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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

クリミア戦争(3)

一方のオスマン・トルコ側はというと、18世紀から19世紀にかけてのオスマン・トルコは「瀕死の病人」と呼ばれるほどの国内外の問題を持つ衰退した老大国でした。

数度にわたるロシアとの戦争で、オスマン・トルコは黒海北部の支配権を喪失。
クリミア半島もロシアに支配されてしまいます。
また、ナポレオンのエジプト遠征に触発されたエジプト地方太守とも言うべき存在のムハンマド・アリーが事実上のエジプト独立を果たし、エジプトが失われます。
この時にはロシアがなんとオスマン・トルコを支援。
エジプトの完全独立を阻止する代わりに、ボスポラス及びダーダネルス両海峡の通行権を手に入れました。
さらにはバルカン半島ではナショナリズムが台頭し、ギリシャ独立戦争が勃発。
1832年にギリシャは独立し、これでバルカン半島の一部も失われました。

衰退する一方の帝国を何とかしようと、オスマン・トルコは開明的な君主や改革派の官僚などの力で近代化を推し進めますが、国内のあちこちから独立や反オスマン・トルコの気運が上昇し、その鎮圧や安定化に四苦八苦という状況でした。
バルカン地域でも、ギリシャの独立と前後していくつもの地域が不安定化し、その治安維持にオスマン・トルコは苦しむようになります。

バルカン半島を含む地域は、これまでイスラム教徒(ムスリム)の帝国であるオスマン・トルコの支配地域でしたが、人種的にはスラブ系民族であり、さらに宗教的には「正教」(ギリシャ正教やロシア正教などを含むキリスト教)を信奉する人たちが住んでいる地域でした。
このため、正教の守護者を任ずるロシア帝国にとっては、人種的にも宗教的にもつながりのあるこの地域をオスマン・トルコから分断し、手に入れるか少なくとも影響下におさめるべく画策します。

ところが、そう上手くは行かないもので、1839年に再び起こったエジプトとオスマン・トルコとの戦いにおいては英仏が介入。
ロンドン条約によってボスポラス及びダーダネルス両海峡は、平時における全ての国の軍艦の通行を禁じることになりました。
これによりロシアは以前手に入れたボスポラス及びダーダネルス海峡の通行権を失うことになったのです。

ボスポラス及びダーダネルス海峡の通行権を失ったことは、ロシアにとっては痛手でした。
英国やフランス、オーストリアなどの軍艦は両海峡を通る必要性は低く、平時に軍艦の通行ができなくてもなんら問題ありません。
しかし、ロシアにとっては地中海への出口がまたも閉ざされたのです。
これは地中海をインドとの通商路として他国の影響を極力排除したい英国の思惑でした。
英国はロシアを黒海で封じ込めておきたかったのです。

19世紀前半は、いち早く産業革命を成し遂げた英国にとっては飛躍の時代でした。
英国は世界の工場としてその工業生産品を各国に売りさばくことで国力を増大させていっておりました。
英国にとっては通商路の維持こそが最大の関心事であり、地中海航路を他国の影響下に置くことなど許せるものではなかったのです。

ロシアは再度の地中海進出をもくろみました。
ボスポラス及びダーダネルス両海峡を再び手に入れ、地中海への出口を確保するのです。
そのためには「瀕死の病人」であるオスマン・トルコと戦争をしてもかまわないとニコライ一世は考えておりました。
地続きの強国であるプロイセンやオーストリアには、1848年に起こった革命に対する鎮圧にロシア軍を派遣して援助しているため貸しがあり、トルコとの戦争になってもロシアを支持するはずという目論見があり、フランスは1948年革命の混乱に乗じて大統領に就任し、その後皇帝となったナポレオン三世が国内を取りまとめるのに精いっぱいであろうと見ておりました。
最大の障害と考えられる英国に対しても、オスマン・トルコとの戦争で獲得した領土を英国との間で分割すれば文句は出ないはず。
ニコライ一世は楽観的にそう読んで、オスマン・トルコとの戦争に備えました。

しかし、戦争をするには何らかの口実が必要です。
さすがにこの時代、口実のない戦争はいくらなんでも起こせません。
オスマン・トルコ側が何か問題を起こし、それを口実に戦争をすることができれば・・・
ニコライ一世は何とかその口実を見つけようとします。

そして、その口実がフランスの手によってもたらされることになりました。
それが、「聖地管理権問題」です。

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  1. 2009/04/01(水) 21:15:08|
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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