるわよ」
「いえいえ。今頃彼女、どうなっているのかしら? たぶん“彼女たち”に捕獲されているでしょうけどね」
飛鳥に“グリーデ”と呼ばれた真里はそう言うと、ニヤリと妖しい笑みを浮かべた。



「…コックローチレディがしくじったようね。珍しいこともあるものだわ」

携帯電話に届いたメールを見て呟いたのは、白いカマキリの模様の入った暗緑色のレオタードとマスクの女性。
彼女はマンティスウーマン、犯罪教授の部下の一人だ。

「それにしても、今回のターゲット、なかなかのイケメンじゃない…切り刻んじゃうのがもったいないわぁ」

マンティスウーマンはターゲットの写った写真を見て、ため息をつく。
彼女が物陰に身を潜めて待っているのはこの写真の人物、『ノワール・コーポレション』の青年社長だ。

左右の複眼を模した暗視ゴーグルが男性の姿を捉える。
どうやらターゲットは一人のようだ。
マンティスウーマンは両手首に蟷螂の鎌を模した手鉤を装着する。

「うふふ…『ノワール・コーポレーション』の社長さんですわね? お待ちしておりましたわ」
物陰から男性の前に躍り出たマンティスウーマンの口元に笑みが浮かぶ。

「貴女のような方と待ち合わせをした覚えはないんだけどね」
漆黒のスーツをきちんと纏った青年社長が乾いた笑みを浮かべる。

「こちらが一方的にお待ちしていただけですわ。私はマンティスウーマン、以後お見知りおきを」
「言われなくても、貴女のような姿をした人は二度と忘れないと思うけどね」

マンティスウーマンの言葉に、青年社長は表情を全く変えずにサラリと言い返す。

「あら、まもなく死ぬというのに、驚いたり怯えたりしませんのね?」

マンティスウーマンは驚いていた。
今まで彼女が襲った相手は彼女の姿を見て驚き、がたがたと震えて腰を抜かす者までいた。
それなのに、この青年は全く動じる様子がない。

「貴女…いや、君には悪いけれど、私は君にむざむざ切り刻まれるつもりはないんだよ、蟷螂のお嬢さん」

(悪いけど、そういうわけにはいかないのよ…響子様のために!)
青年の言葉に応えることなく、マンティスウーマンは心の中でそう呟くと、青年に襲い掛かった。

ザクッ!

手首の鎌が肉を切り裂いた感触がした。

もう一撃、と思い振り返ると、青年と眼が合う。
キッと睨みつける青年の眼を見た途端、マンティスウーマンの身体が硬直し、次の行動に移れなくなってしまった。

(な、何が起こっているの!?)
マンティスウーマンは自分の身に突如起こった不可解な出来事に呆然とする。
彼女の視線の先では、彼女の攻撃を受けた青年が片膝をついて荒い呼吸を繰り返している。
彼女の鎌には、仲間であるスコーピオンガール特製の神経毒が仕込まれており、攻撃対象を確実に仕留めることができるようになっていたのだ。

「…これ以上、君に攻撃はさせないよ」

青年の声が先程までと全く違っていた。
声色だけではなく、口調も、雰囲気も、ガラリと変わったような感じだった。
聞いた者に恐怖を与えるような、闇の底から響き渡るような声に、硬直していたマンティスウーマンの身体ががたがたと震え始めた。

もうこれ以上、この声を聞きたくない。
一刻も早く、ここから逃げ出したい。

マンティスウーマンはそんな衝動に駆られていた。

「蟷螂のお嬢さん、私の手駒が来る前に立ち去るがいい…これは警告だよ」

その声を聞いた途端、マンティスウーマンの身体に自由が戻る。
青年の言葉に逆らうことなく、彼女はその場から立ち去った。


「大丈夫ですか?」
「あぁ、君のおかげで助かったよ。メディスン・レディ」

マンティスウーマンが立ち去った後に現れた若い女性の処方した特製の即効性解毒治療薬により、青年は元通り回復していた。
不思議なことに、傷口もすっかり消えてしまっている。

「“あっち”はどうなっている?」
「今のところ順調に事は進んでいます。あとは“彼女”が無事帰還すれば任務完了ですわ」

“メディスン・レディ”と呼ばれた女性は淡々とした口調で青年に報告した。
  1. 2009/04/08(水) 21:21:49|
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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